そんなわけで、私とプリンツと男の子は鎮守府に向かった。
「っと、名前を言ってなかったわね。私はビスマルク。よろしくね」
「私はプリンツ・オイゲンです」
一応、艦娘であることは伏せておいた。世の中には艦娘を化け物だと思っている奴もいるらしいからだ。
「俺は、広田ヒロです。………それで、鎮守府にいくってことは艦娘さんなんですか?」
伏せた意味がまったくなかった。この子、結構鋭いわね。
「そうよ。何か問題でも?」
「いえ、そういうわけじゃありませんが……艦娘さんって初めて見るので」
「そうなの?鎮守府のある町に住んでるのに?」
「はい。単に、見たことあっても俺が気付いてないだけかもしれませんけど」
「そういえば、私達も日本の艦娘って初めて見ますからね!」
隣のプリンツが元気よく言った。
「ねぇ、そういえば日本人は礼儀正しいっていうけど、どんな感じなの?艦娘もそうなの?」
気になって聞いてみた。余り堅苦しいのは得意じゃない。特に、タタミの部屋でサムライがセイザしてるような感じはすごく嫌だ。
「いえ、人によりますよ。ちゃらんぽらんな奴もいればクソ真面目もいます。でも今時、ビスマルクさんが想像してるような武士道的な人はいませんよ」
「んなっ……!そ、そんなこと考えてないわよ!」
なんで考えてることが分かるのよこいつ……。エスパーなの?
「でも外国に比べたらやっぱり厳しいところもあるかもしれないですね」
「ふーん……」
「じゃあ、何かお土産とか買っていったほうがいいですか?」
プリンツが聞いた。
「そこまですることはないと思いますよ。ていうか、もう横須賀にいますからね。横須賀の人に横須賀のお土産買ってっても仕方ないでしょう」
「あ、あははっ。そうですね」
なんて話しながら3人で鎮守府に向かった。
「それはそうと、それ地図ですよね?どうやって地図持ってて迷ったんですか?」
「迷ってないわよ!」
「ああ、そうでした。そういう事にしとくんでしたね」
絶対わざとだ!このガキ絶対ドSだ!
「姉様、迷ってたんですか?」
「えっ?い、いやそれは……」
ど、どうしよう……。なんて言い訳すれば……。
「あ、あれよ!せっかく日本まで来たんだから色んなところを回りたかっただけよ!だから迷ってなんかないわ!」
「そ、そうですよね!姉様に限ってそんな事ないですよね!」
な、なんとか誤魔化せた……。が、このまま誤魔化した所で私達が困るのも事実なのよね……。私はなるべくプリンツに聞こえないようにヒロに言った。
「じ、実は私……余りカンジが得意じゃないのよ。だから道の標識とか地図見ても読めなくて……」
「なるほど……」
「このままじゃ困るのよね……。これから行く鎮守府でも指令書とかにカンジたくさんあるだろうし……でも向こうの人に教わるんじゃ『事前に勉強しとけよ』って言われちゃうし……」
「そうだ!じゃあヒロさんが教えてくださいよ!」
プリンタが元気良く思いついたように言った。つーか話聞かれてた。ダメだこれ私の威厳消えたわ。
「は?ていうかいきなり名前呼び?」
「ヒロさん学生さんですよね?だったら頭良いですよ!」
「い、いやいや待って下さいよ。それは飛躍しすぎじゃ……一応、学年2位だけど」
軽く自慢したような台詞が聞こえたんだけど。
「お、俺は別に構わないですけど……部活も入ってないですし……」
「いいですよね⁉︎ビスマルク姉様!」
「え、ええ?」
教わるの?こんなチャラ男に?いやチャラいの見た目だけだけども。
「で、でも……私たち艦娘よ?中々時間取れるか……」
「時間は自分で作るものですよ姉様!」
「そ、そうね……」
「聞くは一時の恥って言いますし!」
「そ、そうなの?……あっいやそうね。聞かぬはその後の恥って言うし」
「一生の恥です姉様」
……………仕方ないわね。
「じ、じゃあ、お願いできるかしらヒロ?」
「は、はい。分かりました」
「LINEとか交換しておきましょう。教わる立場でこんなこと言うのもアレだけど、中々時間取れないと思うし」
「分かりました。あ、ちょうど着きましたよ。鎮守府」
ヒロの視線の先にはいかにも軍の建物のような建物があった。
「あ、ほんとだ」
「ふるふるでいいですか?」
「いいわよ」
「フルフル?目のない飛竜種でしたっけ?」
「違うわよプリンツ」
なんて話しながら交換した。
「では、また今度」
「ええ、ありがとうねヒロ」
「ありがとうございます、ヒロさん」
「いえ、では」
そのままヒロは帰って行った。