銀魂 真選組の新隊員 作:残月
刹那にとって会いたかった。でも会いたくない人物が迎えに来た。
「刹那、心配したぞ!」
「こ、近藤……」
近藤は息切れしながらも走ってくる。どうやら刹那を探して走り回っていたらしい。
「さ、帰ろう」
「………」
近藤は刹那の手を引こうとするが刹那はスッと手を避ける。そして俯いてしまう。
「刹那?」
「駄目」
刹那の態度を不振に思った近藤だが刹那は首を横に振る。
「私は……行けない」
「おいおい、急に何を……」
俯いたままの刹那に近藤は覗き込むようにしゃがむが刹那の顔色は伺えない。
「…………私は兵器だから」
「おい、刹那……」
顔を上げた刹那の表情は出会った頃の様に目が虚ろになっていた。
「変わったと……変われたと思ってた……でも、違ってた。私は前と同じように戦った。ただ……淡々と斬った」
「刹那」
虚ろに。そして感情を押し殺すように話す刹那に近藤は一歩、歩み寄る。
「結局、私は変われてなんかいなかった。ただの感情の無い生体兵器」
「刹那」
話を続ける刹那にまた一歩近付く近藤。
「私は……私は……」
「刹那」
近藤はもう刹那の目の前に立っていた。
「私なんか……居なければよかった!」
「っ!」
刹那の叫びにパァン!と渇いた音が響く。それは近藤が刹那の頬を平手で叩いた音だった。
刹那は驚いた様子で頬を押さえ、近藤は今まで刹那が見た事が無いほどに怒っていた。
「居なければよかったなんて言うな!」
「こ、近藤……」
近藤は叫んだ後に刹那を抱き締める。
「俺は刹那に会えて本当に良かったと思ってる。刹那が感情の無い生体兵器?馬鹿を言うな感情が無けりゃ人を斬って悲しそうな顔するもんか」
「く……う……」
近藤から感じる温もりや近藤の言葉に刹那の力は抜けていく。
「さっきもな、お通ちゃんも謝りたいって言ってたんだぞ。今日一日で随分好かれたな」
「私は……」
抱き締めながら頭を撫でる近藤に刹那の声は震える。
「俺達だけじゃない。鍛冶屋や万事屋だって刹那の事を兵器だなんて思ってない」
「こんど……」
刹那を抱き締める力が強くなる。
「俺達は家族だ。家族を見捨てるなんて俺の中にはあり得ない答えだ。刹那、帰ってこい」
「う……あ………うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
刹那は我慢しきれずに泣き出してしまう。近藤は何も言わずにただ刹那を抱き締めていた。
「あれも家族の形なんですかね?」
「美女と野獣ネ」
「やっちゃたなぁ……まさかあのゴリラが父親に見えるんだもんなぁ……」
誠ちゃん扮する万事屋メンバーはバッチリその光景を見ていたりする。
その後、泣き止んだ刹那を連れて近藤は真選組が待つ異菩寺へと向かう。因みに誠ちゃんとも合流し、一緒に帰った。
異菩寺に到着するとお通や人質になっていた者達が刹那に駆け寄り礼を言う。気が動転して、刹那に酷いことをしたと皆が泣いていたのだ。
人質達の和から開放されたと思えば次は真選組がこぞって刹那を構う。頭を乱暴に撫でたり、抱っこされたりと振り回されてばかりだ。
そんな中、土方が刹那の頬の赤みに気付く。
「おい、刹那。その頬はどうした?」
「やっちゃたなぁ……まさか局長が刹那を傷物にするなんて思わないものなぁ……」
土方が刹那の頬に手を添えると誠ちゃんが先程の事を話す。かなり屈折した伝え方だったが。
「局長!どう言う事ですか!?」
「近藤さん、刹那ちゃんに何したんですか!?」
真選組隊士やお通に詰め寄られる近藤。
「ちょ、ちょっと待って……あ、刹那!説明を……」
「…………べー」
刹那に助けを求めた近藤だが刹那は片目を閉じて近藤に舌を出す。
今まで刹那のそんな仕草を見た事が無かった真選組面々は呆気に取られる。
その時の刹那の笑顔は今までで一番、可愛いものだった。