ラブライブ!—Story to make together— 作:TokyoのDio
「最悪だよ……」
俺の1日はそんな暗い一言で始まった。俺の隣では高坂と南が心配そうに俺の顔を覗き込む。
「だ、大丈夫だよ!……きっと……」
「そ、そうだよ!せかくん、頑張ろう?」
と、2人は完全に萎えてしまっている俺を励まそうと必死に声をかけてくれた。
けど、なぁ……
「あの生徒会長だぜ?何されるか分からねぇよ……」
なにせあの生徒会長は俺達の事を目の敵にしてる。今までは副会長の東條先輩がそれを何とか抑えてくれていたけど、今回東條先輩はいない。一体、俺はどんな事をされるのか……
「はぁ……最悪だ……」
俺はまた深くため息を吐いた。すると、ムッとした表情の園田が俺の方を見る。
「文句を言っても仕方が無いじゃないですか!柊君が勉強をサボってきたからこうなってるんですよ!」
「ゔっ!……ご最もです……」
完全に園田の言う通り。自業自得だ。けど、嫌なものは嫌なんだよ!まぁ留年はもっと嫌だけど。
「はぁ……」
またため息が漏れる。嫌だけどもう決まっちまったもんは仕方が無い。それに生徒会長に勉強を教えてもらえるだけ得だと考えるべきだな。っていうかそう考えないと俺の身が持たねぇわ……
キーンコーンカーンコーン
授業開始のチャイムが鳴り響く。
それと同時に授業の担当の先生が教室へと入ってきた。
「よ〜し授業始めるぞ〜」
そして授業が始まる。
各々がノートやら教科書を開いているなか、俺は—————
「じゃあ……放課後のために寝とくか……」
机に体を投げ出して目を閉じた。
「柊君!!何でこの状況になっても寝れるのですか!!!!」
□■□■□■
あれから数時間が経ち、ついにやって来てしまった放課後。俺達は部室に集まっていた。
いつもなら高坂辺りが「練習始めよっか!」とか言って屋上に練習をしに行っているところだが、今日は違う。アイドル研究部全員が椅子に座り黙々と机に向かっている。
「穂乃果、もう一度ここの問題を解いてみてください」
「うん!…………
…………あれ?」
「はぁ……」
馬鹿な頭をフル回転させている高坂とそれをみてため息をつく園田。さっきからずっとこんな感じだ。
「うぅ……分かんないよぉ……」
涙目になりながら頭を抱えている高坂。さっきからどうしても分からない問題があるらしい。
ずっと同じ問題を園田がつきっきりで教えてるのになんで分からないんだよ……
そんな事を思っていると、
「あっ!そうだ!」
突然高坂が声を上げた。
お、分かったのか?…………いや、違うな……あの顔は何か良くない事を考えている顔だ。
すると、高坂はフヒヒ……と笑って南の方を見た。
そして—————
「ことりちゃん!答え教えて!」
「えぇっ?!」
「馬鹿だ……」
案の定、高坂は答えが分かったわけではなかったみたいだ。つーか赤点回避するために勉強してるっつうのに、答えを教えて貰っちゃ意味無いだろ……
「だ、だめだよぉ……海未ちゃんにさっきだめって……」
「お願い!ことりちゃんっ……!」
「ふえぇ……」
両手を合わせてお願いっ!と頼み込む高坂を前にして断るに断りきれなくなってしまっている南。南は優しいからなぁ……仕方ないっていったら仕方ないけど……。でも、高坂の幼馴染みは南だけじゃないわけで……
「ほぉぉのぉぉかぁぁぁ!!」
地割れでも起きるんじゃないかっていうくらい物凄いオーラを纏った園田が高坂を睨みつける。そりゃそうだ。園田が隣で教えてくれているのにも関わらず南に答えを教えてくれなんて言ったらこうなるに決まってる。……やっぱり高坂は本物のバカだ。
「ひぃぃっ!!う、海未ちゃんっ!!ご、ごめんなさぃぃぃ!!」
「ダメです!今日という今日は許しません!!!」
あ〜あ……園田完全にブチギレちゃってるよ……でもこれ高坂が悪いな……
ラブライブ!出場の条件に出された「赤点回避」を実現出来るように自分の時間を削ってまで高坂に勉強を教えているんだ。園田がキレたのも分かる。だけど……ここで説教なんてずっとしてても時間の無駄だ。園田には分かって貰わないと。
「園田————」
「だいたい、穂乃果はいつもそうです!」
「あ、おい……!」
だめだ。止めようとしたけど、園田のヤツ頭に血が上って全然聞いてない。永遠と説教を続けている。
