我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

79 / 133
ネタで書いたつもりが、書き上げるのに2日かかってしまった。しかも何気に今までで一番長文。
それではどうぞ


大掃除と大惨事

夏休み、それは学生の様々な思惑が飛び交う長期休暇。その夏休み前日の日曜日、人っ子一人いなくなった駒王学園校舎に『龍の紡ぐ絆』学生メンバーと生徒会メンバーが集まっていた。

 

「よーし、みんな集まってるな」

 

名簿らしき物を脇に抱えた竜也があたりを見回して言った。

 

「…………なぁ、兄さん。俺たちはついに依頼が来たって聞いたんだが………何で誰もいなくなった校舎に集められてるんだ?しかも朝っぱらに」

 

ヴァーリが竜也に怪訝に尋ねる。

 

「まぁ待て、今から説明する。俺たちの記念すべき最初の依頼、それは………校舎の大掃除だ!!!」

 

「…………大掃除、ですか?」

 

アーシアがコテンと首を傾げて聞き返す。

 

「そう、大掃除だ。英語で言うとビッグ・クリーニングだ。」

 

「いや嘘をつけ!」

 

イッセーが反射的にツッコむ。

 

「正しくはスプリング・クリーニングです 。英語圏では春に大掃除をする事が由来ですね。」

『『『『へぇ~』』』』

 

アーシアの英語豆知識に感心する日本人一同。

「さて、少し脱線したが、もうすぐ駒王学園は夏休みに突入する。だからその前に一学期の煤、埃、塵、芥を掃いて拭いて洗って清めておこう、そしてその役に我ら『龍の紡ぐ絆』学生メンバーが生徒会と合同で行うことになった、という訳だ。ちなみに依頼人は理事長ことサーゼクスさんだ。」

『『『『ええぇ~………』』』』

 

せっかく初の依頼でやる気になっていたのに拍子抜けな内容にあからさまにテンションの下がる一同。

 

「おいお前ら、今からやるのは大掃除だ。これはただの掃除じゃない、大掃除だ。気合い入れてかからないと………」

 

そこで一旦言葉を区切り、竜也は目を細める。

 

「……命落とすぞ」

 

「「ヒィッ!?」」

 

「いや命って……」

 

またもや反射的につっこむイッセーと、竜也の気迫に怯えるアーシアとギャスパー。

 

「そりゃいくらなんでもオーバーだろアニキ」

 

「オーバーじゃない。いいか?よく聞け」

 

すると竜也は古ぼけた本を取りだし、本を開き読み始める。

 

「大掃除・・・格家庭で年に一度ないし二度行われる大規模な掃除のことであるが、その起源は古代中国で行われたとされる集団戦闘訓練にさかのぼる。当時、勇名を馳せていた武術家、『王宗地(おうそうじ)』が弟子の育成のため、現在で言うところの箒やハタキに似た形状の武器を」

 

「いや、もういいわ!民明書房か!てか『男塾』知らない奴らがおいてけぼりになってるよ!!!」

 

すっかりツッコミに板が着いてきたイッセーが竜也の言葉を遮る。

 

「はぅぅ、知りませんでした。大掃除って恐かったんですね。」

 

「なんと、大掃除にそんな歴史が……」

 

「ほら見ろ!来日組が変な誤解受けちゃってるよ!違うからなお前ら!アニキの嘘情報だからな!」

 

「うっせーな、いっぺんやってみたかったんだよ、こういうの。ってか、民明書房刊『家事手伝いーー血塗られたその歴史』より、まで言わせろよ。」

 

「こえーよ!タイトルが!」

 

「まーとにかく」

 

イッセーのツッコミをあっさりかわして竜也は続ける。

「大掃除と言うからには総力戦だ。今から割り当て発表するからよく聞くように。ちなみにこの割り当ては俺の独断と偏見で決めさせてもらったものだが、変更の希望は一切受け付けないからそのつもりで」

