「フェッフェッフェッ、さすれば…これならどうじゃ?」
シードキャノンを全ていなされたヴィーザルだったが、表情一つ変えずに直ぐ様次のARMを発動する。腕に着けた数珠状のARMが輝くと、フィールドの石畳の隙間から植物の茎が次々と伸び、先端にスイカほどの黄色い実を着けた。
「なんだアレは……草?」
「油断するなよジャック!!」
突如生え茂る謎の植物に警戒するメルの面々。それに対し、ジャックは何処からか取り出した伊達眼鏡をかけてその植物をまじまじと観察していた。
「ふむふむ。こいつは…植物マスターのオイラでも、見たことがないっスねぇ……」
ジャックが指先で植物の実の部分に触れると…
ボカァァァン!!!
「のぎゃーーー!!!」
実は爆発を起こし、ジャックは吹っ飛ばされた。その威力は先ほどのシードキャノンの果実弾よりも上である。
「不用意に敵の技に触るなサル!!」
「アホォォォォォォォォ!!!」
ジャックの軽率な行動にキレるイッセーとアラン。せっかくさっきまでかっこよかったのに、台無しである。
「だ、大丈夫っス…この植物、一撃で根絶やしにするっス!」
ジャックは素早く起き上がると、大地のスコップを地面に突き刺した。
「“アースウェイブ”!!!」
波打つ大地の衝撃は一直線に進み、巻き込まれた植物は次々と連鎖爆発。結果、ジャックの宣言通り一本残らず根絶やしとなった。
「おお!草がいっぺんに吹っ飛んだ!!」
「ジャックすげぇ!!」
(アースウェイブもさらにパワーアップしてるな……やるなジャック!!)
「おお、ジェイクと同じ事をしよる。ワシの『グラスボム』を一発でなくしおった。
ならばワシも、あの時と同じ事をしようかのぉ」
ヴィーザルは手に持つ木の杖の葉の中をまさぐり、一つの指輪を取り出した。
「ネイチャーARM………
『ユグドラシル』!!!」
ヴィーザルはARMを宙に放る。すると、ARMから膨大な魔力が放出され、石畳を突き破り一本の樹木が発生。やがてそれは急速に成長し、天高くそびえ立ち、フィールドからはみ出さんばかりの大樹となった。
「フェッフェッフェッ……ここまでおいで。」
「捕まえちゃる!ロッククライミング!!!」
ヴィーザルは老体にも関わらず、身軽な動きでユグドラシルを登って行き、ジャックも負けじと追いかける。
「(ジェイクよ、6年前に戻った気分じゃよ……)」
ヴィーザルは枝に飛び移り杖を振るう。すると、ユグドラシルの枝に茂る葉が一斉にジャックに襲いかかった。
「“木葉乱舞”!!!」
「あだっ!?あだだっ!おのれジーちゃん!“アースビーンズ”!!!」
ジャックは木の隙間に豆を埋め込み、大地のスコップの力によって急成長させ、豆の木のツタはヴィーザルに巻きつき拘束した。
「およよ、これもジェイクがつこうたわ。親子よのう。さすれば……『デッドリーフィールド』!!!」
ヴィーザルは慌てることなくARMを発動する。するとヴィーザルの周りに円形の幕が現れ、その中に入ったツタは一瞬にして枯れ落ちた。
「デッドリーフィールドはあらゆる植物を腐らせる。かと言って、ワシの頭の木は腐らんがのう」
「クソッ!(ダメなのか?あんなに修行したのに……!!)」
「がんばれジャック!!」
「あきらめるな!オヤジさんの敵を討つんだろうが!!」
得意技を封じられうつむくジャックだが、ギンタとイッセーの声援を受け顔色を変える。
「(ギンタ…兄ぃ……)二人の言うとおりだ…!これがオイラの最後の戦いっス!!」
「フェッフェッフェ、返り討ちにしてくれるわ。“スネーキーボウ”!!!」
ヴィーザルが再び杖を振るうと、ユグドラシルの枝が蛇のように蠢き、ジャックに襲い掛かった。
「ガーディアンARM!!『メヒィトス』!!!」
それに対し、ジャックは自身の
「なんじゃと!?」
ヴィーザルが驚くのをよそに、全ての枝を噛み砕いたメヒィトスはヴィーザルへと迫る。
「ふむ……さすれば、」
それに対し、ヴィーザルは幹から飛び降り、メヒィトスの口に飛び込んだ。
「自らメヒィトスの中へ!?」
「何か来るぞジャック!!」
『フェッフェ…、メルの連中は察しがよい
行くぞ!!ガーディアン!!!
