ラブライブ!—Story to make together— 作:TokyoのDio
「「「「申し訳ございません……」」」」
部室の長机におでこを擦り付けるような勢いでアイドル研究部全員に謝罪する高坂、矢澤先輩、星空。そして俺。
『近々、定期テストがあるわね?それで一人でも赤点を取ったら出場を認めないわ』
理事長から伝えられたこの言葉によって部室は重い空気に包まれている。
しかも、俺だけはそれで済む話しではなかった。
『柊君。あなた、留年スレスレよ?』
その言葉を思い出すだけで今にも俺の魂が抜けて出てしまいそうだ。
「なぁ……お前ら聴いてたか?俺、留年だってよ……」
ははは……と乾いた笑いを漏らしながらも俺は呟く。もしかしたら、来年も2年生をやらなくちゃいけないかもしれない。
「さっき聞きましたよ……もう!シャキッとしてください!」
「こちとら今回のテストに俺の進級がかかってるんだぞ?!シャキッとなんかしてられっかよ!!!あぁ……もうおしまいだぁ……」
はぁ……とため息をつく。普段の授業をちゃんと聞いとけばよかった……なんて思ったりもしたけど、今更そんな事言っても何も起こらない。
「ですから、そうならないようにするためにこうやって集まってるんじゃないですか!」
「そうならないようにって……じゃあどうするつもりなんだよ……」
「それは……勉強するしかないじゃないですか」
勉強…………そうか!!!
今から死ぬ気で勉強すれば何とかなるかもしれねぇじゃねぇか!!!
園田……いつもガミガミガミガミうるさい奴だと思ってたけど、今となっちゃ神様にでも見えるぜ……!!!
「園田!!それしかねぇよ!!!」
「はぁ……何故言われて気づくのですか……まぁいいです。とりあえず4人がどれだけ勉強が出来るのかを知るべきですね」
そう言った園田はゆっくりと部室の中を見回した後、高坂に目をつけた。
「……まずは穂乃果!」
園田に指名されてビクッとなる高坂。
「は、はいっ」
「穂乃果は数学、ですよね?」
「うん……それだけは小学校の時から苦手で〜……」
「
小泉が高坂に簡単な掛け算の問題を出す。流石にこれぐらいだったら俺でも分かるし、高坂だって分かるだろ……?
「え゙っ……えぇっとぉ……いち、にぃ……」
「ウソだろお前……」
それこそ小学生で習う簡単な問題。その問題に指を折りながら数を数えていく高坂。まさかここまでなんて……つうかここまでできない奴が留年になるべきだろ!
「あっ……!26だっ!」
部室の空気が凍りついた。
「流石にここまでとは思わなかったわ……」
「ほ、穂乃果ちゃん……」
呆れている西木野。と、とんでもない答えを出した幼馴染みを心配する南。ちなみに、もう一人の幼馴染みである園田は頭を抱えていた。
「高坂、お前ホンットにバカだな。7×4は25だろ」
「あっ!そっか!!」
「「「「「「えっ」」」」」」
「「え?」」
部室の空気がさらに凍りついた。
「……7×4は28です……」
「あっ……あぁ!わりぃわりぃ!ちょっと計算ミスしちまった!あはは……」
「柊君…………」
うっそ……7×4って28だったのかよ……あれ、もしかして、俺って高坂よりもバカだったりする?
