オーバーロード ~死を司る者~   作:かみか宮

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30.圧倒的強者

大量のアンデッドから逃げる為に二手に分かれたヘッケラン達。ほとんどのアンデッド達はフォーサイトよりも人数の多い、ヘビーマッシャーを追って行ったが、逃げた先にもアンデッドがいた。

ヘッケラン達は倒しながらも、グリンガム達と合流する為に来た道を戻ろうとするが、そうはさせまいと言わんばかりにアンデッド達が邪魔をする。結局、合流地点に戻ることが出来ず、どんどん墳墓を進んでいた。

 

「おかしいだろこの量は」

 

「ホントだよ……もう矢も底を尽きそうなんだけど?」

 

「―――私も残りの魔力は少ない」

 

「私もですよ。ヘッケランはそういうリスクがないからいいですよね」

 

「リスクならあるだろ!前衛で戦ってるのって俺だけだぞ!?俺いなかったらお前らもっと苦戦してるからな?あと、俺だけが前衛だから攻撃も集中しやすいんだよ」

 

そう言いながら目の前のアンデッドを倒すヘッケラン。さっきと比べてアンデッドが出てくる量は減ったが、その代わりかは解らないがヘッケラン達は思うように墳墓を勧めていた無い。進もうとした先に大量のアンデッドが現れるからだ。別に倒して行こうと思えば行けるのだが、今は出来るだけ力を温存しておきたい。ここで力を使い果たしてしまえば、何もできなくなってアンデッドの餌食になるだけだ。それだけは避けたい。だからこそ、無駄な戦いは出来るだけしないように回避している。

しかしヘッケランは不思議に思えてきた。何故自分達の進もうとした方向に現れる時と、現れないときがあるのかが気になってしょうがない。もしかすると、自分達は何処かに誘導されているのでは?という気がして仕方がないヘッケランだった。

 

「?どうかしたんですか?」

 

「い、いや、なんでもない。とにかく先に進もう」

 

そう言ってヘッケランが一歩踏み出すと、床に魔方陣が現れた。

 

「なッ!?罠!?」

 

「これは……!」

 

「ちょ、これヤバイ奴なんじゃないの!?」

 

「―――嫌な予感しかしない」

 

全員これまで以上に警戒する。この魔方陣が何を意味するかまでは解らないが、もしかすると大量のモンスターが現れるかもしれない。もしくは即死魔法の類の罠か。そう考えていたが、どうやらそういった類の罠ではなかった。まばゆい光が発生し、全員がその眩しさに耐えきれずに目を瞑った。そして次に目を開いたら、そこは墳墓ではなく地上だった。

 

「地上……なのか?」

 

空には沢山の星が輝いている。だが、この墳墓の近くは林があった筈だ。

 

「―――もしかすると、転移魔法の罠だったのかもしれない」

 

「それにここがあの墳墓の近く、もしくはバハルス帝国近隣だとも思えませんね。アレを見てくださいよ」

 

そう言うロバーテイグの指差す方向を見ると、大きなコロシアムのような建物が建っていた。建物に慎重に近づいていくと、鉄格子がゆっくりと上がっていった。まるでヘッケラン達を歓迎するかのように。

ヘッケランは止まり、全員に「いつでも戦闘を出来るようにしとけよ」と言ってコロシアムの中に入って行く。ロバーテイグやイミーナ、アルシェもそれに続いて中に入って行くと、観客席には沢山のゴーレム達が座っていた。

 

「何なんだここは……?」

 

と驚いていると、

 

『さあー!対戦者が入って来ました!』

 

「!」

 

ヘッケラン達は声の下方向に視線を向けると、そこにはダークエルフの少年が奇妙な道具を持って喋っていた。

 

『愚かにもこの侵入者達はこのナザリック地下大墳墓の財宝を盗もうとしたのです。そんな侵入者の対戦相手は……このナザリック地下大墳墓の絶対支配者、アインズ・ウール・ゴウン様とクロム様です!!』

 

今まで微動だにしなかったゴーレム達が耳が痛くなるほどの歓声を挙げる。手で耳を押さえても痛い。

そして、その歓声と共にコロシアムの中に入ってくる二体のアンデッド。それと絶世の美女と鳥頭の執事。

 