 

竜也の言葉に一同の顔色が変わる、竜也の独断と偏見、嫌な予感を抱くなと言う方が無理な話である。

「じゃあまずは、アーシア、ミッテルト、そして俺の料理部、ついでにディオドラは家庭科室の掃除だ。特にディオドラ、お前は換気扇やガスコンロのまわりの頑固な油汚れを落としておけ」

 

「はーい!」

 

ディオドラが勢いよく手を挙げる。

 

「何でメンバーでもない僕がここにいるのでしょうか!?あと、何でよりにもよって頑固な油汚れ担当なんですか!?それはちょっとした嫌がらせじゃないでしょうか!?」

 

「お前がいる理由はお前が二学期から転入するからだ。あと、ちょっとしたじゃない。本気の嫌がらせだ。」

 

「ストーカーの僕が言うのも何だけど、訴えるよ?刑事と民事の両方で」

 

「うっせぇな、俺たちの割り当てに家庭科室があるのはマジなんだよ。それとも何か?アーシアに家庭科室の油汚れを落とさせる気か、お前は?」

 

「全力で努めさせていただきます!!!」

 

それはそれは見事な敬礼であったという。

 

「次に、フリード、ヴァーリ、ギャスパーは男子トイレ、んで、花戒、巡、由良は女子トイレの掃除だ。便器に顔が映るぐらいにいつも以上にピカピカにしておけ。」

 

「げっ!?マジかよ……」

 

「よりにもよってトイレか……」

 

ぶーたれるヴァーリとフリード、他の面々も不満そうである。トイレ掃除とはそんなもんだ。

 

「次に、黒歌、仁村、草子、お前らは教室のワックスがけを頼む。」

 

「「「はーい(にゃん)」」」

 

「次、リアス、朱乃ちゃん、ソーナ嬢、真羅は応接室の掃除を頼む。」

 

「わかったわ」

 

「了解しました」

 

「「わかりました」」

 

「んで、イッセー、白音、裕斗、匙は旧校舎まわりの草むしりだ。季節的にきついだろうがまぁ頑張れ。」

 

「なぁアニキ」

 

「却下」

 

「早いよ!?まだなんも言ってないだろ!?」

 

「んだよ、変更は受け付けないつったろ?」

 

「いやでもおかしいだろ?何で草むしりに男手の大半が駆り出されてるんだよ?」

 

「私もお聞きしたいです。なぜ私たちが草むしりなのか。そしてなぜ世界から争いが無くならないのか。」

 

「いや白音ちゃん?でかすぎるから二個目の質問、てか今聞くことじゃないでしょ。」

 

「それは旧校舎裏の雑草の生えようが特に酷いからだ。そして、知性を持つ生き物はこの世に生まれ落ちた瞬間から生存のために」

 

「いやそっちの説明はいいから!?」

 

「あ、そう?なら残りのメンバーは全員廊下のモップがけを頼む。」

 

『『『『了解!』』』』

 

「さて、まぁだいたいこんなものか。……じゃあ大掃除始める前に、恒例のあれやっとこうか。」

 

「………あれ?」

 

匙が首を傾げる。

 

「エイエイ」

 

『『『『『『オーー掃除ーーーー!!!!』』』』』』

 

「だせぇ!?てかいつ決めたんな掛け声!?俺だけハブぅ!!!?」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「さて、あいつらちゃんとやってるのか?」

 

竜也は現在理事長のサーゼクスに報告をした後、大掃除の見回りをしていた。応接室の方は問題なかった。真面目メンバーを選出した結果である。ワックスがけの方も問題はなかった。モップがけも、先ほどイリナとゼノヴィアがモップがけしながら廊下を爆走していったが、まぁ問題ないだろう。

