我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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過去と聖剣

パンッ!

 

乾いた音が部室に響く。球技大会の後、リアスが木場に平手打ちをした音だ。

 

「どう?少しは目が覚めたかしら?」

リアスは目を細め木場を見る。

 

「…もういいですか?球技大会も終わりましたし夜まで休ませてもらいます。昼間は調子が悪かったみたいです。申し訳ありませんでした。」

 

木場は笑い顔を作り淡々と謝罪する。しかしその顔はいつもの爽やかさはなく、無理やり取って着けたような作り笑いだった。

 

「木場、お前本当にどうしたんだ?マジで最近変だぞ、なんか妙に機嫌悪いし」

「いや、機嫌の悪い理由の半分は君のせいだからね?この一週間君のせいで二回もデッド・オア・アライブの間を垣間見たんだよ僕は。」

 

イッセーの問いかけに木場は今度は若干顔をひきつらせやや怒気のはらんだ声で答える。よく見ると青筋を浮かべている。

 

「それについては悪かったって……それじゃもう半分はなんだよ?」

 

「君には関係のないことだよ。」

 

「俺だって心配しちまうよ。」

 

「どの口が言ってるんだい?……それに、僕は基本的なことを思い出したんだ。」

 

「基本的なこと?」

 

「ああ、僕が何のために戦っているのかをね……」

 

「主のリアスのためじゃないのか?」

「違うよ竜也君…復讐だよ……僕は復讐のために生きている。聖剣エクスカリバー、それを破壊するのが僕の生きる理由さ。」

 

そう言って木場は部室を後にしようと扉へ向かう。

 

「あの、木場殿……」

 

「……退いてくれないかい、カーラマインさん。」

 

そこにカーラマインが木場の前に立つ。

 

「木場殿、私は木場殿が何を背負っているのかはわかりません。……ですが、もし私で良ければ木場殿の力になります。」

 

「………君には関係のないことだよ。」

 

「しかし……」

 

「しつこいなぁ!関係ないと言ってるだろう!!!」

 

「っ!?……すみませんでした。」

 

「っ……とにかく放っておいてくれ!」

 

木場の怒鳴り声にカーラマインは顔を伏せ、木場は部室を後にする。

 

「………カーラマイン、」

イザベラが立ち尽くすカーラマインを心配そうに話しかける。

 

「…………………嫌われた」

 

「は?」

 

「グスッ木場殿にぎらわれだぁ~」

 

カーラマインはぼろぼろと涙を流して泣き出した。

 

「なっ!?カーラマイン!?」

 

「うえぇぇぇぇぇぇん!!!」

 

「ちょっ!?しっかりするにゃ!あんたそんなキャラだったかにゃ!?」

 

イザベラたちは泣き出したカーラマインを必死にあやす。

 

「……リアス、俺は先に帰らせてもらう。」

 

「タツヤ、あなた……」

 

「悪いが俺は修練の門の中でちらっと聞いちまってよ、みんなにも話しておいた方がいいだろう。それにあいつ傘持ってなかったしな。」

 

俺は『ジッパー』から二本の傘を取り出す。

 

「……あなたって結構世話焼きよね。」

 

「ま、あいつも俺の弟子みたいなものだしな。」

 

「……わかったわ、裕斗のことよろしくね。」

 

「いわずもがな」

 

そして俺は部室を後にした。

 

『わ゛ああああぁぁぁぁぁぁん!!!』

 

『いい加減に泣き止みなさーい!!!』ドカーン

 

なんか聞こえたけど聞かなかったことにした。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

木場裕斗side

 

雨の中、僕は傘をささずに歩いている。胸がもやもやする。それこそ雨に濡れるのも気にならないほどに。竜也君の家でアルバムの写真に写っていた聖剣を見てから僕の生きる理由を思い出し、協会に対する憎悪や嫌悪、怒りなどが湧き出て来てずっとその事を考えていた。だけどさっき、ついかっとなって怒鳴ってしまった時のカーラマインさんのあの悲痛な顔を見てから、僕の心はより渦巻いていた。

 

