我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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有限と永遠

 

ウォーゲーム最終決戦、第一戦目はジャックが辛くも勝利を収めた。

 

「来いよロラン、もう一度勝負しよう。」

 

アルヴィスの指名を受けたロラは笑顔で応じる。彼は、以前の戦いで敗れた相手にして、自身と同様にファントムから不死化の呪い『ゾンビタトゥ』をその身に刻まれた存在であった。 

 

最終決戦・第二戦 

 

◆チェスの兵隊【ナイト】▼ロラン▼

 

◇メル▽アルヴィス▽

 

「開始!!」

 

先に仕掛けたのはロラン。開始とどうじに爆発石のARM『ストーンキューブ』を一斉にアルヴィスへ放つ。それをアルヴィスは顔色一つ変えずに、全て回避して見せた。

 

「…こんなものか?」

 

「動きが全然違う。成長なされたのですね。

では、こうしましょう。『レイピアウィップ』」

 

ロランが続いて繰り出したのは、石でできた細剣のARM。それを見て近接戦を予想したアルヴィスは13トーテムポールを”ロッドバージョン”にしてかまえる。

 

「いきまーーーす。せーー……のッ!!!」

 

ロランは相変わらず変化のない笑顔で石の剣を振るう。すると刀身がまるで鞭のように撓りながら伸び、不意を突かれたアルヴィスの肩を襲う。さらに直後、刀身に触れた部分が小さな爆発を起こした。

 

「ぐっ!!(剣ではなく、爆発を生む鞭だったのか!)」

 

「どんどんいきますよ♪」

 

ロランはそこから連続で攻撃を仕掛ける。一撃の爆発は小規模だが、それでも連続で喰らうと危険だ。それに対し、アルヴィスはロッドでいなしながら一瞬の隙を突き、爆弾石の刀身を掴み無理やり引きちぎった。

 

「ムチャな人ですね」

 

「助けてやりたいんだ、スノウを。…俺にはもう時間が残り少ない。タトゥがほぼ全身に廻りつつある。」

 

「喜ばしいことじゃないですか!ワーイ♪ 

私のはまだ時間が必要ですからね。実にうらやましい」

 

「ふざけるな!!」

 

悲痛な顔をするアルヴィスに対し、本気で賞賛と羨望をむけるロラン。それに激高し13トーテムポールを放つアルヴィスだが、ロランはそれらを軽々と避ける。

 

「ふざけてなどいませんよ。私は本気です。永遠の命が手に入るのですよ?老いることもなく。

 

そう、ファントムのように」

 

 ロランは幼少時、両親を亡くし天涯孤独の身になり、物乞いをして生きていた。この世界に孤児など珍しくもない。道行く人々は、彼を見向きもしなかった。いや、気にも停めていなかった。まるで道端の石ころや雑草のように 

 

 そんな彼に、手を差し伸べたのがファントムだった

 

 それ以来、彼はファントムの元で直々に教育を受け、手巣の尖兵として育てられ、彼の思想に感化されていった。

 

「全ての人間がそんなものに憧れるわけじゃない!お前は生ける屍になりたいのかロラン!!!」

 

その時、最高速に達した13トーテムポールの一本がロランの肩を掠めた。

 

「限りある命を、大切な人と歩むことに、人間の意味があるんだ」

 

「違いますよ。大切な人と限りなく歩むことの方が素晴らしいのです」

 

二人は互いの信念をぶつける。相反する心情は交わることはない。ゆえに戦うしかない。

 

「…理解できません。永遠の命が手に入れば、大切は人が死ぬ悲しみからも開放されるのですよ?」

 

「………」

 

「わかってくれるまで戦います。『エル・ダンジュ』!!!」

 

ロランの背から純白の翼が生え、ロランは宙に舞い上がる。直後に、大きく羽ばたいた翼からナイフのごとき羽根が無数にアルヴィスへと襲い掛かり、アルヴィスは盾のARM『ガーデス』によってそれを防ぐ。

 

「ファントムはゆがんでいる!なぜそれに気づかない!!!」

 

アルヴィスは13トーテムポールをパーツごとに分解することで空中の敵へと連続で射出する。奇してストーンキューブの意趣返しとなったそれは、ロランの翼を貫き、地に堕ちた後も休むことなく続いた。

 

「うおっ、直撃だよ…」

 

「あんな使い方が…」

 

観衆が固唾を呑んで見守る中土煙が晴れ、ロランはボロボロに成りながら、尚も立っていた。 

 

「…それでも好きなんですよ、彼が」

 

ロランは困り笑顔でそう言って、一つのARMを取り出した。

 

『そろそろだなぁ…』

 

「フェッフェ」

 

ロランは目を閉じARMに魔力を練り上げる。そしてゆっくりと目を開け、アルヴィスを正面から見据えた。

 

「あなたには、自分よりも大切なモノはありますか?」

 

「ある。メルヘヴンの平和だ」

 

アルヴィスは何の迷いもなくそう言った。

 

「私は、ファントムです。」

 

ロランもまた何の迷いもなく言い切った。

 

「ファントムが与えているのは愛情なんかじゃない!!永遠という名の束縛だ!!」

 

「……束縛でも、かまわない。私は、一人で生きるのも死ぬのも怖いのです!!  

 

 

コカトリス!!!

