とある夏の日のこと
茜「みんなー、田舎のおばあちゃんからスイカが届いたわよー。」
そう言って竜也たちの母、雷門茜が持ってきたのは、段ボールに収まった二つのスイカだった。竜也たちの母方の祖母は農業を営んでおり、毎年定期的にその季節の野菜が送られてくるのだ。(節分の日は大豆だった)
ヴァーリ「おお、スイカか」
竜也「ばあちゃんのスイカは格別に旨いんだよなー」
黒歌「速く食べるにゃん♪」
毎年恒例のスイカに年甲斐もなくはしゃぐ竜也たち。毎年夏に送られてくるスイカは密かな楽しみだった。
リアス「あら、それってスイカ?」
白音「…美味しそうです」
朱乃「あらあら、今年も届いたんですわね♪」
するとちょうどリアスたちがリビンクに降りてきた。
黒歌「にゃあ、白音もいっしょに食べるにゃん。おばあちゃんのスイカは最高にゃん♪」
竜也「せっかくだからみんなで食おうぜ。俺上の連中呼んでくるわ。ヴァーリ、イッセーに電話入れてくれ」
ヴァーリ「了解」
~~しばらくして~~
雷門家リビンクには『龍の紡ぐ絆』メンバーが勢揃いしていた。
竜也「……と、まあ、それでは」
『『『いただきま~す!!』』』
ガブッ
『ッッ!!?』
竜也「食った気がしねぇだと……」
よく見ると、手渡されたスイカはかなり薄くカットされていた。
リアス「仕方ないでしょ、人数分カットしたんだから……」
通称、ドリフカット
茜「もう一個切りましょうか?」
イッセー「いや、もう一個切っても大して……て、あれ?そういやヴァーリは?」
黒歌「にゃっ!?白音もいないにゃ!」
夕麻「あら、カラワーナとミッテルトもいないわね」
竜也「ん……まさか!」
竜也はハッとして段ボールに駆け寄る。すると、中に入っていたもうひとつのスイカが消えていた。
竜也「あ、あいつらーーーーッッッ!!!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ヴァーリ「やれやれしょうがない。ここは俺が一肌脱ぐとしようかね。全員配置につけ」
『はっ!!』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
茜「いいじゃない、またおばあちゃんに送ってもらえば」
竜也「いや、そういうことじゃないんだよ。なーんか嫌な予感が……」
トン トン トントントン
竜也「ん?何………」
戸を叩く音が聞こえ振り向くと、ベランダの外から白音がガラス戸を叩き手招きをしていた。
竜也「なんだ白音、ノコノコ戻ってき……て……」
ガラス戸を開けてベランダに出ると、そこにはいなくなったヴァーリが、何かを囲んでパソコンに数値を打ち込んでいた。見るとそこには、フルーツキャップをかけられ、備え付けの蛇口のホースに繋がれたスイカの姿があった。
イッセー「……なあ、なんかさっきより大きくなってないか?」
ヴァーリ「シハハ、水分を吸収して再成長するように品種改良したのさ。もちろん味はそのまま、好きなだけデカイのが食えるぜ。あえて言おう、『暑中お見舞い申し上げます』と!!」
ヴァーリはだて眼鏡をくいっと上げて声高らかに宣言する。
竜也「なるほどねぇ、そういうことならありがたく……!?」
途中まで言いかけた竜也はギョッとした表情になって固まる。
ヴァーリ「ん?どうし…たぁ!?」
ヴァーリが振り向くと、スイカは自身の身長をゆうに越える大きさに成長していた。
イッセー「お、おい……なんかでかすぎじゃね?」
カラワーナ「ヴァーリ様!スイカの“食いごたえゲージ"が急上昇です!予定値を大幅に越えています!」
ヴァーリ「ふむ、食べ頃かな?あとは水を止めれば……」
ブチ ブチ ブチ……ぶちィ!!
成長に成長したスイカはフルーツキャップを引きちぎり、伸びた“ヘタ"の部分を振り回して暴れ出した。
ヴァーリ「なっ!?拘束具をっ!?」
黒歌「あれってフルーツキャップじゃなかったのかにゃ!?」
カラワーナ「あれはスイカの成長を制御するためのものです」
ミッテルト「おっかしいっすねぇ。ちゃんとフルーツにあわせて調整したんすけど……」
『『『は?』』』
ミッテルト「え?なんすか?」
ドーナシーク「スイカはウリ科に当たる野菜の仲間だぞ」
ミッテルト「え?」
拘束を解かれたスイカは宙に飛び上がり、口?から掌ほどもある種を弾丸の如く連射した。
ダダダダダダダッ!!
木場「へべれけドベガスンダッ!!?」
カーラマイン「ゆ、裕斗様ぁぁぁぁ!!?」
哀れ、たまたまその場に居合わせた木場は種の集中放火を(主に顔面)に浴びて倒れた。
竜也「ちっ、しょうがなねぇ」
そう言うと竜也は雷速で一瞬にしてスイカの裏に回り込み、スイカに繋がれたホースを切り裂いた。スイカは糸が切れたように沈黙する。
カーラマイン「き、吸水ホース切断!スイカ、沈黙しました!」
イッセー「た、助かった……危うくスイカに潰されるところだった……」
ヴァーリ「いやはや、まさかこんなことになるとは」
竜也「ったくお前ら科学班はいつもいつも…」
茜「あら、良い音するじゃない。ツヤもいいし、身も詰まってて美味しそう♪」
『『『え?』』』
スイカの表面を叩きながら、茜はにっこり笑って言った。
「もったいないじゃない♪みんなで食べましょう♡」
『『『えぇ~~~~~~っ!?』』』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
リアス「あら、本当に美味しいわね♪」
朱乃「うふふ、昔を思い出しますわ♪」
夕麻「イッセー君、あーん♡」
イリナ「はいこっちも、イッセー君あーん♡」
イッセー「あーん♡」
フリード「ちぃっ!見せつけやがってバカップルが……!」
カーラマイン「裕斗様ぁ、大丈夫ですか?」
木場「ぼ、僕の出番って……」
アーシア「スイカのシャーベットが出来ましたー」
茜「スイカのジュースにスイカアイス、スイカシェイクもあるわよー」
アーシアと茜がお盆にスイカデザートを乗せてやって来た。
朱漓「すみません雷門さん、私達まで呼んで頂いて」
茜「いいんですよ姫島さん。皆さんも、みんなで楽しく食べましょう♪」
茜は他の団員の両親たちにも連絡して、ママ友同士で楽し気に話していた。
竜也「モグモグモグモグシャクシャクシャクシャク………責任取って全部食えよ、お前ら」
カラワーナ「う…うぷ……」
ミッテルト「も、もう勘弁っす……」
白音「ハグハグハグハグシャクシャクシャクシャクモシャモシャモシャモシャチューチューチューチュー」
黒歌「我が妹ながらすさまじい食べっぷりだにゃ白音……」
ヴァーリ「お、俺……スイカになってしまいそう……」
科学班は今回の罰として、スイカの身がなくなるまで食事にはスイカが出され続けることになり、しばらく彼らの前でスイカは禁句となったそうな。
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