飯の後、なんとか土下座して許してもらい、食器を片付けに向かった。
「ごちそーさまでした」
「お粗末様です」
間宮さんが笑顔で言った。その間宮さんは食器洗いをしている。隣には大量に積まれた皿やお椀があった。
「あの、間宮さん。手伝いましょうか?それ」
「え?」
「俺は泊めてもらってる身ですし、手伝わせてください」
「それじゃあ……お願いしちゃおうかしら」
「任せてください。こう見えて家では家事しかやってませんから」
で、俺は早速お手伝いする。しばらく皿を洗い続けてると、間宮さんが俺の手元をジーッと見てるのに気付いた。
「………なんですか?」
「あっ、いえ。随分手際がいいと思いまして」
「慣れてますからね。炊事洗濯家事全般にご近所付き合い、妹の送り迎えすべてこなせます」
自慢気に胸を張った。自分で言うのもアレだけど、ここまでできる男子はそういないと自負している。と、思うけど出来ないよね?
「妹さんいるんですね。何年生ですか?」
「中2と小6です。中2の方が空手やってて身長抜かされました。けど、未だにそいつ寝坊助で毎回、朝起こしてますし、学校まで送ってますし……」
「あ、あははっ……」
「歯磨きも手伝ってあげてますし、風呂嫌いで一緒に入ってあげてますね」
「あ、あれ?ちょっと甘やかし過ぎじゃないですか?」
「逆に妹の方なら俺と同じで炊事洗濯家事全般なんでもこなせる上に成績もいいんです。だから、俺がいない時とかは家事任せてますね。けど……未だにおねしょが治らないんです」
「な、中々濃い妹さんたちですね……。ていうかじゃあ今家は……」
「2人合わせればまともなので、大丈夫だとは思いますよ。多分……」
「一応、不安なんですね……」
なんで話してる間に、洗い物は片付いた。
「ふぅ……これで全部ですか?」
「ええ。ありがとうございます。お礼と言ってはなんですが、これをどうぞ」
渡されたのは「アイス引換券」と書かれた紙だった。
「これは……?」
「いつでも私のところに持ってきてください。ご馳走しますから」
「あ、ありがとうございます」
それで別れた。アイス、か……風呂上がりにでも食べるか。そう決めながら食堂を出ると、
「あ、いたいた」
提督さんに声をかけられた。
「探したぞヒロ」
うわあ、馴れ馴れしい。別に気にしてないけど。
「なんですか?」
「少し君に用がある。ついてきてくれるか?」
「は、はい」
一応、頷いておいた。さっきも言ったが、こっちは泊めてもらってる身だ。出来る限りのことは答えたい。
「こっちだ」
そう言うと提督さんは歩き出した。俺はそのあとを続いた。
*
到着したのは鎮守府の屋根の上だった。提督さんは真っ黒のタイツを着て、双眼鏡に携帯を持っている。
「………何するんすか?」
「決まってるだろ」
そこで言葉を切って、いい顔で言った。
「覗きだ」
「はぁぁぁぁぁぁッッッ‼︎‼︎⁉︎」
「バカ!デカイ声出すんじゃねぇよ!」
な、なに言ってんだこの人……。
「いやー実はさ、前から一度は覗きやってみたかったんだけど、中々1人じゃ勇気出なかったんだよねー。だけど、今日はヒロいるじゃん?ちょうどいいな〜って」
「嫌ですよ!そんなアホなことに俺を巻き込まないでください!第一バレたら……!」
「ヒロ!」
鋭い声が俺の台詞を遮った。そして、言った。
「従わないと夕立泣かしたことバラすぞ」
「き、汚ねぇ……つーかなんで知ってんの」
「それが俺だ。さて、行くぞ!」
「ち、ちょっと!行くぞも何も俺まだなんも聞かされてないですよ!」
「………つまり、行くってことでいいのか?」
「そ、それは………!」
「ちなみにビスマルクとプリンツも今の時間に入ってるぞ」
「いやあの2人関係ないでしょ!」
「………まぁいい、とにかく行くぞ!」
「や、だから……!」
俺が止めさせる言い訳を思いつく間も無く、覗きへと連行された。