我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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帰還と4thステージ

修行開始から現実世界に置ける24時間後、修行終了。

 

「「くたばれクソ兄貴ぃ!!」」

 

門から帰って来て早々襲い掛かるイッセーとヴァーリ。そしてそれをいなす竜也

 

「おいおい、いきなりなんだよ」

 

「黙れ愚兄!よくもあんな地獄に放り混んでくれたなごらぁ!!!」

 

「60日間『覇龍』相手にガチバトルとか完全に殺す気だろぉ!!!デッド・オア・アライブの間を軽く70回は垣間見たわ!!!」

 

「…………それで生還してくる二人も大概だにゃ」

 

「だな、我々なら等に跡形も残らんよ。流石は陛下の弟分、龍の兄弟は龍か」

 

同様にあまりのハードな修行に物申そうと思ったが、二人の魂の叫びを聞いて文句を言う気も失せた『龍の紡ぐ絆』修行組。正直ドン引きである。

 

「……なんか、よくわかんないんすけど、覇龍って何すか?」

 

「そうだな、しいて言うなれば神すら滅ぼす最終破壊形態…的な?」

 

「ちょっ!?何すかそれ!?」

 

「キャー!さっすがヴァーリン♥」ダキッ

 

「ぬっ!!?自分にも抱っこしてくれドロシーちゃん‼」

 

「アホは変わってないみたいだなナナシ」

 

「ヴァーリさんから離れて下さいドロシーさん。あざとウザイです。」

 

「あ?なによチビネコ、ヤル気?」

 

「早速修行の成果を見せる時が来たみたいですね」

 

ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!

 

「夕麻ちゃぁぁぁぁぁぁん!!!イリナぁぁぁぁぁぁ!!!会いだがっだよぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「「イッセーくぅーーーん!!」」

 

自分を挟んで睨み合いを始めた白音とドロシーに胃を痛くするヴァーリを尻目に、イッセーは滝のような涙を流しながら夕麻とイリナに駆け寄り、二人もそれを受け止め抱擁する。

 

「グスッ!…俺、俺ぇ!も、もう二度とふたりに会えないのかと……!!」

 

「よしよし、もう大丈夫だよイッセー君。私たちがイッセー君を癒してあげる」

 

「今日はずーっといっしょにいてあげるからね♥」

 

(なぜだ!なぜオイラはモテないのだ!?……農夫だからか!?)

 

「で、どうよリアス、延びしろは?」

 

血涙を流すジャックを尻目に、竜也はリアスに訪ねる。

 

「………正信予想以上よ。みんな入る前とは段違い。特にイッセーとヴァーリの二人は一線を画してる。」

 

【探索】によって出現した水晶を覗き込みリアスはその結果に驚きながらも竜也に伝える。

 

「だな、正直ここまでとは……(一日分でこれなら今度残りも合わせて全員にやれば十分な戦力増量が期待できる) ニヤリ」

 

ゾクッ((((!!?))))

 

突然言い知れぬ悪寒を感じた『龍の紡ぐ絆』一同であった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

翌日、再び始まるウォーゲーム。その4THバトルは6対6の氷原フィールドでの戦いとなった。今回の戦いでは修行成果を確認するために竜也とアランは不参加。参戦するのはアルヴィス、ドロシー、ヴァーリ、ギンタ、白音、朱乃の六人であった。

 

対するのは、

 

 

「寒いね寒いねぇ‼こういう時はどうすればいいんだい!?あっつーーいモノを喰うのさ‼

お前達全員焼き肉にして喰ってやるよォオーーー!!!この美しいラプンツェル様がねえーーー!!!」

 

「…………な、なんだあいつ……」

 

その呟きは誰のものであったか。現れたのは、長い金髪をドリルのように固め、ボンテージスーツを着た老け顔の女であった。

 

