ラブライブ!—Story to make together— 作:TokyoのDio
さてさて、今回のタイトルでピン!と来る読者の方もいらっしゃるのではないでしょうか!
今回は私の推しでもある、とても可愛いあの大先輩が大活躍します!
そして、今回は少しだけですが小説の書き方を変えてみました。
それでは…どうぞ!
雨上がりの放課後、俺は偶然矢澤先輩と出会い、ひょんなことからアイドルについて教わる事になった。
俺の手を引く矢澤先輩はついて来なさい!と言ったっきりどこへ行くのかを言わずにズンズンと歩いて行く。かれこれもう結構な距離を歩いていると思う。
「なぁ、あんた…どこまで連れてくつもりだよ」
「あのねぇ…!さっきからずっとそうだけど、にこの方が年上なのよ!!」
「あぁ…はいはい。矢澤先輩、これからどこに行くんですか?」
「ふふん!それでいいのよそれで!……これから行くのはアイドルショップよ!アイドルを知ると言ったらそこしかないわ!」
アイドルショップ
名前だけなら知っている。前に小泉が話していたのを聞いたことがあった。確か……アイドルのグッズとかを売ってるお店だったはずだ。
「このにこにーに教えて貰えるんだから感謝するのね!」
無い胸を張りながらフフンと得意気にそう言い放った矢澤先輩。
「うわ……」
この人、俺より年上だよな……?高3にもなって自分のこと“にこにー”とか言うのかよ……めっちゃくちゃイタい人じゃねぇか……
「なによ!!その反応は!!」
「いや……先輩、イタいッスよ……?」
「ぬぁんですってぇ?!あんた、正気?!」
「いやいや…おかしいのはあんただって……」
ブチッ!
俺がそういった瞬間、矢澤先輩から出てはいけないような音が鳴った。
恐る恐る先輩の顔を見みると———
「あんた…この私を怒らせたわねぇ?!」
やっべ……完全にブチ切れてるわ……
先輩は眉をピクつかせて、握った拳をプルプルと震わせていた。
「あったまきた!!アイドルっていうのが何たるかをイヤって言うほど叩きこんでやるわ!!来なさい!!!」
そう言った先輩は俺の腕を掴む。
この瞬間俺は確信した。
また、引きずり回されるんだろうなぁ……と。
まぁ、その予想は案の定間違っていなくて———
「もうやだぁぁぁぁぁ!!!」
俺は小さい先輩に引きずり回されながら悲痛な叫びを上げるのだった。
□■□■□■
今、俺と矢澤先輩がいるのは秋葉原の電気街。学校からここまではそこそこの距離があるけど、あっという間に感じた。
……まぁ引きずり回されてたんだからそう感じて当たり前か。
電気街に着き、数分歩いた所で矢澤先輩は立ち止まった。
「着いたわ。ここがアイドルショップよ」
先輩が指した方を見る。
そこにはいかにも“アイドル”と言った感じのピンク色の店があった。先輩はこの店に入ろうとしている。
何かこういう店に入るのって小っ恥ずかしいから嫌なんだけど……
「さ、入りましょ」
「あ、あの〜…入るってこの店に、ですかね……?」
「はぁ?なに言ってんのよ…当たり前じゃない」
「で、ですよねぇ……」
「なに?何か文句でもあるわけ?」
「いや、なんと言いますか……恥ずかしいというか…なんというか……」
俺はこういう店に入ったことが無かったから何だか恥ずかしい。出来れば違う所に変えてくれるといいんだけど……
「あんたが教えて欲しいって言うからここに来たんじゃない!ほら、四の五の言わずに入りなさいよ!」
「うわっ!押すなって……」
先輩に押し込まれる形で店の中に入る。
そこには、俺の見たことのない世界が広がっていた。
店の中には数え切れないくらいアイドルの写真やグッズが売っている。中には等身大の抱き枕なんてものがあった。
「なんだよこれ……すげーな」
見たことのない世界を目の当たりにして、俺はただただ驚いた。
「なーに驚いてんのよ。ほら、こっち来なさい」
驚いている俺を尻目に、先輩はズンズンと奥へと進んで行ってしまう。
このままじゃ迷子になりかねないと思った俺は慌てて先輩に付いて行く。
「はい。まずはココ。やっぱり最初はスクールアイドルよね」
連れてこられたのは店内の1角。
そこにはスクールアイドルという文字がでかでかと掲げられたコーナーがあった。
文字通りスクールアイドルのグッズが沢山置かれている。
