銀魂 真選組の新隊員 作:残月
気絶から復活した土方だが、未だに妖刀に魂を食われたままの状態でガクガクと怯えていた。
「おい、土方!」
「僕は知らない……僕は知らない……」
九兵衛が話し掛けても目をそらしてガクガクと震えるだけだ。
「しっかりしてください土方さん!このままじゃアナタの大切な人が……大切なものが全部なくなっちゃうかもしれないんですよ!」
「……知らない、僕知らない」
「いい加減にしろ土方!刹那ちゃんの兄貴分のお前がそんな調子でどうする!?」
新八と九兵衛の説得も虚しく、怯えた表情で『知らない』と言い続ける土方。
「銀ちゃん、どうするアルか?」
「……神楽。無線を全車両から本部まで繋げろ」
神楽が無線機を破壊しつつも無線を本部に繋げた。それを確認した銀時が無線機を持つ。
「あー、もしも~し。聞こえますかーこちら税金泥棒。マヨネーズ派だか伊東派だか知ねーが、全ての税金泥棒に告げる。今すぐ今の持ち場を離れ、近藤の乗っている列車を追え。もたもたしてたらテメー等の大将首取られちゃうよ~。こいつは命令だ。背いた奴には、士道不覚悟で切腹してもらいまーす」
間の抜けた声で無線に話す銀時。その無線は他の車両をはじめ、本部にまで届いている。突拍子もない無線に他の車両の誰かが叫び始めた。
『イタズラかァ!? てめェ誰だ!』
「テメェこそ誰に口きいてんだ。誰だと?」
銀時はそこで一際、大きく息を吸い込む。そして叫んだ。
「真選組副長、土方十四郎だコノヤロー!」
銀時がキレ気味に叫び、叩きつけるように無線機を戻そうとしたが何かを思い付いた銀時は再び口を開いた。
「それと刹那ちゃんも現場に向かってるから急がないと乱暴されちゃうよ。薄い本みたいになっちゃうぞォォォォォォッ!」
『『『野郎共、カチコミじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』』』
最後に付け加えた一言に到底警察とは思えぬ叫びが聞こえてきた。
「薄い本って何?」
「……刹那ちゃんにはまだ早いかな」
子首を傾げた刹那に答えをはぐらかした新八。しかし、心中は『刹那ちゃんに何を説明させてんだぁぁぁぁぁぁっ!』と銀時に叫んでいた。
そんな新八を無視しながら銀時は土方に話しかける。
「ふぬけたツラは見飽きたぜ。いい機会だ、真選組が消えるならテメーも一緒に消えればいい。墓場までは送ってやらァ」
「冗談じゃない! 僕は行かな……っ」
「テメーに言ってねーんだよ。そもそも、テメーが人にもの頼むタマか」
反論しようとする土方の胸倉をガッと掴む銀時。
運転を離れた影響でグラリと車内が揺れる。慌てて神楽が頑張ってハンドルを握るが、免許を持っていない者がハンドルを握っても車体はフラついてしまう為、道路の端に車体が当たってしまう。
「くたばるなら大事なもんの傍らで、剣振り回してくたばりやがれ!それが土方十四郎テメーだろーが!ゴリラがいねー時に刹那の面倒見るのがテメーだろうが育児放棄かこの野郎!」
そう叫び散らすと、明確な変化がそこで起きた。俯き気味だった土方が銀時の腕を掴んだのだ。
「……ってーな」
「あ?」
すると一つの変化が起きた。今までヘタレだった土方から、いつもの土方の雰囲気が垣間見えたのだ。
「痛ェって、言ってんだろーがアアァァァ!!!!」
その直後、土方が銀時の頭を鷲掴みにして、そのまま無線機などが設置されている所へと、勢いよく叩きつけた。
「……土方」
先程までのヘタレからは想像も出来ない行動に刹那も目を丸くしていた。