「チビ!!!不細工な白髪!!!もう一人不細工!!!チンチクリン!!!ブス!!!もう一匹ブス!!!てめぇら全員地獄に叩き落とすよォオ!!!ブッ殺してやる!!ギャハハハハハ!!!」

 

次々とギンタたちをまくし立てたかと思えば、いきなりヒステリックな笑い声を上げる女。その様をギンタたちは唖然と見ていた。

 

「なっ……なんだあのドリル頭のおばさんは……」

 

「ぁんのババァ……誰と誰がチンチクリンと不細工だってぇ……」

 

「………コロス」

 

「あらあら、うふふ♪」ズゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 

訂正、呆気にとられているのはギンタのみ。ヴァーリはこめかみに青筋を浮かべ、白音は無表情、朱乃は微笑みを浮かべているが、背中にどす黒いオーラを漂わせており、アルヴィスは我関せずといった表情で彼らから距離を置く。真面目な顔をしているのはドロシーぐらいなものだった。

 

「ラプンツェル様、クラスはナイト。性格はヒステリックで好戦的で自己中心的。しかし、強いですよ。」

 

ギンタの呟きにポズンが審判として淡々と答える。

 

「さぁいくよォオオ!!!」

 

「ちょっ!?ちょっと待てよねーちゃん!!!」

 

今にも飛びかかろうとするラプンツェルを、以前ギンタと戦ったチェスのビショップ、ギロムが肩を掴んで止める。

 

「なんだいギロム?」

 

「ねーちゃんは俺たちのボスだろ?やっぱ最後の方がいいよ!」

 

先ほどとは打って変わって穏和な表情でギロムに尋ねるラプンツェルに、ギロムは出るなら最後だろうと提案する。

 

「んんー?まあ…カワイイ弟がそう言うならねぇ…」

 

「そうですね。それに、お言葉ですがラプンツェル様。あの二人はブサイクとは思いませんよ?カッコイイです♡」

 

巻き貝のような帽子を被った少女が話しかけた瞬間、ラプンツェルは再び凶悪な表情を浮かべる。

 

「ばっ馬鹿!!!ねーちゃんに謝…」

 

パンッ!!!、と乾いた音が辺りに響く。ラプンツェルが少女の頬を叩いたのだ。

 

「……じゃあ、どっちが美しいんだぃぃーーっ!?あの二人とォ…私のさァ!!!」

 

「……ら、ラプンツェル様…です……」

 

頬を打たれた少女は、震える声でそう返す。

「言葉にゃ気をつけなこのクソ女!!!私はデリケートなんだ!豚!!!」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

レギンレイヴ城、竜也side

 

「うっわ、最悪だあの女。俺の一番嫌いなタイプだわアレ」

 

月に映る映像を見ながら思わずそう漏らしてしまう。いやだってしょうがないじゃん。なにあの世のヒステリックな女性の悪いところを一個にまとめたみたいなやつ。

 

「ほんとに最悪ね、同じ女として恥ずかしいわ。」

 

「何処と無く誰かを彷彿とさせるな」

 

イッセーの呟きに、俺達の脳裏に浮かんだのは、バカ笑いをする白髪の男の姿だった。

 

◆◆◆◆◆□□◆

 

「へっぶわっくしょい!!!いやー、美女が俺っちの噂してるぜぃ」

「なーにをアホなこと言っとるんですか先輩」

 

とある世界とある場所、くしゃみを上げてとんちんかんなことを言う白髪の青年に、金髪の少年が冷ややかなツッコミを入れた。

◆◆◆◆□□◆◆□

 

アルヴィスside

 

 

今から6年前、当時チェスの兵隊と戦っていたメルのもとに、一人の少年がやって来た。

 

『おう、なんだ?その年で気合い入ってるじゃねーかよ、ボーズ。メルヘヴンが好きってか?へへっ、じゃあ俺と同じだな。一緒にチェス倒すか!』

 

