ラブライブ!—Story to make together— 作:TokyoのDio
さてさて、今回はタイトル通り世界君のお目覚め回です。
日常から一転、災難に巻き込まれた世界の元にまたもや不穏な影が……?
それでは…どうぞ!
「———!——!」
「——っ!——!」
まどろみの中、何かの叫び声が聴こえた。いや、誰かを呼んでいるのかもしれない。
そんな叫び声が聴こえる中で俺は眠っていた。
いや、まて。なんで俺は眠っているんだ……?
————ちゃん—!
——か——ちゃん—!
そして、そのどこからか聞こえてくる声はだんだんと鮮明に聴こえるようになってくる。
そうだ。俺は星空を追いかけていたんだ。そしたら、俺の足元にボールが転がってきて———
「せかちゃん!!起きて!!!」
俺はその声で目を覚ました。
「…う……ん」
目を覚ますと、視線の先に広がるのは見覚えの無い天井が。それに加えて、俺は見知らぬベッドで横になっていた。
「起きた!せかちゃんが目を覚ましたよ!!」
ベッドの隣には目に涙を浮かべた高坂が。
「ホントですか?!よかった……!」
「せかくん!」
「柊先輩……!」
「よ、よかったにゃ〜……」
「全く……心配させないでよ」
高坂だけじゃない。μ'sのメンバー達が心配そうな表情をしてベッドを囲んでいる。
「……ここは?」
「ここは保健室ですよ」
なるほど。どおりでアルコール臭いわけだ。
となるとボールにつまづいて頭を打った後にここへ連れて来られたってことか。
「運んでくるの大変だったんだから。感謝しなさいよ?」
「でも、1番率先してたのは真姫ちゃんだにゃー」
「そ、そんな事……!っていうか、先輩が目を覚ましたんだし、先生を呼びに行った方がいいんじゃないの?」
星空にからかわれた西木野は動揺したのを隠すように話を変える。そういえばここは俺達しかいないな。でも、先生とかきたら病院とかに行かされるんじゃねーか……?もう大丈夫なんだけど……
「もう大丈夫だぞ?」
「だめです!頭を打ったのですから一応先生に診てもらわないと!」
「そうだよ!せかちゃん!ほら、皆も行こ!」
「「「「はーい」」」」
「あ、おい……って行きやがった」
あいつらは俺の話を聞こうとはせずに先生を探しにどこかへ行ってしまった。
ホントに大丈夫なんだけどな……
まぁ、大人しくしておくか。
そうして俺は起こした体を再びベッドに預ける。
「それにしても……なんであんな所にボールが……」
俺がつまづいてしまったボール。
普段、こんな所にボールは落っこちているはずない。ボールを使うような運動部は体育館やグラウンドでしか活動をしていないから明らかにおかしいんだ。
それに、気絶する直前、逃げるようにあの場から去ったツインテール。
俺は、あのツインテールに見覚えがあった。
「矢澤にこ……」
何度か話した事のあるあの先輩。確か、彼女は長い黒髪をツインテールにしていたはずだ。疑っているわけじゃないけど、俺が知っているなかでツインテールをしているのは彼女しかいない。
「ま、別に怒ってるわけじゃないし、つまずいた俺が悪いか」
そもそも、犯人が本当にツインテールをしているかは分からないんだ。もしかしたら、たまたまあの場に居合わせただけなのかもしれない。それに体は大丈夫そうだし。とりあえず、今は先生を探しに行った高坂達を待とう。
そう思ったんだ。
「ん?」
俺は少しだけ開いた保健室の入口から誰かがこちらを覗いているのを見つけた。
「なんだ……?」
しかし、俺が見ていることに気づいたのか、すぐに姿を隠してしまった。
「……?」
不思議に思った俺はベッドから体を起こし、保健室の扉の元まで歩く。
そして、保健室の扉を勢いよく開けた。
すると
「にこぉっ?!」
1人の少女が転がり込んできた。
「いったーい!」
少女は涙目になりながら床にぶつけたおでこをさすっている。
「…何してんだよ。矢澤……」
そう。この「にこぉっ?!」とか変な声を上げたのはさっき言ってた先輩、矢澤にこだ。そして、今日も相変わらず彼女は持ち前の黒髪をツインテールに結っている。
……やっぱり、似ているんだよなぁ。
「また呼び捨てにしたわね?!何度も言うけどにこは先輩なのよ!!」