「あはは……凛ちゃんは英語だっけ?凛ちゃんも昔から苦手だったよね?」
「かよちん……うん……。英語だけは肌に合わないっていうか……」
「それって凛が勉強してないからじゃなくて?」
西木野は呆れたように言う
「ち、違うよ真姫ちゃん!だいたい、凛は日本人なのに何で外国の言葉を勉強しなくちゃいけないのぉ!?」
「それは屁理屈って言うのよ!」
西木野は星空の頭にビシィッ!とチョップを入れた。星空はビックリした猫みたいな声を出してうずくまってしまっている。凄い音したけど大丈夫かよ……
「い、痛いにゃあ……」
「自業自得よ!まったく……。ここまで来たのに赤点を取ってエントリーできなかったら恥ずかし過ぎるわよ?!」
「そ、そうだよねぇ……」
「そ、その通りよ!皆、しっかりしなさいよね!」
俺の隣で震え気味の声を張り上げた矢澤先輩。こんな事を言っているけど、この人も俺達と同じバカだ。
「あんたそんな威張れないだろ!」
「は、はぁ?!うっさいわね!私はあんた達と違って『できないー』とか、『苦手だからー』何て言い訳しないで今から勉強しようとしてたのよ!邪魔しないでよね!」
そう言って矢澤先輩は自分のスクールバッグから教科書を取り出して読み始めた。だけど、この時矢澤先輩はどうしようもないミスをしていたんだ。
「なぁ、矢澤先輩?その教科書さ、
上下逆さまだぜ?」
「に゙こぉっ?!」
先輩は変な声を上げて教科書を持ち直す。そして一言
「にこにージョークよ!」
先輩……いくらなんでもそれは流石に無理があるだろ……全ッ然面白くないし……。
「はぁ……」
ため息をつく園田。呆れを通り越してもう物も言えないと言う感じだった。
「ちなみに、柊君。あなたはどうなんですか?」
「ど、どうって……何のことだよ……」
「何のことだよじゃありません!とぼけないでください!!」
「ゔっ……!!」
園田に詰め寄られる。
「あ、アレだ!俺も苦手なのは数学くらいかなぁ!あはは……」
俺は本当の事を言う事が出来なかった。いや、言えるわけがなかった。
全部分からないなんて。
「……嘘、ですよね」
「ち、違っ!」
「……バレバレですよ」
「な゙ぁっ?!」
だが、そんなのは園田にはお見通しだったみたいだ。
「この間、山田先生に聞きましたよ。小テストが全部0点だったって」
「ウソだろ……何で喋っちまうんだよ……」
俺の馬鹿さ加減が園田によって暴露されてしまった。
いや、もともとバレてたようなもんだけどよ。
「せかちゃん……」
「あんた私達よりもバカだったのね」
「もう柊先輩は凛達の事をバカにできないにゃ」
バカ3人組からも冷たい視線が送られてくる。
こ、コイツらだけには馬鹿にされたくなかったぞ……!!!
「うっせぇぞ!お前ら!!んなくだらないこと言ってねぇで赤点回避する事を考えろよ!!」
「そうですよ!まずは赤点を取らないようにしなくてはいけません!ですので……勉強会をします!」
「「「「「「「勉強会?」」」」」」」
「はい。私とことりが穂乃果、真姫と花陽が凛の勉強を教えます」
ちょ、ちょっと待て!!それって……俺と矢澤先輩は教えてくれないのか?!
「お、おい園田!俺と矢澤先輩を忘れてるぞ!」
「そ、そうよ!いくらこの私だって教えて欲しいところぐらいあるんだから!」
俺と矢澤先輩で訴えかける。すると園田は、あっ……と声をあげた。
「……忘れてました」
……ウソだろ、オイ
「頼むよ園田ぁ!!!俺の進級がかかってるんだって!!!」
土下座でもする勢いで必死に頼み込む。流石に留年だけは絶ッ対にしたくねぇ……
「で、ですが……私とことりは穂乃果を教えるので手一杯ですし……矢澤先輩に関しては私達が教えられる範囲ではありません」
「マジかよ……」
「ど、どうしろってのよ……」
今日2度目の絶望。矢澤先輩はともかく、俺は教えて貰わないと本当にヤバイ。進級できなくなっちまう。だが、その教えてくれる人がいない。
もう、諦めるしかないのか—————
そう思った時、救世主が現れた。
「困ってるみたいやね?」
ヘンテコな関西弁とともに部室のドアが開く。そこには、東條先輩が。
「と、東條先輩?あんた、なんでここに……?」
「ちょうど通りかかったら困ってたみたいやったから!今回の定期テストで困ってるんやろ?それならウチに任せとき!」
「ほ、ほんとか?!」
いきなりの出来事に少しビックリしたが、これはかなり好都合だ。
