我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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涙と友の怒り

オカルト研究会の面々との挨拶から数日が経ちイッセーもだいぶ場の空気に馴染んだようだ。現在は「あなたの願い叶えます」と書かれた悪魔召喚のビラ配りの手伝いをしているようだ。……正直明らかに胡散臭いがそれでも召喚する人はいるらしい。

 

「きゃうっ!」

 

学校の帰り道、そんなかわいらしい声が聞こえたと思ったら、目の前をベールのようなものが風に流されて行った。俺はそれをつかみ、恐らく持ち主であろう声の主を探す。ベールの流されてきた反対の方向を見ると恐らく転んだのであろう地面から起き上がる少女がいた。身にまとったシスター服、風になびく 金髪(ブロンド)の髪、その姿には見覚えがあった。

「アーシア?」

 

「えっ……竜也さん?」

 

俺を見て目を見開くその顔は間違いなくアーシアだった。

 

「やっぱりアーシアか!どうしたんだこんなところで?」

 

「……竜也さん……竜也さぁぁぁぁん!!!!!」

 

するとアーシアは目から大粒の涙を流し俺に抱きついてきた。

 

「ヒック……竜也さん……竜也さん………」

 

「……アーシア、何があったかはわからないけど、俺で良ければいくらでも胸を貸す。今は我慢せずにおもいっきり泣いていいから……」

 

「グスッ、ヒック、……はい……」

 

その後、アーシアが泣き止んだ後、俺はアーシアを家に連れて行き、イッセーたちに召集をかけた。現在俺の部屋には俺のベッドに腰掛けたアーシアと、その周りに俺、イッセー、朱乃ちゃん、黒歌、そしてモニター越しだがヴァーリの姿があった。

 

「久しぶりだなアーシア。」

「元気にしてたかにゃ?」

 

「お変わりなさそうで何よりですわ。」

 

『ごめんなモニター越しで。できることなら直接会いたかったけど………』

 

「いえいえそんな!皆さんとまた会えてとっても嬉しいです。」

 

あれだけ泣いた後で目も赤いというのに、みんなと再会して本当に嬉しそうに笑うアーシアを見て、やっぱりアーシアはアーシアなんだと思った。

 

「………さて、聞かせてくれアーシア。あの後君に何があったのか、なぜこの町に来たのか。言いたくないなら無理にとは言わないが…」

 

「……いえ、お話します。私に何があったのかを…」

 

そしてアーシアは語り出した。あれからしばらくした後のこと、珍しく協会の外に出た時、深い傷をおい苦しむ一人の悪魔を発見しそれを癒したこと。そしてその一部始終を見られていたこと。その後、追いかけてきたエクソシストを殺害し悪魔は逃走、しかしその後が問題だった。協会は悪魔を癒したアーシアの力を「神から与えられた力が悪魔を癒すはずがない」と言い、アーシアに『魔女』の烙印を押し追放したのだ。そしてアーシアはある組織に拾われ、この町の協会に派遣された………

 

「イリナさんは私のことを最後まで庇ってくれました。……ですが結局私は追放され、イリナさんは「私もアーシアと出ていく」とまで言ってくれて……でもイリナさんにまで迷惑はかけられません。私は一人で協会を出ました。」

 

アーシアの話しを聞き、俺がまず感じたのは怒りだった。なぜアーシアが追放されなくてはならない!勝手に聖女と祭り上げ、勝手に魔女と切り捨てる協会が俺はどうしても許せなかった。見ると、みんなも怒りの表情を浮かべていた。

 

「……何だよ、何だよそれ!?何でアーシアが追放されなきゃいけないんだ!!!?アーシアは何も悪いことはしてないのに!!!」

 

「そうだにゃ!!勝手にアーシアを祭り上げといて、協会はなんて奴らだにゃ!!!」

 

「こんないい子を魔女だなんて……許せませんわ!!!」

 

『恐らく協会の面子を守るためだろう。悪魔を癒す少女が聖女であってはならないってな……虫酸が走るぜクソが!!!』

 

「……あの、皆さん何でそこまで私のために怒ってくれるのですか?」

 

アーシアは俺たちが怒っているのに戸惑っているようだ。

 

「……それはみんなアーシアが大事だからだよ。」

 

「えっ、私なんかが……」

 

「なんかじゃない。俺たちにとってアーシアは大切な友達だ。そんなアーシアが虐げられて怒らないはずがない。今まで大変だったろう、辛いなんてものじゃなかったろうアーシア。だけどもう大丈夫だ、俺たちが君を守る。もう君を絶対に一人にしない!!!」

「そうだ!もしアーシアを魔女なんて言うやつがいたらぶっ飛ばしてやる!!!」

 

「心配なんていらないにゃ♪」

 

「私たちがあなたを守ります。何があっても。」

 

『俺もだ。俺たちは絶対に君を見捨てない!!!』

 

みんなの意思は固く、そして確かなものだった。

 

「みっ皆さん、わたし、わたし……」

 

「アーシア、最初に会ったとき言っただろ?時には誰かに頼ることも大事だってな。それに俺は君の笑顔が好きだ。君の優しい笑顔が……だからアーシア、笑ってくれ。君の笑顔を守るためなら俺たちは何でもするぜ、なあ?」

 

「「「『ああ!(ええ!)(ニャア!)』」」」

 

「皆さん……はい!」

 

そうして見せた彼女の笑顔はとても優しく、暖かいものだった。

 

「……そういえば、アーシアはこの町の協会に派遣されたんだよな?」

 

「はい、そうですけど…」

 

「だとしたらおかしい。あそこはイリナたちが引っ越してから誰の手入れもなくすっかり廃れてたはずだ。」

 

「そういえば……」

 

「この前散歩がてら見たらすごいぼろぼろだったにゃ。」

 

「ええっ!?そうなんですか!!?」

 

「一体どういう…《ピロリロリロ》……っと悪い電話だ。」

 

俺は携帯電話をとり、電話に出ると、声の主は以外な人物だった。

 

「うん?珍しいな、お前から電話なんて…うん、……へぇ…………………なるほど。」

 

「……?アニキ?」

 

「ピースがつながった、さっそく仕掛けるとしようか……お前にも協力してもらうぜ?」

 

『あいよダンナ』

 

俺は電話を切る。堕天使の悪魔領への無断侵入、アーシアの派遣……なるほど、だが、そう都合良く行ってたまるかな?

 

「……ご主人様、完全に悪役の顔になってるにゃ……」

 

しっけいな、そう思って鏡を見るとそこには目と口を吊り上げ眉間に影の入った俺の顔が……これは悪人面だわ……

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