「………ねぇ、プリンツ?」
「な、なんですか?」
「何かしらアレは……」
「だ、第六駆逐隊のみんなとヒロ、ですね……」
「そんな、ことは!わかってるわよ!」
「そ、そんな怒鳴らないで下さいよ〜!」
クワッ!と表情を変えて大声を出す私に、プリンツは涙目で困った顔をする。
一方、それにまったく気付いてないヒロは第六駆逐隊と買い物を進める。
「それで、後は何を買いに来たの?」
「え、えーっと……あとは牛乳だけなのです!」
「牛乳か。実は牛乳にも色々あって、俺のオススメは成分無調整の北海道産がオススメだ」
「あ、あの!待ってくださいヒロさん!」
「ん?どうした電ちゃん?」
「そ、その……手を繋いで、欲しいのです……」
「ああ、いいよ。他の子は?」
「響だよ」
「ち、ちょっと待ちなさいよ!私だって手を繋いであげるわ!」
「早い者勝ちさ」
「こらケンカすんなー。暁はどうする?」
「こ、子供じゃないんだから!手なんて繋がないわよ!」
と、ワイワイキャッキャッと下手したら通報されそうな雰囲気で五人はパック飲料売り場の方へ。
その背中を見ながら、私はフラストレーションをメーター振り切るまで溜めながら後をつけた。
「あの、ビスマルク姉様?あれは子供をあやしてる感じなのでそんな嫉妬なんてしなくても……」
「………嫉妬?何を言ってるのかしらプリンツは。私にはさっぱり分からないわ」
「あ、あはははー……はは……はぁ……ヒロのバカ……」
許さないわよヒロ……。あれもこれもそれもどれもヒロが悪いんだからね……!何なら今から砲撃してやろうかしら。艤装ないけど。
「あ、あの、ビスマルク姉様?気に入らないのでしたら、さっさと暁ちゃん達に迎えに来たと言えばいいのでは?」
「ヒロ……許さないわよ……見てなさい……」
「き、聞こえてない……」
諦めたようにため息をついたプリンツが携帯をいじり出すが、私は無視してヒロの尾行を続ける。
牛乳のところに到着し、ヒロは第六のガキどもに牛乳について説明を始めた。すると、その時だ。
「あっ、悪い」
突然、ヒロがポケットから携帯を取り出した。画面を一瞬見たあと、急にこっちに振り向いた。
「⁉︎」
「あ、おーい。ビスマルク、プリンツ!」
「ッッ!」
思わず隠れてしまった。そして、ギロリとプリンツを睨む。
「ぷ、プリンツ!あなた……!」
「え、えへへ……おーい、ヒロー!」
「へっ⁉︎ち、ちょっとプリンツ……きゃあ!」
プリンツは隠れた私の手を引いてヒロの方に出て行った。
「何やってんだこんな所で?」
「あ、ビスマルクさんとプリンツさん!」
「すぱしーば」
「こんにちはなのです!」
元気良く挨拶してくれる第六駆逐隊の子達。あ、やばい、どうすんのよこれ。ヒロと、あれ、ほんと、どないしましょっ。
「こんにちは、ヒロ」
挨拶してから、プリンツは私を見た。「挨拶しろ」的な視線だ。
「よう、ビスマルク」
向こうから先に挨拶されてしまった。あ、えと、その……!
「ほ、本日は!お日柄もよく……!」
「? 何言ってんの?」
「じ、じゃなくて……!えと……!」
「みんな、間宮さんが心配してましたよ。早く買い物終わらせて帰りましょう?」
な、何を言い出すのプリンツ!
「はーい!」
「ヒロさん、ありがとうございましたなのです!」
「ハラショー」
「またね、ヒロ」
プリンツは第六駆逐隊を連れてレジにむかってしまった。は、はわわわ!ど、どうしよう……!だ、だめよ!せっかく二人きりなんだから……!このチャンスを活かさないと!
「あ、あの、ヒロ!今度の日曜に……!」
とりあえずデートでも誘おうとした。が、目の前にヒロの姿はなかった。
「………あり?」
*
〜プリンツside〜
ふぅ……これでビスマルク姉様とヒロは二人きりのはず。後は私は姉様次第ですよ!と、心の中で声をかけた時だ。
「おい、いいの?ビスマルク置いてきちゃって」
声が聞こえた。振り返ると、呑気な顔でヒロが突っ立っていた。
「何やってんですかッ⁉︎」
「うえ⁉︎」
思わず怒鳴ってしまった。
「あ、暁ちゃん達、ちょーっとごめんね?私、ヒロとお話があるから。先にスーパーの前で待っててくれる?」
「「「「はーい!」」」」
「へ?話って?」
私はすっとぼけてるヒロの手首を掴んで無理矢理店の端へ向かった。
「ねぇ、何やってんですかヒロ?バカなんですか?何のためにあの子達連れ出したと思ってんですか?」
「へ?買い物じゃねーの?」
「ち、が、い、ま、す、よ!あなたとビスマルク姉様を二人きりにするためでしょうが‼︎」
「え、なんで?」
「それは……‼︎」
説明しかけた所で止まった。それを言うわけにはいかなかった。
「と、とにかく!ビスマルク姉様の所に戻って下さい!いいですね⁉︎」
「お、おう?……あ、でもちょうど良かった。プリンツに話があったんだ」
「………なんですか?」
思わず睨みつけてしまった。この後に及んで何の用だ、と思ったからだ。
「あのさ、今度の日曜日、空いてる?」
「…………は?」