ラブライブ!—Story to make together— 作:TokyoのDio
大大大遅刻をしてしまいました……ごめんなさい!
それでは…どうぞ!
神社での出来事から数時間が経ち、放課後になった。
俺は放課後の静かになった教室で1人机に突っ伏していた。本当なら高坂達の練習を見に行かなきゃいけないのだが、今はそういう気分じゃない。
ただ今、俺こと柊世界は絶賛超不機嫌中だ。
……え?何でかって?まぁ……それは聞くな。
とにかく!俺は不機嫌なんだ!天気もあんまり良くねぇし、ジメジメしててイライラも倍増されるから早く家に帰りたい所存である。
「せかちゃ〜ん!!」
あぁ……やかましい奴が来た。もう顔を見なくても分かる。この呼び方は高坂だ。
「……なんだよ」
「なんだよじゃないよせかちゃん!もう練習だよ!早く来……」
俺を連れていこうとしている高坂と目が合った。その瞬間、高坂は何故か口を止めて両手で口を抑えた。
「プフッ……」
そして、抑えていた口から空気が漏れる。
明らかに高坂は笑っていた。
———俺の、額に貼られた可愛いキャラクター物の絆創膏を見ながら。
「高坂……」
「ププッ……な、なに?」
俺は立ち上がりユラリユラリと高坂に近づく。
そして、両手を固く握り締め、高坂のこめかみの所まで持って行き
グリグリグリグリ!!!
「い、いったぁぁぁぁぁい!!!」
両手の握り拳でこめかみをグリグリする通称、「うめぼし」の刑を執行してやった。
「うぅ……せかちゃん……痛いよ……」
「ったりめぇだろ。痛くしたんだから。だいたい、この絆創膏はお前がつけろって言って来たんじゃねぇか!笑うんじゃねぇよ!」
この額に貼ってある絆創膏は
この絆創膏のせいで俺は朝からクラスメイトやらすれ違う人にずっと笑われっぱなしだった。
「でもでも!せかちゃん嫌がってる割には剥がさないじゃん!!」
「“剥がさない”んじゃなくて“剥がれない”んだよ!!本当なら一刻も早く剥がしたいわ!!!」
そう。この絆創膏、ビックリするほど粘着力が凄まじい。何度も剥がそうと試行錯誤したが、その度に額の皮膚が持ってかれそうになった。
「ホントさ……どうしてくれんだよ……」
「せ、せかちゃん……とりあえず練習、行こう?」
「この顔で?笑われに行くのか?」
「それは……フ、ファイトだよっ!」
「ファイトだよっ!じゃねぇわぁぁぁぁ!!」
□■□■□■
「結局こうなるんだな……」
結局、練習を見ないで帰ることは出来ず、屋上へと向かっていた。
「大丈夫だって!皆せかちゃんのお顔、笑ったりしないよ?」
「……だといいけど。」
「んもう!気にしない気にしない!ほら、皆待ってるよ!おーい!」
手を振った方には高坂の言う通りμ'sのメンバー達が俺らの事を待っていた。
一番最初に俺達に気付いたのは西木野。ムっとした顔でこっちを見ている。
「遅い!先輩達、今朝も遅刻して———」
そう言いかけて、西木野は喋るのを止めた。
そして———
「ふっ……フフッ……」
口を抑えて堪えるように笑う西木野。
西木野が今何でこんな事になっているのか。俺はもう分かっていた。うん。絆創膏だよね。知ってる。うん……
「真姫……?どうかしましたか?」
笑いをこらえきれなくなって蹲ってしまった西木野を心配する園田。
いや、その子、俺の顔を笑ってるだけだから。人の怪我(しかもこいつらの為を思って行動した故の)を笑ってるサイッテーな子だから!!
