我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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遅くなってすみません。どうもここのところスランプみたいで…


赤陽龍帝と黒邪の龍王

 

「兵藤ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

「匙ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

 

禁手の鎧を纏ったイッセーと匙は喉が張り裂けんばかりの声を上げ、壮絶な肉弾戦を繰り広げていた。

 

「イッセー君…負けないで……」

 

イッセーと共に進軍していた夕麻は、二人の戦いをただ見ていることしか出来ないでいた。自身とは次元の違う戦いに自分は邪魔でしかないと思い、そして何より、イッセーの姿が『手出し無用』と物語っているように感じて。

 

「ぐうううううううッ!!!?」

 

殴りあいの中、イッセーは両手に感じていた痛みが徐々に大きくなっていることに気がつく。目を向けると、両手は匙の放つ呪詛に蝕まれ、黒く変色していた。

 

『相棒!』

 

「解ってる!『コロナフレイム』!!!」

 

「ぐぅッ!!!」

 

イッセーは両手から高温の炎を放ち呪詛を焼き払う。その熱波に当てられた匙は思わず身動ぐ。

 

『相棒、接近戦は無駄に消耗するだけだ!一旦離れろ!』

 

「言われんでもっ!」

 

イッセーは後ろに飛び距離をとる。

 

「逃がすか!喰らいやがれ兵藤!!」

 

匙は全身の触手をイッセーに差し向ける。

 

()()に捕まると力を吸われる上に呪詛を流し込まれる!絶対に捕まるな!!』

 

「にょろにょろ鬱陶しいんだよ!『アロー・オブ・ウェルシュ』!!!」

 

イッセーは両手の紅玉から灼熱の矢を連続で放ち触手を打ち消す。

 

「まだだ!俺の触手はまた生え………ッ!!!?」

 

そこまで言ったところで匙の顔が驚愕に変わる。切られた触手が再生しないのだ。

 

「なっなんで!!!?」

 

「やっぱり再生能力を持ってたか」

 

イッセーは息を整えながら言う。

 

「ヘラクレスはヒュドラを倒す時、切り落とした首の根元を火で炙って再生をふせいだらしい。それと同じでお前の触手の断面を俺の炎で焼いてやったぜ。」

 

「ちぃっ!!余裕かましやがって!!!」

「余裕?まさか。一杯一杯だよ。お前の呪詛を焼くのに手間取って余計に魔力を使っちまった。俺じゃなかったらとっくに脱落してただろうよ。」

 

実際イッセーにはもう余裕は残っていなかった。匙の呪詛はそれだけ強力なものであり、それだけ多くの力と体力を消費してしまった。

 

「へっ当然だ。何せ俺は修練の門の中、呪いのスペシャリストであるべーやんさんにみっちり鍛えられたんだからなぁ。」

 

匙は多少よろめきながらも口角を吊り上げて言う。

 

「なるほどねぇ、道理で……」

イッセーはそう言うと、それまで傍観していた夕麻の方を見る。

 

「夕麻ちゃん、あと頼んだ」

 

「ッ!!!?……わかったよイッセー君。負けないで!」

 

夕麻はそう言うと堕天使の翼を広げてその場から飛び去る。

 

「匙、俺は正直お前のことを舐めてた。だが、もうそうは行かねぇ!お前を残せば間違いなく脅威になる!お前はここで俺が撃ち取る!!」

 

イッセーはそう言って拳を構え力を集中する。 そこから放たれる熱波によって()()が発生し、周囲の空間を歪める。

 

「俺の全力を乗せた必殺の拳!受けてみろ!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』

 

イッセーはその一撃にありったけの倍加を乗せる。

 

「……だったら俺も、全力を込めた大技で決めてやらぁ!!!」

 

そう言い匙が両手を構えると、大量の呪詛を含んだ漆黒の炎が発生する。その様子を眺める中、イッセーは匙の生命力が徐々に薄くなって行くのを感じた。

 

「……匙、まさかお前…自分の生命力を魔力に変換してるのか?」

 

「ぐふッ……ああ、そうだ!俺がお前を倒すにはこれぐらいしないと追いつかねぇ!!」

 

その業火は徐々に肥大化して行き、匙の体を覆い隠すほどに膨れ上がった。

 

「ガハッ…まだだあああああああっ!!!ビーストアーム“ウェルシュドラゴン”!!!」

 

匙は叫ぶと、纏った漆黒の鎧の左腕がドライグのものへと変化する。

 

『BoostBoost!!!』

 

「ゴハッ!?」

 

二回倍加したところで、匙は吐血する。

 