『アインズ様のセコンドは我らが守護者統括のアルベド!そしてクロム様のセコンドは自身が創造したドゥルガー!』

 

名前を呼ばれた二人が観客席に手を振ると、より一層歓声が大きくなった。

 

「な、何なんだよコレ!」

 

「こんな数相手に出来ないよ!」

 

「私もアルシェもこの数を相手にするとなるとまったく足りませんよ!」

 

「―――逃げるべき」

 

「それにしても騒がしいよな」

 

「そうだな。静かにせよ」

 

アインズがそう言うと歓声が止んだ。更にヤバイと感じた。

少しずつ、自分達が入ってきた入り口に後ずさりで向かうが、

 

「どこへ逃げようとしているのですか?」

 

「あ、アドヴェントさん!?」

 

いつの間にかヘッケラン達の背後にメイド服を着用したアドヴェントが立っていた。

 

「あ、アドヴェントさんは無事だったんですね。クロームさんやエクレさんは無事ですか?」

 

「クローム様なら目の前にいるではないですか」

 

「は?」

 

一瞬、アドヴェントの言っていることが理解できなかった。今、ヘッケラン達の前にいるのは骸骨(スケルトン)が二体と、見た目は絶世の美女だが、頭の角や翼から人間ではないとわかる女性。鳥頭の執事だけだ。どこにもクロームの姿はない。

 

「冗談はよしてくれ。クロームさんは人間だ」

 

「いんや、人間じゃないぞ」

 

アインズと呼ばれる骸骨(スケルトン)とは別の骸骨(スケルトン)が一歩前に出た。そしてローブの下から何かを取り出した。

 

「これ何だか解るか?」

 

「……何かの皮のように見えます」

 

「正解♪これがクロームの時使っていた人間の皮」

 

「……は?」

 

「つ・ま・り、クロームはクロムで、クロムがクロームでしたー!」

 

「な、何を言っている!」

 

「ついでに言っておくと、お前達の後ろに立っているアドヴェントだけどな?本名はシュルツ・アドヴェントって言う俺の配下なのさ。エクレはクレマンティーヌっていう名前だ。それにこの二人は人間じゃないし」

 

「ば、馬鹿な……信じられない」

 

「うんうん。真実を認めたくないっていう気持ちはわかるよ?でもな、現実を見ろよ」

 

そう言って皮の無い指をどうやっているのかは解らないが、パチンと鳴らすと、アインズ達が現れた所から剣士、死の大魔法使い(エルダーリッチ)、そしてエクレことクレマンティーヌが現れた。それぞれが何かを持っていた。

 

「まずはコイツ。天武のエルヤー」

 

クロムがそう言うと、剣士が抱えていた物をヘッケラン達の目の前に放り投げた。それは地上で待機している筈のエルヤーだった。身体は真っ二つになっていて既に息はない。

 

「次はグリーンリーフのパルパトラ」

 

次は死の大魔法使い(エルダーリッチ)が人の石像を置いた。だが、その人の石像には見覚えがった。この墳墓に一緒に侵入したパルパトラだった。

 

「ちなみにそれ本人だから。ニグン。一部だけ石化解除しろ」

 

「かしこまりました」

 

そう言ってニグンと呼ばれた死の大魔法使い(エルダーリッチ)が石像の顔の部分に何かをかけると、顔の部分だけ石が剥がれ、パルパトラが呼吸を始めた。

 

「石像になった気分はどうだったかな老公?」

 

「最悪しゃよ」

 

「あっはっはっは。まだ死んでないだけマシだろ。そしてヘビーマッシャーのグリンガム」

 

「ちょっとうざかったからいじめちゃった☆」

 

そう言ってクレマンティーヌはグリンガムを引きずってヘッケラン達の前に出す。グリンガムは止血こそされてはいるが、両腕と両足を失っていた。

 

「ったく……殺すなとは言ったが、まさか両手両足を落としてくるとは予想外だったぜ」

 

「テヘぺろ」

 

と軽く言っているが、普通じゃ考えられない。だが、彼らにとってはこれが普通なのだ。これが常識なのだ。人間の常識は通用しない。そう実感した。

 

