銀魂 真選組の新隊員 作:残月
カブト狩りから数日後、刹那は土方に呼び出されていた。
「刹那、鍛冶屋に行って刀を貰ってこい」
「………?」
土方の言葉に小首を傾げる刹那。
「お前も屯所内の仕事や警邏の仕事も出来るようになってきたが刀はまだ持たせちゃいなかっただろう。これから攘夷志士共とやり合うかも知れねぇんだ。刀は持って置いた方がいい」
土方の言葉通り刹那は専用の刀を持っていなかった。今までは一緒に居た隊士達に刀を借りたり、無手で泥棒を捕まえたりとしていたが真選組である以上、刀は必須となる。
「よーし、俺も一緒に行って刹那の刀を選んでやろう!」
「何言ってんだ近藤さん、アンタは例の連続辻斬り事件の担当だろうが!」
刹那と共に鍛冶屋に行こうとした近藤だが担当している事件があると土方に首根っこを掴まれた。
「待て、トシ!こっちも重要なんだ!」
「駄目だっての!刹那、さっさと行って来い!」
駄々をこねる近藤を引き摺って土方は行ってしまい、刹那は土方に言われた通り、鍛冶屋に向かった。
「ハハッ……すっかり局長も親バカだ」
そんな光景を見ていた山崎は近藤の親バカ振りに笑みを溢していた。
一方、鍛冶屋に着いた刹那は様々な武器を眺めていた。
鍛冶屋には話が通っていたらしく、刹那が来た時に店主は柔やかに刹那を受け入れていた。
「ダブルトマホーク有る?」
「いや、ウチにはそんなゲッ○ーロボが使う様な武器は置いてません」
武器を眺めていた刹那が店主に問うが店主は苦笑いで返した。
「それで……刹那さんはどんな刀をご所望で?」
「わからない……いつも適当に使ってたから」
店主の言葉に返答に困る刹那。
そもそも刹那は組織にいた時代に様々な武具を使用していたので得意不得意もなく武器を扱える。
故にどの刀を得れば良いのか分からなかったのだ。
「では、いくつか手にとって確かめてみては?手に馴染む刀こそ刹那さんの刀になる筈です」
「………ん」
そう言われていくつかの刀を手に取る。しかし馴染むような感じはしなかったのか、頭に?マークを浮かべながら刹那は小首を傾げていた。
刀以外にも槍や斧、鎖鎌や小刀、小太刀、斬馬刀に至るまで手に取るが刹那にはしっくり来なかったのか悩むばかりである。
「お嬢さんの手には馴染みませんか……特別な刀でも拵えた方が宜しいかもしれませんな」
「……特別な刀?」
刹那は店主の言葉に反応する。
「ええ、今噂の辻斬りが持ってる刀……なんでも妖刀らしくてね……なんでも赤く血のように染まった刀らしいんですよ」
「妖刀……」
妙な雰囲気で語る店主の言葉に刹那は今朝、近藤達が話していた辻斬り事件では?と思い始めていた。
「ま、噂は噂ですがね。刹那さん何だったら幾つか武器を持っていきますか?」
「……いいの?」
店主は先程のは噂だと笑い飛ばすと店の奥から幾つかの武器を持ってきた。
「試作や試し打ちの物ばかりでしてね。出来たら使い心地を教えて頂けたらと……」
「……ん、わかった」
店主は刹那を武器のモニターとする気の様だ。
刹那も刹那で馴染む武器が無いのならと引き受けると武器の入った鞄を受け取る。
中には刀や槍なども入っておりバリエーションは豊富な様だ。刹那が鞄を背負うと鞄をからハミ出た武具が頭を覗かせる。
少女と武器。ここまでミスマッチな組み合わせだが刹那には妙に似合っていた。
今の刹那を表現するなら『武蔵坊弁慶・刹那版』である。
「ありがとうございました。武器の使い心地は後ほど教えて頂ければ結構ですので」
「……ん」
店を出る際に刹那に声を掛ける店主。刹那は振り返ると武器が鞄から落ちない程度に頭を下げ、店を出た。
「……ん。重い」
小柄な刹那には鞄に入った武器は少々重かった様だ。フラフラしながら刹那は真選組屯所への道を歩き始める。
店に居た時間が長かったのか外はもう暗くなり始めていた。
鍛冶屋から出て来た刹那を何者かが見ていた。
笑みを溢すと男は刀を鞘から抜き、自身の舌で唇を舐めた。
獲物を見つけたと喜ぶ男は刹那の後を追う。
その手に握られた刀は
赤く
紅く
染まっていた
淡く鈍い紅色に
次回より紅桜編突入予定