銀魂 真選組の新隊員 作:残月
刹那は土方に付いて回り、警邏の仕事に参加していた。
とは言っても土方的には仕事ではなく、刹那の面倒を見る為である。
それと言うのも……
『トシ、頼む今日は警邏の最中でいいから刹那の日用品とかの買い物に行ってくれ!』
『ああん?なんで俺が近藤さんが行けばいいだろ』
『俺は松平のとっつぁんに刹那を真選組預かりにした事を報告に行かなきゃならないんだよ!俺だって行きたいけど仕方ないんだもん!』
『いい歳したオッサンが語尾に「もん」とか付けるな!』
等と言ったやりとりの後、結局土方が折れて刹那の面倒を見る羽目となる。
土方は苛ついた様子だが刹那は無表情のまま土方の後ろを歩いていた。
「ったく……さっさと終わらせるか」
土方はそう言うと刹那を連れて服屋に向かう。
「おい、悪いんだがコイツの服やら下着やら揃えてくれ」
「は、はい……あのどう言ったご関係で?」
服屋に付いた土方と刹那。土方は刹那を指さしながら店員に頼むが店員が土方に引き攣った笑顔で尋ねる。
どうやら刹那を連れてる事を不審がっている様だ。
「俺は真選組の土方だ。コイツは新入隊士なんだが急な異動で服が無くてな、適当に見繕ってくれや」
「し、真選組の……し、失礼しました!」
土方が名乗ると店員は慌てて頭を下げる。土方はもう良いから行けと言うと店の外へタバコを吸いに出た。
「フゥー……俺がガキの子守なんざ柄じゃねーな」
紫煙を潜らせると土方は空を仰いだ。
何本目か分からなくなる程のタバコを吸い、ボーッと空に消えていく煙をぼんやりと眺めていた土方の服の裾がクイッと引かれる。
土方が視線を移せば服の裾を引いたのは刹那だった。
「なんだ、終わったのか?」
「私はよく分からないから店員が選んだ。店員が土方呼べって言ってたから」
店の外に土方を呼びに来たらしい。
「……ったく」
土方は舌打ちをするとタバコの火を消し店に戻った。
「お客様、お待たせしました。此方がお品物になります」
「おい、コレ全部か?」
店員が柔やかに笑顔で品物を出すが明らかに量が多かった。必要最低限かと思えば袋の数は5は下らない。しかも 許容量ギリギリまで詰めたようだ。
「いやー、まさか真選組にこんな可愛い隊士が入るとは。店員総出で選ばせて頂きました」
「いや必要最低限で良かったんだが」
店員の話を聞く限りどうやら刹那を着せ替え人形にした挙げ句お勧めの服を全部詰めた様子だ。
「刹那ちゃん、また来てね!」
「着せ替えの甲斐がある子よねぇ!」
他の女性店員達は刹那を抱き締めたり頭を撫でたりしている。刹那は刹那でどうしたら良いのか分からず、されるがままだ。
「んじゃ荷物は真選組の屯所に送ってくれ。領収書は真選組局長、近藤付けだ」
土方は意思返しにと服の料金を近藤に付けた。
「おい、刹那行くぞ!」
「……ん」
土方に促されて刹那は女性店員達を振りきると土方の元へ走る。
女性店員達は別れを惜しむようにしていたが「また来てね」と刹那の背中に声を掛けていた。
服屋を出てから疲れたと思った土方だがコレで終わりでは無かった。
雑貨屋に行った際も同じ様な事が起きてしまい、散々待たされた挙げ句、買った品物はかなりの量となっていた。
因みに此方も領収書は近藤付けである。
「ったく……どいつもこいつも変な目で見やがって……」
土方の苛つきは他にもあった。
回る店、1件1件で微笑ましい目で見られたのだ。
刹那も刹那で土方の服の端をチョコンと掴んで後ろを歩く。端から見れば仲の良い兄妹や親子だ。
「ったく……飯でも食うか」
土方は苛ついても仕方ないと時計を見る。時刻は既に昼食時間だ。
「刹那、昼飯だ。俺の行きつけの店に行くぞ」
「………ん」
土方の言葉に頷くと刹那は子軽鴨の如く土方の後ろを歩いた。
所変わって土方行き付けの定食屋。カウンターに並んで座る土方と刹那。土方は早速タバコを吸い始めたが刹那はメニューとにらめっこをしていた。
「何してんだサッサと選べ」
「どれが良いのか分からない」
土方は刹那を急かすが刹那から帰ってきた返答は『分からない』だった。
そう言えば山崎が刹那が、朝食に驚いてたって言っていたと思い出していた。
メニューを見ても料理が分からなかったのだ。
「しゃーねーな。土方スペシャル二人前頼むわ」
土方は助け船を出そうと土方スペシャルを二人前頼んだ。
しかしそれは助け船ではなく駆逐艦である。
土方スペシャルが運ばれて土方は迷わずにソレを食べ始める。
そしてソレに習い、刹那も土方スペシャルを口にした。
口にしたと同時に刹那は口元を抑えてトイレへと駆け込む。
どうやら土方スペシャルは刹那の口には合わなかった様だ。