竜也は自分の持ち場でもある家庭科室の扉に手をかけた。

と、教室の前方教師が使用する調理台にアーシアとミッテルト、さらにモップ係数名が集まっているのが見えた。そしてその人だかりの中心にいるのはディオドラ。油汚れで真っ黒になった換気扇の羽や焦げ付いた鍋をいくつも台の上に並べ熱弁をふるっていた。

「はいっ、いいですか皆さん。このガンコな油汚れを見てください。ここまで汚れたら市販されている普通の洗剤じゃ落ちませんよ。ところがこちら、冥界製の超強力洗剤、その名も『ブロッケン・ジュニーア』を使えば……見てください、ちょっとスポンジにつけて軽くこすっただけで、ほら!ほーらほら!ね?みるみる汚れが落ちていくでしょう?」

 

『わぁ~』

 

女子たちが歓声をあげる。

 

「ほーら見てくださいよ、これもう新品じゃないですか。まるで!」

 

「ディオドラ」

 

「しかも皆さん、今日はこれだけじゃないんですよ」

 

「おいディオ」

 

「こちらのスチーム噴射式の洗浄機、その名も『カナディアンマン2号』、これを今の洗剤が入ったタンクをセットしますと……ほら!ほーらほら!シンクの水垢がみるみると!」

 

「はぅ!すごいですぅ!」

 

「家にも欲しいっすね…」

 

「コラお前ら」

 

「はぅ!竜也さん!?」

 

「た、竜也様いたんすか!?」

 

やっと竜也の存在に気づいた一同。

 

「いたんすか?じゃねぇよ。何掃除さぼって子芝居やってるんだよ。お前らもとっとと持ち場にもどれ。」

 

「はひぃ、すみません、つい……」

 

「ちぇ、いいとこだったのに」

 

竜也が注意したところで女子生徒たちは潮が引くように調理台から離れていく。

 

「あ、皆さん、買っていかないんですか!?『ブロッケン・ジュニーア』と『カナディアンマン2号』!」

 

慌てて女子生徒たちを引き留めようとするディオドラ

 

「おいディオ、お前何掃除さぼって実演販売なんぞやってるんだよ。てか、何処から仕入れてきたこの怪しげな商品は」

 

「や、あの、僕の親戚のおじさんが代理店やってましてね……」

 

「リアルな説明だなオイ、つーか何やってんのアスタロト家は。はぁ……もういいから、とにかく掃除しろ掃除、ちゃんとやったら報酬も払うから」

 

「わかったよ」

 

神妙に頷きディオドラは言った。

 

「じゃあ掃除にかかる前にこのポータブルオーディオプレーヤー『ステカセコング』の紹介だけ」

 

「しつこいわぁ!!!」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「ぬおるぅぅぅぅぅぅぅあぁぁぁぁぁ!!これぞ遠心力パゥワァァァァァァァァァァ!!!」

 

「すごいですフリード先輩!なんて勇者なんですかあなたはっ!!!」

 

水の入ったバケツをぐるぐる振り回すフリードとそれをキラキラした尊敬の眼差しで見つめるギャスパー。そしてそれを呆れた目で見るヴァーリ。

 

「いい加減にしろよお前ら、小3か」

 

「え、何?ヴァーリきゅんもやっちゃう?バケツ・ローリング・フェスタ」

 

「いや普通にバケツ回しって言えよ。やらねーよ。」

 

「えー何ー?こぼしちゃうの怖いのー?リバース!」

 

「ふぉぉぉ!!!?話しながらしかもリバースなんて!?フリード先輩すごすぎですぅ!」

 

逆回転に瞬時に切り替わるフリードにさらに目を輝かせるギャスパー。

ピクッ「んな訳ねーだろ。下らないからやりたくないだけだ」

 

「恐くないならやってみーよ。ハリー、ハリー」

 

「僕!ヴァーリ兄様のフェスタ、見たいですぅ!」

 

