ラブライブ!—Story to make together— 作:TokyoのDio
小さい頃からアイドルが好きだった。
悲しい時も、辛い時も、ステージ上で輝いているあの人達は私に笑顔にさせてくれた。
あの輝きを、にこは目指していたの。
そして、二年前の春。
私は夢と希望を抱えてこの音ノ木坂学院に入学した。
アイドルになる。
それがにこの夢だったわ。
そして、幸運な事に入学と同時期にあるものが流行し出したの。
スクールアイドルの流行。
またとないチャンス。
これしかない。にこはそう確信したの。
私はそれから入学後程なくして、アイドル研究部を設立した。もちろん、スクールアイドルをやるために。
そして
あの輝きへ、少しでも近づくために。
「にこ〜!お待たせ!遅くなってごめんね!」
「ううん!大丈夫よ!今日も練習頑張るニコ!」
「「「「おーう!」」」」
部員はにこを含めて5人。小さな部だったわ。部員は全員同級生の友達。皆アイドルが好きで元々よくアイドルの話しをしたりする仲だったの。にこが部を創るって相談したら興味を持ってくれて入部までしてくれた。
にこは幸せだったわ。
全てが順調に進んでいたの。
—————そう。
ここまでは。
「ライブやりまーす!よろしくお願いしまーす!」
「「「「お願いしまーす」」」」
この日は待ちに待ったにこ達の講堂で行うファーストライブの日だった。
心から待ちわびた日だったわ。
この日のためにどれだけ努力したのかしら。恥ずかしい!と拒否する子もいた。けど、何とかしてステージに立って貰えるように説得したりもしたわ。
そして……少ない部費をやりくりして人数分の衣装を何とか作った。
何度も辛い時があった。
けど、仲間達で手を取り合って頑張って来たの。
————全てはこの日のために。
衣装に着替えて舞台の裏側で待機する私達。
他の4人から見える緊張の色。かくいう私も緊張していた。
「遂に……この時が来たのね……!今日は最高のライブにするわよ!」
「う、うん……」
今日のライブの意気込みを口に出して、自分自身を鼓舞する。それに震えた声で返してくるメンバーの皆。皆、酷く緊張していた。それはにこ自身も含めて。
でも、大丈夫。たくさん、たくさん練習してきたんだもの。練習してきた事、そして、お客さんを笑顔にさせる事を忘れなければきっと素晴らしいライブにできる……!
ブーッ
開演のブザーが講堂内に鳴り響いた。
それを聞いた私達は勢いよくステージへと飛び出した。
私は遂にあの輝きへ—————
「—————え?」
だけど、現実はそんなに甘くはなかった。
「何、これ……」
私達の目の前に広がるガラガラに空いた座席。
広い講堂にかき消されてしまいそうな小さい拍手。
私達のライブを見に来てくれたのはクラスメイトの数人だけだったの。
愕然としたわ。
だけど……ファーストライブの観客が0人だったアイドルグループを私は知っている。
そして、そのグループが最高峰と呼ばれるまでになった事も。
だから、それに比べてしまえば、この状況なんて苦ではなかった。
寧ろこれは私達の試練。これを乗り越えないとアイドルになんてなれない。
だから私は……
「さぁ、やるわよ!!」
自分自身に発破をかける。あの有名なアイドルと似ている状況に立たされているんだもの。逆に燃えてくるわ……!
顔を横に向けてメンバーの表情を見る。
そこには———–
「ねぇ……
もうやめようよ、にこちゃん……」
私とは対象的に絶望しきった顔のメンバーがいた。
「なに…言ってるのよ……」
どうして……?どうしてそんな顔してんのよ……。今までしてきた事の成果をやっと出せるって言うのに……なんでそんな悲しい顔すんのよ……
♪〜♪〜♪〜
沈黙が続く中、意図しない形で曲が流れ始めた。
流れ始めてしまったからにはもう後に引けない。私達は各々の立ち位置に着いた。
そして、最悪のライブが始まった。
□■□■□■
あれから数日が経った放課後。にこはいつも通り、アイドル研究部の部室にいた。
今日はあの日にやったライブの反省会をするの。
結果を言うとあのライブは大失敗だった。
見に来てくれたクラスメイトの子達は「良かったよ!」と声をかけてくれた。
だけど、その言葉はお世辞でしかなかったわ。
あの時、ライブで見に来てくれた人達に私達が観せたのは、あの輝きじゃなかった。メンバーから感じられたのは羞恥心だけ。
結局、あのライブで得た物は何もなかった。
だからこその反省回。最近、部活の集まりが悪いけど、今日は前もって皆に呼び掛けたからきっと大丈夫。
何としてでもあの日の失敗を反省して次に活かさないと。
「にこちゃーん!おひさ〜!」
遅れて部室に入って来たメンバー達。
ライブ後に全員で集まるのは今日が初めてだった。
皆バイトとかで忙しかったらしいから……だからやっと集まれたんだし、早く練習をしないと。
「遅いわよ……さ、早く着替えて練習しに行きましょ」
「あっ……ごめ〜ん練習着忘れちゃった……」
「私も……ごめんにこちゃん!」
「えぇっ?!昨日言ったじゃない……じゃあ体育着にでも着替えて————」
「って言うかさーにこちゃん?今日は部活休みでよくない?」
「————え?」
何を……言ってるの……?
