ラブライブ!—Story to make together—   作:TokyoのDio

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おはこんばんちわ。
どうも、でぃおです。

まずは最初に謝罪を。
更新が遅れてしまって申し訳ございませんでした!!!(土下座)
今回はμ'sのファーストライブの回、というのもあってとても力を入れていたのですが、それが仇となってしまいました……待ってくださった読者の皆様、本当に申し訳ございません。

さて、上記のように、今回はμ'sのファーストライブです。といっても長くなってしまったので2話に別ける、という苦渋の選択をしました。2話両方とも読んで頂けるととても嬉しいです。

それでは…どうぞ!




#15 —始まりの歌— 《前兆、そして……》

 

 

 新入生歓迎会当日、俺達は放課後にやるライブのためにもう1度チラシ配りをしていた。

 

 「スクールアイドル、μ'sのファーストライブでーす!よろしくお願いします!」

 

 「よろしくお願いしま〜す!」

 

 俺達は人通りの多い場所を見つけ、そこでチラシ配りをしている訳なんだが、他の部活も同じことを考えていたらしくここには多くの部が勧誘をしに来ていた。

 

 

 「吹奏楽部で〜す!興味のある方は是非来てね〜!」

 

 俺達がチラシを配っている場所の近くで吹奏楽部が勧誘をしに来る。それに負けじと俺はさらに声を上げてチラシ配りを再開した。

 

 「スクールアイドルμ'sです!放課後にライブをします!」

 

 「スクールアイドル…?ふーん。ねぇ、あそこの部活見ていかない?」

 

 「あ、いいね!行こ行こ!」

 

 「あっ、ちょ、待っ…!」

 

 が、その努力は虚しく、どんどん他の部活へと人が流れて行ってしまう。

 それは高坂達の所も同じな様で困った顔をしながら俺の所にやって来た。

 

 「どうしよぉ〜…見向きもしてくれないよぉ……」

 

 「うん、どんどん他の部活に行っちゃうね……」

 

 「参ったなこりゃ……何か案を考えないと。……ってか、園田はどこ行った?」

 

 どうにかして今の状況を打開しなくては、と思考を巡らせる。が、そこで園田がいないことに気がついた。

 

 「海未ちゃん?海未ちゃんならあそこに————」

 

 「どうしたんだよ」

 

 途中で口を止める高坂。

 はて、どうした?

 疑問に思いながら高坂の指さす方へ目を向ける。

 

 そこには————

 

 「よろしくお願いしまーす!放課後4時からライブやりまーす!スクールアイドルμ'sでーす!」

 

 昨日とは全く違い、笑顔でチラシを配っている園田が。

 

 「海未ちゃんが恥ずかしがってない?!」

 

 口をあんぐり開けながら言う高坂。これには俺もビックリしていた。あんなに恥ずかしがっていた園田が今こんなに笑顔でチラシ配りをしているなんて思いもしなかったからな。

 

 「ほら、俺達も園田に負けてられないぞ?」

 

 「うん!そうだね!ことりちゃん、行こ!」

 

 「うん!」

 

 俺の言った言葉を聴いて火がついたらしく高坂は南を連れて再びチラシ配りを再開した。

 

 「うぅ〜ん……!さて、俺もぼちぼち再開するか……」

 

 1つ伸びを入れて俺も高坂と南に続いてチラシ配りを再び始めることにした。

 

 この時、すでに前兆があったのかもしれない。

 しかし、俺達はその前兆に全く気づいていなかった。

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ……大方配り終えたな」

 

 「うん。でも、だいぶ時間を使っちゃったね」

 

 確かに。かれこれ1時間半くらいはずっとチラシを配っていた。もう少し早く終わるかと思ったんだけど、やはり大手の部活動に人が取られてしまって結構手こずってしまったんだ。

 

 

 「うーん。それにしても中途半端な時間に終わっちまったなぁ」

 

 「確かに。チラシは配り終えてしまいましたし、リハーサルをするにしてもまだ講堂が空いていないでしょうし……どうしましょうか?」

 

 さて、どうしたものか。本当に中途半端な時間だから何かをする事もできないぞ?まぁ、別に深刻な問題というわけでもないから、ライブの時間まで休むのもいいかもしれない。

 

 「そうだねぇ……あ、パンでも食べる?」

 

 「「さっき食べただろ!!(でしょう!?)」」

 

 「穂乃果ちゃん、流石にそれは……」

 