「———で、スクールアイドルと言えばこのグループなんだけど…知ってる?」
そう言った矢澤先輩が指さしたのは3人組のグループだった。
栗色の緩いウェーブがかかった髪の女の子に、ツリ目に泣きボクロが特徴的な女の子。
そして、肩ぐらいの髪に短い前髪をした女の子。
3人は写真越しからでも伝わるぐらいのオーラを放っている。
俺はこの3人組のグループを知っていた。
「
「へぇ、A-RISEは知ってるのね」
「まぁ、名前だけは」
高坂と出会ってちょっとした頃、UTX学院まで連れていかれたことがある。
そこで高坂と観たのがこのスクールアイドルだった。そして、俺がスクールアイドルを知るキッカケとなったグループでもある。
「———で、なんでこのグループを俺に?」
「なんで、って……スクールアイドルっていうのはA-RISEから始まったのよ」
「へぇ…!そうなのか」
「そうよ。A-RISEはスクールアイドルの“原点”なの。そして、“頂点”でもある」
「頂点……?」
「えぇ。今までA-RISEを超えたスクールアイドルは一つもないわ」
……なるほどな。さっきのオーラは王者の風格ってわけか。
何となく、さっきの写真から感じ取ったものが分かった気がする。多分、この3人は俺達、普通の人間とは違ってズバ抜けた才能があるんだろう。
「それはそうとあんた、アイドルの役目って何か知ってる?」
「アイドル役目……?難しいこと聞くな……」
先輩の突拍子もない質問に頭を悩ませる。
そんな事考えてもみなかったし、大体、アイドルに詳しくない俺が分かるわけないだろ……
「めいいっぱいの笑顔で歌って踊ること、か?分かんねぇけど……」
「はぁ……とんだ勘違いね。全ッ然違うわ!」
「はぁ?」
「ホンッット!甘いわ!甘甘よ!あんたも、あんたが見てるスクールアイドルも!」
「な、なんだよ急に」
「いい?!アイドルっていうのはね!笑顔を
……!
へぇ。笑顔を“見せる”んじゃなくて笑顔に“させる”仕事、か……。
変な先輩だと思ってたけど、たまにはいいこと言うじゃねぇか。
「あぁ。いい事教えて貰った。覚えとくよ」
「えぇ、しっかり覚えときなさい!でも、お客さんを笑顔にさせるためにはやらなきゃいけない事があるのよ!」
「やらなきゃいけない事……?」
「そう!それはね、キャラ作りよ!!」
先輩は得意気にそう言うと俺から1歩距離を置く。そして、中指と薬指を折り曲げた両手を顔の位置にまで持っていき謎のポーズをとり始めた。
「いい?見てなさい!これが…お客さんを笑顔にさせるための技よ!!」
この時、俺の中では危険信号のアラートが鳴り響いていた。
理由は分からないが、本能的な何かが矢澤先輩が今からやろうとしている“何か”を絶対に止めさせろと俺に伝えている。
「やめ————————」
だが、行動に移した時にはもう時既に遅し
「にっこにっこにー♪
あなたのハートににこにこにー♪
笑顔届ける矢澤にこにこー♪
にこにーって覚えてラブにこっ♡」
ヒソヒソ……
ねぇ、何あの人達……
ママー!あの人達なんかやってる!
ダメッ…!見ちゃいけません!!
「…………」
「…………」
矢澤先輩の言う“キャラ作り”で得たのは笑顔ではなく——————その代わりに得たのは心無い言葉と突き刺さるような冷たい視線達だった。
「あぁもう!ちょっとこっちに来い!!」
「ちょ、ちょっと!何すんのよ〜っ!」
その視線に耐えきれなくなった俺は矢澤先輩の腕を掴んで店の外へと向かう。矢澤先輩は突然の事に驚いているが、そんなの関係ない。
「あんたのせいだろうがぁぁぁっ!!」
俺達は刺さるような視線を背中に受けながらも、全力で走った。
□■□■□■
俺と矢澤先輩はあの視線達から逃げ切り、さっきの店から少し離れた所までやって来た。
「はぁ…っ!はぁっ…!ここまで来れば大丈夫だろ……」
「も〜!!なんのつもり?!」
「なんのつもりって…あんたのせいだろ!!」
「にこっ?!」
「にこっ?!じゃねぇわ!まだやるのか!!」
ったく……こいつの言うキャラ作りはうざったいったらありゃしない。おかげでこっちまで被害くらったぞ……
「あれの良さがなんで分からないのよ!」
いやいや…あんたの感性がおかしいんだよ……
だがまぁそんだけアイドルが好きって事は分かったけどよ……あれはちょっと…なぁ?