あんなに酷いライブをしたって言うのに……何でそんな事を言えるわけ……?
「何言ってんのよ!あんなみっともないライブをしといて休みって……!あんた達次のライブはどうするつもりよ!」
「次の……ライブ……?」
「そうよ!少なくともにこはあんな酷いライブで終わりになんかしたくないわ!」
「にこちゃん……まだ続けるつもりなの?」
目の前にいる彼女はそう呟いた。
心底、呆れた表情で。
「へ————?」
今、なんて?
意味が……分からないわよ……
「ねぇ、にこちゃん。またあの日みたいな事を続けるの?」
「そんな訳ないでしょ?!そうしないために練習をしようって……!!」
「練習……?あれだけ練習した結果があの結果でしょ?……やっぱり無理だったんだよ。もう辞めようよ。スクールアイドルなんて……」
「違うわよ!!もっと……もっと練習すればっ……!!!」
私達だってきっと……!!
あの輝きに—————
「もう、にこちゃんには付いて行けないよ。」
そう言った彼女は1枚の白い封筒の様なものを差し出してきた。
「何よ…これ……」
白い封筒に書かれた4つの文字。意味が分からない訳ではなかった。考えずともその意味は分かってしまう。
まるで、嫌な夢でも見ているのかと思ってしまうくらいに最悪だった。
「私、もう辞める。最近、ずっと考えてたの。もうにこちゃんには付いていけない。続けるなら私抜きで勝手にやって。それじゃあ」
そう言い残して彼女は部室を去っていった。
「--ちゃんっ!!」
一連のやり取りを見ていた他の子達は去っていった彼女を心配して今にも部室から飛び出して行こうとしていた。
「待って!!!」
だけど、私は彼女達を引き止める。
「あんた達は……どうするつもりなの……?」
全員の意思を確かめるために。
「…………ごめん、--ちゃんを追わないと……」
「……そう。じゃあ今日は終わりでいいわ」
「うん……ごめんね」
そう言って彼女達は部室から駆け出して行ってしまった。
……私も、もう帰ろう。
この日を境に、部員の子達とぶつかる事が多くなった。それもほんの些細な事で。
多分、焦っていたんだと思う。どうにかして現状を変えなきゃ、って。だけどそれもまた空回りして。
数日後、私の元に退部届けを出しに来た子がいた。
1人辞めて、2人辞めて。そして、3人4人と続いて私の元を去って行った。
不幸な時は時間が遅く感じる。というけれど、私は違った。全てが一瞬に感じた。
結局、ここに残ったのは私だけ。
何も……残す事はできなかった。
輝きなんて微塵も放ってなかった……!!
私は今まで……その輝きになるために努力してきたのに!!!
その努力が一瞬にして無になった。
「一体、何のためにやってきたのよ……」
問いかけてもその答えをくれる人はいない。
「ははは……誰もいないんだもの。あたりまえじゃない。何やってんのよ、私……
……ホントに、何やってんのよ……」
本当はこんなはずじゃなかった。
どこから間違えてしまったのかしら……
……分からない。今、分かっているのだったら、きっとこんな事にはなっていなかったはず。
「これから、どうすればいいの……?」
……諦めたくない。私はアイドルになりたいの……!絶対に諦められない。それだけは譲れないの。
でも、どうしたらいいの?私は何をすればいいの?
分からない。
誰も、答えてくれない……。
「どうすれば…いいのよ……」
諦めることの出来ないまま、私の夢は終わりを迎えてしまった。
明らかになったにこの過去。
仲間と自分の夢を失ってしまった彼女は救われるのか。
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それではまた次回!ありがとうございました!