我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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遅れて申し訳ありませんでした。修学旅行の後で色々ごった返してました。


真実と覚醒

「パルパー・ガリレイぃぃぃぃぃ!!!!」

 

木場は『騎士』の力を最大まで引き出した速度でパルパー・ガリレイに斬りかかるが、後数メートルというところでガキンと障壁のようなものに阻まれる。

 

「ふん、残念だったな、この結界は聖剣の統合が完了するまで決して破れない。」

 

「何せ俺っち特製の結界だからな、残念だったなナイト君♪」

 

見ると、いつの間にかフリードがパルパーの隣で結界を展開している。

 

「パルパー・ガリレイ、僕は『聖剣計画』の生き残りだ。……いや、正確にはあなたに殺されて悪魔として生き返った身だ。」

 

「ほう、あの計画の生き残りか。こんな極東の地で出会うとは縁を感じるな。フフフフ、どうせだ、聖剣が統合するまでに聞かせてやろう。」

 

そう言ってパルパーは語り出す。

 

「私はな、聖剣が好きなのだよ、それこそ夢にまで見るほどにな。幼少のころエクスカリバーの伝承に心踊らせたからだろうな、ゆえに自分が聖剣に適性がないと知った時の絶望といったらなかった……」

「聖剣が使えないからこそ使える者に強い憧れを抱いた。その思いは募りやがて聖剣使いを作る研究に没頭するようになったーーーそしてついに完成した、君たちのおかげだ。」

 

「……完成だって?僕たちを『失敗作』と断じて処分したんじゃないか!!!」

 

木場は噛みつくようにパルパーに怒鳴る。しかしパルパーは首を横に振り言う。

 

「聖剣を使うのに必要な『因子』があると気づいた私はその因子の数値で適性を調べた。被験者の少年少女、ほぼ全員に因子はあるものの、どれもこれもエクスカリバーを扱える数値に満たさなかったのだ。そこで私は一つの結論に至った。

ならば『因子だけを抽出し、集めることはできないか』………とな」

 

「……まさか、聖剣使いが祝福を受ける時に体に入れられるのはーーー」

 

「………なるほど、読めたぞ。」

 

ゼノヴィアとイリナの聖剣使いの二人は事に気づいたようで、ゼノヴィアは忌々しそうに歯噛みし、イリナは目を見開き口を両手で押さえる。

 

「そうだ、聖剣使いの少女たちよ。持っている者たちから聖なる因子を抜き取り結晶を作ったのだ。こんな風にな」

 

パルパーはそう言って懐から聖なるオーラを強く感じる光輝く球体を取り出した。

 

「これにより聖剣使いの研究は飛躍的に向上した。それなのに、教会の者たちは私だけを異端として排除したのだ。研究資料だけを奪ってな!貴殿を見るに、私の研究は誰かに引き継がれているようだ………ミカエルめ、あれだけ私を断罪しておいてその結果がこれか。まぁあの天使の事だ、被験者から因子を引き出したにしても殺すまではしないか、その分だけは私よりも人道的と言えるかな、くくくくくくくっ」

 

パルパーは愉快そうに笑い、それを聞いていた者たちは木場を筆頭には怒りに奥歯を噛みしめ、アーシアやイリナは教会の闇を目の当たりにして悲しんだ。

 

「………同士たちを殺して因子を抜いたのか!?」

 

「いかにも、この球体はその時の物だぞ?何せ初めての実験だったからな、錬度が悪くてこれ一つ程度しかできなかったがね?」

 

「……パルパー・ガリレイ…っ!!!自分の研究、欲望のためにどれだけの命を弄んだんだ!!!?」

 

「……キサマのせいで、キサマのせいで木場殿はぁ!!!」

 

「……正真正銘のクズ野郎です。」

 

木場だけでなく、その場にいた全員がパルパーに軽蔑と怒りを向ける。そんな中校庭の中央にあった五本のエクスカリバーが眩い光を放つ。それを見たパルパーは狂ったような笑みを浮かべ、コカビエルは拍手を送る。

 

「おお、ついに完成だ。五本の聖剣が一つになる。ああ、そうだ、どうせならこの因子の結晶は貴様にくれてやろう。どうせ環境さえ整えば後で量産できる段階まで研究は来ている。」

 

そう言ってパルパーは結晶を木場に向けて放り投げる。結晶は結界をすり抜けコロコロと木場の足元に行き着き、木場はそれを静かに屈み込んで手に取った。

 

「………皆…………」

 

木場の頬を涙が伝う。

 

「木場殿……」

 

カーラマインが声を掛けようとしたその時、結晶が淡い光を放ち、木場を中心に校庭を包み込み、聖剣の光さえ霞んで見えた。すると地面の光からポツポツと光が浮き上がり、やがてそれは人の形をなして行き、木場を囲むように現れた。………それは紛れもない、木場のかつての同士たちだった。

