ラブライブ!—Story to make together— 作:TokyoのDio
更新遅れてしまって申し訳ございません。
今回も、前回と同様、花陽ちゃん回です。前回の話を読んでいただいてる方なら今回の回は予想がついてしまいますかね?(苦笑)
さて、一応今回で花陽ちゃん回はラストだと思います。
楽しんで読んでいただければ光栄です。
それでは…どうぞ!
凛ちゃんと話した後、私は西木野さんと、西木野さんを探す柊先輩を探していました。
外を見るともう火が暮れています。
「もうこんな時間……西木野さん、帰ってないといいけど……」
本当なら部活動をやっている人でも、もう帰宅を始めているような時間。もしかしたら西木野さんはもう帰ってしまっているかもしれません。
「とりあえず柊先輩を見つけないと……!」
私は廊下を走りだします。
そして突き当たりを曲がろうとしたその時
「わぁっ……!?」
「おわぁっ?!」
私は出会い頭で男の人とぶつかってしまいました。
「大丈夫ですか?!」
ぶつかってしまったお相手の人に声をかける。どうしよう……こんな所で時間を使っている場合じゃないのに……
私がぶつかってしまった人は、いたた……とぶつけたお尻をさすりながら顔をあげました。
「あ〜うん。大丈夫。めっちゃケツ痛いけど……
って小泉さん!」
「あっ!柊先輩!」
そこにいたのは私が探していた柊先輩でした。
あれ?でも、西木野さんは……?
「先輩、西木野さんは見つかりましたか?」
「それがな……全然見つからねぇんだよ……」
どうやら先輩はまだ西木野さんを見つけられていないみたい。
う〜ん……やっぱり、西木野さん帰っちゃったのかな……?
西木野さんのいそうな場所って言ったら音楽室ぐらいしか思いつかないんだけど……
「音楽室は探しましたよね?」
「音楽室?…………忘れてたぁぁぁ!!」
先輩は、やっちまった!!と頭を抱えながら言いました。
「と、とりあえず早く音楽室へ行こう!!」
「は、はい!」
そうして私達は音楽室へと走り出します。
西木野さん……待っててね……!!
「はぁっ…はぁっ……着いた……」
「は、はひぃ……疲れたぁ……」
やっとの思いでたどり着いた音楽室。私は膝に手をついて上がった息を整えます。先輩もさっき走り回ったせいで息を切らし、肩を上下させていました。
「よし…入ろうか」
扉に付けられたガラスは磨りガラスで中の様子を確認する事はできません。
ここにいなかったらどうしよう……
そんなことが頭をよぎります。でも、今はそんな事を考える場合じゃありません。一刻も早く西木野さんを見つけないと……!
「はい……!」
私が返事をすると同時に先輩は教室の扉に手をかけます。
そして間髪入れずに扉を開け放ちました。
「っ!…先輩…?それに小泉さんまで……?」
「よかった……まだ帰ってなかったんだな……」
「西木野さん……やっぱりここに……」
教室の中にいたのは赤い髪をした女の子が。まさしく私達の探していた西木野さんでした。
「……何の用ですか?」
西木野さんはいかにも煩わしそうな顔をして私達に尋ねてきました。
その表情はまるで、これ以上私に構わないで欲しいとでも言っているかのようで———
「まぁ、そんな顔しないでさ?少しだけ、俺達と話そうよ」
柊先輩はそんな西木野さんに柔らかい笑顔を向けました。
でも、その笑顔からは有無を言わせない強い意思……ううん、威圧のようなものが感じられます。
「……分かりましたよ」
西木野さんもそれを感じ取ったようで諦めたように了承しました。
「よかった。これで帰るって言われたらどうしようかと思ったよ……」
先輩は一息ついて安心したように笑いました。でも、多分先輩はこうなる事を確信していたのだと思う。
この時、少しだけ柊先輩に対して怖い、という感情が芽生えました。
けど、気づいた時にはもう、先輩の表情からは威圧が消えていました。
「じゃ、とりあえず小泉さんから言いたい事、どうぞ」
「へ?」
私が西木野さんに言いたいこと……?