フリードのバカにしたような笑みと、ギャスパーの期待の眼差しを受けて黙ってられるほどヴァーリは冷静でなかった。ちなみに、ギャスパーは似たような境遇故か、ヴァーリのことは兄様と呼んでいる。

 

「……上等だ、見せてやるよ俺のフェスタ!」

 

するとヴァーリは両手にバケツを持った状態で回転し始めた。

 

「ダボゥル・スウィングゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

「ほぁぁぁ!!!ダボゥルだなんて…兄様、あなたが神か!!!?」

 

「何のぉ!ならば俺っちはクロス・スピンぬぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

フリードは負けじと右上から左下、左上から右下へと連続で斜め回転を始める。

 

「きょぉぉぉぉ!!!クロス・スピンなんて初めて見ましたぁぁぁぁ!!!」

 

「「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

「いい加減にしろよてめえら」

 

「「えっ!?どわぁ!!!?」」

 

突然聞こえた声に驚くヴァーリとフリード。そして回転を乱した二人は頭から水をかぶるはめに

 

「フリードはだいたい予想はしてたけど、ヴァーリ……お前まで一緒になってなにやってんだよ」

 

竜也は呆れと失望を含んだ目でヴァーリを見る。

 

「い、いや兄さん!俺は最初はちゃんと掃除してたんだ!だけどこのクレイジー野郎のせいで!」

 

ヴァーリは必死に弁解しようとする。

 

「掃除してたってお前……」

 

竜也は驚いたように目を見開く。

 

「そんな汗だくになるまで掃除してたのか?死ぬ気か?」

 

「いやこれ汗じゃねーから!どんだけ頑張り家さんなんだ俺は!?」

 

「バケツ両成敗だ」

 

「いや訳わかんねぇから!なに喧嘩両成敗みたいな感じになってるの!?」

 

反射的につっこむヴァーリ

 

「けしかけた方も悪けりゃ乗った方も悪いってことで」

 

「納得いかねぇ……」

 

「まぁとにかく、ちゃんと掃除しろ」

 

「「へーい」」「はーい」

「大丈夫なんだろうか……」

 

そう言い残し、竜也は去って行った

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「………ふぅ」

 

麦わら帽子をかぶり、草を抜いていた匙が、ふと声をもらし、軍手を着けた腕でとんとんと背中を叩き、伸びをする。照りつける日差しのなか、旧校舎周りの草むしり。最初はキツかったが、草を抜き一ヶ所に集める単純で単調な作業はその分無心になれた。久しぶりに嗅ぐ土と草の匂いも何処か懐かしい。

 

「……こんな日も素敵かもしれない」

 

匙がそんなことを呟いた直後、背後からイルルの強烈なタックルを食らい、匙は草山に頭から突っ込んだ。

 

「ダメですよイルルちゃん。あとちょっとで匙先輩轢いちゃうところでしたよ?」

 

追いかけてきた白音がイルルをたしなめる。

 

「いや実際に轢かれてるから!草もちょっと食べちゃったよ!」

 

ペッと口から雑草を吐き出し、草山からはい出た匙は怒鳴った。

 

「悪い匙、いい天気でイルルもテンション上がってるんだ」

 

続いて追いかけてきたイッセーが木場の手を引き立ち上がらせる。

 

「もう、ちゃんと見ててよ。イッセー君がイルルちゃんの親代わりなんだから。」

 

刈ったやぶを手押し車で運びながら木場がイッセーに注意する。

 

「だから悪かったってば」

 

「マスター、これ、食べてイイ?」

 

イッセーの召喚した使い魔であるスライム娘のスーがイッセーに尋ねる。

 

「いいぞ、食べろスー。」

「わかっター」

 

スーは雑草を次々と体に取り込み消化していく。

 

「おーい、お前らー、ちゃんとやってるかー?」

 

するとそこに見回りをしていた竜也が歩いてくる。

 

「アニキー、やっぱキツイよ。人数増やしてくれよ」

 

