長瀬恵は動かない   作:イヌガミケ

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前書き

 私の名前は長瀬恵(ナガセ メグミ)。どこにでもいるごく普通の人間だ。

 この本を読んでいる君は「インフィニット・ストラトス」というものを知っているだろうか。インフィニット・ストラトス――通称「IS」とは宇宙空間での活動のために開発されたマルチフォームスーツで「あった」。

というのも現在は宇宙開発には全く行われず、兵器としての開発が進んでいる。そのようなことになってしまったのには理由がある。

 今から約十年前、世界各国の軍事施設に何者かがハッキングを行い、配備されていたミサイルを日本に向けて発射させた。その数、なんと二千発以上。日本は絶体絶命だと思われていたが日本上空に一体の騎士が現れた。白く輝く美しい女騎士だったという。その女騎士はたった一機で日本に飛んでいたミサイルを全て叩き落としたのだ。

 それだけでも驚くべきことだが、その騎士を捕まえようとした各国の戦闘機、軍艦などをなんと一人の死者も出さずに無力化した。これが後に言う「白騎士事件」である。この事件によってISの有用性が世界中に知れ渡ることになった。

ISというのは攻撃力、防御力、機動力のどれをとっても既存の兵器を凌駕していたが女性にしか動かせないという欠点があった。

そしてこの性質のせいで奇妙な風潮が広まっていった。ISを使うことができる女性は男性よりも偉いという風潮だ。一昔前の男尊女卑ならぬ女尊男卑である。その風潮は社会だけでなく学校の中にまで広まっていった。私の中学では特に酷かった。私の意見が全女性の意見だと言わんばかりの態度で男子を虐げていた。考えてみればおかしな話だ。当の本人はISのパイロットではないのに自分は偉いと勘違いしている姿を見ると片腹が痛くなった。

 先に述べた理由で私は彼女たちの活動に賛同する気は全くなかった。しかし彼女たちは男子だけでなく自分たちに賛同しない女子たちも「敵」として攻撃するようになった。私もその対象の一人だった。物を隠されたり、ありもしない噂を立てたりするいじめ……いや窃盗や名誉棄損に遭ったり、男子ほどではないが軽く暴行を受けたりした。といってもどつかれた程度だったがそれでも立派な暴力だ。

 そのようなことがあり私は進路をISの技術を学ぶ専門学校であるIS学園に決めた。ISを持ってないくせに威張っている奴らを見返してやる。そんな理由で私は受験し、合格した。

 これは私が様々な人と出会い、それによって遭遇した出来事を記録したものである。

 

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