銀魂 真選組の新隊員 作:残月
攘夷志士にお通が捕まってしまった為に刹那は抵抗する訳にもいかず、静かに攘夷志士達に従うことにした。
この攘夷志士達の名は『天狗党』と言うらしく、先日真選組に大量検挙された攘夷志士グループだったのを刹那は思い出していた。
天狗党も刹那を覚えていたのか刹那を警戒し、槍を突き付けながら歩かせていた。
「何処に行くの?」
「異菩寺だ」
刹那は少しでも情報を聞き出そうと歩きながら行き先を問う。そして行き先を聞いてから首を傾げる。
「…………痛いの?」
「それはイボ痔だろ。異菩寺だ」
刹那は変換を間違えたが異菩寺(いぼじ)と言う名の寺に行くらしい。
そしてどうやら其処に連れて行き、何かをする様なのだがそれ以上の情報は引き出せなかった。
異菩寺に連れて来られた刹那とお通。
其処にはここ最近で騒ぎとなっていた連続婦女誘拐事件の被害者の女性が複数居た。
どうやら連続婦女誘拐事件も天狗党が引き起こしていたらしく、刹那は天狗党を睨むが天狗党は勝ち誇った顔をするだけだ。
「ふん、いくら睨もうが手は出せまい。おい、一日局長を縛っておけ」
「い、痛いっ!」
リーダー格の男に命じられ他の男がお通の腕を乱暴に掴むとお通を縄で縛り始める。
「お通!」
「動くな!」
刹那は咄嗟に天狗党に飛び掛かろうとするがお通に槍の先を向けられ立ち止まる。
「妙な動きをするなよ。おっとそうだ、お嬢ちゃんの服を預からせて貰おうか?」
「刹那ちゃんに何をする気なの!?」
刹那に服を脱げと要求した天狗党にお通が叫ぶ。
「ストリップも見てみたいが、このお嬢ちゃんは危険なんでね。携帯や武器を預かるだけだ」
「…………ん」
刹那はお通に被害を及ばせない為に上着を脱ぐと天狗党に渡す。
刹那の上着には携帯や安兵衛作のメリケンやナイフが数点出て来た。
「ククッ……やはり武器を隠していたか。おい、他の所にも隠してないか調べろ」
「おうよ、任せな。クックックッ……」
下卑た笑い方をしながら男が刹那の体に触れる。
「……く……ん……」
「動くなよ。ボディチェックなんだからな」
刹那の体を弄る男はボディチェックと言いながらも関係の無い刹那の太股や胸、お尻を一頻り撫でる。
周囲の天狗党達もニヤニヤとその光景を見て笑い、人質となった女性やお通は見るのもツラいと顔を背けた。
「他に危険物は無さそうだな。だが念の為に縛らせて貰うぜ」
「………んぅ」
散々体を触られた刹那は不快感を露わにしていた。
刹那は上着は取り上げられていたのでワイシャツにスカートとソックスのみの状態で縄で縛られる。
因みに縛られたのは上半身だけだが腕事グルグル巻きにされた為に手は使えない状態だ。
「クックックッ……攘夷志士を捕まえる真選組が人質が居るだけでこの様とはな」
「…………」
刹那の顔に触れる天狗党の男に刹那は睨むだけで何もしなかった。
「おい、マスコミに電話だ。真選組を潰すチャンスの上に世直し改革の一歩になる」
「おうよ」
刹那が動けないことを良いことに次々に行動を起こす。
刹那は今後、どうするかを考え始めた、その時だった。
「幕府にもマスコミにも我々が本気である事を示さねばな。おい、人質を数人殺せ!一人や二人減った所で問題ない!」
「そりゃいいな、さぁて……どの娘にしようかな……」
リーダー格の男に命じられ天狗党の一味は刀を出すと人質に歩み寄る。
人質の女性達は恐怖に顔を引き攣らせ、ブルブルと震え始める。
「これでマスコミが来れば……我等の悲願も叶う……」
「ブキャアっ!?」
リーダー格の男が窓から空を眺め悦に入ろうとした瞬間、背後から情けない悲鳴が聞こえた。
振り返れば先ほど、人質を斬ろうと近づいた男が鼻から血を流し倒れていた。
「………」
「な……な……何しやがんだテメェ!」
人質を斬ろうとした男を倒したのは刹那だった。
刹那は腕を縛られているので近づいた男が油断している隙を突いてハイキックで沈めたのだ。
しかもハイキックで倒れた男に対してハイキックの勢いを殺さないまま浴びせ蹴りを叩き込んだ。
そして男は受け身も取れないまま顔面から床にダイブする形になり鼻から血を流すに至ったのだ。
刹那の突然の反撃に天狗党は槍の先を刹那に向けるが刹那は動じなかった。
「勘違いしないで……私が大人しく捕まったのは槍を突き付けられて恐がった訳じゃない」
縛られた状態の刹那だが刹那からは凄まじい殺気が溢れていた。
「人質の人達やお通に何かあったら……私が此処で大人しくしている理由なんて……ない」
「っ!……くっ……」
刹那の言葉が偽りでは無いと悟ったリーダー格の男は焦り出す。
人質が居て縄で縛っているのだから抵抗も出来ないだろうと踏んでいた考えが浅はかだったと思ったからだ。
しかし目の前の少女はどうだ?
自分が迂闊な行為をすれば間違いなく此方をかみ殺しに来るだろうとヒシヒシと感じていた。
「チッ……人質を斬るのは止めだ!だが、そのお嬢ちゃんは足も縛っておけ手には手錠だ!」
リーダー格の男は人質に手を出すのを止めると手下に刹那に対する指示を出す。
「動くなよ……動いたら今度こそ人質は……」
「…………ん」
先ほどと違って慎重に縄を縛りに来る一同。
刹那に沈められた男の二の足を踏むのは勘弁と思ったのか、若干丁寧な縛り方になっていた。
刹那はコレで腕事、体を縛られた上に足も膝の辺りを縛られた。更に手を後ろに回した状態で手錠もされる。
刹那は完全に身動きが出来ない状態になっていた。
「これで……よし」
「リーダー……あのお嬢ちゃんは殺した方が後々の面倒も無いんじゃ」
「駄目だ、真選組への交渉カードになる。それに下手な動きをしてみろ……却って我々の首を狙いに来るぞ」
下っ端がリーダー格の男に耳打ちするがリーダー格の男はソレを却下した。
事実、刹那が行動を起こせば天狗党は即座に壊滅だが人質が居る為に刹那は動かない。
刹那は真選組に対する最大の交渉カードだが裏を返せば人質が居なくなったりしてしまえば交渉カードはジョーカーと化してしまう。
リーダー格の男はソレを非常に恐れた。
そしてそうこうしている内に事態を把握した真選組が漸く、異菩寺に到着したのだった。