その後も空気が変わることなく時間が経過して現在は放課後、実は織斑一夏が真輝に話を聞こうとしたのだが一夏と真輝が関わることを快く思わない女子の一部によって遮られていた為に叶うことは無かった。一夏はそれに流されてしまい話すことは出来なかったのだが蓮夜はその流れに逆らって真輝に話しかけることに成功していた。その為真輝の中では蓮夜=気さくなクラスメート、一夏=いちか?だれそれ?状態になっている。
教科書をカバンの中に詰め込み、Padに書き込んであった今後の予定を確認していた真輝に袖が余ってダボダボな女生徒が話しかけてくる。
「やっほ〜マッキー、どうだった〜?」
「マッキーとは俺のことですか?」
「そだよ〜真輝だからマッキー、可愛いでしょ〜。私は布仏本音っていうの〜」
「わざわざありがとうございます……そうですね、確かにクズとかゴミとか木偶の坊とかに比べたら可愛いですね」
「……えっ?それなに?」
「中学校の時に女子からそう呼ばれてました。今思うとあれはあだ名だったんですかね?」
さらりと自分を侮辱するような呼ばれ方をしていたと告白する真輝だがどうやら彼は自分が侮辱されていたことに気づいていない様だった。いや、彼からすれば侮辱されていたとしても無視していたのかもしれないが。そんな彼に思わず本音は同情してしまい、袖からチョコ菓子を出してそっと差し出した。
「よかったら食べて〜」
「あ、ありがとうございます」
「それじゃまた明日ね〜」
「はい、また明日」
そういって本音はダボダボの袖を振りながら教室から出て行った。真輝の交友関係に不思議系クラスメートが追加された瞬間である。そうして今後の予定を確認し終えた真輝は椅子から立ち上がり教室を後にしようとした。
「あっ橘君!!待ってください」
「どうかされました?」
「すいません寮についての説明があるので少し待ってもらえますか?」
そういえばPadの中にも『寮について先生に聞く』とあったなと思い出しながら真輝は麻耶の後をついていく。するとそこには自分に気がつき手を振っている蓮夜と若干薄れたものの敵意を孕んだ目で睨んでいる一夏の姿があった。
「疲れているところごめんね、それじゃこれが寮での貴方達の部屋の鍵になります」
そう言って麻耶から部屋の鍵が手渡される。一夏ぎ1025号、蓮夜が1045号、そして真輝は3022号だった。
「同じ部屋……じゃないんすね」
「えぇ上からなんとしてでもねじ込めと言われて無茶な部屋割りになってしまいました……一月もあれば調整出来ますのでそれまでは女の子と同室になってしまいます」
「って女子と同室ですか!?」
「すいません、俺のだけ部屋の番号が大きすぎるのは?」
「それはですねーーー」
「橘は一年生の寮ではなく三年生の寮だからだ」
一夏と蓮夜が千の位の部屋なのに対して真輝だけは三千と数字が大きい。そのことについて麻耶が説明を入れようとした時に後ろから千冬が紙袋片手に現れた。
「面倒ごとですか?」
「あぁ、とてつもなく面倒だった。定員よりも三人増えたせいで部屋割りがなかなか決められなかったし、生徒の一部が男と同室なんて嫌だとゴネるものでな……」
「お疲れ様です。こっちからは何も問題無いですよ」
その時のことを思い出したのか疲れた様な表情を見せる千冬と麻耶の姿を見て真輝は追求することなく謝辞を述べて話を終わらせた。これ以上この話を続けることは二人の精神衛生的によろしくないと判断したのだ。
「千冬ねぇーーー」
「織斑先生だ、馬鹿者が」
姉と弟の関係だと言ってもこの場では教師と生徒、公私を混合しないように千冬は一夏に先生と呼ぶように言っている。そして千冬は持っていた紙袋を一夏に差し出した。
「荷物を取りに行くのなら休日に帰れ。それまでの着替えと携帯の充電器はこちらで用意した。如月と橘は家族の方が送ってくれたそうだから後で確認しておけ」
「……ありがとうございます織斑先生。それと真輝との関係について聞かせてもらってもいいでしょうか?」