そんな俺の思いなんて伝わるわけもなく。西木野は自分が笑いを堪えられなくなっている原因を指さす。
「柊君……?柊君に何か笑ってしまうような事が———」
西木野が指さした俺を園田、小泉、星空が不思議そうに見てくる。
最初は不思議そうに見ていた彼女達も、段々と口元が緩んでいって……
「ぷっ!ど、どうしたのですか……?フフッ……その、ンフッ……額の絆創膏は……?」
「み、皆……ププッ……笑っちゃダメだよ……プフ……」
「そ、そうだよ……ことり達の事を守ってくれたんだから……フフッ」
「にゃははは!!柊先輩が可愛いバンソーコー付けてるにゃー!!」
ブチッ!
もう……ダメだ。堪忍袋の緒が切れたぞ……!!!
「オメェら!!好き勝手に人の事笑いやがって!!俺はもう怒ったぞ!!!コンチクショォォォォォ!!!!!」
俺は今期最大の怒号を上げる。
俺はこいつらを守るためにやったのに……!!なんで…なんで、こんな仕打ちを受けなくちゃいけねぇんだ!!!こんなの間違ってるだろ!!
「わわっ!せかちゃんがすっごい怒りだした!」
「ごごご、ごめんなさい!!柊君!私達が悪かったです!!ほ、ほら皆さんも柊君に謝ってください!!」
「先輩はキャラクター物のバンソーコーがお似合いにゃー!!にゃはは!」
「凛ちゃん?!」
あー……もういいや。ホンっっとに怒ったぞ。さーて。こいつらをどうやって料理してやるか……
「せかくん!!」
だが、そこに1人の天使が舞い降りた。
南ことり。
彼女は柔らかい笑みで俺の事を見つめている。
「せかくん。私達がせかくんのオデコの事を笑っちゃったのは悪いって思ってるの。だから……許して!おねがぁい!!!」
久しぶりに聴いた
だが、今回ばかりはめちゃくちゃ怒っている。
くそっ……!俺は……俺は————!!
「いいよ。」
許した。
「い、意外と軽いのですね……」
「本当。よく分からない人だわ」
予想外にも許された事にビックリしている園田と西木野。
南にあんなお願いのされ方をされたら許す他ないだろ。それに、俺も鬼じゃないしな。
「はぁ……次は無いと思えよ?」
「も、もし次同じ様な事があった場合、どうなるのですか……?」
「“うめぼし”の刑だ」
「「「「「うめぼしの刑?」」」」」
「ううう、うめぼし?!だめだよせかちゃん!あれだけは!」
俺がうめぼし、と言った瞬間に何故か過剰に反応した高坂。あぁ、そっか。こいつは俺のうめぼしを受けた事があるのか。
「穂乃果?うめぼしを知っているのですか?」
「う、うん……とっても痛くてとっっっても怖いお仕置きだよ……」
「「「「「こ、怖いお仕置き……」」」」」
「そういう事。分かったらさっさと練習始めんぞ〜」
完全にビビってる皆を尻目に、俺は屋上の扉を開ける。今日は曇っているからきっと外はジメジメしているんだろう。まぁ、練習できるだけましか。
ガチャッ
「あ、あれ……?」
「雨、めっちゃ降ってんじゃん」
アスファルトの濡れた匂い。そして、地面に水がぶつかる音。
そう。外では雨が降っていた。これじゃあ練習はできそうにない。
「雨が降っていたのでここで待っていたのですが……」
「あぁ、なるほどね。でも、そういう事は先に言おうか。恥ずかしから」
「すみません……」
「これじゃあ今日の練習はできそうにないね」
暗い空を見上げながら言う南。
久しぶりにしっかりと練習が出来ると思ったんだけどな……
「うん……部室があればミーティングとかが出来るかもしれないんだけどねぇ……」
「えっ?それってどういうこと!」
「真姫ちゃん?どういうことって……穂乃果達の活動は部活動として認められてないから部室はないんだよ。5人いれば部として認めてもらえるんだけど……」
「そうなんですよ……」
「うん……」
そう。5人いないといけない。
俺達は生徒会長にそう言われたんだ。あの時は俺を含めて4人しかいなかったから————
ん?ちょっとまて。あの時は、確かに4人だった。けど、そういえばメンバー増えたよな……?俺、高坂、園田、南、小泉、星空、西木野……やっべー……これって……
「……ちょっと待て高坂、南、園田。多分、俺らは大変な間違いをしてるぞ。1回人数を数えてみろ。ちゃんと自分も入れて」
「「「え?……1、2、3、4……あぁっ!!!」」」
口をあんぐりとあけて驚いている3人。
そう。俺達はもう生徒会長に言われた人数に達している。部活動として正式に認定してもらう事ができるんだ。
そうとなったら一刻も生徒会長の所に行った方が……
「ねぇ……?忘れてたってどういうこと……?」
「ど、どうした西木野……?お、おお、落ち着け?」
真っ黒いオーラを放ちながら俺と高坂を睨んでくる西木野。
西木野は完全にキレていた。まぁ、俺達が悪いんだけどね……?