 「じょ、冗談だよ……」

 

 「はぁ……」

 

 こいつはライブ前だっていうのに何言ってやがるんだ。いつもなら笑っている南も流石に困っていたぞ。本当に、頼むからこういう時ぐらいしっかりしてくれ。

 

 

 

 「あ、いたいた!おーい」

 

 「ん?」

 

 どうしようか悩んでいると、後ろから声をかけられた。

 振り向くとそこには3人の少女達が。

 

 確か…ヒフミトリオとかって呼ばれてた気がする

 

 「えぇっと、ヒフミトリオ…だっけ?」

 

 「違うよ!!いや、間違ってはないけど……周りにはそうやって呼ばれる事もあるけど、私達にはちゃんと名前があるんだから!」

 

 

 

 「まず、ショートヘアーの私が松永ヒデコ!」

 

 「次に!ポニテの私が高木フミコ!」

 

 「こ、これ私もやるの?!……えっと…おさげの私が渡辺ミカだよ!」

 

 俺に自己紹介をする3人。

 この3人は確か俺達のクラスメイトで高坂達と仲が良かったはずだ。

 

 「あれ?3人共どうしたの?」

 

 「やだなぁ、もう!手伝うってこの前言ったじゃない!講堂がもう空いみたいでね?穂乃果達、リハーサルとかやりたいでしょ?私達も照明の調整とかしたいから迎えに来たの!」

 

 「ヒデコ……うん!ありがとう!」

 

 「困った時はお互い様!ほら、行くよ〜!」

 

 そして俺達は高坂の友達3人組、略してヒフミトリオに連れられて講堂へと向かう事になった。

 

 

 

 

 

 

 重いドアを開け、俺達は講堂へと入って行く。静まり返った講堂には俺達の足音が響き渡っていた。

 

 「わ〜っ!やっぱり広いねぇ」

 

 「うん、なんか緊張してきちゃうな……」

 

 「そうですね……」

 

 弱音を吐く南と園田。

 この大きな講堂にたくさんの人が入る事を考えると緊張するのも分からなく無い。

 

 「はいそこ!怖気づかない!本場で成功できるように今ここに来たんでしょ?」

 

 ヒフミの“ヒ”は萎縮してしまっている2人に喝を入れる。

 

 「そうですね。今はリハーサルに集中しましょう!」

 

 「分かったならよし。ほら、行った行った」

 

 「わわっ!押さないでよ〜」

 

 高坂達3人は背中を押されて舞台の奥へと連れていかれた。

 今この場にいるのはヒフミの“フ”と“ミ”そして俺。

 

 あれ?俺は何すればいいんだ?

 

 「柊君には少し力仕事をやってもらうよ〜」

 

 「ちょ〜っと重いかもしれないけどね。とりあえずこっちに来て」

 

 ヒフミの“フ”と“ミ”に声をかけられる。

 力仕事?重い?何のことだ?

 俺は疑問に思いながらも2人の元へと向った。

 

 

 

 

 

 場所は変わって渡り廊下。

 俺は今照明に使う延長コードを運んでいた。コードといっても物凄く長いものが束ねてあるので、結構な重さがある。

 

 「くそっ…あいつら、重いってこの事かよ……器具の点検をしなきゃいけないからとか理由つけて力仕事全部俺に押し付けやがって……」

 

 俺は愚痴を言いながらもコードを抱えてもう一度講堂へと向かっていた。

 これ本当に重いな……つーかどんだけ束ねてあるんだよ!お陰で前が見えづらいんだけど……こんなんじゃ人とぶつかってもおかしくねぇぞ。気を付けないと。

 

 

 ドンッ!

 

 「きゃっ!」

 「うぉっ?!」

 

 そう思った矢先、俺は人とぶつかってしまう。ほら、言わんこっちゃねぇ!!しかも声的に女子とぶつかったっぽいぞ?!