「なに言ってんだ、イザベラたちは体育館裏で女子だけで頑張ってたぞ。」

 

「いやあそこ日陰だし、それにこっち結構広いし」

「うだうだ言ってないで手を動かせ」

 

「へーい」

 

「きゅーい!きゅあー!」

 

するとその時、イルルが盛んに鳴きだした

 

「ほれ見ろ、イルルだった草むしりしたい、つってるぞ」

 

「勝手な翻訳だねぇ」

 

「違いますよ、竜也兄様。イルルちゃん何か掘り出したみたいです。」

 

イッセーたちから数メートル離れた場所にいるイルルを見ると、確かに イルルの足元の土が盛り上がっている。

 

「何だ?徳川埋蔵金か?」

 

懐かしいことを言う竜也を先頭に、イッセーたちはイルルに歩み寄って行った。

イルルの掘った穴、その傍らに何か金属製の筒のようなものが転がっていた。全体が土にまみれ錆びが浮いている。

 

「何だこれ?」と竜也。

 

「水筒ですかね、遠足に持ってくような」と木場。

 

「……これって、あれじゃないですか?ブリキのオモチャ」と白音。

 

「おお!テレビで見たことある!そういうのってアンティークとかで結構な値段になるんだよな!」

「だとするとこいつのお手柄だな」

 

竜也はイルルの頭を撫でる。 ワイワイとテンションの上がる竜也たちだが、木場はその中には加わらずに考え込んでいた。

オモチャという意見に一旦賛成した木場だが、何かが引っかかる。どうも全体的なフォルムが子供向けに見えない。もっと無機質な情緒のないある意味実用の品、例えばミサイルとか爆弾とかそういった類いの………

 

思考がそこに至った瞬間、木場は卒倒しかけた。アワアワと息を喘がせ、絶え絶えに声を出す。

 

「み、みみみみみみみみ、みんな、こ、これ、これ、」

 

「ん?どうした裕斗、そんなに動揺して」

 

「こ、これって、ふ、不発弾、とかじゃ、ない、よね?」

 

その時、空気が一瞬にして凍りついた

 

「……………ば、ばばばばバカなこと言ってるんじゃねぇよ!」

 

「そ、そうですよ木場先輩!」

 

「い、いやだって、だってだよ、よくよく考えてみたらこんな校舎の手入れもされてない所にブリキのオモチャなんて埋める?それに、この穴けっこう深いよ。それならむしろ不発弾とかの方が納得でき…」

 

そこまで言ったところで、木場は竜也たちの姿がないことに気づく。みると、はるか前方に、全力疾走する竜也たちの姿が見えた。

 

「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!置いてかないでよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

木場は自らの出せる限りの力を振り絞り、ボルトも真っ青なスピードで竜也たちに追い付いた。

 

「バッカお前!ちゃんと呼んだぞ心の声で!」

 

「誠に残念だけどお互いの心が伝わるまでに僕たちの友情はまだ至ってないようだねぇ!!!」

 

半ばヤケクソ気味に木場は叫ぶ

 

「ッ!?ちょっ!待って!イルルがいない!?イルルー!!!何処だー!!!」

 

「きゅー!」

 

声のした方を見ると、イルルはいまだに掘った穴のもとにいた。

 

「イルルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!今すぐそこから離れろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!こっちに来なさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!」

 

「きゅーい!」

 

イッセーの呼び掛けに、イルルは素直に応じてイッセーたちのもとに駆け寄る。掘り出した物を抱えて

 

「ちがうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!イルルーーー!!!それは置いて来なさーーーい!!!」

 

「イルルちゃーーん!それ爆弾だからーー!乱暴にあつかっちゃダメーー!」

 

「てか、そんなに急いだら転…」

 

「きゅあっ!?」

 

「「「「「あ」」」」」

 

竜也の指摘の最中、イルルはつまずいた。そして抱えていたものは弧を描き、そのまま地面へ

 