「よう色男、水も滴るいい男気取ってるとこ悪いけど、あんまり度が過ぎると風邪ひくぜ~。」

 

すると急に声をかけられる。声のした方を見ると白髪の神父服を着た男が傘をさして立っていた。

 

「君は……」

 

「どーもどーもお久しぶり…ってほとんど面識無いんだけども、はぐれエクソシストのフリード・セルゼン君でーす!」

 

やつはおどけた調子で自己紹介する。このふざけた物言いは……

 

「……堕天使に雇われていたはぐれエクソシストの一人か」

 

「イエ~ス☆俺っちあの後職失っちまってさ~まぁあの騒ぎに乗じて金庫の中身まるっと頂いたんだけど、やっぱ手に職つけるに越したことないじゃん?んで俺っち徒歩にくれてたんだけどまた雇われてよ~、再びこの街に舞い戻ったってわけ~。」

 

やつはくるくる回りながら僕に説明する。よく息が続くな……そして僕はやつが腰に下げている剣が目に入った。

 

「…………その剣は……」

 

「ん、これかい?いや~流石は剣士お目が高い、そうさ、これこそお前ら悪魔の嫌いな嫌いな聖剣エクスカリバー…」

 

その言葉を聞いた瞬間、僕は『魔剣創造』で剣を二本作りだしやつに、正確にはやつの剣に斬りかかった。

 

「へいへいへ~い、人が話してる最中にそれは無いんじゃないの騎士さんよ~」

 

「あいにく、僕は騎士である前に悪魔だからね」

 

「ケハハハハ!!!違いねぇ」

 

僕とやつの剣が何度もぶつかり合い、僕の剣は音を立てて砕けてしまった。しかし僕は再び魔剣を創り斬りかかる。折られては創り斬りかかり、また折られては斬りかかりをしばらく繰り返した。

 

「……………つまんねぇ」

 

ポツリとやつが呟いた。

 

「なに?」

 

「つまんねぇって言ったんだよ。なんだそれ?『魔剣創造』だぁ?さっきからボキボキボキボキ折れやがって、どこが魔剣だよ、鉄の棒の間違いじゃねぇの?」

 

「っ!?うるさい!!!」

 

僕は魔剣を創り全速力でやつに接近する。

 

「………はぁ、おっせぇなぁ」

 

瞬間、僕の魔剣が砕けてた。一体何が起こった、見るとやつは聖剣を振り上げていた。なんてことはない、やつは僕よりも速く剣を振り魔剣を砕いたんだ。

「もういいや、飽きちったわ。とっとと終わらそ」

 

切な、やつは一瞬にして僕の目の前に迫っていた。

 

「アバヨ、エセナイト」

 

そう言ってやつは聖剣を振り上げ…

 

ガキィィィィン!!!

 

あたりに金属音が響き渡り、目を開けると竜也君が銀の槍で聖剣を受け止めていた。

 

「なっ!?あんたは…」

 

「……ここは俺の顔を立てて引いてくれやフリード」

「…………あいよ、命拾いしたなぁエセナイト、次は少しはましになっててくれよ。」

 

やつはそう言ってドロリと夜の闇に溶けて行った。

 

「………何のようだい?放っておいてくれと言ったはずだよ?」

 

違う、言いたいのはそんなことじゃないはずだ。だけど僕の口は彼を拒絶するように言い放った。

 

「別に、ただ傘を持ってきてやっただけだよ、ほれ」

 

そう言って彼は傘を投げわたす。彼は傘を渡すとそのまま歩いて行く。

 

「……木場、お前が何を思って何をやろうがお前の勝手だ。お前の命はお前の物なんだからな、何をやろうがお前の自己責任だ。」

 

「だが、少なくともお前を按じているやつもいることを覚えておきな。」

 

何をやろうがお前の自己責任、それは僕が修練の門の中で言われたのと同じ言葉だった。

 

「カーラマインが泣いていた。」

 

「っ!?」

 

「せめて明日謝ってやれ、俺は女泣かすやつは嫌いなんだ。」

 

そう言って彼は夜道を歩いて行った。




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