一夏に名前を呼ばれたことで真輝は珍しく眉を僅かに顰めた。何故なら真輝にとって一夏のと関係はただのクラスメートであり名前呼びを許すほど親しい間柄では無いからだ。一夏の馴れ馴れしさに千冬は教育を間違えたかと疑問に思いながら隠すことでも無いので答えることにした。
「橘が適性があると判明してから彼の親御さんに会って話をした。その時に橘のことを頼むと言われたから出来るだけ便宜を図っているに過ぎん」
「そう、ですか……」
口ではそう返事をひているものの顔を見れば納得していないことは明らかだった。シスコンの気が見られる一夏に苦笑しながら蓮夜が場を治める為に麻耶に話しかけた。
「山田先生、寮での注意事項とかについて聞かせてもらっても良いですかね?」
「あ、そうですね。じゃあ説明しますのでわからない事があれば質問してくださいね」
そう言って麻耶が寮で生活するにあたっての注意事項を説明する。蓮夜は一度聞いてそれを覚え、真輝は覚えられないのかPadに注意事項を書いていたが一夏は姉にそんなことを言われた真輝のことを嫉妬していて話を聞いておらず、後で千冬に出席簿で頭を叩かれることになる。
麻耶から説明を聞き終えた真輝はその足で自分に割り振られた部屋を目指して三年生寮の中を歩いていた。今の時間は放課後なのだが卒業を控えた三年生だからか寮の中にいる女生徒の数は少ない。たまにすれ違う女生徒も真輝のことを見て挨拶をしてくれる程に気さくな人物だった。
そんな女生徒に挨拶を返しながら真輝は割り振られた部屋である3022号室に辿り着く。そしてノック。三人しかいない男生徒がバラバラの部屋だったので相部屋の相手は必然的に女生徒になる。記憶力の低いことは自覚していても頭の回転は悪くない真輝はそう考えて入る前にノックすることにしたのだ。
『は、はい』
「失礼、この部屋に入ることになった橘真輝ですが……」
『ちょ、ちょっと待って下さい!!』
返事は返ってきたものの中にいる人物はどこか慌てている様だった。時間を開けてからまた尋ねるかと考える真輝だったが中の人物が許可を出したことでそれは却下される。
『ふぅ……ど、どうぞ』
「失礼します」
ドアノブを回して部屋に入る。真輝を出迎えたのは質の高いホテルの様な落ち着いた雰囲気を漂わせる一室。そして……
「お、おかえりなさい……ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも……わ、私?」
恥ずかしいのか顔を真っ赤にしながら一糸まとわぬ姿の上にフリル付きのエプロンを着た黒髪眼鏡の女生徒の姿だった。
目の前の光景が信じられずに真輝は一瞬フリーズする。そして再起動して深呼吸をし、気持ちを落ち着かせる。
「……じゃあ貴女で」
「ーーーえ?」
「え?」
真輝の返事で部屋の中は微妙な空気が漂うことになった。
ちなみに蓮夜の部屋には水色の髪の女生徒が裸エプロンをしていて蓮夜が思わず学園の電話番号を通して千冬に報告、一夏はノックをしないで部屋に入り幼じみの少女のあられもない姿を見ることになるのだった。
真輝、あだ名マッキー。ペンや某お笑い芸人を想像した方は黒騎士さんが幕引きの一撃を与えに向かいます。
そして真輝君の相部屋の方は少し悩みましたが彼女にすることにしました。その理由としては優先順位の低さからですね。
ワンサマ……世界最強の弟、天災のお気に入り
蓮夜……大企業如月グループの御曹司
真輝……一般家庭
こうして並べてみると真輝君の背後の弱さが明らかになりますね。なのでワンサマは幼じみ、蓮夜は会長、真輝は???さんになります。それでも世界で三人しかいない男性操縦者なので護衛は付けられますが。
あと真輝君は健全な男子なので裸エプロンの美人を見て欲望に逆らう事なく反応しました。これに逆らえる奴は◯ンポかホモォに違いない(確信)
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