きっと比企谷小町は一人でもさびしくない。   作:★ドリーム

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1-なんだかんだで、お兄ちゃんは面白い。

「ねぇ、お兄ちゃん?」

 

再び、目をしっかりと合わせて話しかける。何か少し焦る様な気持ちが私の言葉を早める。

 

「あ?なんだよ、急に」

 

口では煩わしそうに答えるけど、いつも目はこっちを見ていてくれる。こっちとしては、私の目も腐っちゃわないかなぁ、と心配だったりもするけど。

 

「奉仕部、楽しい?」

 

そう言われると、お兄ちゃんは目を逸らして、うーん、と考え込む。ざっと五秒は考えてたかな。

 

「まぁ、良いんじゃないか?人との会話って意味だとそこそこ上手くいってると思うけどな」

 

「へぇー。そりゃ良かったね」

 

まぁ、良いことなんだろうとは思うよ。でも、お兄ちゃんにしては退屈な答えだったかもしれない。

 

「お前から聞いといて、それはないだろ。興味あったんじゃないのかよ」

 

お兄ちゃんはめんどくさいねぇ。ほんとに。察しようよ、質問の意図くらい。

 

「いや、珍しく対人関係で前向きなこと言ったなぁって思ってさぁ」

 

「そうか.....」

 

自分でも、分かってるだろうにね。

 

「そうだよ」

 

「お前だって、そんなに人の心の内を探ったりしないだろ。何かあったのか?」

 

確かにそうかもしれない。

でも、何も無いと思うけどな。変わったのはお兄ちゃんの方じゃないのかな。

 

「何も無いって~。でもお兄ちゃん、良かったね。小町以外の人とも話せてさぁ?」

 

そう言うと、お兄ちゃんは小町の頭をぐりぐりと撫でながら言う。私はカー君じゃないけど、こういうの悪い気はしないね。

 

「まあ、否定しないけどな。それにしても偉そうな妹だな」

 

偉そう、かねぇ.....?まあ、いいや。偉いってことで。

 

「いや、小町、現に偉いし?」

 

「.....どこがだよ?」

 

あっ、素で返された。もう、めんどくさいし部屋に行こうっと。

 

「まあいいや、じゃあね。戻って勉強でもするよ」

 

「ああ、早くそうしろよ。きっと俺と話すよりは幾分かいいからな」

 

ひねくれてるなあ。でも、小町の周りにこんなに「深いなぁ」って思える人なんてなかなかいないからね。

お兄ちゃんほど何を考えてるのか、本当の考えが読みとれない人ってのはあんまり見かけないもので、学校の友達なんてのは何も考えて無い様な子もざらにいるんだよ。

 

***

 

.....どうも目覚まし時計が鳴る前に目が覚めちゃったらしい。

 

今は朝の六時半。朝ご飯でも作ろうかね。

 

まだ眠いけど、なんとか起き上がって部屋を出る。お兄ちゃんはまだ寝てるみたいだった。

今日は、小町的にポイントの高いフランス風の朝食でお兄ちゃんを唸らせるよ。極めつけに、お兄ちゃんのために小町が昨日、学校帰りに買ってきたマッ缶でおもてなしする予定。完璧だね。

 

玉子と、ベーコンをフライパンにのっけたところで、お兄ちゃんがゾンビの様な感じでのそのそとやってきた。

 

「おはよ~。朝からゾンビの真似するなんて、元気だねー。ハロウィンはまだ早いよ?」

 

「ゾンビじゃねぇよ。お前も感染させてやろうか?」

 

いや、結構だよ。お兄ちゃんみたいな目になるんなら、小町ずっと家にいてお兄ちゃんに養ってもらおうかな。それはそれでいいかな......はっ、小町はお兄ちゃんを飼う勢いで生きてかないといけないからボツだね。少し残念。

 

「やだよ~、ぞみいちゃん」

 

「ゴミより悪化させるなよ。今にお前も感染させてやる」

 

ぞみいちゃんはむっとした顔で近づいてくると、フライパンを覗く。

 

「今日は何風の朝食なんだ?」

 

「フランス風のつもりなんだけどね」

 

ぞみいちゃんは意地悪そうな顔をしながら、私が料理をしているのにも関わらず英語の問題を出した。え、何「俺がやるよ」とか言っちゃうの?小町、ハートがドキドキしちゃうよ。

 