さて、どうしたもんか……
そう考えた時、南が動いた。
「海未ちゃん!…………もう、許してあげよう?」
「ことりちゃぁん……」
「ことり……」
泣きついてきた高坂をよしよし、とあやす南とその様子を困った顔をしながら眺める園田。そして園田は、はぁ……とため息をついた。
「まったく……遊びでやっているわけではないんです!しっかりとやってください!」
園田は高坂にそう言った。キツイ言い方だったけど、状況が状況だから仕方がない。
「穂乃果ちゃん。ごめんなさいしよ?」
「うん……海未ちゃん、ごめんね?赤点とらないようにちゃんとやるから……」
南に促されてではあったが、謝る高坂。そしてまた机に向かう。
その光景を見て少し温かい気持ちになった俺がいた。
3人共バラバラな性格をしているけど、もしかしたらそれが3人の関係を保っている秘訣なのかもしれない。
「って……安心してる場合じゃねぇんだよな」
そう。高坂がまた勉強を再開したからといって安心はできなかった。
……アイドル研究部のバカは1人だけじゃないからな。
「うにゃ〜!!!分からないにゃあ!!」
「何でこんなのが分からないのよ……」
「分からないものは分からないにゃ〜……」
机にグデッと身体を投げ出す星空とそれを呆れた目で眺める西木野。どうやら一年生組も行き詰まってしまったみたいだ。
「普段からしっかりと授業を聴いてないからこうなるんでしょ。花陽からも何か言ってやりなさいよ」
はぁ……とため息をついて西木野はそう言った。
その言葉、俺にも凄く響きます……
「えっ…わ、私?!えと……」
そして、話しを振られた小泉。でも、小泉の性格だと……
「り、凛ちゃん!頑張ろう!」
「だよな……」
やっぱり、優しすぎる小泉は星空に強く言う事が出来ないか……
星空も早めに気付いた方が自分の為だと思うんだけどなぁ……
「かよちんまでそう言うのぉ〜……」
星空は途端に悲しそうな顔をする。どお〜しても勉強がしたくないみたいだ。赤点を取ったらラブライブ!に出場できなくなっちまうってのにコイツは……
「あっ……!そうだにゃ!」
すると、星空は突然声をあげた。何か思いついたみたいだ。
そして次の瞬間、星空の口から驚くべき事が。
「かよちん!外見て!おにぎりが空を飛んでるにゃ!」
「……はぁ?」
意味が分からないと眉を潜めている西木野。
「もっとマシな嘘があっただろ……」
もうここまで来ると笑えてくる。小泉がそんな丸分かりの嘘に騙されるわけが…………
「えぇっ?!」
わけが……
「ほ、本当?!どこにおにぎりがあるの?!」
「嘘だろ小泉……」
「花陽……あなた……」
あまりにもビックリし過ぎてその先が続かない。それは西木野も同じみたいだ。
まさか、あの嘘に引っかかるやつがいるなんて……
「あれっ?おにぎりは……?」
小泉はそう言って俺達の方へ顔を向けた。すると、俺と西木野の表情を見てやっと気付いたのか、顔がどんどん赤くなっていく。
「り、凛ちゃん〜!!」
小泉は顔を真っ赤にして涙目になりながらポカポカと星空を叩く。
はぁ……この先どうなるんだか……とりあえずは西木野に任せるしかねぇか……。
「で、次は……」
そして、俺は1年生組と2年生組が勉強している長机から少し離れた所にあるデスクの机に目を向けた。そこは矢澤先輩が、「部長専用の机よ!」と言っていつもそこに座っている、言わば矢澤先輩専用の机。そこで矢澤先輩は東條先輩に勉強を教えて貰っていた。
「な、なによ……」
「あ、柊くん!にこっちの様子見に来たん?順調だから心配しなくてええよ!」
眉間にシワを寄せて不機嫌そうな表情で俺の方を見てくる矢澤先輩と、親指を立ててグッジョブサインを贈ってくる東條先輩。
「特に用事があったわけじゃ…………あ、来てもらっときながらアレなんですけど、東條先輩生徒会の仕事とか大丈夫なんすか?」
そうだ。東條先輩はこんな軽い感じでも音ノ木坂の副会長なんだ。仕事があるのにこっちを優先して貰うのは申し訳ないんだけど……
「だいじょうぶ!大丈夫!今日の分は片付けて来たから!」
「ならいいんすけど……」
ニコッと笑ってそう言った東條先輩。そういう事なら任せても大丈夫だろう。
「って言うか柊、あんた私達の勉強見て回ってるのはいいけど自分の勉強はどうしたのよ?」
「ギクッ……!」
嫌な汗がダラダラと出てくる。