「うん!にこっちの勉強はウチに任せとき!なんてったってウチは副会長やからな!」
エッヘン!と胸を張る東條先輩。確かに副会長でもあるこの人になら頼んでも良さそうだ。
「の、希が私の担当ぉ……?!べ、別に私は大丈夫よ」
だが、東條先輩の申し出を断ろうとする矢澤先輩。あからさまに嫌そうな顔をしている。
「へ〜?にこっち、ウチと勉強するの嫌なんや……じゃあそんな悪い子にはお仕置きが必要やね……?」
「お、お仕置きですって……?!」
一歩後ずさる矢澤先輩。お仕置きって……一体何をするつもりだよ……
「わしわしMAXやね♡」
東條先輩は満面の笑みでそう言った。
わしわしMAX……?なんだよそれ……聞いた感じだとそんなにヤバそうな感じはしねぇけど……
「わ、分かったわ!希!!やる!やるから!!!それだけはやめて!!!」
だが、俺のそんな考えとは対象的に顔を真っ青にしながら首を横にブンブン振っている矢澤先輩。よく分かんねぇ名前だけど、矢澤先輩がそこまで嫌がるくらいのお仕置きなんだろう。何をされるのかは知らねぇけど。
「決定やね♪」
「ありがとうございます……助かりました」
「ううん、いいんやって!にこっち頑張ろうね!」
「はぁ……サイアク……」
そして、矢澤先輩の勉強を見るのは東條先輩が担当する事になった。当の本人はめちゃくちゃ嫌そうにしてるけど、赤点を取るよりかはマシだろ。
さて、これで一応、一件落ちゃ————————
「————いや、待てよ……?」
「ん?どうしたん?」
一件落着?いや、違うだろ。確かに、高坂、星空、矢澤先輩の三バカの勉強の担当は決まった。けど、1番のバカの担当が決まってねぇじゃねぇか。そう。
俺の担当が。
「あの……さ?凄い言いづらいんだけど………………俺の勉強を見てくれる人って誰……?」
部室にいる俺以外の8人全員が俺の方を見る。そして、1つ間を置いて……
「あ、忘れてたわ……ごめんなぁ?」
「うぉおぃぃぃぃ!!!それ本日2度目だから!!!もう笑えないから!!!マジで頼むって!!」
あはは……と笑う東條先輩だが、俺はそれどころじゃなかった。いや、だって俺の進級がかかってるんだぜ?笑えないだろ?!
「うそうそ!本当はちゃ〜んと考えてあるから安心して大丈夫やで!」
「あのなぁ………!俺、ふざけてるわけじゃないんですよ!」
冗談、冗談、と笑いながらそう言った東條先輩にツッコミを入れる。けど、そんな事を気にする様子もなく、先輩はヘラヘラとしながら口を開いた。
「ごめんごめん!実はね?柊くんの勉強を教えるのはウチじゃないんよ」
「へ……?じゃあ、誰が?」
教えてくれるのは東條先輩じゃないのか。そうなると……東條先輩の知り合いが教えてくれるのか?
何でだろう。そう考えるとものすごく嫌な予感がしてきた。
「それは行ってからのお楽しみや!」
「“行ってからの”?……それってどういう——————」
「皆!ちょっと柊くん借りるで!」
そう言うや否や先輩は俺の手を掴んだ。
「はぁ?!ちょっ!東條先輩?!」
「ほら、行くで!」
そして、混乱している俺に目もくれずに走り出す。
いきなりの事に足がついて行かなかった俺は引きずられる形に。
「うわぁぁぁぁぁぁ?!」
嗚呼、なんで俺はいつもこんな感じになっちまうんだろう。
□■□■□■
「————で、何で連れて来られたのがココなんですかねぇ?」
「何でって……ここに用があるからだよ?」
「はぁ……ここに……?」
東條先輩に連れて来られたのは生徒会室だった。てっきり東條先輩の友達の所にでも連れてこられるのかと思ったけど、こんな所に連れてこられて訳が分からない。
「あの、俺は誰に勉強を教えていただけるんでせうか……?」
「それは入ってからのオ・タ・ノ・シ・ミ♪」
「はぁ……」
先輩はさっきからずっとこの調子だ。正直な話、嫌な予感しかしない。できれば帰りたいぐらいだった。
いや、留年にはなりたくないけどさ。
「じゃあ、入ろっか!」
「はいはい……」
そうして俺達は生徒会室へと足を踏み入れた。
そして、一番最初に俺の目に入ったのは————
「やっほ〜!えりち!戻ったよ!」
「遅かったわね?何をしていたのよ希……」
いつもと違う表情をした生徒会長だった。
金色のポニーテールを揺らしながら東條先輩の方へと近づいて行く。こんな生徒会長は見たことなかった。
何て言うか……いつもとは違う、鋭さのない表情。これが、生徒会長の普段の表情なのか……?
