ラブライブ!—Story to make together— 作:TokyoのDio
それでは…どうぞ!
講堂でのライブを数10分前に控えた頃。私達は控え室でことりちゃんの作った衣装に袖を通していた。
「穂乃果ちゃん、苦しい所とかない?」
「うん。大丈夫!こ〜んなに可愛い衣装を着て沢山の人達の前で歌って踊れるなんて!穂乃果幸せ!」
ことりちゃんの作った衣装は3つ。薄いピンクの衣装が穂乃果ので緑がことりちゃん、青いのが海未ちゃんのなんだけど……
「海未ちゃ〜ん!いい加減出てきなよぉ〜」
「も、もう少し待ってください!!」
さっきからずっとこの調子。多分もう衣装は着ているんだろうけど、恥ずかしがって一向に試着室から出てきてくれない。
「ど、どうでしょうか……?」
すると恐る恐る試着室から海未ちゃんが出てきた。
「「おお〜っ!」」
薄い水色の衣装を着た海未ちゃんはとても綺麗で……って
「なんで下にジャージ着てるの?!」
「やっぱり恥ずかし過ぎます!!」
顔を真っ赤にしながら言う海未ちゃん。
ワンピースの形をしたこの衣装の下にジャージを着るのは、正直カッコ悪い。
海未ちゃんったら……本当に往生際が悪いんだから……
こうなったら……強硬手段!!
「えぇ〜い!」
「ちょ、穂乃果ぁぁぁ!!!」
私は海未ちゃんの足元へ素早く移動してジャージを脱がした。
すると海未ちゃんの綺麗な脚が姿を現す。
うん。やっぱり海未ちゃんはスタイル抜群だからこっちの方が可愛いよ!
「うぅ……///スカートが…こんなに短いなんて……」
脚を隠そうとしてスカートの裾を必死で引っ張る海未ちゃん。
もう……なんで隠そうとするのかな?穂乃果なんかより全然細くて綺麗なのに!
でも、確かに普段こんな衣装を着ることがないから恥ずかしく感じるのも分からなくはないかな。
でもね?海未ちゃん。
私は海未ちゃんとことりちゃんを連れて大きな鏡の前に立つ。
「こうやって3人で並べば恥ずかしくなんかないよ!」
だって、私達こんなに可愛い衣装を着ているんだもん。恥ずかしがる必要なんて、これっぽっちもない。
「確かに……こうしてみると和らいだ気がします」
「でしょ?」
良かった。海未ちゃんの恥ずかしがり屋さんが少し収まったみたい。
そう言えば、せかちゃんはどこに行ったんだろう。さっきフミコとミカと何か話していたけど……
「ねぇ、せかちゃんはどこにいるのかな?衣装、見てもらおうよ!」
「せかくん、さっき照明に使うコードを持って来るって言ってたよ?そろそろ戻って来てるんじゃないかな?」
「そっか!じゃあせかちゃんのこと探しに行こっ!」
「本当に行くのですか?!」
「うん!」
「ほら、行こう海未ちゃん♪」
「ことりまで?!うぅ……わかりました」
乗り気じゃない海未ちゃんをことりちゃんが説得し、私達はせかちゃんを探しに行くため、控え室のドアを開けた。
するとそこには———
「あ、せかちゃん!」
私達が探していたせかちゃんの姿が。
「うお!びっくりした……」
どうやらせかちゃんは私達の衣装を見にここまで来てくれたみたい。
「せかくん!ちょうど良かった!3人で衣装を見せに行こうって言ってたところなの!」
「は、恥ずかしいです……」
恥ずかしがる海未ちゃん。今は海未ちゃんの気持ちが少し分かるかな。だって男の子のせかちゃんに見られてるって思うとやっぱり少し意識してしまうから。
「えへへへ〜ねぇねぇせかちゃん!どうかな?」
そう言って私はせかちゃんの前で回って見せた。せかちゃん、なんて言ってくれるかな?少しだけ、ドキドキする。
「似合ってると思うぞ。3人共」
「でしょでしょ〜!?」
「嬉しいな〜っ」
「あ、ありがとうございます……///」
柔らかく笑いながら私達の事を「似合ってる」と言ってくれたせかちゃん。とっても嬉しかった。多分、ことりちゃんも海未ちゃんも私と同じ気持ちなんだと思う。
「3人共、最後に調整するからちょっと来て!」
控え室からヒデコに呼び戻される。
ヒデコが衣装の最終調整をしてくれるみたい。
「じゃあ穂乃果達は衣装の調整してくるからまた後でね!」
「あぁ。頑張ってこい」
「うん!」
私達はせかちゃんと手を振って別れた。
「はい、これで調整終わり!動きにくかったりしない?」
「うん!大丈夫!ありがとう!」
「ことりと海未は大丈夫?」
「うん!バッチリ」
「はい。ありがとうございます」
衣装の調整を終えてヒデコにお礼を言う。
それにしても今日はヒデコ達に助けられっぱなしだね……
講堂の準備から衣装の準備まで全部やってもらっちゃったし。
「ヒデコ、今日はありがとう!」
「お礼はまだ早いでしょ?そんなことよりまだ時間があるんだから3人で歌と振り付け確認したら?」
「あ、確かに!」
あはは…怒られちゃった。
ヒデコ達に助けてもらった分、今日のライブを成功させないと!