「……説明しなさい」
「へ?」
「説明しなさいよ!!私達に分かるように!!今すぐ!!!!」
「「「「は、はぃぃぃ!!」」」」
□■□■□■
「————つまり、私達1年生組が加入したのが嬉しくてすっかり忘れていた、と。」
「……はい。その通りです」
「まったく……高坂先輩はともかく南先輩と園田先輩までこんなんじゃ先が思いやられるわね……」
「うぅ……酷いよ真姫ちゃん……」
「あはは……ついうっかり……ごめんね?」
「すみません……」
「まったく……」
俺らは生徒会室に向かいながら、西木野のお小言を永遠と聞かされていた。
まぁ、完全に俺らが悪いんだけど……流石に高坂達が可哀想だから止めてやるか。
「西木野、まぁそれくらいにしてやれよ。ほら、こうやって気付いて生徒会室に向かっている訳だしさ?」
「柊先輩は黙ってて!」
「えっ……」
「だいたい、柊先輩こそ一番に気付かなきゃいけない立場なんじゃないの!」
「そ、そうです……ごめんなさい……」
完全に論破された。恐るべし、西木野真姫。
もうかれこれ数分間ずっと西木野にどやされ続けている俺達4人。もうメンタルがボロボロだ。
だが、そこに救いの手が差し伸べられる。
「あ、あの……真姫ちゃん?もう、生徒会室に着いたよ……?」
小泉……!!お前は天使か!!
そうだ!生徒会室についたんだからもう話は終わりにしよう!!
「あら?もう着いたのね。……じゃあまた後で続きをしましょ」
「えぇぇぇ!!!」
「なに?何か文句でもあるの?」
「いえ……ないです……」
鬼のような形相で睨まれた俺は一切の抵抗ができなかった。
また……後でかよ……
「しょうがないよ……せかちゃん……とりあえず入ろ?」
「……あぁ」
もう諦めるしかなさそうだ。
とりあえず今は気持ちを切り替えてこっちに集中しよう。
「よし!行くよ!皆!」
コンコン
ガチャリ
「失礼します!」
そして、俺達はまた、生徒会長と対面することとなった。
□■□■□■
「失礼します!」
挨拶と同時に勢い良く生徒会室に入った高坂。俺達もそれに続いて部屋に入る。
「またあなた達?今度は何をしに来たの?そんなにゾロゾロと引き連れて……」
「まぁまぁ、えりち。お茶くらい出して上げてもいいんやない?」
こっちを睨むようにキツイ目を向けてくる生徒会長と柔らかく微笑む副会長。
生徒会長はいつも通り俺達の事を毛嫌いしてるみたいだ。
「見ての通りメンバーが7人に増えました!なので、部として認めて貰えませんか?」
だが、高坂は気にせずに用件を言った。
最初に生徒会長から提示された部を作るために必要な人数は5人。余裕でそのラインに達している。
これで晴れて俺達も部として認めてもらえるわけだ。
「確かに。部を設立する為には最低で5人必要と言ったからその人数には達しているわね」
「じゃあ……!」
「でも、あなた達の活動を部として認める事は出来ないわ」
「えっ……?」
は————?
