ビスマルクとプリンツと俺   作:スパイラル大沼

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勉強会一回目

 

 

〜ビスマルクside〜

 

翌日。私とプリンツは早速演習となった。

 

「これが終わったら、ヒロとお勉強ね」

 

「そうですねお姉様。楽しみです」

 

「お勉強って何〜?」

 

北上に聞かれた。

 

「えっ?い、いや何でもないわよ」

 

一瞬、迷ったものの答えるのはやめておいた。日本語分からないのがバレる。

 

「ふーん、まぁなんでもいいけど。まぁ演習だから轟沈とかないし、ゆるゆるとがんばろーねー」

 

と、いかにも本人らしいゆるい挨拶をする北上は今日の旗艦だ。本当にこんな人で大丈夫なの?とは思ったが、周りの人の意見曰く、戦闘ではとんでもないらしい。

 

「き、緊張しますね姉様……」

 

「大丈夫よ。私があなたを守ってあげるから」

 

「姉様……」

 

「索敵開始」

 

飛龍と千歳が艦載機を飛ばす。

 

「敵艦隊発見!」

 

そして、演習が始まった。

 

 

 

 

数時間後。演習が終わり、私とプリンツは約束の店に向かった。店の一番奥には見覚えのある背中が見えた。

 

「お待たせ」

 

「グーテンターク、ヒロさん」

 

「あっ、どうも……」

 

「相変わらず制服なのね」

 

「学校帰りなもんで……」

 

むっ、もう忘れたのかしら。

 

「敬語禁止って言ったでしょ?」

 

「え?あ……いやでも今俺敬語使ってました?」

 

「はい、今使ったー。アウトー」

 

「うわあ、うぜぇ……」

 

なんて言いながらも私とプリンツはヒロの前に座った。

 

「さて、じゃあ宜しくお願いします。ヒロさん」

 

「ヒロでいいよ、プリンツ。じゃあとりあえず、これ」

 

ヒロはなんか紙を取り出した。その紙には文のようなものが書かれていた。

 

「? 何よこれ」

 

「その中で漢字にふりがなふって」

 

「はぁ?なんでそんな……」

 

「分かりました!」

 

隣のプリンツが素直に従っているので、私も仕方なく従った。………うっ、結構読めないわね……。でも、プリンツの前だし……。

 

「ビスマルク、見栄は張らなくていいからね。それやると意味ないから」

 

「は、張ろうとなんてしてないわよ!」

 

だからなんでわかるのよこいつ。しかもあの余裕のある笑顔がムカつくのよ……。と、とにかくやらないと。

…………何よこの「籠球部」って。すごくかっこいいわね。ドラゴンの球の部活?なんてやりながらヒロに出された課題をやること数分後、

 

「出来ました!」

 

プリンツが先に終わらせてしまった。

 

「ん、じゃあ見るから貸して」

 

ヒロは言いながら紙を受け取り、採点を始めた。………むむむっ、中々丸が多いわね……。

 

「ビスマルク、人の採点見てる暇があるなら終わらせてね」

 

「だ、だからなんで分かるのよ!」

 

こっちに見向きもしてない癖に!

 

「姉様、ちゃんとやりましょうよ。せっかく教えてもらってるんですから」

 

「わ、分かってるわよ!」

 

プリンツにまで言われてしまい、仕方ないので私も取り組む。………全然読めない。やっぱりこんなの受けるんじゃなかったわ……。ある程度は分かるものの、やっぱさっぱりわからない。

 

「………はいっ、プリンツ。53点。中々出来てるんじゃないかな。小学生レベルの漢字は」

 

「ほんとですか⁉︎」

 

「うん。でも二字熟語とかは苦手みたいだから、そこをやろう」

 

「分かりました!」

 

ふんっ、出来てると言ってもそんなものだったのね。

 

「出来たわよ」

 

「ん」

 

それならプリンツには勝ったわね。私はせめて中学生レベルは出来てるはず……、

 

「び、ビスマルク……」

 

「な、なに?」

 

「12点……どうやったらそんなにペラペラ日本語話せるのにこんな点数取れんの?」

 

「へあっ⁉︎」

 

「ぷふっ……」

 

隣で噴き出すプリンツをギロリと睨み付けた。すると、申し訳なさそうに顔を伏せるプリンツ。………あんた後で覚えてなさい。

 

「そ、そんなに酷いの⁉︎」

 

「うん……。ま、まぁ外国の人だし、仕方ないよな。これから学べばいいと思うし……」

 

「ううっ………」

 

泣きそう……歳下にフォローされるわプリンツには笑われるわ……。

 

「例えばビスマルクは、この『帰る』ッて漢字の『かえる』って読みは出来てるけど、『き』って読む方を知らなさ過ぎる。そっちの読みを覚えるには2字熟語が手っ取り早いから、2人とも同じ事をやろうと思う。今日はここまでにして、また次に出来る日にやろう」

 

「はーい!」

 

「はーい……」

 

どうやってもドヨーンとした声しか出なかった。私って……そんなにバカだったんだ……。ショボーン肩を落としてると、頭の上に手が置かれた。ヒロだった。

 

「大丈夫、俺がフツウの日本人レベルにはしてやるから。今はバカでも大丈夫だよ」

 

「……………」

 

思わず感動して涙が出そうになった。と、共に歳下に慰められてると自覚した。

 

「って、こ、子供扱いしないでよ!」

 

「……あっ、ご、ごめん!その、拗ね方が妹に似てたからついいつもの癖で……」

 

「あんたの方が私より歳下でしょうが!」

 

「だ、だからごめんって!」

 

ムカつく!ムカつくムカつくムカつく!なんなのよこいつゥ〜ッ!

 

「見てなさい、いつかあんたより漢字出来るようになってやるんだから!」

 

「それは無理だろ……。俺、こー見えて学年二位だから成績」

 

「ムグッ……見た目チャラい癖に……!」

 

「茶髪は地毛だよ」

 

「耳にピアス空けてる癖に!」

 

「友達にやられたんだよ。あのときはすげー痛くて泣きそうだった」

 

「うぐっ………」

 

「姉様、むしろヒロは礼儀正しい方だと思いますよ?」

 

「ていうか、ファーストコンタクトの時からタメ語のビスマルクの方が礼儀知らずだよ」

 

「うぐぐっ……!」

 

く、くそう……何も言い返せない……。

 

「と、とにかく!これから頑張るんだから!プリンツ、帰るわよ!」

 

「あっ、はい!ヒロ、ありがとうございました!」

 

「ううん。次に会える日、決まったら教えて」

 

「はい!」

 

見てなさい……ぜぇーったいに日本語読み書き出来るようになるんだから……!そう心の中で違って、私はプリンツと鎮守府に引き返した。

 

 

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