 

現れたのは、血走った眼を剥く巨大な怪鳥のガーディアン。

 

『ごげぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇぇぇ』

 

コカトリスは甲高い鳴き声とともに土煙のようなものを吐き出す。土煙を浴びたアルヴィスは触れた部分から徐々に石化していく。

 

「石化ブレスか!?」

 

「キャンディスのゴーゴンと同じ!?」

 

騒然とする外野と裏腹に、アルヴィスは依然として落ち着いていた。体が石になるのも厭わずに、限界まで魔力を錬り上げる。

 

「……人間は皆同じなんだよ、ロラン。」

 

そして、魔力をARMに乗せて一機に解き放つ。

 

ア・バウア・クー!!!!

 

アルヴィスの渾身の魔力を贄に、現れた骸の幽鬼(ア・バウワ・クー)。大きく開いた口から溢れる闇の中央に鎮座する眼球に気づいた瞬間、ロランはコカトリス諸共半透明のカプセルへ閉じ込められた。

 

「っっ!!?し、しまった!!」

 

「お前が出会っていたのがファントムではなくダンナさんだったら、同じ道を歩んでいたかもしれないな、ロラン」

 

 

 

ーーーーーーーーーバーストアップ

 

ゴンッッ!!!

 

ア・バウア・クーの瞳が光り、カプセルの中で爆発が起こる。圧縮された衝撃が無情に襲い掛かり、コカトリスは砕け散り、ロランもまたカプセルが砕けると同時に力なく地に堕ちた。コカトリスが消えたことで、アルヴィスの石化も解ける。

 

「ファン……ト………」

 

「勝者!!アルヴィス!!!」

 

「やったぁああ!!!!」

 

『『『『ワアアアアアアアアアアアアア!!!!!!』』』』

 

観衆が沸き立つ中、連合軍の面々は、静かにアルヴィスを見つめていた。

 

「……アルヴィスはゾンビになることを心から望んでいねぇ。もし、ゾンビになりそうになった時、あいつは自ら命を絶つたろう。」

 

アランの思い言葉に連合、特に『龍の紡ぐ絆』の面々は言葉を失う。彼の背負う悲痛、そして覚悟を知ったからこそ、彼らは何も言葉が出なかった。 

 

そんな重い空気を打ち払ったのは、ギンタの声だった。

 

「そんなことさせねーよ!!あいつも仲間だ!!」

 

「仲間というか家来じゃな。今回のがんばりを踏まえて第3家来に昇格してやるかのう!ワッハッハ…アイタッ!?」

 

「聞こえてるぞ丸いの」

 

高笑いするバッボを戻ってきたアルヴィスが13ロッドでドツく。そんな光景に気が抜けたのか所々でクスクスと笑いが起こる。

 

その中で、リアスが神妙な顔で竜也(分身)に歩み寄る。

 

「……ねえ、タツヤ」

 

「ん?なんだ、リアス?今ヤツを見て、俺がお前らと生きる為に転生したことをいまさら後悔してるとでも?」

 

言わんとしていたことを言い当てられ、リアスは一瞬驚愕してすぐに苦笑いをうかべる。辺りを見ると、『龍の紡ぐ絆』のメンバー達も、竜也へと不安気な視線を集めていた。

 

「……本当に、あなたには何でもお見通しなのね」

 

「…はぁ、ったく。いいか?俺は分身だし本体(あっち)と合流したら他のやつらにもちゃんと言うが、とりあえずはよく聞けよ?」

 

誰かが唾を飲む。

 

「確かに俺は、お前たちと共に歩みたいがために人間を辞め、挙句に『逸脱者』なんつーわけのわからんモンになっちまった。寿命がどれくらいあるのか、正直寿命なんてものがあるのかすらわからん。いや、案外あっさりすぐに死んじまったりしてな。

ともかく、アルヴィスのヤツから見れば、俺は…いや、俺達はファントム同様に忌むべき存在だろうな。」

 

「ッ…なら!!「だが」……?」

 

「だが俺は、そのことを後悔なんてしない。今も、これから先もずっと。

確かに、俺は文字通り人の道からは外れた存在だろう。

 

だが、俺はお前達がいてくれるなら、ずっと俺でいられる。

 

大切なお前達がいてくれるから、俺は生きていられるんだ。」

 

 

「……タツヤ」

 

「そもそも、俺らとあいつらとじゃ経緯は似てても行き着く先が全く違う。何が正しくて何が間違ってるかなんて所詮は人の主観でしかない。同じ道を歩み、違う志を持った者がかち合ったら、どちらかが潰れて道を開けるしかないのさ。言っちまえば、こんなのは所詮俺のエゴだ……だからお前ら、」

 

『?』

 

 

 

 

「間違っても勝手に死ぬんじゃねぇぞ。

俺が俺でいるためには、お前らがいてくれなきゃならねぇんだ。

 

だから俺は、お前らより1日でも長く生きて、お前ら全員を看取ってから、一辺の悔いもなく笑って死ぬ。……それが俺の行き着く先さ」

 

 

「……もう、何よそれ」

 

「……自分勝手過ぎだろ、アニキ」

 

「そうだよ?俺は自分勝手だよ。なにを今さら?」

 

「……はぁ、もういいわ。あなたってヒトはもう…」

「一瞬でも気に病んだのがバカらしいぜ……」

「全く」

 

『『『…………はははははははは!!!』』』

 

 

 

「クハッ!……さて、長々と話しちまったが、向こうさんもそろそろ我慢の限界か」

 

竜也はそう言って敵陣に視線を向ける。すると残ったナイトの一人、骸骨の仮面を被ったキメラがステージへと上がり、倒れ伏すロランを蹴り飛ばした。

 

「それじゃ、そろそろ………

 

俺、行ってみようか」

 

そう言って竜也はステージへと飛び込んだ

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