((((終わった))))

 

「伸びろラインよぉぉぉぉ!!!」

 

誰もが諦めたその時、匙はこれまででは考えられないほどのスピードで『黒い竜脈(アブソープション・ライン)』を伸ばし、筒をキャッチしたのだ。

 

「ぃよくやった匙ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

「ナイスファインプレーーー!!!」

 

「じ、自分でも信じられねぇ……こんなに早くラインを伸ばせるなんて……」

 

「火事場の馬鹿力ってのもあるだろうが、俺たちの修行に付き合わされた成果ってのもあるんじゃねぇか?ひょっとしたら、このまま禁手に至れるかもしれないぞ。」

 

「ま、マジで!?俺が禁手!?」

「多分な?その前にまずはあれの処理だ。」

 

竜也は筒を指差す。

 

「あ、ああっ!そう…だな……」

 

「いいか?下手に巻きつけずに下から支えた状態でゆっくりと下ろせ。俺が何重に結界を張ったあと爆発させる。」

 

「わ、わかった……」

 

匙はゆっくりとラインを動かそうとするが、いかんせん距離が離れているため力加減が難しい。全神経を集中させてラインを動かす。

 

「やあ君たち、大掃除は進んでいるのかな?」

 

「「「「「!!!!?」」」」」

 

はりつめた空気を中、突然聞こえた能天気な声に心臓が跳ね上がる一同。そして集中の乱れたラインは揺らぎ

 

スルッ

 

「「「「「あ゛っ!!!?」」」」」

 

「?」

 

カツン

 

乾いた音が響き、五人の目の前に、これまでの思い出が、走馬灯のように駆け巡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………………あれ?なんともない?」

 

数秒がたち、何も起こらないことに不思議に思い、おそるおそる目を開ける。痛みを感じる間もなく吹き飛んだかと思ったが、ちゃんと体の感覚はある。つまり…

 

「いっ生きてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

竜也たちは生きてることの歓喜に震え、互いに抱き合い涙を流した。

 

「よかった!よかったよぉぉぉぉ!!!」

 

「死ぬかと思った!今年二度目の死ぬかと思ったぁ!!!」

 

「う゛う゛う゛ぅぅぅぅぅ!!!グシュッ!兄様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「……?どうしたんだい君たち?いきなり静止したと思ったら泣き出して」

 

「「「「「あんたのせいだよ!!!」」」」」

 

∑「ええっ!!!?」

 

まったく状況が理解できないサーゼクスだった。

 

「……………そういえば、結局どうなったんだ?あの爆弾」

 

ふと思いだし、爆弾と思っていたものに目を向けると、筒は2つに割れて、中から紙のようなものが出ていた。

 

「…………なんか割れてるな」

 

「紙っぽいものが出てますね……」

 

「……?君たちはさっきから一体何の……あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!あれはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

すると突然サーゼクスは大声を上げて割れた筒に走り寄る。

 

「………サーゼクスさん、それが何だか知ってるんですか?」

 

竜也が意を決してサーゼクスに尋ねる。

 

ビクッ「こ、これかい?これはねぇ………ぼ、僕の書いたグレイフィアへのラブレターなんだ。」

 

「「「「「は?」」」」」

 

五人は一瞬意味がわからなかった

 

「……昔、グレイフィアに宛てたラブレターを書いていたことがあったんだが、あまりにものめり込んでしまってね。後で読んだら自分でも引くぐらいのが出来上がってしまったんだ。こんなものは渡せないし、かといって捨てるのも気が引ける。それで、せめてもの思い出にしようとタイムカプセルに入れて埋めたんだよ。」

 

サーゼクスは照れくさそうに話す。

 

「…………タイムカプセル?」

 

「爆弾じゃない?」

 

「勘違い……」

 

「「「「「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」」」

 

五人は一気に脱力して、地面にへたりこんだ。

「なんだよ勘違いかよ~」

 