気付いているだろうけど、バカなのは高坂に星空、そして矢澤先輩の3人だけではない。俺も該当者なんだ。つまりは俺も皆と同じ様に勉強をしなくちゃいけない。
「あれ?そう言えばそうやったね。どうしたん?」
「それがだな…………生徒会長、まだ来ないんですよ」
え?と目を丸くする2人とガックリと肩を落とす俺。
生徒会の仕事が終わったら俺の勉強を見てくれるという約束だったんだが、いつまで経っても生徒会長が来る気配がない。
「来るなら来るで早くして欲しいんだけどなぁ……」
例えるなら悲鳴が聴こえてくる治療室を前にして次は自分の番か……とビクビクしながら待っている感じだ。焦らさないでやるならさっさとやって欲しい。
「東條先輩、ちゃんと仕事片付けて来たんですよね……?」
「うん!その辺は安心してOK!」
「逆にそう言われると不安になるのは何故だろうか……」
ま、本当の事なんだろうけどさ……
コンコン
すると部室のドアをノックする音が。高坂がはーいと返事をする。
そして、部室のドアが開いた。その人物とは
「せ、生徒会長?!」
「ごめんなさい。待たせてしまったわね」
予想外の来客に驚いている高坂とそう言って綺麗な金色の髪を揺らしながら部室に入って来る生徒会長。
俺が待ちに待った(まぁ、本当は嫌だったけど)人物だ。
「やっとかよ……」と思わずため息混じりに呟く。遂にこれから生徒会長と勉強か……ま、まぁこの部室でやるんだし、他の皆もいるから大丈夫だろ。
「……ここで勉強をしているのかしら?」
生徒会長は部室一帯を見渡した後、俺にそう言った。何言ってんだこの人……見れば分かることだろ……?
「そ、そうですけど?」
「そう。
……なら生徒会室でやるわ」
「「「「「「「「えぇ?!(はぁ?!)」」」」」」」」
「えりち?!」
まさかまさかの展開。流石に誰もこうなるとは思っても見なかっただろ。生徒会長を抜いたこの場にいる全員が驚きで目を丸くしていた。
……ん?南さんに小泉さん……?何で「はわわ……///」なんて言ってんの?多分、って言うか絶対に勘違いしてるよね?この生徒会長、カタブツ中のカタブツだからそれは絶対にありません。テレビの観すぎです。お前らが思っているような展開は絶対にないと俺が言い切ろう。
……でも、何でこうなった?
「あ、あの〜会長サン?何でこうなったのでしょうか……」
「理由は簡単よ?同じ部屋にこう何人もいると集中出来ないでしょうから。それなら生徒会室でやったほうが静かだし、効率がいいわ。」
淡々と正論を述べていく生徒会長。
確かに、確かに正論だ。けど、俺がこの生徒会長と1体1で、なんの音もしない静かな部屋で勉強をするって考えると頭が痛くなりそうだ。な、何としてでもそれだけは回避してぇ……!
「で、でもよ!この間見たテレビで少し騒がしいくらいが集中出来るってやってたのを観たことあるぜ……?」
「そうね……。確かに私もその情報は耳にしたことがあるわ。でも、あなたにはそれが出来るの?それとも、あなたが赤点を取って〝ラブライブ!〟だったかしら?それにエントリー出来なくてもいいって言うのなら別だけど」
「っ……!何でそれを……」
「希からあなたに勉強を教えるにあたって説明されたわ。……それで?どうするの?」
「ぐっ……!分かった……分かったよ!生徒会室でやりゃあいいんだろ!」
生徒会長に聞かされたのはキツイ言葉達だった。だけど、どれも正論で何一つ間違ってはいない。俺達がここまで必死に勉強をしているのは赤点を取らないようにするためだ。より確実な方をとるのが懸命だろ。
「なら、生徒会室まで行きましょ」
「はぁ……って事だ。ベンキョーしてくるわ」
部室から出ようとする間際、俺は部室にいる皆に手を振った。
「せかちゃん!ファイトだよ!」
「頑張ってね〜っ!」
「まぁ、自業自得よね……」
「ですね……」
「頑張れ〜!」と手を振り返してくれる高坂、南、小泉、そして星空。それと冷静に今の状況を分析している西木野と園田。まぁ、最後の2人にはちょっと悲しまされたけどいつもの事だ。
で、気になるのは矢澤先輩と東條先輩の3年生組の2人。
「柊……!死んじゃだめよ!」
「柊くん……強く生きるんやで……」
え……?何でそんなに必死になってるの……?俺、死ぬの……?ねぇ、俺めっちゃ不安なんだけど!!