「じゃあ、私は少し柊君と話したい事があるから外すね」
「分かった!ばいば〜い」
「別に講堂の中にはいるんだけどね……まぁ、いいや」
そう言ってヒデコは控え室から出て行った。
「さて、私達もリハーサルをしましょうか」
「「うん!」」
そして私達はリハーサルを始める。
最高のライブに向けて、時間は刻一刻と迫っていた。
あれから少しした後、私達3人は最後のリハーサルを終えて講堂のステージへと向かっていた。
「もうすぐなんだね」
私は緊張していた。
あれだけ海未ちゃんに言ってたのに私がこんなんだったら海未ちゃんに怒られちゃうよね。
だめだめ。あんまり考えないようにしないと。
全力で楽しまなくちゃ!!
「ふぅ……」
私は一息置いた後、ステージに繋がるドアを開ける。
ことりちゃんと海未ちゃんを連れて階段を駆け上がり私達はステージへと立った。
ドクン…ドクン…
心臓の高鳴りを感じる。
大丈夫。きっと、ううん、絶対に成功する。
『まもなく講堂にてスクールアイドルμ'sのファーストライブが始まります!ぜひ講堂にお集まりください!』
校内に放送が流れる。多分これはミカの声かな。後でお礼を言っておかないと。
「いよいよだね……!」
「うん!」
2人に声をかける。
だけど、海未ちゃんだけ返事が帰ってこない。
あれ?おかしいな
そう思った私は海未ちゃんの方を見る。
「うぅっ……」
海未ちゃんは緊張の余りに震えてしまっていた。
人1倍恥ずかしがり屋さんで、余り人の前に出ようとしない海未ちゃん。きっと、緊張と不安で押し潰されそうになってるんだと思う。
キュッ……
震えてる海未ちゃんの手を、そしてことりちゃんの手を優しく握る。
「穂乃果……」
「大丈夫だよ。海未ちゃん。私達が隣にいる。怖くなんかないよ」
海未ちゃんに微笑みかける。今まで色々な出来事をこの3人で乗り越えてきた。だから…今日もきっと……
「でも……こういう時って何て言えばいいのかな?」
唐突に聞いてくることりちゃん。円陣みたいなものかな?そう言えば、おばあちゃんが何か言ってた気がするけど……
「あ、そうだ!番号を数えるといいって言ってたよ!」
「面白そう!」
「じゃあ、私から行くね……1!」
「2!」
「3!」
……ふふっ
「「「あはははっ!」」」
どこからともなく笑いが漏れる。
あ〜あ。笑ったら色々と吹っ切れちゃった。海未ちゃんもことりちゃんもさっきよりずっといい顔をしている。
うん。これならきっと……!
「μ'sのファーストライブ、最高のライブにしよう!」
「うん!」
「もちろんです!」
ブーッ
ブザーがライブの始まりを告げる。それと同時に舞台の幕が上がり始めた。
きっと、向こうには沢山の人達が————
「———え?」
一瞬、頭の中が真っ白になる。理解しようとしても
私達の目の前に広がっているのは
誰もいない講堂だった。
なんで?こんなの、おかしいよ。
皆、観に来てくれるって言ってたのに。
クラスメイトの皆は?優太君は?せかちゃんは?
皆、ここにはいない。
「あはは……」
乾いた笑いが漏れ出す。
声が震えているのが自分でも分かった。
「そう、だよね……」
「穂乃果……」
「うん!そうだよ!世の中、そんなに甘くないっ」
「穂乃果ちゃん……っ」
そうだよ。会長にも無謀だって言われたじゃない!
だから……気にすることなんて……
「……っ!」
今日まで練習してきた日々の出来事が走馬灯のように蘇る。
いっぱい転んで、いっぱい怒られて、でも、それ以上に笑って。本当に本当に、沢山の人に協力して貰ってここまで来た。
けど、
その結果がこれなんて……
「そんなの……やだよ……」
私達の努力はこんな形で終わっちゃうのかな?それは、絶対に嫌だ。でも、どうすればいいの?