「ほら、さっきの事を思い出しなよ。君の背中を押してくれた人はだれ?」
さっき……私の背中を押してくれた人。それは————
「——あっ!」
あと一歩の所で足踏みしていた私の背中を押してくれたのは凛ちゃんと今、私達の前にいる西木野さん。
2人は私に勇気を与えてくれた。
西木野さんにも、しっかりとお礼を言わなきゃ。
「西木野さん。私に勇気をくれてありがとうっ…!!」
私は西木野さんへ笑顔を向ける。
すると西木野さんは照れてしまったのか顔を赤くしてしまいました。
「べっ別に……私はキッカケを作っただけで……最終的にはあなたが……!」
「そのキッカケが私にとってはとっても大切なものだったんだよ?だから、ありがとう」
あの時、凛ちゃんと西木野さんが作ってくれたキッカケは私にとって大切なもの。あれが無かったら私は今も足踏みしたままかもしれないと思うと、お礼を言わずにはいられませんでした。
「まぁ、あなたがそう言うのなら……素直にお礼を受け取っておくわね」
「うんっ!」
「———で?それだけを言いに来たわけじゃないでしょ?そろそろ本題に入って欲しいのだけど」
「そんなに急ぐなって。今どうやって言おうか考えてる最中だから」
「私、回りくどいのは好きじゃないから」
「……じゃあ、単刀直入に言うぞ?
西木野さん、μ'sに入ってくれ」
「へっ?」
確かに回りくどい言い回しが嫌いって言ってたけど……先輩、それはやりすぎなんじゃ……西木野さんもびっくりして変な声が出ちゃってましたし……
「そ、そんないきなり言っちゃうんですか……?」
「え、だって回りくどいの嫌だって言ってたじゃんか」
「そ、そうですけど……」
先輩は何とも思っていないみたい。でも、私はあんまり良くないと思うんだけどなぁ……
「ちょ、ちょっと待って!!さっき言ったじゃない!私はやらないって!」
ほら……やっぱり……
西木野さんは少し怒ったように声を大にして柊先輩に言った。
けれど柊先輩はそんな事、全く気にしていないみたい。
「まぁまぁ、そう怒るなって。西木野さんだって音楽は嫌いじゃないんだろ?」
「それとこれとは関係ありません!」
「大有りだよ」
「音楽が好きだからって私はアイドルになんてなりませんよ!他を当たってください!」
「……勿体ないって思わないのか?」
「……どういうことですか?」
先輩は意味深な事を言いました。
西木野さんは柊先輩が言った事の意味がイマイチ掴めていないみたいです。それに……私も先輩の言っていることがよく分かりません。
「西木野さん、高坂達のライブ見に来てくれてたよな?」
「あ、あれは通りかかっただけで……!決してそんな事は……!」
「それ、見ましたって言ってるのと同じだから……」
「ち、ちがっ……!」
「まぁいいや。あのライブ、誰かがインターネット上に動画をアップしてくれたんだ」
顔を真っ赤にする西木野さんを他所に柊先輩は続けた。
確か、高坂先輩のお家で見させてもらった動画だよね?たしか……投稿されてまだそんなに日がたっていないのに凄い再生回数だった気がする。
「……それがどうかしたんですか?」
「まぁいいから聞いて。その動画、凄い伸びを見せてるんだよ。あ、好評ってことね。で、色々とコメントを書いてくれる人がいるんだ。可愛い!とかこの振り付け凄い!とか」
確かに、あの後私の家に帰った後でもう一度動画を確認してみると多いのは再生回数だけではありませんでした。高坂先輩達へのコメントやメッセージが数百件も書いてあったんです。
「その中にな?西木野さんが作ってくれた曲がとっても良いっていうコメントがあったんだよ。それも1つじゃない、沢山」
「私の歌が……」
