「レヴィアタンの魔方陣……」
グレイフィアさんがぽつりと呟く。だがあれはセラたんのものとは形状が違うな……旧の方か。
そして魔方陣からやけに胸元が開いてスリットの入ったドレスを着た色黒の女が現れた。
「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」
不適な物言いでサーゼクスさんを見据えるこの女。まぁ例に違わずプライドの高そうな……思わずへし折ってやりたくなる。
「やはり君か、先代レヴィアタンの血を引く者。カテレア・レヴィアタン」
旧魔王派、過去の栄光にすがりつく連中……そして、
「旧魔王派の者たちはほとんどが『禍の団』に協力する事に決めました。」
ヴァーリの……俺の弟を苦しめた憎き血族の一派
「新旧魔王サイドの確執が本格的になったわけか。悪魔も大変だな……ボソッ 竜也、お前の気持ちはわかるが抑えてくれ。」
ボソリと俺に囁くアザゼル。見ると、片手を見えないように握りしめフルフルと震わせていた。
「カテレア、それは言葉どおりと受け取っていいのかな?」
「サーゼクス、その通りです。今回の攻撃も我々が受け持っています。」
「ーーークーデターか……カテレア、なぜだ?」
「サーゼクス、今回の会談のまさに逆の考えに至っただけです。神と先代魔王がいないのならば、この世界を改革すべきなのだと、私たちはそう結論付けました。オーフィスには、力の象徴として力を終結する為の役を担ってもらいます。彼の力を借り、一度世界を滅ぼし、もう一度構築します。……そして、新世界を私たちが取り仕切るのです。」
何処か誇らしげにカテレアは語らう。………するってぇと何か?こいつらは『今の世界が気に入らないから滅ぼそう』、なんていうしょうもない考えで俺の……オレノカゾクヲリヨウシタノカ……ッ!!!
「カテレアちゃん!どうしてこんなっ!」
セラたんの悲痛な叫びにカテレアは憎々しげに睨む
「セラフォルー、私から“レヴィアタン”の座を奪っておいてよくもぬけぬけと!私は正統なるレヴィアタンの血を引いていたのです!私こそが魔王に相応しかった!」
怒りがこんこんと沸き上がってくる。じゃあ何か?この女は自分が魔王に選ばれなかったなんていう逆恨みでこんなまねを?
「セラフォルー、安心しなさい。この場であなたを殺して、私が魔王レヴィアタンを名乗ります。そして、オーフィスには新世界の神になってもらいます。彼は象徴であればよいだけ。後の『システム』と法、理念は私たちが構築する。ミカエル、アザゼル、そしてサーゼクス、あなたたちの時代は終えるのです。」
ブチッ!!!……その言葉を聞いた瞬間、俺の中の理性が切れた
「……………クハ、クハハ」
「………たっくん?」
「クハハハハハハ!!!クァーーーハハハハハハハハハハハハハーーハーーハーーー!!!はぁ~あ……くっだらねぇ。」
「……なんですって?」
馬鹿馬鹿し過ぎて笑けてきてつい大笑いしてしまった。なんかカテレアが青筋立てて睨んでるが別に怖くも何ともない。
「くだらねぇつってんだよ。んなしょうもない理由で世界を構築するとかほざいて自己満足に浸ってるお前らがなぁ」
「私たちの考えが自己満足ですってッ!!!?」
「そうだろうが。自分たちが魔王を名乗るに相応しい?要するにてめぇらが認められなかったことを世界のせいにして八つ当たりしてるだけだろうが。まるで癇癪を起こして駄々をこねる子供の我が儘そのものだな 。」
「貴様……黙って聞いていれば……この人間風情が!!!」
するとカテレアは俺に魔力弾を大量に打ち出す。会場が破壊され土煙が舞う。
『『竜也(君)!!?』』
「たっくん!?嫌ぁぁ!!!」
サーゼクスさんたちの声、特にセラたんの悲痛な叫びが聞こえる。
「アハハハハハハハハ!!!『魔源の創者』もしょせんは人間!新の魔王である私には」
「なーにをバカみたいな高笑いしてるんだ?」
「なっ!!!?」
土煙を片手で払いのける。弱いな、これなら俺はおろかイッセーでも倒せる。
「そ、そんなバカな!!!?あれだけの魔力弾を浴びて人間が無事なはずがない!!!」
「悪いが俺は
「なっ!!!?はったりだと!?」