認める事は出来ないだって……?
何故だ?人数は揃っているはずなのに……
「どういうことだよ……!」
「言葉のままの意味だけど?」
「だからその意味が分からねぇって言ってるんだろうが……!何であんたが俺らの事を嫌ってるかは知らねぇけど、そんな下らない理由で認めないなんてそれこそ————」
「ちゃんとした理由ならあるんよ」
「え?」
突然割り込んできた副会長。
ちゃんとした理由?それは、一体……
「えりちも、しっかりと説明せんと……えりちが意地悪してるみたいになっちゃうで?」
「別に、私はそれでもいいわ」
「もう……強がりなんやから……」
「なぁ、副会長、ちゃんとした理由ってどういうことだよ……」
副会長に尋ねる。
生徒会長に言われた事は俺達からしてみれば生徒会長の私情で俺達の活動を認めないと言っているようにしか思えなかった。
だが、副会長はそうではないと言う。
その、理由とは……
「あのね?アイドル研究部っていう君達の活動と似たような部活がもう存在するんよ」
「そう。たたでさえ生徒数が少ない今、うやむやに部活を設立する訳にはいかないの」
……なるほどな。
音ノ木坂は廃校の危機でもあるから部費の面でも厳しいって訳か。
ちょっとまて……?という事は俺達が部活動として認められる事は無いって事か?
「そ、それじゃあ、こいつらの活動が部活動になる事は無理って事か……?」
「せかちゃん……」
心配そうに俺の事を見る高坂。こいつだけじゃない。メンバー全員がこれからの事を心配していた。
やっとここまで来たんだ……。何としてでも部活動として認めてもらわねぇといけないって言うのに……!
「ううん無理じゃないよ」
だが、副会長は微笑んだ。
それと同時に俺達へ希望の光を見せる。
「……!!本当か?!」
「うん。本当やで。」
「教えてくれ!どうすればいいんだ?」
「う〜ん……じゃあ、とりあえず敬語を使おうね?」
「……教えてください」
「それでよし!君達が部活動として活動するにはズバリ!
一緒に活動すればいいんよ!」
「……へ?」
余りにも意外な答えが出てきて変な声が出てしまう。
一緒に活動する……?それはどういう事だ……?
「アイドル研究部も、君達もアイドル関する事をやりたいんやろ?じゃ、一緒に活動すればいいんよ!」
「そうか……そういう事か!」
「え?え?せかちゃん?穂乃果、分からないよ……」
「何で分からないんだよ!簡単に言うと部室を分けて貰えばいいんだ!」
そう。それだけの話。たったそれだけの話だったんだ。
これで……活動が出来る!
「なるほど……意味が分かりました!」
頷く園田。どうやら他の皆も分かったみたいだ。
よし……それじゃあ行動に移すとするか……!
「副会長!アイドル研究部の部長の名前を教えてくれ!皆で話を付けに行ってくる!」
「ふふっ!せっかちさんやねぇ。アイドル研究部の部長さんの名前は
矢澤にこさんやで」
「え……?」
矢澤にこ
もう聴き慣れた名前だった。
俺にアイドルというものを教えてくれた先輩。
そして、何故かストーカー紛いの事をしていた先輩。
あの人がアイドル研究部の部長だって……?
新たに浮き出た疑問。
「じゃあその“やざわにこ”っていう人に部室を分けて貰えばいいんだね!よーし!みんな行こう!」
高坂が生徒会室から出ようとドアノブを回す。
ガチャッ
そして次の瞬間、驚くべき事が起こる。
ドスンッ!!
高坂がドアを開けた瞬間、生徒会室に何かがなだれ込んできた。
「いった〜い!!!何すんのよ〜!!」
なだれ込んで来たのは————
「矢澤……先輩……?」
「あっ……えっと……にっこにっこにー☆」
アイドル研究部の部長、矢澤にこだった。
いかがでしたでしょうか?
文字数が多くなってしまって申し訳ございません!
僕も穂乃果ちゃんに絆創膏を貼られたい人生でした。
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