 

 「ちょっとー!!どこ見て歩いてんのよ?!」

 

 「わ、悪い!ちょっと前が見えづら——って子供……?」

 

 ぶつかってしまった相手は俺を怒鳴りつけてくる。とりあえず謝らなくては、と思い相手の顔を見てみるとそこにいたのは中学生、もしかしたら小学生くらいかもしれない。それぐらい小さなツインテールの女の子だった。

 

 何故こんな所に?悪戯でもしに来たのか?いや、もしかしたら迷子なのかもしれない。

 疑問に思い再度女の子を見ると眉をピクピクとさせて俺を睨みつけていた。

 

 「だぁれが子供よ!!失礼ね!にこは3年生よ?!さ ん ね ん せ い!!!」

 

 「はぁ?!嘘つくなよ!!どう見てもガキじゃねぇか!!」

 

 「はぁ〜?!もういいわ!!」

 

 そう言って女の子は胸元のポケットから何かを取り出した。

 

 「これを見なさいこれを!」

 

 そう言って見せつけてきたのは音ノ木坂学院の生徒手帳。

 

 3年2組 矢澤にこ

 

 手帳には学年と名前、そして

 

 目の前にいる女の子の顔写真が貼り付けられていた。

 

 

 「嘘だろおい!?」

 

 「ふふん!これで分かったでしょ?しかもあんた2年生じゃない!礼儀を弁えなさい!」

 

 小さな胸を張りながらそう言う彼女。

 

 ……べつに年齢なんてどうでもいいだろうに

 

 っとやばい。こんな事をしてる場合じゃないんだった。

 

 「ぶつかって悪かったです!それじゃあ俺、行くんで!」

 

 一応謝罪をしておく。ちゃんと敬語を使ったしこれで文句ないだろ。そんなことより今は早く講堂に向かわないと。

 

 「あ、ちょっと!…そんな物持ってなんでそんなに急いでるわけ?」

 

 しかし、既の所で引き止められる。

 目の前の彼女は首を傾げながら俺に聞いてきた。

 

 「俺のクラスメイトがスクールアイドルやっててμ'sっていうんですけど、そいつらが講堂でライブやるんですよ」

 

 俺は簡単に説明する。

 その時、彼女の雰囲気が少し変わったような気がした。

 

 「スクールアイドル、ね……」

 

 「そうです。4時頃からやるんですけど良かったら見に来てくださいね」

 

 ついでにといったらあれだけど、一応宣伝をしておく。少しでも多くの人に来て欲しいからな。

 

 「……行かないわよ」

 

 「えぇ?!まぁ、そんな事言わずに気が向いたらでいいんで来てくださいよ!じゃあ俺は行くんで!さっきはぶつかってスンマセン!それじゃあ!」

 

 これ以上ここで油を売ってる場合じゃないと思った俺はその場を後にする。

 

 とりあえず早く講堂に戻らないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あぁ〜……重かった……」

 

 「お疲れ様!いやぁ、やっぱり男子は凄いねぇ」

 

 他人事の様にさらりと言うヒフミの“フ”。まぁ、確かにこれを女子が運ぶのはキツイと思うけどさ……

 

 「もっと労ってくれよ……」

 

 「まぁまぁ。あ、そう言えば穂乃果達、衣装に着替えてるから見に行ってあげれば?ステージの裏に部屋があるから」

 

 そういいながら奥を指さす。

 ここの講堂ってそんなものまで付いてるのかよ……

 

 「ん、分かった。見てくるよ」

 

 そう言って俺はステージの裏へと向かう。

 

 「着替え中を覗いたらだめだよ!海未に殺されるからね!!」

 

 「覗かねぇよ?!俺を何だと思ってんだ!!!」

 

 いや、少しは考えたよ?やっぱり俺も男だし。でも、最後に言われた園田に殺されるというワードが余りにもリアル過ぎてやる気をなくした。うん。やめよう。

 

 「っと……ここか」

 

 さっき言われたステージの裏にある部屋っていうのはここか。なんだか、テレビ局にあるような楽屋みたいだ。まぁ、実物は見たことないけど。

 とりあえずノックをしてから入ろう。うん。ラッキースケベなんてあろうものなら俺の命は今日で終わるに違いない。

 ドアを軽く叩こうと手を出したその時、

 

 

 ガチャ

 

 

 「あ、せかちゃん!」

 

 「うお!びっくりした……」

 

 不意にドアが開き向こう側から出てきたのはピンク色のドレスを纏った高坂が。

 

 「せかくん!ちょうど良かった!3人で衣装を見せに行こうって言ってたところなの!」

 

 「は、恥ずかしいです……」

 

 淡い緑と青の衣装を着た南と園田が続いて部屋から出てきた。

 

 「えへへへ〜ねぇねぇせかちゃん!どうかな?」

 

 そう言ってクルリと回って見せる高坂。

 どうかなって俺に聞かれても……語彙力がないとこういう時に困る。

 