「ああそうだ、お前さっき言ったよな?オーフィスが『禍の団』のトップだと………だが実際は違う。なぜなら、現在の『禍の団』のトップは『オーフィス』ではなく、『不在』だからだ。」
『『『!!!?』』』
「な!!!?なぜ貴様がそれを!!!?」
「竜也、どういうことだ?」
アザゼルが俺に尋ねる。
「俺よりもあいつに聞いた方が早いだろ」
再び視線がカテレアに集まる。
「カテレア、どういうことだい?」
サーゼクスさんがカテレアに尋ねる。
「………12年前、ある日オーフィスは『我に似た存在を感じた』と言ってふと居なくなりそのまま消息を断った。どれだけ探しても決して見つかることはなかった。結果私たちはオーフィスの残した『蛇』で切り盛りせざるを得なくなってしまった!なぜ貴様がそれを知っている!?」
「それは俺よりも本人に聞いた方が早いだろう。………おいで、オーフィス。」
「ん、我、参上」
『『『『!!!!?』』』』
俺の呼び掛けに応じて次の瞬間、オーフィスが会場に転移してきた。
「なっ!?オーフィス!?一体今までどこにいたというのですか!?」
カテレアがオーフィスを問いただす。
「ん、我、答える。12年前、我の無限に似た力を持つ存在を感じ、探した。我、その時竜也と会った。」
「おい、初耳だぞ俺は」
「言ってなかったからな。」
「おい!!!?」
「我、竜也にグレートレッドを倒し、静寂を得る手伝いをするよう頼んだ。その時、竜也は言った。『静寂なんてつまらない。この世にはたくさんの面白いことや楽しいことがある。それを知らずにただ眠るだけなんてもったいない。』、と」
「おい、『無限の龍神』に何言ってるんだ」
「だけどたっくんらしいね☆」
「我、竜也の言ったことを知るために、竜也のもとにいた。我、いろいろなことを知った。美味しい食べ物、楽しい遊び、そして、家族の温かさ。」
「みんなと、竜也といると、胸がぽかぽかする。今までに感じたことのなかった感覚、ずっと味わいたいの思った。手放したくないと思った。竜也も我といっしょにいたいと言った。我はこれが嬉しいという感情だとわかった。
そして我は、竜也の家族になった。」
『『『『……え、ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?』』』』
オーフィスのカミングアウトに俺以外の連中は大絶叫する。オーフィスは構わずに話す。
「カテレア、我は怒っている」
「な!!!?……何に怒るというのですか?」
カテレアはぎょっとして聞き返す。そりゃ『無限の龍神』が怒ってると聞いたらな。
「我、竜也に『禍の団』のことを話した。竜也、我に騙されて利用されているだけと言った。我、何も感じなかった。けど、竜也はそれを聞いて怒った、悲しんだ。我、今度は胸が反対にチクチクした。これが悲しみだとわかった。我、竜也の悲しむ顔は見たくない。竜也を悲しませたくない。………我は竜也を悲しませる奴を許さない。」
刹那、オーフィスは一瞬でカテレアの目の前に現れた。
「ッ………ひっ!?」
「カテレア、『蛇』は返してもらう。」
「ぐっ!ああああああああ!!?」
オーフィスはカテレアの胸に手をかざす。するとカテレアの胸から黒い蛇のようなものが這いずりだし、オーフィスの手に収まり消えた。
「我はオーフィス、『龍の紡ぐ絆』の、竜也の『守護神』」
オーフィスの守護神発言に全員が言葉を失う。
「……おい、おいおいおい、さすがに洒落にならねぇぞ。『無限の龍神』が守護神とか……」
「ああ、協力関係を築いて本当に良かったと思うよ。」
「ええ……本当に……」
「さて、カテレア・レヴィアタン」
「ぐぁぁぁぁぁ……き、貴様ぁ……」
「俺はお前らがどんなことを企もうが何をしようが知ったこっちゃない。………だがな、その為に誰を殺すって?誰が象徴だって?……俺はなぁ、俺の大切な人に、家族に、手を出すやつは許さない。」
「ッ!……たっくん……」
俺はカテレアの方に歩いて行く
「くっくるな!くるなぁぁぁぁ!!!」
カテレアは俺に魔力弾を放つ。だが恐怖で冷静さを失って雑になった魔力弾はさっきの半分の威力もない。こんな奴に禁手を使うまでもない。………だが、こいつには最大級の屈辱と絶望を味わって貰おう。俺はグリモアを取りだし、一気にカテレアの目の前に接近する。
ガシッ!!