痛すぎるっていうか、なんというか……
「まぁさ、ちょっと落ちつ————」
———けよ。
そう言おうとした時、矢澤先輩の後方にいる女の子に目がいった。
その女の子は何かを必死で探しているのか、キョロキョロと辺りを見回している。
……迷子にでもなっちまったのか?
「……?どうしたのよ」
「いや……あそこで女の子が……」
「本当ね……迷子にでもなっちゃったのかしら…?ちょっと行ってみるわよ」
「あ、ちょっ!待てよ!」
1人で女の子方へと行ってしまった先輩を慌てて追い掛ける。
この人は何するか分かったもんじゃないから一応見ておかないと……
「何するつもりだよ」
「何するつもりって……あの娘が心配じゃない!いいから黙って見てなさい!」
そう言った先輩は女の子の近くまで行き、しゃがんで女の子に話しかけた。
「こんにちは!こんなところでなにしてるの?お父さんとお母さんは?」
「ぐすっ……あのね、ママとね、はぐれちゃったの……」
赤く腫れてしまった目蓋をこすりながら女の子は言った。
やっぱり……
ここは人通りが多いからな……どうにかして親を見つけてあげられるといいんだけど……
「おにぃちゃんとおねぇちゃんはだぁれ?」
「私?うーん、そうねぇ……宇宙No.1アイドルのにこにーよ!」
「うちゅうなんばーわんあいどる?」
おいおい……なんだよそりゃ……そんな事聞いたことねぇし、いくらなんでもそりゃ無理があるだろ……
「そ!で、こっちの冴えない顔をしてるおにぃちゃんは召し使いなの!」
「おい!!」
こ、こいつ……!人が素直に黙ってたら好き勝手言いやがって!!
もういい!この人にやらせた俺がバカだった!
「あんたがやると話しが進まねぇよ……ちょっと変われって。それで…君のママは何処に行っちゃったのか分かるかい?」
しゃがんで、目線を合わせて……怖がられないように、笑顔を作って、慎重に……
「ううん……分かんない……。ううっ……わたしが勝手に走っちゃったから…ぐすっ……うわぁぁぁん!」
あ゙……
やっべぇ……泣かせちまった……
ど、ど、どうしよう……
「泣かしてどうすんのよ!」
「ち、違っ!俺はこの娘に聞こうとして……!!」
「あぁもういいわよ!ほら、変わって!」
そうして俺は1歩後ろに下がって、先輩は女の子の前へと行く。
「よしよし。怖かったねぇ。でも、泣いてちゃせっかくの可愛いお顔がだいなしよ?ほら、こっちを見て?おねぇちゃんが魔法教えてあげる!」
「まほう……?」
なんだろう……すんごく嫌な予感がするぞ……また痛々しい景色を見なきゃ行けないことになる気がする……
「そう!笑顔になれる魔法!いい?両方の手でパーを作って、そのまま中指と薬指を折るの」
「こう……?」
このやり取りで俺は確信した。
また……あれをやるのか、と。
「そうそう!それで、そのまま両手を頭をくっつけてみて?」
「こう?」
「そう!上手!じゃあ、おねぇちゃんの真似をしてね?」
「う、うん……」
「じゃあ、行くわよ?にっこにっこにー♪はい、やってみて!」
「に、にっこにっこ……にー?」
「ほら、もっと元気よく!にっこにっこにー♪」
「にっこにっこにー♪」
“にこにーポーズ”をする幼い女の子と女子高生という奇妙な光景。
確かに女の子の方は絵になってるような気がするけど、やっぱり矢澤先輩を見ると痛々しい。
「にっこにっこにー♪」
そして、女の子は矢澤先輩とにこにーポーズをとる。
数回繰り返した頃には女の子から涙は消えていた。
「……へぇ、やるじゃん」
少しだけ、ほんの少しだけ、この先輩は凄い人だと思った。
「どう?笑顔になれたでしょ?」
「うん!おねぇちゃんすごい!!本当にまほーつかいさんなんだね!」
「ふふん!にこにーは凄いのよ!」
キラキラとした笑顔で先輩の事を魔法使いと言った女の子。