「そう、君の歌が。あの講堂にいた数人だけじゃない。動画を見てくれた何百何千っていう人が君の歌を素晴らしいって言ってくれてるんだ。作曲をしてくれた君にとってこんな嬉しい話しはないだろ?」
「……ええ」
「君は、もっと沢山の人に自分の歌を聴いて欲しいって思わないのか?」
「っ!…別に…そんな事、ない…です」
「それに、自分の作った曲を皆で歌って、皆で踊るのは結構楽しいと思うぞ?こんな機会滅多にないと思う。……俺は君にこのチャンスを逃して欲しくないから言っているんだけど……それでもやりたくない……?」
「……」
柊先輩はゆっくりとした口調で西木野さんを説得しました。
それを聞いた西木野さんは口を瞑って黙り込んでしまいました。
本当は……西木野さんだって、きっと……
「……やっぱりできません」
西木野さんは俯きながらそう言った。
「……なんで、ですか?」
堪らず私は西木野さんに聞き返した。
なんで西木野さんはここまで頑なに先輩達の誘いを断るのか。それが私には分からなかった。
西木野さんは、キレイで歌も上手。断る理由が見つからない。
それなのに、どうして……
「前にも言ったけど、私の音楽は終わっているのよ」
西木野さんはハッキリと言いました。でも、その表情はどこか悲しげで……
私はその表情に見覚えがありました。
『私の音楽は、もう終わってしまっているから』
あれは、西木野さんのお家へ彼女の生徒手帳を渡しに行った時の事、
西木野さんはさっきと同じ様に悲しげに笑ってそう言ったんです。
諦めと自嘲をのようなものを含んだその笑みには西木野さんの色々な感情が入り混じているんだと思います。けれど、私は西木野さんの心の中に踏み込むことを躊躇いました。
あの日、私はその真意を確かめることなく西木野さんのお家を後にしてしまったんです。
「終わっている……?君の音楽が?」
柊先輩は眉を潜めて、意味がわからないというふうに聞き返しました。
「……私の家は病院を経営してるんです。小泉さんは知っているわよね?」
「はい……西木野総合病院、ですよね?」
「っ?!西木野総合病院……?!」
私が言ったことを聴いて何故か動揺する先輩。
あの病院の事を知っているのかな……?
「……なぜその名前が…………まさか……でも、そんな事は…………」
「……先輩?」
「———えっ?あぁ、ごめん!続けて」
「……?はい。小泉さんの言う通り、私の両親は病院を経営しているんです。そして、あの病院は私立の病院、おまけに私は西木野家の一人娘。つまり————」
「君が病院を継ぐってことか。それで、アイドルなんてやっている暇なんてない、と」
「そういう事です」
「西木野さんが……あの病院を……?」
「そ。これは私が小さい時から決まってたことなの。……それで、医者になるためにアイドルなんてやってる暇はないってわけ」
それを聴いてやっと今までの西木野さんの言動に納得がいった。
でも、西木野さんは「決まってたこと」って言ってたけど……本当にそれで納得しているのかな?少なくとも私にはそう思えません。
「……ねぇ、西木野さんは……それでいいの?」
「どういう意味?いいもなにも決まってる事なんだから。それに嫌々やるわけじゃないのよ?私は将来医者になりたいって本気で思ってるの」
まただ……西木野さんはまた、
「じゃあ、なんでそんなに悲しそうな顔をしているの……?」
「っ!……別にそんな事……!」
「本当は、まだ音楽を続けたいんじゃないの?」
「違う!!」
「じゃあ、なんであんなに楽しそうにピアノを弾いて歌を歌っていたの?なんでμ'sの作曲を引き受けたの?」
「それは……」
言葉に詰まったのか黙ってしまう西木野さん。
やっぱり、西木野さんは音楽を続けたいんだ。
「……怖いんだろ?将来、失敗するのが。