助けて……
助けてよ、せかちゃん。
ここにいない彼の顔を思い浮かべる。
なんだかんだ言いつつも私達の手助けをしてくれた彼。いつもの彼ならきっと今の状況を打開してくれるんだろう。
でも、彼はここにいない。
視界が揺れる。
多分、私の目には涙が溜まっているのだろう。
海未ちゃんもことりちゃんも私と同じだった。2人とも涙が零れないように必死に堪えている。
せかちゃんだけでも、早く来て……
「せかちゃん……」
私は小さく彼の名前を呼ぶ。
こんな事でせかちゃんが来るとは思えなかった。
だけど、運命は意外にも味方をしてくれるらしい。
バンッ!!!
「はぁっ……はぁっ……!!」
●●●●●●●
「うそ……だろ?」
なんだよ……この状況……
あれだけこいつらは練習してきて、皆でチラシを配ったり色々宣伝をしたのに……誰も…誰も来ていないなんて……!!
こいつらの努力は……無駄になっちまったっていうのかよ……!!
『いくら努力しても、その努力が叶うとは限らないわ』
また、生徒会長の言葉がチラつく。
最初は、分かっていたんだ。そんな事。
だけど、俺は、俺達は、いつからかその事を忘れてしまっていた。
いや、努力している自分達に酔っていたのかもしれない。
だけど……こんなのってないだろ……っ!!
「せかちゃん……」
目に涙を溜めながら俺を名前を呼ぶ高坂。南と園田も涙を流すまいと必死に堪えている。
「悪い……さっきチラシを配りに行ったんだけど……だめだった」
床を見つめながら俺は言う。
悔しさが押し寄せてくる。もっと早いうちから俺が宣伝すれば。
もっと……俺が……
「なんでせかちゃんが謝るの?せかちゃんは悪くなんかないよ?」
「高坂……」
俺に微笑みかけてくる高坂。
だけど、無理矢理笑顔を作っているのはバレバレだった。その笑顔は今にも壊れそうで————
「くそ……っ!!!」
拳を固く握り締める。
なんで……なんでこいつらがこんな悲しい顔しなくちゃいけないんだよ……誰よりも努力したこいつらが、なんで!!!
拳から、ヒタヒタと血が滴り落ちる。
痛みなど、感じていなかった。
あいつらの方がよっぽど痛いに決まってる。
「ねぇ、せかちゃん……私達のやってきた事ってさ———」
やめろ。それ以上言うな……それ以上は絶対に……
「無駄、だったのかな?」
絶望
3人から感じられたこの二文字。この状況は、こいつらにとって酷過ぎた。
「ねぇ、せかちゃん……答えて?」
今にも泣き出してしまいそうな高坂
『せかい……』
彼女達の表情が、俺の記憶の中にいるアイツと重なる。
「ふざけんなよ……」
「「「え?」」」
「お前達の努力が無駄になるわけねぇだろうがっ!!」
俺の叫び声が講堂に響く。
「お前達が諦めなければ無駄になんかならねぇよ……だから、そんな顔するなって……!!」
楽しむって言ってたじゃねぇか。だから、そんな悲しい顔をしちゃだめだ。
「でも、ここには誰もいないんだよ?!」
「穂乃果……」
「穂乃果ちゃん……」
訴えかけてくる高坂。
誰もいない……?そんな事はねぇよ。
だって———
「俺が、いるじゃねぇか」
安心しろ高坂。お前達のライブは絶対に成功させる。
「短い間だったけど……お前達の努力は最初から見てきた。俺は……お前達、いや、μ'sの1番目のファンだから。見せてくれよ。お前達のライブ」
俺は笑顔で語りかける。
お前達の、努力の証を俺に見せてくれ。
「でも……」
高坂がそういった時、講堂のドアが開いた。
そこにいたのは———
「はぁ…はぁ…ライブ、終わっちゃいましたかっ……?」
「かよち〜ん!待ってよぉ!!って……え?」
現れたのは園田がチラシを渡した眼鏡の女の子とその友達。
ニヤリと俺は笑う。
やっぱり、こいつらのライブは失敗などしない。
「ほら、言ったろ?無駄にはならないって。さぁ、始めろよ。μ'sのライブを」
「っ……!うん、うん!!やろう!!海未ちゃん!ことりちゃん!!」
「はい!」
「うん!」
高坂が園田と南に声をかけた時、会場は暗転する。そして、“μ's”にスポットライトが当てられた。
「聴いてください。私達、μ'sの始まりの歌」
『 START:DASH!! 』
悲しげなイントロのメロディが流れる。
だけど————
悲しみだけでは終わらせない。
そして、こいつらは走り続ける。
これは、μ'sのはじまりの歌。
——— I say ———–
Hey、hey、hey、START:DASH!!