 「似合ってると思うぞ。3人共」

 

 「でしょでしょ〜!?」

 

 「嬉しいな〜っ」

 

 「あ、ありがとうございます……///」

 

 俺に褒められた3人は照れながらも喜んでいる。本当はもっと他の褒め方もあったのかもしれないけど、喜んでくれたのならいいか。

 

 「じゃあ穂乃果達は衣装の調整してくるからまた後でね!」

 

 「あぁ。頑張ってこい」

 

 「うん!」

 

 手を振りながら部屋へと戻っていく高坂達。

 さて、ここから本格的にやる事がなくなった。とりあえず席にでも座って時間までボーッとしてるか。

 そう思った俺は座席の所へと足を進める。

 

 

 しかし、俺は少しの違和感を感じた。

 

 この小部屋に向かうまでに座席を通ったが、講堂には俺達以外の人は誰もいなかった。

 

 おかしい。

 スマホの液晶には3時30分と表示されている。ライブまでもう30分しかない。

 

 

 ———なのに、何で俺達以外の人間が講堂にいないんだ?

 

 

 いや、逆にまだ30分あるんだ。まだ時間はある。それに、もしかしたらそろそろ人が来るかもしれない。とりあえず様子を見に行こう。

 

 俺はステージの裏側から舞台へと向かう。

 焦りからか、俺の足は自然と地面を強く蹴っていた。

 

 

 

 「やっぱり誰もいねぇ……」

 

 舞台まで行き、座席を見下ろす。客席に座っている人はいなかった。それどころか講堂には誰1人として観客はいない。

 

 「柊君、ここにいたんだ。これ、結構やばいよ」

 

 俺が舞台の上で立ち尽くしていると、声をかけてくるヒフミの3人。どうやら彼女達もこの異常な事態に気づいているらしい。

 

 「……あぁ。高坂達はこの事を知ってるのか?」

 

 「ううん。知らない。それどころか楽しみにしてた。沢山の人が見に来てくれるんだろうなって……」

 

 「そうか……」

 

 不幸中の幸いとでも言うのか、高坂達はこの事を知らないらしい。

 どうにかして開演までに人を集めねぇと……

 

 「おい、チラシってまだあるか?」

 

 「一応まだ何枚かあるけど……はい、これ」

 

 そしてチラシを何枚か受け取る。

 うん、これだけあればある程度宣伝出来るはずだ。

 

 「サンキュー。じゃあ俺行ってくるわ」

 

 「あ、ちょっと?!行くって何処に!?」

 

 「色んな所回って宣伝してくる!時間までには戻って来るから!」

 

 

 

 

 「何とかして人を集めねぇと…!」

 

 俺はそう呟きながら走り出す。

 

 

 ——タイムリミットは……あと少し

 

 

 

 

 

 

 

 「———と言って来たのはいいけど、どうすりゃいいんだ……」

 

 動かしていた足を止めて俺は悩んでいた。

 チラシを受け取って飛び出してきたはいいものの、何も考えがなかったからだ。

 まずは人通りの多い所を探してそこでチラシを配るしかないのかもしれない。

 

 「とりあえず人が集まってる場所を探さねぇと」

 

 そう言って走り出す

 

 が、

 

 「廊下を走ってはいけないって小学生くらいの時に習わなかった?」

 

 既の所で止められる。

 俺に声をかけた人物は—————

 

 「生徒会長……」

 

 俺の目の前にいる金髪をポニーテールにしている彼女。

 正直、今この人に会いたくなかった。

 

 「こんな所を走り回って何をしているの?」

 

 「……高坂達のライブがもうすぐなんで、最後の宣伝に行くところです」

 

 「へぇ……。他の部活に人が集まっているから、あなた達のライブには余り人が来ないのじゃないかしら?」

 

 会長の質問は俺に強く突き刺さる。

 本当はすぐにでもここを離れて宣伝をしなくてはいけないのに、俺はここを離れる事が出来なかった。

 私の質問に答えなさい。

 会長の目は俺にそう言っていた。

 

 「……当たりですよ。このままじゃ誰もいない中でライブをしなきゃいけなくなるかもしれない」

 

 「やっぱりね。そんな状態で大丈夫なの?」

 

 「……大丈夫です。あいつらはきっとやってくれる」

 

 「その確信はどこから来るの?」

 

 「あいつらは今日まで沢山の努力をしてきたんだ。だから、あいつらならきっと成功させてくれる」

 