「あ〜!分かった分かった。そんな事はどうでも良くてだな……」
「ど、どうでもいいですってぇ!?」
「あぁ。こんな所で何してたんだよ」
「っ!……べ、別に何もしてないわ」
俺が質問をすると急に威勢がなくなる。
ふ〜ん。まぁいいや、続けよう。
「つーかよ、覗いてたよな?」
「の、覗いてなんかないわよ!!」
「じゃあ何してたんだよ……」
「……誰かが保健室に運ばれるのを見かけて、チラッと見てみたらアンタだったのよ」
なるほど。結局は見てたって事か。
この先輩は隠すつもりがあるのかないのか……
「いやぁ、何故かボールが転がってきてさ?それにつまづいて頭打っちまったんだよ」
「……ただのドジじゃない」
「うっ……!否定出来ない……!まぁ、それは置いといて、だ。俺、犯人っぽいやつを見たんだよ」
「……ふーん。どんな人よ」
「黒髪のツインテール」
「へ、へぇ!」
……明らかに動揺している先輩。
その動揺の仕方は「私が犯人です」って言っているようなもんだぞ……。いや、まだ犯人って決めつけちゃダメだ。これっていう証拠がないからな。
「だ、大体ね!鬼ごっこして走り回ってたアンタが悪いんじゃないの!?」
前言撤回。たった今、決定的な証拠が見つかった。
「な、なによ」
「俺、そんな事一言も言ってないのに……なんであんたが知ってるんだよ」
「ギクッ!!そ、それは……」
もう完全に目が泳いでしまっている。
もうこれは絶対にこいつだ。
「あーもう!そうよ!私がボールを転がしたのよ!何か悪い?!」
「開き直るのかよ?!」
呆れた。謝るのかと思ったら開き直るのか。なんかもう清々しく思えてくる。
……つーか、何であんなことしたんだよ。俺からしてみればそっちの方が気になるな。
「なんであんな事したんだよ。間違えてやったわけじゃないんだろ?」
「それは…っ………
邪魔、なのよ。アンタ達……」
「———は?」
邪魔……?俺達が?それは一体……
「どういう意味だよ……!」
「そのままよ。私にとってアンタ達がやっている事は邪魔なの」
多分、この人が言っているのはμ'sのことだ。
でも……あいつらが何か迷惑をかけたのか?いや、そんな事はしていないはずだ。
だったら何故……
「言ってる意味が分かんねぇよ!俺らがアンタに迷惑をかけたのか?」
声を荒らげる。理由も分からず邪魔だと言われて腹が立った。でも、本当に迷惑をかけてしまっていたのなら謝らなくちゃいけない。あいつらの敵を作るのは良くないから。
「……アンタには分からないわよ。それに、分かって欲しくもないから。それじゃあ、私は行くわね」
これ以上踏み込んでくるな。彼女の目はそう言っていた。
そうして保健室から離れて行こうとする。
だけど、そんなんじゃ俺も納得がいかない。
俺はどこかへと行こうとする先輩の腕を掴んだ。
「なによ。ウザイんだけど」
「ウザイ、か。それは俺に向けた言葉か?それとも……
「……アンタに向けてよ」
「そっか。それなら良かった。だけど、今度あいつらの事を邪魔って言ってみろ。
……俺、キレるぞ?」
「っ……!」
先輩を睨みつけ威圧する。先輩なりの理由があるにしても、頑張っている彼女達の悪口を言われるのは腹が立つ。何も知らないこの先輩にこれ以上あーだこーだ言われるのも癪だから釘を刺しておいた。
「まぁいいわ。……にこも暇じゃないからもう行くわね」
そう言って今度こそ彼女はこの場から去って行った。
そして俺はまたポツンと保健室に1人取り残されていた。
……邪魔、か。
俺達は良かれと思ってこの活動をしているわけなんだけど、中には俺達の活動をよく思わない人もいるのかもしれない。
さっきの矢澤先輩だったり———
「生徒会長も、か……」
確かに、多くの人に応援されている訳では無いって事は分かっていた。でも、俺達が思っていたより敵も多いのかもしれない。
「難しいもんだなぁ……」
「あ、せかちゃん!」
「お、戻って来たか」
考えていると丁度よく先生を探しに行った高坂達が戻ってきた。
やっと先生を連れてきたのか……
いや、そう思ったが違った。先生だけではない。何故か、副会長まで連れてきている。
「久しぶりやな柊くん。あんまり動いたらあかんとちゃう?」
「東條先輩……?」
先輩は心配そうに俺を見ている。
何で、彼女がここに……?