『子供に戦かわせるなんてできるか馬鹿!!!……しかし、大人でも逃げ出すウォーゲームだってのにな。面白えガキだぜ。』

 

 

 

 

『いい目をしている、勇気ある君によいプレゼントを贈ろう。ゾンビタトゥ、そのタトゥーが身体中にまわりきった時、キミはボクと同類になる。』

 

 

『 生ける屍。』

 

『ダンナ!!』

 

『ダンナさん!!』

 

『相討ちか……しかし、終焉ではない。死することないファントムは、またいつか甦る。その時、戦争は再び繰り返されるのだ。』

 

 

それから6年後、ファントムは甦り、少年は再び合間見える。今度は、仲間と共に戦う戦士として。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

4thバトル第一戦はアルヴィスVSクラス【ビショップ】のMr.フック。3rdバトルで地の利もあり、スノウを破った相手に、アルヴィスはノーガードで構える。それに怒ったフックは、『フィッシングロッド』でアルヴィスを捕らえ、『ハープーンピアス』で串刺しにしようとするが、アルヴィスはそれを素手で破壊した。

 

「ちっ、あの野郎使えねぇぜねーちゃん。」

 

「Mr.フック!!!負けたらどうなるかわかってるねェえ!!制裁が待ってるよォおお!!!」

 

「む、無茶を言うな……あの男は、まだARMすら出していないんだぞ……」

(一口にクラスと言っても、その中にはランクが存在する。ナイトに近いビショップ、ルークに近いビショップ、某はせいぜいルークの上程度だ。

それにあの男、ロランと戦っていた時よりも格段に強さを増している!息一つ乱さずARM一つ使わず戦うとは!?)

 

先ほどから攻撃をしていながら、実質追い詰められているのはMr.フックの方だった。彼はこれまでの攻撃で悟ってしまったのだ。アルヴィスとの実力差に。

 

(こうなれば、某、最強で最後のアレを使うしかないぞよ!魔力を極限まで込め、狙いを定めよ!!!)

 

「行くぞ!『アンガーアンカー』!!!」

 

次の瞬間、アルヴィスの頭上にスノウの『スノーマン』を粉砕してみせた巨大な碇が現れた。碇は重力に任せ落下、アルヴィスの立っていた氷の大地を粉々に粉砕してみせた。

 

 

「…………終わりだねぇ」

 

「はぁ……ガァッ!!」

 

勝負は決した。アルヴィスは一瞬にしてMr.フックの背後に移動し、その意識を容易く刈り取った。

 

「勝負あり!!!勝者、チームメル!!アルヴィス!!」

 

「おっしゃあーー!!!」

 

「ほぉ、やるねぇ」

 

(あれから6年が経ち、戦争は繰り返された。そして今、俺はウォーゲームで戦っている。)

 

「楽勝だったじゃねーかコノヤロー!」

 

「誉めてつかわす!わははは!!」

勝利を納めたアルヴィスに、ギンタは笑顔で駆け寄りる。それを見たアルヴィスは、ふと昔自分が聞かれた言葉を思い出した。

 

「ギンタ」

 

「うん?」

 

「メルヘヴンが好きか?」

 

一瞬、ギンタはきょとんとするがすぐに笑顔で答える。

 

「当たり前だ!!」

 

その答えに、アルヴィスは顔を綻ばせ、そしてより決意を固める。

 

「じゃあ……俺と同じだな。一緒にチェスを倒すぞ!」

 

この戦争は、俺たちが今度こそ終わらせる。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

竜也side

 

4thステージ第一試合終了後、それは起こった。重い足取りで戻ってきたMr.フックに、ラプンツェルは突然じゃんけんを持ちかけたのだ。突然のことにMr.フックは慌てて手を出し……

 

「負け…たわ……」

 

ザクッ❗❗❗

 

 

『『『ッッッ?!!!!』』』

 

ラプンツェルは、Mr.フックの首を切り落とした。

 

『運がないねぇ!Mr.フック!ギャハハハハハ!!!』

 

「ッ!!!…ぁんのババァ!!!」

 

奴の甲高い笑い声に全身の血が沸騰するような怒りがこみ上げる。確信した。奴は殺しを楽しむ完全な殺人鬼だ。自分が楽しむためなら、仲間すらも手にかける!!