『
その瞬間、メヒィトスは一瞬にして腐り落ち、メヒィトスを突き破り、中からその名のごとく枯れ木でできた巨鳥が姿を現した。
「ブライディングバードは敵の全ての植物を腐らせる。打つ手なしじゃろ。おぬしの父もこのガーディアンの前に成すすべなく敗れた。チェックメイトじゃ」
「……まだ負けじゃない!オイラにはまだARMが残ってるっッス!!」
ジャックは切り札の一つ、カルデアで授けられた左手に着けた指輪のARMを掲げる。
「…ジャック、やはり
「アニキ(分身)?」
「アレとは何じゃ!?」
竜也(分身)の呟きに、観戦していた連合軍の視線が集まる。
「さっきのメヒィトスともう一つ、カルデアで貰ったARMを使うつもりだ。あまりにも強力で、制御が難しく、その危険性ゆえ長老も封印するしかなかったARM……その名は…」
「いくっスよ!火のガーディアン!!!
鬼火属 フォレ!!!」
ドロンッ!!!
「ハーイ!呼ばれて飛び出てボヨヨヨ~~ン!」
「え?」
「ひょ?」
『『『は???』』』
満を持して現れたガーディアン、鬼火属フォレ。それは想像とは裏腹に、妖精のベルとほぼ同サイズの、にやけ顔をした炎の魔人であった。
「恐ろしいARMって…」
「言うな、ベル」
「めっちゃキュートやん…」
「どの辺が危険?」
「いや、俺に言われても…」
「イヤ、マジだぜ」
「ああ、あのARM、恐ろしい勢いでジャックの魔力を吸っておる」
アランとガイラの指摘のとおり、フォレはただ現々しているだけでジャックの魔力を次々と消費していた。
「ボス、ご命令を!」
「あ、あいつをやっつけるっス!できるっスか!?」
「ラジャッ!!」
フォレは小さな体で一すばやくブライディングバードに接近し、手を触れる。その瞬間、ブライディングバードは一瞬にして全身が燃え上がり、灰も残らず消え去った。
「なんと…じゃが、たとえその炎でも、ユグドラシルは燃やせん!!」
「ぜぇ…ぜぇ…そうっスよね……だからこれも使うっス!!!
ネイチャーARM!!『
ジャックは竜也からもらった最後のARMを天に掲げる。すると上空に輝く太陽の輝きが増し、暖かな光がジャックとフォレを包みこんだ。
「うおおおお~~~!!!力が湧いてきたぞ~~~!!!」
「『豊穣の太陽光』、このARMは日の出ている間しか使えないけど、オイラのARMの力を倍増するっス!!」
「な、なんじゃと!!?」
「だが、持続させるのに魔力を消費し続ける。フォレだけでも相当の魔力を消費するのに、最悪命を落としかねない…!!」
「ジャック…!」
「いっきに決めるっス!!フォレーーーーッッ!!!!」
「ハ~~~イッ!!!」
ジャックの全身全霊の魔力を受け取ったフォレの炎は、瞬く間にユグドラシルを包み、人々の嘆きを喰らい続けてきた魔性の樹は、やがて灰塵に帰した。
「ま、まさか…ワシのユグドラシルが……」
「フォレ…!最後はあの木っス!!!」
「ハイ~~~!!!」
ジャックの指令を受け、フォレはヴィーザルに向かって一直線に飛ぶ。
「ヒ、ヒィィィィイィィ!!?」
ボン!!
「はぁ……」ドシャ!!
頭の木を燃やされたことで、ヴィーザルは力なくその場に仰向けに倒れた。
「ワ、ワシの頭の木が魔力の源と気づいておったか…」
そう呟くヴィーザルに、ジャックはゆっくりと歩み寄る。
「……ジーちゃん」
「なんじゃい」
「オイラ、人を不幸にするユグドラシルなんかなくても、いつかきっと、天までとどく植物を育てて見せるっス!それがオイラと…父ちゃんの夢だから!!!」
「……フェッフェ、ワシの完敗じゃ。おぬし、ジェイクを越えたぞ」
「勝者、メル!ジャック!!!」
『『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!』』』』』
「やったぁぁぁぁぁ!!!ジャックくぅ~~~ん♥♥♥」
「姉ちゃん……」
「うおおおおおおお~~~~!!!ジャッグゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥ!!!」
「「イッセー君……グスッ」」
「(母ちゃん。父ちゃんの敵、討ったっスよ!!)」
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北の離島・パヅリカ
「見てるかい、父ちゃん?あの子、あんなに立派になったよ……」
野菜の供えられた墓の傍らで、ジャックの母は、空に映る息子の姿に涙を流した。