銀魂 真選組の新隊員   作:残月

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繋がれていた絆

 

 

 

 

止水を構えて、ヘリコプターに跳躍した刹那はマシンガンから放たれる銃弾の雨を避けながらヘリコプターのローターを叩き斬った。

 

 

「刹那、早く飛び移れ!」

「んっ!」

 

 

近藤の叫びに落下していくヘリコプターから跳躍し、崩壊しかけている列車に飛び移ろうとする刹那。しかし、僅かに距離が足らずにそのまま落ちそうになってしまう。

このままでは谷底へ落下してしまうと思われた時だった。刹那の手を力強く握られる。

 

 

「刹那、大丈夫か!?」

「見た目によらず……無茶をするんだなキミは……」

「土方……伊東……」

 

 

刹那の手を土方がギリギリで掴み、土方の反対の手を伊東が掴み、落下を防いでいた。

 

 

「悪いな、列車の中の攘夷浪士を片付けて遅れた」

「間に合ったなら、それでいい。ありがとう」

 

 

グッと力を込めて刹那を引き上げる土方。土方が遅れたのは列車に残っていた攘夷浪士を倒していたかららしい。

 

 

「間に合ったならそれでいい……か。キミらしいな……」

「伊東も……ありがとう」

 

 

刹那を引き上げた後、座り込み壁に体を預けていた伊東が口を開く。片腕を失くし、息切れもしている体で伊東は刹那を見据えていた。そんな伊東に刹那は礼を言い、伊東はそんな刹那に呆れた様な溜め息を吐いた。

 

 

「キミは……いや、キミ達は親子だな」

 

 

近藤も先程、似たような事を伊東にしていた。どちらも意識してやった事では無いが自然と同じ行動をしていたのだ。

 

 

「やりたい事をしただけ」

「そう……か」

 

 

伊東の言葉に首を横に振ると、伊東の脇を通り抜け窓から外へと飛び出す。列車の中の攘夷浪士は土方の手により既に倒されていたが、列車の外に増援として現れた攘夷浪士はまだまだ居る。それを見た刹那は真っ先に行動を起こしたのだ。

 

 

「近藤だけじゃない……刹那はキミにも似ているよ土方君……」

「そうかい……アイツも真撰組に染まってるって事だな」

 

 

伊東は目の前の土方に告げると、土方は煙草に火を灯しながらも何処か嬉しそうだった。

 

 

「土方君……僕はキミに言いたい事がある」

「奇遇だな、俺もだ」

「「俺(僕)はお前(キミ)が嫌いだ。いずれ殺してやる。だから……こんな所で死ぬな」」

 

 

土方と伊東は互いに睨みながら告げる。伊東が欲しがった繋がりは既に繋がれていたのだ。

 

列車の外に出た刹那は迫り来る攘夷浪士達を次々に切り伏せていた。刹那一人なら苦戦していたし、列車の中に入っていく残った攘夷浪士達に焦っていたかも知れないが刹那の隣で九兵衛が戦っていた。九兵衛が隣で戦う事で刹那の負担が軽減され、列車に入っていく攘夷浪士が減る事で刹那の焦りも和らいでいた。

 

 

「やるな、刹那ちゃん。以前よりも剣筋が鋭いぞ」

「九兵衛は肩の力が抜けたかも」

 

 

攘夷浪士を切り伏せながら、以前戦った時とは印象が変わったのだと互いに感じていた。

その時だった。先程落としたヘリコプターとは別のヘリコプターが飛来し、マシンガンで列車を狙い撃ち始めたのだ。

 

 

「九兵衛!」

「任せろ!」

 

 

刹那の叫びに九兵衛は刀の背が上になる様に振りかぶる。その刀の背に飛び移った刹那。それと同時に九兵衛は刀を振り下ろし、その勢いで刹那は宙を舞い、ヘリコプターへと飛び移った。

 

 

「なっ!貴様、何処から!?」

「これ以上はさせない!」

 

 

マシンガンを撃っていた攘夷浪士は突如現れた刹那に驚愕すると同時に刹那に斬られてマシンガンを撃つ手が止まる。マシンガンが止まった事で硝煙が収まり、列車の様子が見えてくる。

 

其処には土方達を、銃弾の雨からその身で庇う伊東の姿があった。

 

 

 


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