 

「ひ、酷い……」

 

「あのババァ許せねぇ!!!」

 

「醜いわ、実にもって醜悪ね 」

 

皆奴の行動に嫌悪感を表している。くそっ、こうして目の当たりにすると、奴らの醜悪さを改めて実感する。今すぐにでもあそこに行ってあのババァをぶちのめしてやりたいが、それは………

 

『おい、ババァ!!!』

 

あいつらに任せるとしよう。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「おい、ババァ!!!てめぇは自分の仲間も殺すのか!!?それがチェスのやり方なのか!?」

 

ギンタの怒号に反応し、ラプンツェルはゆっくりと振り向く。

 

ピク…ピク…「……ギィンタァ……お前……今何て言った?」

 

「ババァだってんだよババァ。」

 

そこにドロシーが介入する。

 

「ハッキリ言ってさっきから不愉快なんだよね、あんた。そのデカイダミ声も、姿形も、ムカつくったらありゃしない。」

 

「ドロシーの言う通りだ。不快な姿さらしやがって、消えろクソババァ。」

 

そこにヴァーリも加わり、ラプンツェルに対して募った不快感を吐き捨てる。その瞬間、ラプンツェルの顔が怒りと狂気で染まった。

 

「ああぁ!!!今すぐ人を殺したいぃぃぃぃィッ!!!全員こいよゴラァ!!!」

 

「まっ、待ってよねーちゃん!!!」

 

今にもギンタたちに飛び掛かろうとするラプンツェルをギロムが止める。このゲームの映像は“クイーン”の元にも届いている。ルール違反を起こし、彼女の機嫌を損ねるのは不味い。

 

「ねーちゃんには一番おいしいところをやらせてやる。もうしばらく辛抱してくれ。」

 

「フヒー、フヒー!!!……ギンタ、魔女、ヴァーリ……あいつら死なないとぉ、絶頂なんか出来ないよぉォオッ!!」

 

なんとかギロムに宥められ、ラプンツェルは引き下がる。しかし、その顔には尚もヒステリックに歪んでいた。

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

4thステージ第二試合、組み合わせはチェスの兵隊【ビショップ】コレッキオVS龍の紡ぐ絆【迫撃兵】白音

「試合、開始!!!!」

 

「……行きます」

 

ポズンの宣言と共に、白音はゆっくりと拳を構える。対するコレッキオは、トランプの束をシャッフルし、その中の1枚を白音の足元に投げた。カードは氷の大地に刺さり、見ると、それはジョーカーのカードだった。

 

「それがお前の運命、死。『マジックハンマー』」

 

「言ってて下さい。」

 

コレッキオはハンマーのARMを発動し白音にラッシュを仕掛ける。対する白音は、コレッキオの攻撃を全て見切っていた。

 

「フッ!!」

 

「おぁ…!」

 

白音はコレッキオのハンマーを掻い潜り、拳の一撃を捩じ込むが、コレッキオはそれを紙一重でかわし、一旦後ろに飛び退く。

 

「……一撃、一撃当てれば俺の勝ち決定。一撃当てる!」

 

コレッキオの何か仕掛けようという仕草に、白音は警戒を表す。

 

「むっ…」

「ああーーーっ!!!アレ何!?」

 

突然、コレッキオは大声で白音の後ろを指差した。

 

 

『『『・・・・・・・・・・・・・・・』』』

 

 

「……………ひっかかりませんよ?」

 

ガーン!!!(後ろ向く思ったのに!!こいつなかなかやる!!)

