「たっくぅーん☆久しぶりー会いたかったー♡」
「ようセラた〜ん♪俺も会いたかったぞ~♪」
顔を会わせて早々にセラたんとハイタッチする。
「おっすお前ら、さっきぶり」
「何でいるんだバカ親父」
何故かそこにはアザゼルの姿もあった。
「やあ、竜也君、ヴァーリ君、久しぶりだね。とりあえず、そこの席に座ってくれるかな?」
サーゼクスさんが声をかけてくる。俺とヴァーリは指定された席にすわった。
「君たちが『逸脱者』と今代の『白龍皇』だね。アジュカ・ベルゼブブだ。よろしく」
「……ファルビウム・アスモデウスです」
科学者らしき風貌の悪魔と、見るからに気だるそうな悪魔が俺たちに挨拶する。この二人が残りの四大魔王か……
「はじめまして、俺の名は雷門竜也。ちょっと規格外な一応人間の人外です。よろしくどうぞ」
「………雷門ヴァーリです」
(あれ?おかしい、いつもなら『ちょっとじゃ済まないだろ!』と真っ先につっこみに来るのに……)
竜也はヴァーリの反応の薄さに困惑する
「さて、君たちをここに呼んだのには2つ理由がある。」
サーゼクスさんが切り出す。
「…………理由、とは?」
「ああ、僕の『女王』であるグレイフィアからの報告なんだが、……ヴァーリ君。君の魔力はかつてグレイフィアの支えていた、ルシファーの魔力によく似ていると……」
言うより早く体が動いていた。椅子を蹴りあげて立ち上がり、ヴァーリの前に立つ。
「それがどうした?例えルシファーだろうと関係ない。こいつは俺の弟で、右腕で、家族の、雷門ヴァーリだ。それ以上でもそれ以下でもない。」
「っ!!………退いてくれ、兄さん。俺の口で言いたい。」
ヴァーリと目が合う。いつも以上に真剣な目。俺はただ頷き後ろに下がり、ヴァーリは立ち上がる。
「そちらの予想通り、俺のかつての名はヴァーリ・ルシファー。旧魔王派、ルシファーの血筋だ。」
その言葉に、魔王たちは驚愕し、アザゼルは神妙な顔になる。
「まぁ、と言っても俺は悪魔と人間の混血で、そして宿したのが『白龍皇』。俺の父親は大層俺が不気味に見えたんだろうさ。そしてそいつのとった行動は虐待。日に日に暴行はエスカレートしていき、食事もまともに与えられない日もあった。」
それにより反応したのはサーゼクスさんとセラたんの二人。二人とも家族に強い思い入れがあるからだろう。ふと、アザゼルの方を見ると、握り締めた拳には血管が浮き上がり、奥歯を噛み締めているのがわかった。
「あの時はただ辛かった。何が悪いのかわからない。どうすればいいのかもわからない。痛くて、辛くて、苦しくて、悲しくて、ある日俺は、持てる力を振り絞って逃げ出した。だけど行く当てなんて有りはしない。ふらふらとさ迷って、立ち上がる力もなくなって、ここで野垂れ死ぬんだと思った。希望なんて有りはしなかった。ただただ自分の生を呪った。」
ヴァーリの言葉に全員が黙って耳を傾けていた。
「………そんな時だ、兄さんが俺を絶望の淵から引き上げてくれたのは。兄さんは今にも死にそうな俺を家まで連れて行った。家では父さんと母さんが手厚く看病してくれて、俺は助かった。そして俺はヴァーリ・ルシファーから、雷門ヴァーリになった。その日から全てが変わった。雷門家の次男になって、兄さんの弟になって、イッセーたち親友が出来て、大切な仲間が出来て、親父が一人増えて……幸せだった。世界が輝いて見えた。手放したくないと思った。」
ヴァーリは目を閉じ、息を吸い込んでから、吐き出すように言った。
「俺はもうルシファーじゃない。俺の親父は雷門秀とアザゼルだ!俺の母親は雷門茜だ!俺はヴァーリ・ルシファーじゃない!俺は……兄さん…雷門竜也の弟で、右腕で、家族で、『龍の紡ぐ絆』の科学参謀、兄さんの影を照す月!『白月龍皇』、雷門ヴァーリだ!!!」
それはヴァーリの心の底からの叫びだった。俺は再びヴァーリの前に立つ。
「聞いた通りだ、ヴァーリはもうルシファーとは何の関わりもない。なんなら俺の首を賭けてやってもいい。」
「なら俺の首も賭けな。」
するとアザゼルもが前に出てくる。
「と、父さん……」
「ヴァーリよぉ、お前は誰が何と言おうと俺の息子だ。親ってのはてめえの子供のためなら命も惜しくはねえ。それが出来ねえやつは親を名乗る資格もねえ、ただのグズだ。そんな奴に……お前の親は名乗らせねえ!」
アザゼルの今の姿は、堕天使総督ではなく、子を思う一人の父親の姿だった。
「………やれやれ、参ったね。これでは完全にこちらが悪者じゃないか。」
「だから言ったでしょサーゼクスちゃん。たっくんなら大丈夫だって☆」
