「すごろく?」
それはとある日、リビングでくつろいでいた竜也のもとに、アザゼルが一本の巻物を持ってきたことから始まった。
「おう、だがただのすごろくじゃねぇぜ?ほれ」
アザゼルが巻物を広げるとそこにはシンプルなマスの書かれたすごろくだった。だが、マスにはなにも書かれていない。
「なんだよ、白紙じゃんか」
「ところがどっこい、サイを振ってコマを進めると文字が浮かび上がる。浮かび上がるのは西暦とその年に起こった事柄。プレイヤーはその時代にタイムスリップしたかのような擬似体験ができるゲームだ。」
「へ~、面白そうじゃん。」
竜也はすごろくを除き混む。他の面々も興味深そうにすごろくを見ていた。
「ふっふっふっ、驚くのはまだ早いぜ?このゴール、今はまだ空白だが、無事ここまでたどり着いた奴は、この空白に未来の予定を書き込む権利を得るのだ!」
その時、その場にいた全員の目の色が変わった。
「ふっ、どうやらやる気十分なようだな。ちなみにこれ、二人一組の三チームでやるみたいだから、まずは俺のペアを……」
『『『『グッパーホイ!!!』』』』
「えっ、ちょっ!?お前らぁ!」
こうして、アザゼル完全無視で『龍の紡ぐ絆』すごろく大会がスタートした。
Aチーム 竜也、朱乃ペア
「くっくっくっ、手加減はなしだ…」
「あらあら、うふふ♪」
Bチーム イッセー、夕麻ペア
「頑張ろうねっ、イッセー君!」
「おう、夕麻ちゃん!」
Cチーム ヴァーリ、黒歌ペア
「やるぜ黒姉さん」
「にゃっふっふっ、任せるにゃんヴァーリちゃん♪」
観戦 アザゼル、リアス、イリナ、アーシア、白音、ゼノヴィア、オーフィス
「ちっ、俺が持ってきたのに……」
「くっ!あそこでパーを出していれば……!」
「イッセーくーん!夕麻ー!ファイトよーーー!」
「皆さん頑張って下さーい!」
「…ヴァーリさん、姉様、ファイトです」
「くっ!世界中のガンプラを我が手に掌握する夢が……!」
「でけぇのかちっちぇのかわかんねえ夢だなおい…」
「竜也、がんば」
そんなこんなで、第一投はイッセー、夕麻ペア
「そんじゃ、よっと」
イッセーはサイを振り、コマを進める。すると、止まったマスに文字が浮かび上がった。
「おお!本当に文字が浮かび上がった!?」
「ええっと、何々……」
【57年 奴国王、金印を授かる】
すると、すごろくのマスに渦のような物が発生し、イッセーと夕麻が吸い込まれて行った。
「「ぎゃばーーー!!!?」」
「怖ぁっ!?」
その光景に竜也は思わず叫ぶ。
「な、何だ今の……」
「吸い込まれたにゃ……」
唖然とするヴァーリと黒歌
「言ったろ?未来の予定を書けるのは無事ゴールできた奴だけだって。ちなみに、クリアできた奴はいまだにゼロだ。」
「そういう危険性は先に言っとけバカ親父!」
ヴァーリが突っ込む
(((((じゃんけん負けてよかった……?)))))
◆◆◆◆◆◆◆◆
その頃、イッセーと夕麻は……
「へぇ~、ここが奴国か」
イッセーはあたりをキョロキョロ見渡す。
「イッセー君、これ見て!」
夕麻が指差す先には一枚の立て札があり、そこには【帰還方法 捺印しろ!!】と書かれていた。
「捺印?」
「金印を押せって意味だな。じゃ早速奴国王に会いにいこうぜ。」
そう言ってイッセーが振り向くと、真っ赤に焼けた金印を構えた武者の姿があった。そしてその武者は、金印をイッセーの顔面に押し当てた。
ドジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!