 俺は会長の目を見てハッキリと言う。

 あんなにあいつらは頑張ってきたんだ。

 俺には確信があった。

 

 「1つ、いい事を教えてあげる」

 

 「なんです?」

 

 「いくら努力しても、その努力が叶うとは限らないわ。それで悲しむのはあなた達よ」

 

 何かを思い出すかのように静かに言う会長。声の音量こそ小さいものの、彼女の言葉には確かな重みがあった。

 

 会長の言っていることは最もだ。俺だってそんなことは分かってる。

 

 だけど……

 

 「あいつらは絶対に成功させますよ?……それじゃ」

 

 「ちょっと!待ちなさい!話はまだ————」

 

 会長の静止を振り切って俺は走り出す。

 会長の言っていることが間違っていないのは確かだった。でも、俺はどうしても彼女の言っていることに納得することは出来ない。

 

 「ん?」

 

 そして、走り出して少しした所にクラスメイトの集団を見つける。

 

 

 「あ、柊君!穂乃果ちゃん達は一緒じゃないんだね」

 

 「あぁ。別に四六時中一緒にいるわけじゃないからな。今はライブの準備をしてるよ」

 

 「あ〜、その事なんだけどね?……見に行くって言ってたけど、行けそうにないんだ……ごめん!」

 

 「私もなの……」

 

 「ごめん!私も」

 

 

 俺に頭を下げるクラスメイト達。

 こいつらは高坂達のライブを応援してくれていたのに……いや、こいつらにはこいつらの用事があるんだ。来れない事をどうこう言っても仕方が無い。

 

 「そうか……」

 

 そう言えば……今日、斎藤を見かけてない。ライブ当日なんだから声をかけてきてもおかしくない気がするけど……

 

 「そう言えば、今日斎藤見かけたか?」

 

 「ああ、斎藤君?彼、今日休みだよ。風邪ひいちゃったみたい」

 

 「あいつ……あんなに元気だったのに」

 

 俺達を見つけるなり喧しく声をかけてきた斎藤。あんなに元気だったあいつが風邪を引いているなんて想像が出来ない。

 

 4人か……

 

 ここにいるクラスメイト3人と風邪の斎藤を合わせて4人は確実に今日のライブに来れない、というわけだ。

 だが、他にも来てくれると言ってくれたクラスメイトはいたはずだ。焦る必要はない。

 

 「それとね?ライブに行ける人、うちのクラスからは少ないみたい……残念だけど」

 

 「———え?」

 

 「皆今日の新入生歓迎会で色々と忙しいらしいの。だから気を落とさないで」

 

 「まじかよ……」

 

 他の部活に人が集まってしまっている今、俺はクラスメイトの皆が来てくれることに賭けていた。しかし、最後の希望がなくなる。

 

 「……わかった」

 

 くそっ…もう時間がねぇ……

 講堂に向かわないとあいつらのライブに間に合わなくなる。

 俺はもう1度講堂へと向かって走り出す。

 

 

 「くそっ……どいつもこいつも……あいつらのライブは二の次って事かよ……!!」

 

 走りながら呟く。

 本当はしょうがない事なんだ。誰しもが自分の用事を優先する。それは当然の事。

 だけどこの状況下に置かれている俺はそんなことにさえも苛立ちを隠せずにいた。

 

『まもなく講堂にてスクールアイドルμ'sのファーストライブが始まります!ぜひ講堂にお集まりください!』

 

 校内にアナウンスが流れる。これは多分ヒフミ達だろう。

 

 

『いくら努力しても、その努力が叶うとは限らないわ』

 

 

 生徒会長の言葉がチラつく。

 そんな事……絶対にない。

 

 あいつらは、きっと————

 

 

 バンッ!

 

 俺は講堂の重いドアを蹴り開ける

 

 

 「はぁっ……はぁっ……」

 

 膝の上に手をつき肩で息をしながらも、なんとか顔を上げた。

 

 

 そこには

 

 

 

 「うそ……だろ……?」

 

 

 俺の目の前に広がるのは誰もいない静まり返った観客席。

 

 

 そして

 

 

 「せかちゃん……」

 

 

 目に涙を浮かべた3人の姿があった。




閲覧ありがとうございます。

これは上下巻の“上”になっていますので、この後に投稿されているもう一つの方を読んでいただけると光栄です。
では、また次回。よろしくお願いします!

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