「ッ!!?バカ野郎!生命力を減らした状態で手に入れたばかりの倍加なんか使ったらそうなるに決まってるだろ!死ぬ気か!!!?」

 

「ッ…フッガハッ……俺は……俺たちは絶対に負けられないんだ!お前に解るか?夢を笑われた俺たちの気持ちが!日本じゃ懸命に努力すりゃ程度はともあれ結果を出せる!それが出来ない冥界を変えたいっていう会長の…俺たちの夢を叶えたい!!!そのために結果を出して笑う奴らを黙らせる!!そのためにもお前は絶対に倒す!!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoost!!!』

 

匙は悲鳴を上げる体に鞭打ち更に倍加を重ねる。口からは更に血が吹き出し、目からは血涙が流れる。

 

(ッ!!!?おいおいおい、あんなん生身で喰らったら骨の欠片も残らずに消し飛ぶぞ!?)

 

炎を扱うからこそ解るその炎の威力、そして何より匙の意識と勝利への執念にイッセーは冷や汗を流す。

 

「……お前の覚悟は伝わった。だが!こっちも負けてやるつもりは更々ない!!」

 

しかし、それでも勝ちを譲る理由にはならない。そんな真似は彼らへの侮辱に他ならないからだ。

 

「喰らえええええええええええ『メギドフレイム』ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

匙の放った黒炎は巨大な龍の形をなし、イッセーに迫る。

 

「オオオオオオオオオオオオ『ファイボスブロウ』!!!」

 

それと同時にイッセー走り出し、溜めに溜めた力を拳に乗せて解き放つ。

 

「ハァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

「オオオオオォォォォォォラァァァァアアアアア!!!!!」

 

ぶつかり合う巨大なエネルギーは衝撃波となり通路の壁一帯に亀裂が走る。この時点で、二人は『フィールドの大規模な破壊を禁止する』というルールにより失格となるのだが、その凄まじいエネルギーゆえに運営側は手が出せないでいた。“龍”と“龍”の戦いは誰も手出し出来ない。

 

「グゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウッ!!!」

 

ぶつかり合いの中、イッセーが苦悶の声をあげる。匙の放った漆黒の炎は呪いの塊。匙の生命力と倍加によって増した呪いはイッセーの体を蝕んで行く。

 

(勝った!!)

 

己が勝利を確信したその時、匙は気づいた。イッセーの口角が不適に上がっていることを。

 

「匙よぉ、奥の手ってのは最後の最後まで残しておくもんだぜっ!!」

 

その時、イッセーの右腕が白く変化し、イッセーはその腕を炎の中に突っ込んだ。

 

『DivideDivideDivideDivideDivide!!!』

 

次の瞬間、匙は業火の力が著しく低下したのを感じた。

 

「お前っ…それは白龍皇のッ!!!?」

「ぶっ飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

『BBBBBBBBBBBoost!!!!!!』

 

業火の力を半減・吸収し、最大まで倍加を乗せた拳は業火を突き破り、匙の体へ突き刺さった。その拳から放たれる灼熱の炎は匙だけでは収まらず後ろの建造物をも飲み込ん突き進んだ。

炎が止むと、その起動上にあった建造物は跡形もなく消し飛んでいた。その中で、唯一残っていたのは、漆黒の鎧は粉々に砕け、肌は焼け焦げ、倒れ伏す匙の姿だった。

 

「ハァ…ハァ……ハハッ、どう…だ、このや…ろ………」ドサッ

 

そう言い、全ての力を使い果たしたイッセーは前のめりに倒れた。

 

「………………畜生」

 

「ん?なんだ……まだ意識あったのか……しぶてぇやつ……」

 

「うっせ…………ああ………負けちまったなぁ………」

 

「バーカ、俺たちゃあのぶつかり合いの時点でルール違反でどっちも退場なんだよ。引き分けだ引き分け」

 

「そうじゃ…な…勝ったの…は…おま……」

 

「へっ、けど……少なくとも、お前の力を見せつけるって目的は果たせたんじゃねぇか?」

 

「………」

 

「お前は強いよ」

 

「ッ………あ…りが…と………よ……」

 

そう言い残し、匙は意識を手放した。

 

「かっはは……俺も…久々に楽しかったぜ……」

 

そう言い、イッセーもまた意識を手放す。己が誇りをかけてぶつかり合った“龍”は、共に満足気な表情を浮かべていた。

 

『……リアス・グレモリー様の『兵士』一名、並びに、ソーナ・シトリー様の『兵士』一名、共に戦闘不能。』

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

『フハハハ……面白い…』

神器の奥深く、バラバラにされ分けられた中の一つに過ぎなかったソレは、静かに目覚めた。

 

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