3人の女神は歌い出す。
歌も終盤に入りμ'sのライブが終を迎え始めた頃。高坂達3人の体力が限界を迎えているのがハッキリと分かった。疲れとミスが目立ち始める。
しかし
彼女達が笑顔を絶やすことはなかった。
ふと、あたりを見回す。
俺は、講堂の入口でこっそりとライブを覗いている西木野さんを見つける。いや、西木野さんだけじゃない。俺がチラシを渡そうとしたツインテールの先輩もいた。
「——ははっ…やっぱりな。……お前達の努力は無駄になんかなってなかったよ」
最初から無駄になんてなってなかったんだ。
こいつらならきっと……廃校をどうにか出来るかもしれない。
高坂達3人は夢へと確実に進んでいた。
『Hey!hey!hey!START:DASH!! 』
彼女達の歌、START:DASH!!を歌い終わる。
俺は彼女達に賞賛の拍手を送った。
パチパチパチ
俺の拍手に続いて拍手が起こる。それは小さいけど、とても温かくて。
「今日は…来てくれてありがとうございました!!」
「「ありがとうございました!!」」
最後に俺達に向かって一礼する高坂達。
顔を上げた時、彼女達の目には涙が溜まっていた。けれど、その涙は悲しみから来るものではない。3人の表情からは、嬉しさと感動が伝わってくる。
コツコツコツ……
不意に、後ろから誰かの足音が聞こえてくる。振り向くと、そこにいたのは———
「生徒会長……」
生徒会長は後ろで結いた金髪の髪を揺らしながら近づいてくる。
「あれだけ大口を叩いてこの結果?ふっ……笑わせるわね」
階段から俺達を見下ろす様に言う会長。
「この結果を踏まえて、あなた達はこれからどうするの?」
「続けます!」
鋭い目つきで問い掛けてきた会長に対して、高坂は即答する。
「何故?これ以上続けても意味があるとは思えないけど」
あたりを見回しながら会長は言った。多分、この静かな講堂のことを言っているのだろう。だけど、そんな事は高坂達にとって関係のない事だった。
「やりたいからです!」
「……」
「今、私はもっともっと歌いたい!踊りたい!って思ってます。多分、それは海未ちゃんとことりちゃんも。こんな気持ち、初めてなんです!やってよかったって本気で思えたんだです!!今は…この気持ちを信じたい。このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない。応援なんて、全然貰えないかもしれない……でも、一生懸命頑張って、私達がとにかく頑張って届けたい…!!今、私達がここにいる、この思いをっ!!!」
もしかしたら、会長には思いが届かないもしれない。
けれど、高坂は必死に訴えかけた。
「いつか…いつか必ず……
ここを満席にして見せます!!!!」
あぁ。きっと——いや、絶対にできるさ。お前達なら。
お前達なら……必ず……
「大きく出たわね……。だけど、そんなの不可能よ。それに、あなた達の目標は廃校を阻止する事でしょ?今の状況を見たらそんな事、言えないと思うのだけど?」
「確かに、無理かもな。」
「だったら———」
「
「っ!!」
「でも…まだ、時間はある」
この時。俺の中で明確な変化を感じる。
最初は高坂に対する、ただの興味からだったんだ。だけど、今は違う。こいつらを……助けたい。
『せかちゃん……』
高坂達の悲しい顔がよぎる。
もう……あんな顔を見たくないんだ。
「俺が、こいつらを全力でサポートする。それで……こいつらをNo.1のスクールアイドルにしてみせる!!廃校も、何もかも解決してみせるさ!!!!」
あいつらの……笑顔を守るために。
「……そう。もういいわ。それじゃあ」
これ以上は言っても意味が無いと感じたのか、会長は講堂から出て行った。
俺は階段を降りて3人の元へと向かう。
「あはは……また、言い過ぎちまったかな……?あ、ライブ良かったよ。……とっても」
照れを隠すために頬を掻きながら俺は言う。さっき言った事の恥ずかしさが今になって押し寄せてくる。
だが、高坂達は何故か返事を返してくれなかった。
「おい……?」
不思議に思った俺は3人に近づく。
すると、高坂達はいきなり俺に抱きついてきた。
「うぉっ?!いきなりなんだよ!」
いきなりの衝撃によろめく俺。危うく倒れそうになる。
「せかちゃん!」
「せかくん!」
「柊君!」
「「「ありがとう!!(ございます!!)」」」
こうして音ノ木坂学院スクールアイドルμ'sのファーストライブは最高の形で幕を閉じた。
閲覧ありがとうございました。
投稿が遅れてしまって申し訳ございません!!
本文が長くなってしまったのでここでは多く語りません!!ただ一つだけ、
頑張りました!!!(笑)
次回もよろしくお願いします!
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