我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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こんなアホな話を長々と引っ張って申し訳ありませんでした

竜也「始まるよ」


義賊とパンツ 後編

 

夜のとばりの降りた駒王街、その一角にある雷門家にて、雷門竜也とその仲間たちは巷を騒がす下着泥棒ふんどし仮面を捕らえるため張り込みを続けていた。

 

「………来ねぇなぁ」

 

「来ませんねぇ」

 

ふと漏れた竜也のつぶやきに隣に控えた朱乃が答える。現在彼らは庭の垣根の裏に隠れていた。他にも縁側の下や屋根など、あらゆる場所に『龍の紡ぐ絆』メンバーが隠れていた。

 

「………なあアニキ、こんなんで本当に引っ掛かるのかねぇ、ふんどし仮面」

 

「ったりまえだ、あんな極上の品々が並んでいるんだぞ。引っ掛かるに決まってるだろーがよ」

 

そう言って竜也が指を指した先には縁側にポツンと吊るされたパンツがあった。ちなみにリアスたち物である

 

「イヤイヤ、あからさま過ぎるから」

 

「明らかに罠ってまるわかりだっての」

 

「んだとこらぁ、俺の嫁のパンツには魅力がねぇってかてめえらぁ…」

 

イッセーと木場の指摘に凄みを効かせる竜也、

 

「イヤイヤイヤイヤ!誰もそんな事言ってないから!」

 

「ただ果たして()()が罠として機能するのかと」

 

「うるさいですよ、イッセー先輩、木場先輩。」

 

「そうよ、静かにしなさいあなたたち」

「こちとらパンツ賭けてるんだにゃ、黙って張り込みするにゃ愚民ども」

 

「いやっ!段々呼び方が酷くなってんですけど!?」

 

三人の物言いにイッセーがつっこむ。慣れない張り込みと夏の夜の蒸し暑さで、彼らは徐々にイライラがつのっていた。

 

「まぁまぁ、みんな落ち着けって。蒸し暑い中イライラしてるんだろうが、俺の発明を信じて気長に《バチィッ‼》ブベラァ!!!?」

 

険悪な雰囲気に成りつつある一同を宥めるため仲裁に入ったヴァーリだが、いきなり平手打ちを喰らいのけ反る。

 

「おぉぉ……な、何してくれとんじゃぁぁぁ!?」

 

「蚊」

 

打たれた頬を擦りながらヴァーリは叩いた張本人たる竜也にシャウトし、竜也は叩いた掌をみせる。悪びれもしない竜也の態度にヴァーリは今にも飛び掛かりそうだ。

 

「ま、まぁまぁ二人とも落ち着い《バシィ‼》テベラァ!!!?」

 

流石に不味いと思い木場が止めに入るが、そこに今度は木場にイッセーの平手打ちが飛んだ。

 

「蚊」

 

「いや蚊って……何処にもいないじゃん蚊、絶対憂さ晴らしでやっただろ君」

 

「いや本当だって逃げられたんだって、すんでのとこで」

 

「いーや嘘だね、その平手に確かに殺意を感じたよ僕は」

 

「イヤイヤ本当にちげーって ボソッ(まじしつけぇな、出番少ない癖に)」

 

「ぅおい今何てった?今君何て言った?ちょっとばかしこの小説で優遇されてるからって調子に乗るなよ」

 

「ぁあ?何だてめぇヤンのかこら」

 

「上等だよ表でな」

 

「うるっさいのよあなたたちさっきからぁ!」

 

「ただでさえ暑苦しいのが余計に暑苦しくなったにゃ!」

 

「皆さんいい加減に黙って下さいぶっとばしますよ」

 

「うふふふふふ、喧しいですわよ皆さん。鼻の穴に炭酸水流し込みますわよ」

 

「いやお前ら全員うるさいんだよ、永遠に黙らしたろか」

 

その場はまさに一子即発の雰囲気に、このままでは『龍の紡ぐ絆』内部崩壊の危機か

 

「まてまてまてお前ら!イライラしてるのはわかるが内輪揉めしてる場合じゃないだろう!こんなことで言い争っても不毛なだけじゃないか!俺たちの目的は下着ドロを捕まえることだろう!」

 

ヴァーリの言い分に竜也たちは黙る。ヴァーリに正論を言われたことで段々と冷静さを取り戻してきた。

 

「あの…なんかごめんな木場、思いっきりぶっ叩いて……」

 

「い、いや、僕の方こそついカリカリしちゃって…」

 

「わ、私も…すみませんでした……」

 

「私も暑さで気が立ってたみたいだわ」

 