 

「……皆っ!僕は……僕は……っ!」

 

木場の目から自然と止めどなく涙が溢れた。

 

「……ずっと……ずっと思っていたんだ。

僕だけが生きていていいのかって……

僕よりも夢を持った子がいた。

僕よりも生きたかった子がいた。

僕よりも立派な子がいた。

……なのに、なのに僕だけが………平和な暮らしをしていいのか……僕だけが楽しい日々を過ごしていいのかって………!!!」

 

木場は結晶を抱きしめ絞り出すように心中を話す。

 

『いいんだよ』

 

『だって私たちのことをずっと思ってくれていた』

 

『ずっと忘れないでいてくれた』

 

『それに君には、君のことを心から案じてくれる人がいる』

 

そこに、カーラマインが木場に歩みより優しく彼の手を自分の手で包む。

 

「……木場殿、私はあなたの苦しみ、悲しみは到底わかりません……ですが、こんな私ですが、願わくばあなたの力になりたい」

 

「……カーラマインさん、みんな……」

 

木場の同士たちはそんな彼に笑いかけ、そして一斉に歌い出す。

 

「………聖歌」

 

アーシアがポツリと呟いた。しかし、不思議とその場にいた悪魔たちに頭痛は起こらなかった。そして彼らは青白い光を放ち木場を包み込んだ。

 

『僕らは一人じゃダメだった』

 

『だけど皆がいれば大丈夫』

 

『聖剣を受け入れよう』

 

『怖くなんてない』

 

『例え、神がいなくても』

 

『私たちが、そして今の君には仲間が、大切に思ってくれる人がいる』

 

『例え神が見守ってくれていなかったとしても』

 

『僕たちの心はいつだってーーーーー』

 

 

「ーーーーひとつだ」

 

青白く、優しい光が木場を包み込む。

 

「…………アニキ、あれは………」

 

「ああ、木場の同士たちの魂が木場の中に集まっている。そしてあれは……」

 

「さあ、木場殿」

 

カーラマインが木場の手を取り立ち上がらせる。

 

「………ああ、いこうカーラマインさん、皆。………僕はもう迷わない。」

 

木場は涙をぬぐい立ち上がった。

 

「パルパー・ガリレイ、まだ全てが終わったわけじゃない。あなたを滅ぼさない限り、第2、第3の僕たちが生まれてしまう。」

 

木場はパルパーを見据える。その目にはもう迷いはなかった。

 

「ふん、研究には犠牲はつきものだと昔から言うではないか、ただそれだけの話だぞ?それに、さっきまでボロボロと泣いていた奴がよく言う。ただの幽霊どもと戦場のど真ん中で聖歌など歌いよって………私はな、聖歌というものが大嫌いなんだよ!……それよりも、見るがいい!!!」

 

パルパーは狂喜に満ちた顔で術式の中央を指差す。そこには、青白いオーラを纏った一本の聖剣が浮かんでいた。

 

「エクスカリバーが一本になった光で下の術式も完成した。あと二十分もしないうちにこの町は崩壊ーーっ!!!?」

 

そこまで言ったところで、パルパーの顔が狂喜から驚愕に変わる。

 

「なっなぜだ!?なぜ術式が消えているんだ!!!?」

 

見ると、エクスカリバーの下の術式は完成するどころかきれいさっぱり消えていた。周りが驚愕する中、つかつかとフリードは聖剣に歩んで行く。

 

「なぜ?なぜってそりゃあ………」

 

「なっ!?がはぁっ!!!?」

 

言うや否や、フリードは聖剣をひっ掴み、パルパーを柄で殴り飛ばした。

 

「こういうこった」

 

フリードはニヤリと笑う。

 

「……どういうつもりだフリード?」

 

コカビエルは目を細めフリードを見据える。

 

「ケハハハハハハハ!!!どうもこうも!俺っちの仕事は始めっからこれだったんだよぉ!下の術式を聖剣が完成したら消えるように書き換えて、てめえらがアホ面かましてる隙に聖剣掻っ払うっていう竜也のダンナからのなぁ!!!」

 

『『『はぁ!!!?』』』

 

その場にいた全員が驚愕する。当の本人の竜也はニヤリと口角を吊り上げたいかにもな悪人面を浮かべている。

 

「……やはり君のあの時の腕はARMによるものだったんだね?」

 

「イエ~~ス!俺っちの十八番『ゴーストARM』。俺っちの気質とは見事にマッチング~~したみたいでさぁ~~っと、それはさて置き」

 

フリードは聖剣を構えて木場の前に立つ。

 

「おめぇさんもこのまま不完全燃焼なんざ御免だろ?俺っちが胸貸してやんよ……かかってこいやぁ!木場裕斗ぉ!!!」

 

「……ああ、いくよ!フリード・セルゼン!!!」




感想等お待ちしております。次回からはこれまでのペースに戻すようにします。
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