「フランス風を英語で言えるか?ヒントを出すと、フランッシュじゃないぞ」

 

.....全然違った。まったく、なめられてんなぁ。そんなん中一で習ったよ。

 

「フレンチでしょ、そんなの余裕だよ。お兄ちゃんってバカなんじゃないの?あ、そっか。腐ってるもんね、仕方ないね」

 

馬鹿にされたら馬鹿にし返す、倍返しだ!そんな気持ちで、最大限うざがられそうな声を出す。自分としては渾身の出来映えだった。

 

「.....うざいな。結構マジでむかついたぞ、それこそ次やったら許さないぜってレベルで」

 

いやぁ、こわいこわい。結構ホントに顔がマジ。でも、ここからが私の妹としての本領の発揮どころだね。

 

「え.....お兄ちゃん.....ごめんなさい。ごめんなさい。許してよ、お願い」

 

グスグスとやっていると、お兄ちゃんの表情がどんどんと弱気になっていく。

 

「その.....何だ、俺が悪かった。すまん。今度どっか連れてってやるからな、ごめんな.....何か買ってやるから、泣かないでくれ、俺が全部悪かったから」

 

う~ん、もうひとこえ!とばかりに少し激しく泣く。

 

「ごめんね、お兄ちゃん。許してぇ.....」

 

お兄ちゃんは、もう絶望だ、という顔でこっちを見ている。もうそろそろやめてもいいかな。

 

「お願いだから泣きやんでくれよ。俺が悪かったから」

 

よし、よし。このくらいにしてあげよう。ていうか、お兄ちゃんがかわいそうに思えてきた。

 

「......許してくれるの?」

 

まだ少しグスグスとやりながらもほんの少しの希望を求める様にして......それがコツその一。

 

「あ、ああ。俺のことも許してくれるか?」

 

この勝負、勝った。あとはおねだりを少し控え目にする、コツその二。

 

「その、なんか買ってくれる?」

 

「......わかったよ、なんか買ってやるよ」

 

ここで、もちあげる。お兄ちゃんにおねだりするコツは以上。簡単だよね。

 

「きゃー、八幡さん素敵!」

 

「はいはい、わかったから。お兄ちゃんにもちゃんと尽くせよ?」

 

尽くせと言われましても......ファッションの提案とかでもいっか。

 

「小町ね、お兄ちゃんって帽子かぶったらもっといいと思うよ?きっと、お兄ちゃんのカッコよさ三倍アップだよ!」

 

お兄ちゃんのカッコよさなんて、普段からゼロだから三倍してもゼロじゃん......。え、それ変わってなくない?

 

「ああ、今の小町的にポイント高いんだろ?」

 

自分が言おうと思ってない時にそんなこと言われると、なんかあんまりいい気分はしないないんだよね。表現するのが難しいけど。

 

「あ、そーだね。もう料理出来るから、ゾンビはあっち行ってて」

 

「お兄ちゃんですら無くなったのかよ......」

 

「違うよ、りっぱな小町のお兄ちゃんだよ?」

 

満面の笑顔でそう言うと、お兄ちゃんは少し照れた顔で返す。

 

「そ、そうか。ありがとうな」

 

「早くお兄ちゃんより上の存在になってね!」

 

「え、マジで?なっちゃっていいの?お兄ちゃんにかかればお前なんて一発だぞ?」

 

乗り気だね、お兄ちゃんとあと何十年も過ごすっていいかもしれない。お兄ちゃんに養ってもらわないとしてもね。少なくとも、楽しい人生はおくれそう。愛はお金じゃ買えないしね。もしかして、小町とお兄ちゃんの関係って相思相愛!?

 

「じゃ、早く攻略してね!」

 

「案外、頑張っちゃうかもしれないぞ」

 

そう言うとお兄ちゃんはリビングに行った。

 

面白い人だと思うよ、お兄ちゃんは。いい人なんだけどなぁ。なんで、みんな分かんないんだろう?

奉仕部の人はお兄ちゃんのこと、どう思ってるのかな。

その人がお兄ちゃんの良さが分かる人でありますように。




自分では判断出来ないものになっているので、この作品に面白味を感じられた方や、感じられなかった方は評価や感想で何か書いて下されば有難いです。
そして、自分としてはまだ本題に入っていない作品なので、そこも意識して頂きたいです。
読んで頂いてありがとうございました。
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