「申し訳ありませんわ」

 

「にゃあ……」

 

「俺も…悪かったなヴァーリ、左頬大丈夫か?」

 

「ふっ、わかってくれたならいいさ。さて、それじゃあみんな元の配置に……」

 

プ~~~~~~ン

 

【【【【バチィィィィィィ!!!】】】】

 

その音が聞こえた瞬間交差する平手、そして始まる乱闘

 

「てんめぇヴァーリ!さっきまで言ってた事はどうしたぁ!?」

 

「甘いんだよ!何年あんたの弟やってると思ってんだ!」

 

「朱乃あーた!後頭部は洒落にならんにゃあ!」

「そちらこそボディーに重いのきめてくれましたわね……」

 

「てめぇ木場ぁ!二発も殴りやがったなぁ!」

 

「うるさいんだよ!ちょっと出番多いからって調子こいてるんじゃないよ!」

 

飛び交う平手ってかもはや拳の嵐、流石にこれは見てられずに他の『龍の紡ぐ絆』メンバーも集まってきた。

 

「あーあ、完全にスイッチ入っちゃってるよ。どうする?」

 

「どうするって、うちらで止められるわけないじゃないっすか」

 

「だからといってこのまま傍観するのも……」

 

残ったメンバーたちはなまじ彼らとの実力差を知っているが故に手が出せないでいた。そんな中、のしのしと歩いてくるのはアザゼルだ。

 

「やれやれ、情けねぇ。こいつらもおめぇらも、ガキの癇癪も止められないでどうする」

 

「あ、アザゼル様……」

 

「も、申し訳ありません……」

 

アザゼルの指摘に頭を下げるカラワーナとドーナシーク、何気に彼らがメンバーの中で年長者であった。そしてアザゼルは未だに乱闘を繰り広げる竜也たちのもとに歩み寄る。

 

「ほらお前ら喧嘩してんじゃねぇよ。ほら、みんな暑さでイライラしてんだな?よし、ちょっと休憩」

 

「黙れマダオ総督」

 

「黙れ未婚総督」

 

「黙れボンクラ総督」

 

「黙れ中二総督」

 

「黙れプータロー総督」

 

「黙れ髪の毛吐瀉物カラー」

 

「黙れクソゲロ」

 

「ブベアオォ!!!?」

 

止めようと思ったら生徒たちからの暴言の雨あられに血ヘドを吐きぶっ倒れるアザゼル。

 

「ア、アザゼル様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「誰だぁぁぁぁぁぁ!?今クソゲロつった奴誰だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

「は、はは……暑さのせいだよね……みんな暑さが悪いんだよね……」

 

うわ言を言いながらふらふらと立ち上がるアザゼル。しかしそこにはもう大人の貫禄はなかった。

「あ、俺ちょっとコンビニで飲み物買ってくるけど、お前らなんかいる?」

 

「◯リ◯リ君マンゴー味!」

 

「ファン◯グレープ!」

 

「◯カリ!」

 

「アク◯リ◯スZERO!」

 

「パフェアイス×3」

「◯ーゲン◯ッツにゃ!」

 

「午◯の紅茶!」

 

「あーハイハイ、ちょっと待っててねー」

 

そう言ってアザゼルはとぼとぼと歩いて行く

 

カチッ

 

ドカーーーーン!!

 

 

 

「アッパーーーーーー!!!?」

 

 

 

『『『『!!?!!?!?』』』』

 

突然鳴り響く爆音に喧嘩の手を止める竜也たち。見ると、黒焦げになったアザゼルが地面に倒れていた。

 

「あらあら、アザゼルさんが爆発しましたわ」

 

「暑かったから」

 

「いやいや違うでしょ白音ちゃん、どうみても地雷踏んで爆発したんだよ」

 

「自分で埋めた場所も覚えてないのかよ、ダッセー」

 

『『『『アハハハハハハハハハハ』』』』

 

「ハハハハ……あれ?ちょっと待ってよ、みんな……自分の埋めた場所……覚えてる?」

 

 

 

 

『『『『・・・・・・・・・・・・・・』』』』

 

 

 

 

「あら大変、新聞配達の叔父さんが爆発しちゃいますわ」

 

「いやいや呑気なこと言ってる場合じゃないって朱乃ちゃん!どーすんだよこれぇ!?俺たち動けねぇじゃねぇか!!」

 

策士策に溺れるとはこの事、イッセーの叫びは虚しく夜空に響く。

 

「やれやれイッセー君、何を言ってるのよ。地面がダメなら飛べばいいじゃない!とう!」

 

そう言ってやれやれのポーズで歩み出たイリナは掛け声を挙げてジャンプする。そして背から天使の翼を出して夜空を舞う……

 

 

 

「あり?」

 

ことなく地面に着地した

 

 

 

ドカーーーーン!!!