 

試合を見ている何人かが思った。こいつバカだ、と。

 

「仕方ない、これ使う。」

 

コレッキオはそう言うと左手中指に着けたARMを発動する。

 

「『スロードリィ』」

 

ARMが発動すると、突如白音の動きが固まる。

 

「……ッ!!?……か、体…が……」

 

「ッ!?どうした白音!?」

 

「ダークネスARMよ、ヴァーリン。『スロードリィ』、効果は確か相手の動きを鈍らせる。そして、その代償は、発動させている間視力を失う。」

 

「……さて、どこ?」

 

コレッキオはハンマーを片手に、ゆっくりと白音を探す。

 

「クッ!……」

 

白音は全身を覆う重みに抗い、必死に体を動かそうとする。

 

(…これを破るためには、このARMを発動させるしかありません。動いて下さい、私の体!!)

 

『メルヘヴンは好きか?』

 

不意に、白音は先ほどのアルヴィスの問いかけを思い出す。

 

(私達はこのメルヘヴンの外から来た存在、『メルヘヴンは好きか?』、と聞かれてもピンと来ません。……だけど、)

 

脳裏に浮かぶのは、チェスの兵隊によって破壊されたルベリアの光景。殺され、息耐えた遺体を抱きしめ咽び泣く人々。

 

(あんなの見せられて、黙ってられるわけないでしょう!!!)

 

それは、自分もかつて味わった大切な人を失う悲しみ。いや、自分はまだ幸せだ。離ればなれになったが、姉は生きており再び再開することができた。だが、目の前で大切な人を殺され、もう二度と会うことは出来ない彼らの悲しみは、自分が経験したものよりも何倍も深いだろう。

 

(そんな悲しみを理不尽に世界に撒き散らすチェスの兵隊を、許す訳には行きません!!!)

 

白音は力を振り絞り、ゆっくりと両手を上げて行く。そしてそれが顔の前に届こうとした時に……

 

「魔力、感じた…!」

 

「ッ!!しまっ…」

 

 

ドゴッ!!

 

鈍い音がフィールドに響く。

 

「ッ!?白音ぇ!!」

 

「う…クッ…!…あ、体の重みがなくなった。」

 

白音はふらふらと立ち上がると、体を包んでいた重みが消えているのを感じた。

 

「よし、これなら…………にゃ?」

 

白音は拳を再び構えるが、そこにコレッキオの姿はなく、代わりにいつの間にか、()()()()()()()()()が立っていた。ゆっくりと上を見上げると、そこにはビルほどの大きさになったコレッキオの姿があった。

 

「きっ、巨大化……っ!?」

 

「逆、お前、小さくなった。マジックハンマーで一撃当てる。相手小さくなる。」

 

ドゴッ!!

 

「ぁあ!!!」

 

コレッキオは小さくなった白音を、その身長ほどもある足で蹴り飛ばした。

 

「何度も蹴る。死ぬまで蹴る!コレッキオ負けない。Mr.フックみたいに死にたくない!!」

 

コレッキオは再び足を振り上げ、白音に向かって振りかぶった。

 

「くっ!!ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

それに対し、白音は迫り来る足を避ける訳でもなく、それを真っ向から受け止めてみせた。

 

「………何?」

 

あり得ない、そうコレッキオは思った。あの小さな体、それも今やゾウとネズミほどの体格差のある自分の蹴りを、白音は止めて見せたのだ。

 

「…こう見えて、力と耐久が自慢…ですから!」

 

刹那、白音はコレッキオの足に飛び乗り、素早い動きでコレッキオの体をよじ登っていく。

 

「くっ!堕ちろ!!」

 

コレッキオは白音を払い落とそうとするが、白音はコレッキオの腕を掻い潜り、ついにコレッキオの眼前に到達する。

 

「ダークネスARMを解いたのは失敗でしたね!ネイチャーARM『煙幕』!!!」

 

白音はARMを発動し、口元で印を結び、そこに息を吹き込むと、勢いよく煙が吹き出た。

 