「そうですよ!安静にしてください!」
「あぁ、うん。分かったけど……何で先輩がここにいるんだ?」
「あぁ、この子らが君を運んできた時、ここの担当の先生がいなかったんよ。それで副会長のウチが代わりに許可したんや。で、キミが目覚めたって言うから気になって先生と一緒に来たってわけ」
「……なるほど」
副会長になるとそんな事ができるわけか。
……色々とお得なことがありそうだな。
まぁ、そんな事は置いといて。さっさと先生に診てもらおう。
「で…柊君、具合悪かったりしない?」
担当の先生が尋ねてくる。
大した異常は特にない。さっき立ち歩いて会話もしたくらいだし。
「ん〜そうっすねぇ……まだちっと頭痛いけどそれ以外には……」
「そう……ちょっと失礼」
そう言った先生は俺の額に手を当てる。多分、熱があるかを調べているのだろう。
もう少し若い先生だったらなぁ〜……こんなシチュエーション最高なんだろうけど。ちょっと歳食ってるからなぁ……
「……失礼な事考えてたでしょ」
「……!!いえいえ!全く!」
「あらそう。ならいいんだけど」
あっぶねぇ……危うく感づかれるところだった。あんまり変な事は考えないでおこう。
「とりあえず大丈夫そうだから今日は安静にしておいて。それで、何か変だと思ったらすぐに病院へ行くこと。いいわね?」
「あ、はい。ありがとうございます」
「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」
〜〜〜〜
最終下校時刻に近づき、部活動をやっている生徒も帰宅を始めている頃、俺達はやっと帰る支度を始めていた。
「いや〜迷惑かけてごめんな〜?」
心配をさせてしまった事、そしてこんなに時間が遅くなってしまった事を詫びる。
そんなに大したことじゃない。そう思っていた。だが、あちら側はそうじゃないみたいだ。
「軽いにゃあ!心配したんですよ!!」
「そうです!これからはもっと周りを見てください!」
プンプンと音が出そうなくらいに怒る星空と園田。2人だけではなく他の4人も不満げだった。
「今のは流石に柊くんが悪いなぁ。皆、キミの事が大好きやから心配してたんやで?」
「「「「「「ち、違います!」」」」」」
東條先輩は彼女達をからかうかのように言った後、にししと笑う。
「ごめんごめん。でも、ホントに心配してたんやで?だから、しっかりとお礼言っとき?」
「……そうっすね。皆、ありがとな!」
そうして俺は彼女達6人に礼を言った。
彼女達もそれで満足してくれたみたいだ。
「よ〜っし!せかちゃんも元気になったし、帰ろっか!」
高坂は腕を掲げてそう言った。
校舎から出ようとする彼女達に俺も続く。
「あ、柊くん。ちょっとええ?」
「はい?」
しかし、東條先輩に引き止められた。
「さっき、誰かと話してなかった?」
「え?あぁはい。3年生の矢澤っていう人と……」
「……!にこっちと……」
「何かありましたか?」
「ううん!何でもないんよ!引き止めてごめんな?」
「……?じゃあ、俺らは帰るんで」
その会話を最後に、俺は校門で待っている高坂達の元へ向かう。
「ほなな〜!」
先輩は笑顔で手を振って俺達を送り出してくれた。
……矢澤にこ、か。
また一つ、俺達の前に壁が立ち塞がった。
俺達の事を邪魔だと言う彼女。
果たして、俺達はこの壁を乗り越えることができるのか。いや、「できるのか」じゃなくて「やるしかない」のか。だが、そのやり方も、何もかも、俺達はまだなにも分かっていなかった。
ただ1人だけを除いて
「ついに、にこっちと……柊くん。にこっちを救うには同じ志を持ったキミ達しかいないんよ。…………キミ達はどうする?」
東條先輩は誰にも聞こえないようにそう呟いた。
まるで、全てを知っているかのように。
いかがでしたでしょうか?
今回もまた投稿期間が空いてしまいましたね……本当に申し訳ないです。少し忙しくなってしまっているので当分はこのペースが続いてしまいそうです。それでも、お気に入り数が増えている事に私は感激しています!(泣)
さて、今回は世界君が目覚めたわけなのですが、一難去ってまた一難。またまた何かが起きそうな予感が……!
ホント、世界君って厄病神なんですかね?(笑)
次回もご期待いただけると嬉しいです!
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作者のモチベーションに繋がりますし、なにより、していただけるととても嬉しいです!よろしくお願いします!
それではまた次回!ありがとうございました!