 

 

 

「ワッショーーーーイ!!?」

 

「イリナァァァァァァアアアアアア!!!?」

 

『訳がわからないよ』という顔で爆発するイリナと悲痛な叫びを上げるイッセー

 

「アホ、今この雷門家の敷地内には異能を封じる結界が発生させてるのを忘れたのか」

 

ヴァーリが呆れ顔で言う。薄れ行く意識のなか、イリナは『もっと早く言えよ』と思っていた。

 

「おいヴァーリ!今すぐ結界を切りやがれ!」

 

ヴァーリの襟首をつかみブンブン揺さぶるイッセー

 

「いやぁ、それなんだがな………」

 

 

「……………なんだよ?」

 

 

「………………………………………」

 

 

そのままヴァーリは黙ってしまった。

 

「………………まさか、解除するスイッチをリモコンに付け忘れたとかじゃないよな?」

 

「………………………………………」

 

 

「………………………………………」

 

 

「………………………………………てへ♪」

 

「ぅおい!?!!」

 

 

 

図星だった☆

 

 

 

「おいぃぃぃぃぃぃどうすんだぁぁぁぁぁぁ!!?!?異能が使えなきゃ俺たちゃただの一般ピーポゥじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

イッセーの魂のシャウトが夜空に響き渡る。まさに絶対絶命であった。

 

 

『ハーーーーハッハッハッハッハッ!!!』

 

 

その時、何者かの高笑いが夜空に響いた。声のした方を見ると、塀の上に影が見えた。

 

「光あるところに影がある

ひとつひとよりハゲがある。

パンツの友に導かれ、今宵も駆けよう漢ロマン道!

怪盗ふんどし仮面、ここに見・参!!!」ドドーン!!

 

月夜をバックにポーシングを決める赤いふんどしをマスクのように被り、ブリーフ一丁の変態、怪盗ふんどし仮面の姿がそこにあった。

 

「ハーーーハッハッハッ!滑稽だぁ、滑稽だよお前ら。俺の為に色々用意してくれてたみたいだが、全て無駄に終わったようだな。」

「さ、最悪だぁぁぁぁぁ!!最悪のタイミングで出て来やがったぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「こんな子供騙しにこの俺が引っ掛かるとでも?天下の義賊、ふんどし仮面もなめられたものよ。ここまで来れば相手になってやるぞ?ん?」

 

「くっ!」

 

ふんどし仮面の挑発に、イッセーたちは歯を食い縛るしかなかった。

 

「そこで指をくわえて見ているがいい。己のパンツが、変態、電波男、チェリーボーイ、スケベドビッチ、妄想スキーたちの手に渡る瞬間をなぁ!」

そう言ってふんどし仮面は垣根から飛び移ろうとする

 

「させるかぁ!」

 

その時、ふんどし仮面の足下の垣根が破壊され、そこからデュランダルを持ったゼノヴィアが表れた。

 

「ぬぅ!貴様は!?」

 

「ゼノヴィア!?いないと思ったらあんなところに!?」

 

「ふ、こんなこともあろうかと垣根の中に潜らせてたのさ。侵入するとしたら縁側の正面のあの垣根しかないからな。」

 

そう言って竜也はピースサインをする。竜也はふんどし仮面が侵入する場合を想定してゼノヴィアをずっと待機させていたのだ。

 

「ふん!この垣根は結界の範囲内からギリギリ外れている。私の魔法も難なく発動できるのだ!さぁ!大人しくお縄に付けぃ!」

 

ゼノヴィアはデュランダルの切っ先をふんどし仮面に向けて言う。

 

「ふん、小娘が意気がりよって、魔法が使えるのは俺も同じ、見せてやろう…我が能力を!」

 

するとふんどし仮面の姿が段々と透けて行き、ついには完全に景色に溶け込んでしまった。

 

「なっ!消えただと!?」

 

『ハッハッハッ!これぞ我が能力!この『透明化』によって俺はあらゆる場所に忍び込みパンツを盗んできたのだ!何処にいるか解るまい!』

 

ふんどし仮面は得意気に笑う。だが、

 

「そこだぁ!」

 

「何ぃ!?」

 

ゼノヴィアがデュランダルを振るい垣根を破壊する。するとそこからふんどし仮面の姿が表れた。

「ば、バカな!なぜわかった!?」

 

「ふん、陛下によって第六感を研ぎ澄まされた私の前で、透明化など無意味よ。」

 

そう言ってゼノヴィアはジリジリと距離を近づける。

 

「くっおのれぇ……!」

 

「さあ、これで貴様も年貢のおさ……」

 

カチッ

 

 

ドカーーーーン!!!