だが、不安を拭う事はできずに部室のドアは閉まってしまった。
俺は勉強をしに行くのに、何故か死ぬかもしれないという恐怖に怯えながら生徒会室へと向かった。
□■□■□■
「ここに座って待ってなさい。取りに行く物があるから」
生徒会室に着いてからの第一声はそれだった。
生徒会長はそう言うなり部屋を出て行く。
「はぁ〜あ。もう少し愛想良くしてくれてもいいと思うんだけどなぁ……?」
生徒会長の命令口調に腹を立てながらも俺は言われた通りに長机の前にある椅子に座った。
「何されるんだろ……俺」
軽口を叩いていたが、実際めちゃくちゃ不安だった。いや、だってただの勉強だってのに「死ぬな」とか「強く生きろ」とか……わけわかんねぇだろ……あの2人は応援してるつもりかもしれねぇけど、逆効果だっての……
ドスンッ!
「おわぁ?!」
ボーっと考えていると俺の手元に山積みになった資料……?の様なモノが置かれた。イヤイヤ……紙なのにドスン!とか大げさ〜!とか思うかもしれないけど、これ、マジで全部紙だ。とんでもない量がありやがるぞ……クソ分厚辞書を何冊も重ねたぐらいの厚さがある。
「す、すっげぇ量だな……これ、全部生徒会の資料か?」
「……?あなたが今からやる課題よ?」
…………。
「へ?」
「あなたが今からやる課題よ」
うそだろ……?
「……マジで?」
「何故私が嘘を言う必要があるの?」
言葉が出なかった。だって、今まで見たことないくらいの量があるんだぜ?……冗談であって欲しい。
つーか普通に考えてこの量は無理だと思うぞ?
「あの、さぁ……?これ、普通に考えて無理だと思うんだけど……どう思います?」
「そうかしら?これぐらい普通だと思うけど?」
「うっそぉ……」
だめだ……。俺の普通とこの人の普通は全ッ然違う方向に向かってるわ……。ってか、コレが生徒会長の普通なのかよ……!
「それに、時間ならたっぷりあるわ。最終下校の時間まではまだまだだし……」
「ヒィ……!」
俺は短い悲鳴をあげた。ここまで人の事を恐ろしいと思ったことは無い。このおびただしい量を、しかも最終下校の時間までやらせるなんて狂気の沙汰だ。
「や、やってられっ—————」
投げ出したい。そう思った。
だけど、
『本気だよ!私、やるったらやる!!』
『笑顔の魔法よ!』
脳裏に高坂と矢澤先輩の笑顔が過ぎった。2人だけじゃない。南、園田、小泉、星空、西木野だって……!あいつらはラブライブ!を目指してるんだ。その可能性を俺が潰すわけにはいかねぇ……!
だから……!!
「……うっし、やるか!」
俺はシャーペンを握り、課題を手に取った。
後は……やるしかねぇだろ!
あれから1時間くらい経っただろうか。俺はノーストップでシャーペンを走らせていた。ラッキーな事にまだつまづく様な問題は出てきていないからある程度スラスラできる。
だけど……生徒会長に渡された課題はほとんど減ってはいなかった。
「む、無理だぁ……」
さっきの決意も虚しく、俺は諦めの言葉を漏らしてしまう。だって……1時間も集中してやったのにまだ半分の半分の半分も終わってねぇんだ……悲しくなってくるよ……。
「簡単に諦めてもいいのかしら?」
俺が泣きそうになっているのを見かねたのか、生徒会長はそばに寄ってきた。あぁ、なんだ……少しは優しい所もあるんだな。そう思って生徒会長の方を見る。
ドンッ!
長机から聴こえたさっきも聴いたような事のある音。恐る恐る観るとそこには大量の紙の山、もとい課題が。
「お、おい……何で増えるんだよ!」
「さっきの課題だけ、なんて私は一言も言っていないわよ?」
う、嘘だろ……?く、狂ってやがる……。
「べ、勉狂…………」
俺は虚ろな思考の中でそう呟いた。
隣にはアルプス山脈バリに山積みになった課題がそびえ立っている。
「さ、時間はまだまだあるわ。しっかりやりなさい」
「う、うわあああぁぉぁぁぁぁぁぉぁ!!!!」
課題はまだまだ山積みだ。
おはこんばんにちは!どうもでぃおです!
お久しぶりです。と言わなくてはいけなくなってしまいましたね……。投稿遅れてしまって申し訳ございませんでした!!もし、待ってたんだからね!プンプン!っという方がいらっしゃったのなら本当に本当に申し訳ございません。少しづつ、ではありますが投稿のペースを戻していきたいと思います。
さて、今回からようやく絵里との勉強、もとい勉狂が始まりましたね!(笑)
絵里のスパルタな勉強法に世界は耐えることができるのでしょうか……?はたまた世界から何か行動を起こすのか……?
次回にご期待を!
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それではまた次回!ありがとうございました!