「木場ぁ…」

 

「木場先輩…」

「しょ、しょうがないだろ!思っちゃったんだからぁ!」

 

「まぁまぁ、結局俺らの取り越し苦労だったってわけだ」

 

「「「「「………あははははははははははは」」」」」

 

五人は顔を向けあって笑いあった。

 

「悪いんだけど、これはまた埋め直しておいてはくれないか?僕の大切なメモリーなんだ。」

「はっはっは、埋め直し料と口止め料もいただきますよ。五人分」

 

「いつになく辛辣だね竜也君!ええっ!?何!?僕なんかした!?」

 

「さぁ?どうでしょう?」

 

「きゅあー!」

 

すると、またイルルの鳴き声が聞こえる。見ると、また筒のようなものを掘り出していた

 

「おーい、またイルルがタイムカプセル掘り出したみたいだぞ」

 

「サーゼクスさん、2つも埋めたんですか?」

 

「いや、僕のものはこれだけだったはずだよ」

 

「なあ、開けてみようぜ」

 

「いや、ダメだよ。」

 

木場が止める。

 

「サーゼクス様のは不可抗力で開いちゃったけど、本来タイムカプセルは埋めた本人が開けるものなんだよ」

 

「かってーなこの蓋」

 

言ってるそばから竜也は二個目のタイムカプセルを開けようとしている。

 

「いや、僕の話聞いてる?」

 

しかし竜也たちは聞く耳なし。なおもタイムカプセルを振ったり叩いたりしている。しかもそこにサーゼクスまで加わっている。

 

「ぜんぜん開かないな」

 

「滅びの魔力使ってみる?」

 

「埋め直すときもとに戻せないですよ」

 

「開け方とかどっかに書いてないか?」

 

「ちょっとまてよ」

 

竜也はカプセルの表面の錆びを払い調べてみる。

 

「あー、なんか錆びててよく読めないけど、ここに『軍』って字が書いてあーーー」

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 

 

『『『『『ええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?何事ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!?』』』』』』

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

翌日の朝刊各紙。社会面には次のような見出しが並んだ。

 

ーーー『高校で不発弾が爆発 重症者数名』

 

ーーー『旧校舎全壊 あとかたもなく』

 

さらにニュースでは

 

『駒王町駒王学園で不発弾が爆発、生徒数名と教員が重症を負い、旧校舎は全壊したもようです。』

 

と報じられた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

大部屋の病院。

ずらりと並んだベッドの上で、竜也たちは包帯だらけになっていた。隣ではリアスたちが看病している。

 

「ギャグパートでの爆発で死人は出ない業界ルールがあって助かったな」

 

竜也が天井を見つめて言った。

 

「てか、これ小説だけどな。もっと言ったら二次創作」

 

匙が同じく天井を見つめながら言う。

 

「いきなり爆音が鳴り響いたときは何事かと思ったわよ」

 

リアスがリンゴを剥きながら言う。

 

「てか、どうするんだよこれからの部活」

 

イッセーがイリナと夕麻に支えられながら言う。

 

「あとかたもなく吹っ飛んだからね、旧校舎」

 

木場がカーラマインに体を拭いてもらいながら言う。

 

モグモグ「……でかでかとニュースに取り上げられちゃいましたから、冥界の技術を使う訳にもいきませからね……」

白音が黒歌にリンゴを食べさせてもらいながら言う。

 

『『『『『………はぁ』』』』』』

 

「うぅ……グスッ……僕のタイムカプセル……僕のメモリー………」

 

「しっかりしてくださいサーゼクス様」

 

『『『『『『いや、何であんたまで入院してんの!!!?』』』』』』

 

その後、病院は適当に理由をつけて退院し、竜也たちは冥界の技術で治ったそうな。

 

 




今回はいつもより力入れました。ネタなのに
感想などお待ちしております。次回もお楽しみに
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。