「さて、お前達にわざわざこの墳墓に来てもらったのは、この墳墓の防衛体制の実験と、俺の部下の練習台にすること。まあ、これはどちらも確認できたからよかった」

 

「……俺達は実験動物じゃない!」

 

「実験動物だよ。俺達からすればな。なあ、アインズ」

 

「……うむ。その通りだな」

 

「で、今度は俺達が遊んでやるよ」

 

そう言ってクロムは二本の刀を抜く。アインズは剣と盾を装備していた。それを見た剣士とニグンは二人の邪魔にならないようにパルパトラとグリンガム、そして死体のエルヤーをずらしておいた。

 

「死にたくなかったら全力で来い」

 

「……」

 

「どうした?来ないのか?」

 

「……」

 

「なら仕方ないよな。俺達から動くとするか」

 

そう言ってクロムとアインズがヘッケラン達に近づいてきた。ヘッケラン達は覚悟を決めたのか、陣形を組む。それを見てクロムがニヤリと笑ったかのように見えた。

まず、クロムが刀を振り下ろしてきた。ヘッケランはそれを受け流し、イミーナが矢を放つが、ダメージはなさそうだった。

 

「ふんッ!」

 

アインズがイミーナに対して盾によるタックル攻撃を仕掛けようとしているのを見て、ロバーテイグが魔法を唱える。

 

「《下級敏捷力増大(レッサー・デクスタリティ)》」

 

これによりイミーナの俊敏力と反応力を20%増大させた。イミーナはそれでもアインズの攻撃をすれすれでかわすことに成功した。

 

「イミーナ!一旦下がれ!」

 

「―――《魔法の矢(マジック・アロー)》!」

 

イミーナを下げる為にアルシェが魔法を放つが、アインズもクロムも決して防ごうとはしない。その理由はすぐに解った。魔法が二体に命中する前に魔法が霧散した。

 

「―――魔法無効化ッ!?」

 

「マジかよ!ありえねぇだろ!?」

 

「魔法が効かないとは……厄介ですね」

 

「まったくね。アタシの攻撃も意味ないみたいだし」

 

ヘッケラン達は再び陣形を組みなおす。

 

「……なあ、アインズ。アイツらのチームワークどう思うよ?」

 

「……まあ、さっきの連中と比べるなら一番いいチームワークだろう。だが、我々には敵わないだろうがな」

 

「そりゃ、そうだろう。だからさ……」

 

「…またか。だが、今のナザリックに必要なのは戦力だからな……わかった。許可する」

 

「ありがとよ、流石は我らがギルド長だぜ」

 

そう言ってクロムは刀を鞘に納め、代わりにローブから鎌を取り出した。

 

「警戒したところでこのスキルを防ぐことはお前達にはできないぜ。このスキルは相手のレベルが低ければ低いほど成功率が高いスキルなんだからな」

 

クロムの言っていることはよくわからないが、あの攻撃がヤバい事だけは身に染みてわかる。何とかして逃げ道はないか探すが、出口は無い。

 

「さあ、魂を頂くぜ」

 

そう言ってクロムは鎌を振り下ろした。ヘッケランは武技を使ってクロムの攻撃を防ごうとしたが、ヘッケランの武器はクロムの鎌に当たらなかった。その理由はクロムの武器に会った。

今クロムが使っている鎌は、相手の武器のデータ量と比べて、自分の方がデータ量が多いと武器を透過することが出来るのだ。だからヘッケランの武器とぶつかり合うことはなかった。だからこそヘッケランはクロムに斬られた。斬られたヘッケランは膝から崩れ落ちた。その光景を見てイミーナが取り乱す。

 

「アナタ!ヘッケランに一体何をしたの!?」

 

「気にしない気にしない。お前達もこうなるんだから」

 

そう言ってクロムは再度鎌を振るったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、この日。複数のワーカーチームが無くなり、運よく生き残ったワーカーが帝国に墳墓についての情報を伝えたのだった。




さて、この運よく生き残ったワーカーとは誰なんでしょうね?ニヤ(・∀・)ニヤ

そして、今困っていることがあるので初アンケートをしてみようと思います!あ、ネタバレありなんで気を付けてくださいね
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