「ぎょえええええええええええええええっ!!?」
「イッセーくぅぅぅぅぅぅぅぅん!!!?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
しばらくして、イッセーと夕麻がすごろくから飛び出てきた。
「あ、帰ってきた」
「金印の使い方が間違ってんだろぉぉぉぉ!!!」
号泣するイッセーの顔には金印の文字がくっきり入っていた。
「おおっ、『漢委奴國王』。習った習った」
金印の文字を見てやや興奮気味の竜也
「あーーん!イッセー君の顔がーーー!!」
「きゃぁぁぁぁ!!!?いったい何があったのーーー!!!?」
イッセーの惨状に取り乱す夕麻とイリナ
「アーシア、根性焼きって治療できる?」
「は、はひ!頑張ります!」
とりあえず、イッセーの治療はアーシアに任せることに
「一度行った年以前は皆行けないらしい」
説明の巻物を呼んでアザゼルが言う。
「ゲームが進むにつれ、皆現代に近づくのか」
「戦争のある年は避けたいな」
「何か法則があるのかにゃあ?」
「ここは一端態勢を立て直して慎重に……」
「よっと」
ヴァーリたちが真面目に考えている端で、竜也がサイを振っていた。
【1600 関ヶ原の戦い】
「「「「いっそ死んでこい!!」」」」
「どあっ!?」
「あらあら」
竜也は他のチームに蹴り飛ばされ、朱乃はそれに続いて巻物に吸い込まれる。
「ほんと最低だあの愚兄!」
「勝手に振りやがって!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【帰還条件 四時間以内に大将を倒せ!!】
すごろくに吸い込まれ、目の前すぐにあった立て札にはそう書かれていた。
「……大将?」
「あれじゃね?」
竜也が指差す方を見ると、武者の大群が後方から押し寄せていた。
「やる?」
「やりますわ」
二人は短く掛け合うと、自然な動作で両手を構える。
「『スターライトブレイカー』」
「『デッドオアアライブ』」
カッ!!!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
吸い込まれて数分後、早くも竜也と朱乃は帰還して来た。
「四時間もかからなかったな」
「ですわね」
「何がだ!?」
そんなこんなで三番手、ヴァーリ、黒歌ペア。
【1685~ 生類憐みの令発布】
「あ、なんか楽そうだにゃ」
「サクッと行ってくるか」
そう言って二人はすごろくに吸い込まれて行った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【帰還条件 一匹残らず動物を撫でろ!!】
そしてヴァーリたちの目の前には、犬、猫、馬、ヤギ、羊、虎、カバ、キリン、ライオン、ワニ、コモドオオトカゲ、ミノタウルス、ドラゴン、等の多種多様な動物たちが…
「いやオカシイだろぉ!!!日本の条令に猛獣と幻獣もってくんなぁ!!」
『『『ギャオオオオオオオオオ!!!』』』
ヴァーリのツッコミに反応したのか、動物たちが一斉に襲い掛かってきた。
「ヴァーリちゃん!帰還条件は愛でろだから傷つけちゃダメにゃあ!」
いつの間にか遥か後方に避難した黒歌がヴァーリに叫ぶ。
「いや、何一人だけ安全圏に避難してんだ!!!?ったくしょうがない…『禁手化』」
ヴァーリは『白龍皇の月光神鎧』を身に纏う。
「『グッドナイトムーン』」
ヴァーリは浴びた者を眠りに誘う光を放つ。それを浴びた動物たちは、ふらふらと足取りがおぼつかなくなり、やがて皆眠りについた。
「…さて、それじゃあ始めるか」
~~10分後~~
「おかしい…こいつで最後のはずだが……」
眠りこけるドラゴンの頭を撫でながらヴァーリが呟く。
「ヴァーリちゃん急いで!早くしないと起きちゃうにゃ!」
黒歌が小声で呼び掛ける。
「と言われても………うん?」
ふと、ヴァーリは黒歌の顔を見る。
「な、何にゃ、ヴァーリちゃん?」
ヴァーリはそのまま黒歌の頭に手を置いた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「うわっ!?ヴァーリ、何だその顔!?」
帰還してきたヴァーリの顔には痛々しい引っ掻き傷があった。
「ふっ、猛獣にやられたのさ」
「ふん!」
その後、各チーム順調にコマを進め、遂にゴール目前となった。
「ふっ、遂に最終局面か。黒船とやりあった傷はもう良いのか、アニキ?」
「イッセーこそ、杉田玄白に解体されかけてボロボロだろうが」
イッセーと竜也が火花を散らしている端で、黒歌とヴァーリは柱をバリバリと引っ掻いていた。
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃ~~~」
「我輩は猫である~~~」
「ヴァーリさん姉様正気に戻って下さい!」
「ヴァーリと黒歌は夏目漱石に洗脳されてリタイアか……決着着けるぞアニキ!」
(あっちは後回しでいいのかしら……?)