「ッ………目眩まし?」

 

「いいえ、違います。」

 

「!!?」

 

コレッキオが目を向けると、煙の中から元の大きさに戻った白音が飛び出した。

 

「なっなぜ……!?」

 

「ネイチャーARM『煙幕』の煙は魔力を遮断します。当然、ARMの魔力もです。……それよりも、」

 

白音はゆっくりとコレッキオに近づく。

 

「…あなた、さっきはよくも蹴っ飛ばしてくれましたね」

 

「す、スロード…!!!」

 

「ぶっ飛べ」

 

ドゴッ!!!

 

「ガハァ!!?」

 

コレッキオがARMを繰り出す前に、白音の拳がコレッキオの腹に突き刺さる。コレッキオはバットで打たれたボールのように吹き飛び、数度バウンドした後に倒れ伏した。

 

「勝者、シロネ!!!」

 

「大逆転だァーー!!!」

 

「うん、流石だ白音」

 

「へぇ~、やるじゃんあのチビッ子」

 

「にゃん」

 

仲間たちからの称賛に、白音はブイサインで答えた。

 

 

 

「……う…ぐぅ…」

 

一方、吹き飛ばされたコレッキオは、腹の痛みに耐え、なんとか立ち上がろうとしていた。そして、顔を上げると、そこには悪魔の形相をしたラプンツェルの姿があった。コレッキオの顔が絶望に染まる。

 

「ジャーン」

 

「ケーン。」

 

「ホイ!!!」

 

とっさに自分の出した手はチョキ、そして、ラプンツェルの手は、グー。

 

「…ま、負け……!」

 

「ヒャーーー!!!」

 

ズガンッ!!

 

ラプンツェルがコレッキオの首を切ろうと手を伸ばした瞬間、ラプンツェルとコレッキオの間に光の槍が突き刺さった。

 

「ぁ“あ“!!?なんだぁこりゃあ!!?」

 

「あらあら、困った人ですわぁ。先ほどヴァーリ君たちの言ったことをもうお忘れかしら?……これ以上その不快な光景を見せないでくれませんこと?吐き気がしますわ。」

 

そう言って、微笑を浮かべ歩み出るのは、光の槍を彼女に向かって投げた朱乃であった。

 

「うふふ♪次は私が行きますわ。ほら、出て来なさいなオバサン。消し炭にしてさしあげますわ♪」

 

ビキッ!

 

朱乃のその言葉にラプンツェルの額に青筋が浮かぶ。

 

「だ、だ、誰、誰がオバサンなんだい~~~~!?私はまだ29なんだけどねえ~~~!!!」

 

「あらあら、ご冗談を。どうみても40後半でしょうオバサン。死んで下さい♪」

 

怒りに震えるラプンツェルの反論を朱乃はバッサリ切り捨てる。

 

「キィィィィィィィィィィィッ!!!」

 

ラプンツェルはヒステリックな奇声を上げながらズカズカと朱乃に突進する。いつの時代、どこの世界でも女性に顔と年の話は禁句なのだ。まぁ、この場合は致し方ない気もするが……

 

「ま、待てよねーちゃん!!あんなブスの挑発にのるなってば!!ね、ねーちゃんの方が……全然キレイだ……ぜ……?」

 

ギロムは暴走する姉の前に立ち塞がり必死に宥めようとする。言葉が絶え絶えなのは姉に対する恐怖からか、はたまた自分でも無理があると理解しているかは定かではない。そして弟のそんな世辞に、ラプンツェルはバッと止まり、先ほどまでの態度が嘘であるかのように顔を緩める。

 

「そうかいそうかいギロム~~~♡かわいい弟がそう言うなら本当だろうね〜〜〜」

 

「あ、ああ……ほんとだってば……」

 

ギロムは冷や汗を流しながら、ホッと一息ついた。

 

 

 

 

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