ビスマルクとプリンツと俺   作:スパイラル大沼

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艦娘

 

 

 

〜ヒロside〜

 

目を覚ますと、知らない天井だった。えーっと……俺どうしたんだっけ……確か、ゲーセン行って、金カツアゲにあって……喧嘩して……ボコボコにされて……。

 

「いって……」

 

あの野郎……本気で蹴りやがって……。すこし泣きそうだったぞ。あっ!財布!慌てて尻ポケットを触ると、ちゃんと財布が入っていた。中も無事。これで今月の生活費は持つな。

 

「はぁ……良かったぁ……」

 

「何が良かったのよ」

 

「へあっ⁉︎」

 

横から声をかけられた。ぶっきらぼうな声とは真逆で、ホッとしたような顔のビスマルクが立っていた。

 

「ビスマルク……ここ、どこ?」

 

「鎮守府よ。そこの医務室」

 

「病院のほうがいいと思ったんですけど……どこにあるのかわからなくて……」

 

「プリンツもいたのか……。なんか、悪いね。かっこ悪いとこ見せて」

 

俺は自虐的に苦笑いした。

 

「ほんとよ……威勢良く挑んだと思ったらボコボコにされるし……かっこ悪いにもほどがあるわよ」

 

「グハッ」

 

ビスマルクに責められるように言われた。

 

「そもそも、艦娘の私が負けるわけないのにどうして出しゃばったのよ」

 

「それは………」

 

言ってもいいのだろうか……。ていうか、彼女たちは世間の艦娘の目を知ってるのだろうか。

 

「言いなさい」

 

ジッと見られてしまい、仕方ないので言う事にした。

 

「……ほら、世間だと艦娘って嫌ってる奴もいるでしょ?そんなのが街の真ん中で暴れたら、もう街に出られなくなるし、一緒に勉強会も出来なくなるじゃん。だから、俺が何とかするしかないと思って……まぁ、ボコボコにされたけどね」

 

「……………」

 

「悪かったな……役に立たなくて。俺、運動苦手でさ…もやしっ子だし」

 

「バカね」

 

「えっ?」

 

「バカですね」

 

「プリンツまで⁉︎」

 

な、何なんだこいつら……我ながらベスト判断だと思ってたんだが……。

 

「それでヒロがボコられてら意味がないですよ」

 

「そうよ。すごく心配したんだからね」

 

「………ご、ごめん」

 

お、怒られてしまった……。

 

「で、でも………」

 

ビスマルクが顔を赤らめながらモジモジする。そして、俺をチラッと見て言った。

 

「ありがと……気を使ってくれて……」

 

「………べ、別にい……」

 

……いよ、と言おうとしたときだ。医務室の扉が開いた。で、なだれ込んでる女の子たち。

 

「バカ!押すなって言ったろ!」

 

「明日の暁じゃないわよ!」

 

「ナニナニー?何の集まり?」

 

「わっ!ビス子が男連れ込んでる!」

 

「プリンツもいるじゃん!なに、男取り合ってるの⁉︎」

 

などと艦娘と思われる子達がいた。それもたくさん。これ何?女の園?と、思ったら小学生くらいの子達が俺の寝てるベッドの近くに寄ってくる。

 

「わー!司令官以外の男の人なのです!」

 

「雷よ!かみなりじゃないわ!そこんとこも、よろしく頼むわね!」

 

「文月っていいます〜」

 

「えっ?ち、ちょっと待って……」

 

と、思ったら今度は俺と同じくらいの歳の子が来た。

 

「鈴谷だよ!もしかして、ビスマルクかプリンツの彼氏?」

 

「か、彼氏ぃ⁉︎ちっ、違うよ!」

 

「顔赤くして、かわいいねぇ〜鈴谷が付き合ってあげよーか?」

 

「ふ、ふぇ⁉︎」

 

「じょーだんだよ!顔赤くして、ほーんと可愛いねぇ!」

 

言いながら俺の腕に抱きつき、頬をツンツンしてくる鈴谷。や、柔らかい何かが………と、思ってると、ビスマルクが言った。

 

「あんた達、覗いてたわね?」

 

シンッと、全員黙る。と、思ったら鈴谷が言った。

 

「ぜ、全員たいさーん!」

 

「こらー!待ちなさーい!」

 

出て行く艦娘のみんなと追い掛けるビスマルク。残されたのは俺とプリンツだけとなった。

 

「………なんか、みんな個性的な子ばかりだったね」

 

「………………」

 

「プリンツ?」

 

「鼻の下、伸びてましたよ?」

 

「えっ⁉︎い、いやそんなこと……!」

 

「鈴谷さんの胸を腕で感じて少しニヤニヤしてました」

 

「う、嘘⁉︎」

 

ムスーッとなぜか不機嫌そうな顔をするプリンツ。

 

「な、なんで怒ってんの……?」

 

「怒ってません」

 

「い、いやでも」

 

「怒ってません」

 

明らかに怒ってるよなぁ……。

 

「今度、埋め合わせ」

 

「は?」

 

「今日はゲーセンで終わっちゃったから、もう一回ビスマルク姉様と私とデート。それで許してあげます」

 

「お、俺は別にいいけど……そっちは休暇あるの?」

 

「作ります」

 

「ま、マジでか……」

 

「それで、どうするんです?」

 

「いや、そんなんで許してもらえるならそれでいいよ」

 

「…………そんなん?」

 

「あっいやっ今のは言葉の綾で……」

 

「冗談ですよ。じゃ、そういうことで」

 

「ああ。わかったよ」

 

と、こんな感じで約束したときだ。また誰かが入って来た。

 

「おーい、ビス子かプリンいるかー?」

 

今度はおっさんだった。いや、若いか。CCAのアムロくらいの年齢の人。三十路じゃん。

 

「あ、提督!どうされました?」

 

「いや、その子の事なんだけど。もう夜だからお前らの部屋で泊めていってあげろよ」

 

「ふえっ⁉︎」

 

その台詞に反応したのは俺だった。

 

「ち、ちょっと待ってくださいよ!お、女の子の部屋に俺が泊まるんですか⁉︎」

 

「大丈夫、お前なんかヘタレそうだし、間違いを起こそうにも返り討ちにある未来しか見えない」

 

「そ、そういう問題なんすか……」

 

「とにかく、泊まってけ。いいな?」

 

「は、はぁ……」

 

「てなわけで、プリンツ頼むぞ」

 

「りょーかいです!」

 

笑顔で敬礼するプリンツ。こいつはこいつで問題だと感じてないしよ……。

 

「じゃ、ヒロ。私と姉様の部屋に案内しますね!」

 

「あ、うん」

 

俺今日寝れるのかなぁ……。

 

 

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