「5以上出せば勝ちだぞ朱乃ちゃん!」
「うふふ、4でした」
「遅かった!!!?」
【1918 米騒動勃発】
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【帰還条件 米を食え!!】
目を開けると、そこは米だらけだった。
「豊作じゃねぇか!!?」
「米騒動」……第一次世界大戦後、米の買い占めによる米価高騰によって起こった暴動。
「パン食がなんぼのもんじゃーー!!」
「生玉子かけるんじゃねえっ!」
「米寿祝えやーー!!」
「愛してるよ納豆!」
「ちっ!何て騒々しい米たちだ!これを食えってか!?」
「…いえ、これまでのパターンからして、どこかにボスにあたる米がいるのでは?」
襲い来る米たちを退けながら、竜也と朱乃はそれらしき米を探す。すると、米の群れの中に、ホカホカと湯気を上げているものがいた。
「…一匹だけ炊けてるやつがいる」
「あれですわね」
「………塩ほしい」
「あったかいウチに食べましょうね?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ゲフ 結構旨かった」
「手足は残してよかったのでしょうか?」
((((何食べたのか聞くのが恐い……))))
「ハハハ!!残念だったなアニキ!1を出さない限り俺たちはゴールだ!俺たちの勝ちだ!!」
勝ち誇りサイを振るうイッセー。そして出たのは……
【1972 パンダ来日】
「……俺、パンダ好きだし」
「負け惜しみが苦しいよイッセー君!!」
「意地らしいイッセー君も素敵っ!!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「グマーーーッ!!」
ペシャーーーンッ!!!
「ブベラーーーーーッ!!!?」
「イッセーくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!!?」
突如シロクマに殴り飛ばされたイッセー。
「パンダってシロクマじゃねーか!?パンダはどこに……」
辺りを見回すと立て札を発見した。
【帰還条件 パンダにしろ!!】
「どういうことだぁ!!!?」
「イッセー君!ここに大量の白髪染め(黒)がっ!!」
「やれってか!!!?」
「グマーーーッ!!」
イッセーの困惑もお構い無しに、襲い来るシロクマ。
「クソー!こうなったらやるしかねぇ!いくぞ夕麻ちゃん!」
「うん!イッセー君!」
「グマーーーッ!!」
「ちょっ!?暴れるなって!」
「お客さん動かないで!?」
~~20分後~~
「ぅおっしゃ完成!」
「やったねイッセー君!」
「グマー♪」
決死の思いでシロクマをパンダに染めたイッセーと夕麻。パンダカラーとなったシロクマも手鏡片手に頬を染めている。
「……ごめんな、夕麻ちゃん。俺が1なんか出したから負けちゃって……」
「ねえ、イッセー君。もしゴールしたらどんなことを書き込むつもりだったの?」
「あ、ああ、それはな……」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「夕麻ちゃんとイリナと、みんなで末永く幸せに……て、あれ?」
気づいたらイッセーはもとの世界に戻っていた。
「へ~、イッセーお前結構純情なのな」
「イヤァァァァァァァァ聞かれてたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
羞恥に悶えるイッセー
「さて、そんじゃあ今度こそ……」
ピンポーン『こんにちはー、ピザヘッドでーす。ご注文のピザをお届けに参りましたー』
「あ、ピザ届いた」
「え!?いつの間にピザなんか注文したの!?」
「いや、だってそれなりに時間経ったしお腹空いたし。んじゃ、アザゼルよろしく」
「ったく、しょーがなねぇなーっと」
渋々アザゼルは立ち上がろうとする
ビリッ
「うおっ!?あ、足痺れたっと、と《ベリッ!》…………あ」
凍る空気、唖然とする一同、そして、アザゼルの足には破れたすごろく
「…………ボンクラ親父」
「ちょっちょっちょっと待て!事故!事故だっての!」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「ギャァァァァァァァァァァ!!!?」
『あのー、ピザのお届けー?』
こうして、第一回雷門家すごろく大会は幕を閉じたのだった。