「むぐっ!?」
俺はカテレアの顔をわしづかみにする。逃がしはしねえよ。俺はグリモアのページを開き呪文を唱える。
「ーーーーーーーソロモンリング!!!」
瞬間、あたりが目映い光に包まれた。そして光が止むと、カテレアの姿は消え、俺と、俺に頭を掴まれ宙ぶらりんになっている幼女が現れた。
「……おい、竜也。なんだ今の?ってかなんだその本!?」
「………竜也君、なにやらその本から凄まじく嫌なオーラを感じるのだが……」
サーゼクスさんが顔を歪めて俺に尋ねる。
「これは『グリモア』。かつてかのソロモン王が作り出したとされる
その言葉に全員、特に悪魔勢が驚愕する。
「………従える、というのは?」
「そのままの意味です。この本には悪魔を従える為の方法や悪魔を痛め付ける為の呪文がびっしりと書き記されている。そしてさっき俺がやったのは【ソロモンリング】。悪魔専用の封印術で、これを受けた悪魔は……」
「うぅ…屈辱だわ……」
俺は幼女の姿となったカテレアを全員に見せる。
「こうなる。さらに、これを受けた悪魔は力を大幅に奪われる。」
「大幅ってどのくらいだ?」
「そうだな、だいたい……」ポチッ
俺は取り出したリモコンのスイッチを押すと上からスクリーンが現れる。スクリーンにはこう映っていた。
『カテレア・レヴィアタン
体力;7→3 知力;8→5 速度;7→3 耐久力;7→2 勇気;6→4 魔力;8→1 腕力;6→1 技術;7 地位;7→1 』
「まぁ、ザックリ見積もってもこれくらいですかね?」
「ちょっ!?何よこれ!?メチャクチャ持ってかれてるじゃないの!!!?」
拘束を逃れたカテレアが足元に掴み掛かってくるが、ぶっちゃけ痛くも痒くもない。
「今のお前はそこらの野良犬とバトルして負けるレベルだ。」
「ギリギリでしょう!?ギリギリ負ける感じ何でしょう!?」
「いんや、野良犬ノーダメ」
俺の足元でポカポカやってたカテレアは崩れ落ち項垂れる。
「ひ、酷い…こんなのあんまりだわ……」
「諦めろ、この本がある限りお前の封印は解けることはない」
「ッ!?……(ならばあの本を…」
「ああ、ちなみにこの本、悪魔が触れるとその悪魔には超常現象的罰が下る。」
「………その、超常現象的罰、というのは?」
サーゼクスさんが恐る恐る尋ねる。
「ふむ、例えば、突然野犬の大群に襲われたり、空から隕石が降ってきたり、関節があり得ない方向にねじ曲がったり、体が粉々に爆散したり、死んだり………」
瞬間、その場にいた悪魔全員が壁まで飛び退いた。だが、カテレアは俺が首根っこをがっしり掴んで逃がさない。
「さて、カテレア・レヴィアタン。お前には2つの選択肢がある。」
「ちょっ!?放してぇ!?その本近づけないでぇ!?」
カテレアはバタバタと暴れるが手足は虚しく空を切るのみ。
「その無様な姿のまま見るも無惨に死ぬか、俺と契約して馬車馬の如くこき使われるか………どっちがい~~い?」ニィタァ~♪
「ッ~~~~~~~~~~~~!!!」
『『『あ、悪魔……(悪魔から見ても)』』』
この時、その場にいた全員が悟った。竜也を怒らせてはいけない。確実に破滅が待っている、と。そして、彼は悪魔のさらに上を行く『極悪魔』だということを。
この時、竜也は
感想など楽しみにお待ちしております。次回もお楽しみに