「ごめんね?ちょっと頼み事があって……柊くん、こっちに来て!」
「あ、はい……」
東條先輩に名前を呼ばれる。その瞬間、生徒会長の表情が一転した。
「——!あなた……何をしに来たの?」
“いつもの”鋭さを帯びた生徒会長の表情。俺は、この睨みつけるような表情が嫌いだ。
「……俺からここに来たわけじゃないっすよ。東條先輩に連れてこられただけです」
生徒会長は俺達を何故か毛嫌いしている。そして、高坂達の活動を邪魔しようとしてきた。だから尚更、俺の言葉も鋭くなってしまう。
「それに、そこまで睨む必要ないんじゃないっすかねぇ?俺、そんな目つきの悪い生徒会長嫌っすよ」
「何ですって……?!私だってあなたの様な態度の悪い生徒は認めないわ!」
「っ!んだとぉ?!」
売り言葉に買い言葉。
俺達はお互いの事を睨みつける。それが何秒が続いた。
「ちょ、何で喧嘩しとるん?!」
だが、すぐに東條先輩が止めに入って来た。
そうだ……ここに喧嘩をしに来たわけじゃねぇんだ。一旦落ち着こう。
「えりち、今日はね?お願いがあって柊くんを連れてきたんよ!」
「お願い?」
「うん。あのね……
柊くんに勉強を教えてあげて欲しいんや!!」
「は?」
「え?」
う〜んと……ちょっと待て?今、東條先輩はなんて言った?『柊くんに勉強を教えて上げて欲しい』だっけか?
……生徒会長が、俺に?……俺が、生徒会長に勉強を教えてもらうのか?
あははは……
「ぬわぁんでそうなるんだよぉ?!」
思わず矢澤先輩みたいなツッコミの入れ方をしちまった。でも、そんな事を考えてる余裕なんてないくらい俺は驚いていた。だって……あの生徒会長に勉強を教えてもらうなんて……ありえないだろ?
「そ、そうよ!私は生徒会の仕事があるから彼の勉強を見るのなんて無理だわ!」
「それは柊くんに手伝ってもらうから大丈夫だよ!」
「おい!待て!俺はそんな事言ってねぇぞ!!」
「……留年、してもええの?」
「ゔっ……!」
「ふふ♪それにえりち、考えてみて?1人でも多くの人にテストでいい点をとってもらえば学校のイメージアップにも繋がるんとちゃう?」
いやいやいやいや…………流石にそれはねぇって。たかが定期テストだぞ?そこまでなるとは思えないし、いくら廃校の危機だからってそんな破茶滅茶な理由でカタブツの生徒会長がOKするなんて…………
「…………分かったわ」
「……え?」
「……私が勉強を教えるわ」
「ありがとう!えりち!」
「うえぇぇぇ?!」
う、嘘だろ?!マジでやるのか?!今までいがみ合ってた生徒会長と?!しかも俺が生徒会の仕事を手伝うのか?!
「覚悟しておきなさい!柊世界君!これから“毎日”私があなたに勉強を教えるわ!」
「嘘だろぉぉぉぉぉぉ?!」
この日を境いに、地獄が始まるのだった。
おはこんばんにちは!どうも、でぃおです!
いかがでしたでしょうか!
テスト期間、めちゃくちゃ最悪な言葉ですよね……まぁ、部活がなかったり、学校が早く終わったり、色々といい事もあるんですけど、そこで勉強をサボってしまうと大変な結果になってしまうのですが(笑)
さて、次回からは世界君と絵里の今までありえなかったコンビでお話が展開されていきます!ご期待ください!
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それではまた次回!ありがとうございました!