「ハハハ、その通りだ。済まないヴァーリ君、君を疑うようなことを言って。君たちなら心配はないだろうと思ってはいたんだが、……いやはや、君たちの絆の深さには感心させられるね。僕は君を信用させてもらうよ。」
「私も私もー☆」
「僕もそれでいいや」
「私は研究者として彼のスペック、特に頭脳に実に興味があるのだが……」
「おい、俺の弟に妙な真似してみろ。和平協定関係なくカチコミかけるからな」
「ハハハ、それは勘弁願いたいね。君に本気で暴れられたら僕もただではすまなさそうだ。て言うか冥界が滅ぶ」
「………サーゼクス、まじで?」
「「「まじで」」」
なんとも言えない表情になるベルゼブブとアスモデウスの二人。
「さて、ヴァーリ君についての話はここまででいいだろう。彼は十分に信用に値する。ということで、いいね?」
「うん☆」
「ああ」
「へーい」
三者三様の返事をする魔王方。
「それでは2つ目の用件だが、竜也君。明日若手悪魔を集めた会合が開かれるのは知ってるかな?」
「ええ、聞かされてはいますよ。」
「よろしい、それで君には我々と同じ立場ということで参加して欲しいんだ。」
「なるほど、こいつはもはや一陣営のトップだ。妥当なところだろうな。」
アザゼルが顎をさすりながら言う。
「わかりました。それくらいなら」
「ありがとう、助かるよ」
その後、会合時の大まかな打ち合わせなどがあり、四大魔王+堕天使総督との会議は終わった。
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あれから数時間後、俺たちはグレモリー邸に戻っていた。現在俺はグレモリー卿とその御夫人と対面している。
「では、はじめましてだな、雷門竜也君。君のことはサーゼクスからよく聞かされているよ。」
「うふふ、はじめまして、リアスの母のヴェネラナ・グレモリーです。」
にこやかに挨拶をしてくれるグレモリー卿と御夫人。……てか二人とも若いな。御夫人なんかパッと見リアスと姉妹に見える。
「はじめまして、グレモリー卿、そして奥方様。この度リアスと婚約させて頂いた雷門竜也です。」
「ハハハ、そう固くなることはない。もうすぐ我々は身内同士になるのだからね。なんなら今からお義父さんと呼んでくれてかまわないのだよ?」
「い、いや、今からは流石に……」
「あなた、竜也さんが困っているでしょう。どのみち今年中には結婚するのだから、焦り過ぎではないの?」
「う、うむ、しかしだな」
「あなた」
「……そうだな、どうも私は急ぎすぎるきらいがあっていかん……」
……どこの家でも女が強いんだな……俺も将来尻に敷かれるのだろうか……
「グレモリー卿、本来なら次代当主となるはずだったリアスを我が家に嫁入りという形になってしまい、誠に申し訳ありませんでした。」
「いや、これはリアス自身が決めたことだ。君が気にやむことはない。それに、私たちは親として、リアスの幸せを願っている。私は一度、危うく彼女からそれを奪ってしまうところだった。……娘を、リアスのことを、どうかよろしく頼む。」
真剣な眼差しで俺の目を見るグレモリー卿。
「承知しております。俺は絶対にリアスを不幸にはしません。例えこの命に代えても」
「ハハハ、信じているよ、竜也君。」
「おまかせあれ」
こうして、俺のリアスのご両親との顔合わせは無事達成できたのだった。……そして俺が戻ってきた後のことだった。
「うう……ヴァーリお前…お前ってやつわぁぁぁぁぁぁ!!!」
「グスッ…ヒック…ヴァーリ兄様ぁぁぁぁぁ!!!」
「ヴァーリさん、辛かったんですね、苦しかったんですね。大丈夫です、私がそばにいてあげます。」
「に゛ゃあああ!ヴァーリちゃぁぁぁぁん!!!お姉ちゃん気づいてあげられなくてごめんに゛ゃあああぁぁぁぁ!!!」
「おうおう、愛されてるねぇヴァーリ」ニヤニヤ
「…………覚えてやがれクソ親父ぃ……」
現在ヴァーリはうちのメンバー、特に古株の連中に泣きながら抱きつかれ、もみくちゃにされている。先ほどの会議、証言記録とかで映像に撮していたらしく、それをアザゼルが持って来てみんなに見せて、この有り様である。
「ま、これもお前への愛ゆえだよ」
「………愛」
ヴァーリは咀嚼するように繰り返し言う。俺はヴァーリの頭をコツンと小突く。
「これからもよろしくな、弟よ」
「兄さん………ああ!」
ヴァーリの今の顔は、少し涙目だが、さっぱりとした笑顔だった。
感想等楽しみにしてます。次回は番外編、バレンタインデーの巻、お楽しみに