それを聞いた先輩は気を良くしたのかふんぞり返ってる。
ったく……それくらいでいい気になってんじゃねぇよ……
はぁ……とため息をついていると、後ろから俺達に近づいてくる気配を感じた。
「優香!!ここにいたのね!」
俺達に近づいてきたのは買い物袋を手から下げた女の人。
「ママッ!!」
そして女の子は一目散にその女の人の元へと走って行った。どうやらあの人がお母さんらしい。
「ごめんね……!大丈夫だった?」
「うん!おねぇちゃん達が一緒にいてくれたから大丈夫だったよ!」
「娘が御迷惑をおかけしてしまったみたいで……」
「あ、いえ、私達は大丈夫です。ね?」
「えっ?あぁ、まぁ……」
良かった。この娘の親が見つかったからとりあえず一安心だ。
親が見つからなかったらどうしようって思ったけど、そんなの杞憂だったみたいだな。
「優香、1人で平気だった?怖かったでしょ」
「ううん!平気だったよ!あのね、このおねぇちゃんが優香にすっごい事教えてくれだんだよ!」
「あら、何を教えて貰ったの?」
「あのね、笑顔の魔法だよ!」
□■□■□■
あの後、さっきの親子は俺達に礼を言って家へと帰って行った。
その時には女の子から涙は消えていて、すっかり笑顔になっていた。
『笑顔の魔法だよ!』
女の子がさっき言った言葉。
それは確かに間違っていないのかもしれない。
先輩は人を笑顔にさせる魔法が使えるのかもしれない。
まぁ、痛い人なんだけどな。
「あっ……もうこんな時間じゃない!」
「本当だ……。どうする?もう帰るか?」
先輩につられて時計を見るともう夕方の6時を過ぎていた。空も段々と暗くなってきている。そろそろお開きにするか。
「そうね。もう帰らないと」
先輩はそう言うと自分のバッグを肩にかけ直す。
「あ……そうだ。まだあんたの名前聞いてなかったわね」
「はぁ?!あんた、俺の名前を知らないで一緒にいたのかよ!!」
この人マジで言ってんのかよ……名前も分かんない奴と一緒に行動してたのか……
「しょうがないでしょ!!聴く暇なんて無かったんだから!それに、あんたの事は元々知ってたんだから別にいいじゃない!」
「何だよその理論…。まぁいいか。俺の名前は柊世界だ。よろしくな」
「へぇ柊って言うのね。覚えとくわ。じゃ、私は帰るから。じゃあね」
「おーっす。じゃ、俺も帰るとしますかね」
そうして、俺達は各々の帰る場所へと歩き始める。
「———柊!」
だけど、その既の所で俺は呼び止められた。
「今日は……付き合わせちゃって悪かったわね……でも、楽しかったわ。ありがと!」
「こちらこそ。まぁ楽しかったかな。また頼むよ。矢澤先輩!」
そして今度こそ本当に俺達は歩き始める。
矢澤にこ。
笑顔を与える魔法を使える彼女は、もしかするとμ'sの大きな戦力になってくれるかもしれない。
明日、高坂達に話してみるか……
いかがでしたでしょうか?
矢澤にこちゃん、とってもカワイイですよね。
にこちゃんの可愛さが読者の方々に伝わっていたらとても嬉しいです!
そして、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、書き方を少しだけ変えました。
セリフの行間を詰める、という事と場面転換での□■の使用です。
ハーメルン内で幾つか小説を見てみると、こっちの方がいいのかなぁ、と思ったので実行してみました。読者の方はいかがでしょうか?「読みにくい!」「前の方が良かった!」などのご意見があれば、是非感想欄へお願いします。
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長くなってしまいましたが、これで以上です。それではまた次回!
ありがとうございました!