失敗して、あの時こうしてればって後悔するのが……!」
「……っ!!……なによ……それの何が悪いの?!私がどんな気持ちでいるのかも知らないで!!勝手に物を言わないで!!」
西木野さんは声を荒らげて先輩に言った。
「西木野さん……」
西木野さんの目からは一筋の涙が。
「あなた達の言う通りよ。本当は……音楽を続けたい。ピアノを弾きたい。作曲だってしたい。それに、歌っていたいの。でも、怖いのよ。音楽を続けて、失敗してしまう未来が怖い……!!だから、私は……」
西木野さんは涙を拭ってゆっくりと教室の出口へと向かった。
そして、扉の前で振り向き———
「先輩、それに小泉さん。ありがとう。でも……私にはできない」
私達に向かって
私は教室から出ようとする西木野さんに何も言えなかった。
あぁ。やっぱり私には無理だったんだ。こんな私が誰かに手を差しのべるなんて……やっぱり……
「逃げんのかよ!!」
だけど、柊先輩は諦めていなかった。
先輩は、教室を出ていこうとする西木野さんの腕を掴んで言いました。
「そうやって、君は自分の本当にやりたいことから目を逸らして逃げてるんだ!!逃げて逃げて逃げて逃げて!!自分に嘘をついているだけなんだよ!!」
「っ!!」
きっと……西木野さんも凛ちゃんも私も、皆一緒だったんです。自分の心に背中を向けて、自分の気持ちに嘘をついていました。やれないって、できないって自分に言い聞かせて、そう思うようにしていたんです。
でも、本当は、やりたくて、やりたくてしょうがないんです。私には分かります。
だから……
「西木野さん。先輩の言う通りだよ。自分に嘘をついちゃだめ。やりたいこと、やろう?」
「でもっ……!」
「君の夢だって諦める必要はないさ。意地でも両立させてみせろよ。それなら君の親御さんだって納得してくれるだろ?それに……俺が言うのもなんだけど、こんなチャンス滅多にないぜ?君の歌が必要なんだ」
そして、先輩は西木野さんに手を差し伸べた。
「さぁ、西木野さん。どうする?」
「西木野さん……!」
「私は………………」
西木野さんは差し伸べられた手を握った。
「ホンットに……しつこい人達なんだから……」
「西木野さん……ありがとう……!」
先輩は安心したように笑いました。
「うぅ……!西木野さんっ……!」
それを見たら自然と涙が溢れてきました。
西木野さんがアイドルをやってくれるって事が嬉しくて……嬉しくて。
「なーに泣いてんのよ。まだ正式に加入したわけじゃないんだから。まだ早いでしょ?」
「で、でもぉ……」
涙を拭う私をみて呆れたような顔をしている西木野さん。でも、西木野さんの頬には涙が伝っていました。
「さて、じゃあ星空さんも待ってるわけだし、高坂達の所へ行こうか!!」
そうして私達3人は屋上へと向かうことになりました。
「小泉さん。…………ありがと」
「へ?西木野さん、何か言った?」
「な、何でもないわよ!ほら、行くわよ!!」
「わ、わっ!ちょ、ちょっと待ってぇ〜!!」
そうしてその日、μ'sは『6人の女神』となり、新しいスタートを切りました。
いかがでしたでしょうか
さてさて、今回で一年生加入回は終わりです。どうしでしたかね?作者の私は、ここまで書いてまだ一年生組だけかよ……と少しだけ絶望しました。(笑)あ、でも書いててとても楽しかったんですよ?嘘じゃないです。でも、少しだけ時間をかけすぎてしまいましたね。もっと精進しなければ!!
お気に入り登録、評価、感想、お待ちしてます!!
していただけると作者は泣いて喜びます!(笑)
是非、アドバイス等頂きたいです。よろしくお願いします!
さて、次回は日常回になります。お楽しみに!
それではまた次の更新で。さようなら!