 

 

「ゲルググーーーーーー!?!!?」

 

「ゼノヴィアァァァァァァァァァァ!!!」

 

「誰だぁぁぁぁ!!垣根の上に地雷仕掛けた馬鹿野郎はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

その時、倒れていたイリナが微妙に顔をそらした。

 

「ハーーーハッハッハッハッ!愚かなり『龍の紡ぐ絆』!とう!」

 

ふんどし仮面は垣根から飛び上がり縁側に着地した。

 

カチッ

 

 

ドカーーーーン!!!

 

 

 

 

「ゲホッゲホッゲホッ………んあ?」

 

硝煙が止むと、そこには破壊された縁側が残っていた。

 

「床の下にも地雷を仕掛けていたのか」

 

「そうみたいだな」

 

「あっ!あれは!」

 

指差す先を見ると、爆風によって吹き飛ばされたパンツが、ヒラヒラと舞い落ちてきた。

ガラッ ガシッ!!!

 

『『『『!!!!?』』』』

 

すると、瓦礫の中から腕が飛び出し、舞い落ちてきたパンツをつかみとった。そして瓦礫は崩れ落ち、中からふんどし仮面が這い出て来た。

 

「甘いよ…こんなものじゃあ俺は倒れん。全国の変態、電波男、チェリーボーイ、スケベドビッチ、妄想スキーたちが、俺の帰りを待っているんだ。彼らの声が、俺に力を与えてくれる……」

 

「クソッ!なんてしぶてぇヤロウだ!」

 

「こんなところで負ける訳にはいかん!ふんどし仮面の名誉にかけて!彼らのもとにもどらねばならんのだぁ!!」

 

ふんどし仮面は立ち上がる。全ては自分の帰りを待ち、声援を送るモテない男たちのために。

 

 

 

 

「おいてめぇ………」

 

「ぬ?」

 

 

だが、しかし、彼は踏んでしまった

 

 

「俺の女のパンツに……触ってんじゃねえええええええええええ!!!!」

 

龍の尾を

 

竜也は雷の速度で一瞬にしてふんどし仮面に肉薄し、彼の手からパンツを奪いかえす。

 

「100万V…」

 

「なっ!?」

 

「電気ショォォォォォォォォォック!!!」

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

ふんどし仮面が反応するよりも速く、竜也の電撃が炸裂する。高圧電流を喰らったふんどし仮面は膝から崩れ落ちる。

 

「素顔もさらせねぇ奴に、俺のパンツはわたさねぇ。心まで素っ裸になって出直してきな」

 

「ぐ、ぬぅぅ……ぬぅおおおおおおおおお!!!」

 

すると、ふんどし仮面は雄叫びを上げ立ち上がる。掲げた右腕の上空に、死兆星が光った。

 

「我が右手に……一片のパンツなし…………グフゥ」

 

そう言い残し、ふんどし仮面は仰向けに倒れた。

 

「…………ふぅ、終わったぜ?」

 

そう言って竜也は仲間たちに笑い掛けた。

 

『『『『ウワァァァァァァァァァァァァァァ!!!!』』』』

 

「すげぇぜアニキィ!!……けど、なんで結界の中で技が使えたんだ?」

 

「……そうか、兄さんの発電能力はデンキウナギなんかと同じ()()()()()()()()、それで結界の影響を受けなかったんだ。」

 

「な、なるほど」

 

 

「おーい!みんなー!」

 

 

「あらあら、竜也君」

 

「竜也さん!お怪我ありませんか!?」

 

「だぁりん!大好きにゃん!」

 

「竜也ぁ!信じてたわ!」

 

「アニキ!」

 

「兄さん!」

 

『竜也様ぁ!!』

 

喜びを分かち合おうと走り寄る竜也たち。

 

 

しかし、彼らは重要なことを忘れていた。

 

カチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッ

 

 

『『『『・・・・・・・・・・・・あ』』』』

 

 

 

ドドドドドドドドドッカーーーーーーーーン!!!!!!

 

『『『『ギャアァァァァァァァァァァアアアアアアァァァァァ!!!!!!』』』』

 

こうして、怪盗ふんどし仮面は捕らえられ、結界と壊れた垣根と縁側、そしてブレイクされたアザゼルのハートを残し、事件は幕を閉じたのだった。

 

 

 

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