牛尾
「うっ!俺は一体?ここはどこだ?」
凌牙
「気が付いたか?」
意識を取り戻した牛尾
川沿いの原っぱで横になってた牛尾を凌牙がポケットに両手を入れて立ちながら辺りを見回していた
牛尾
「えっと、アンタは?」
凌牙
「何も覚えてないのか?
無理もない。
お前の頭にこんなものが付けられてたぞ。」
牛尾に小型装置のような物を見せる凌牙
牛尾
「何だ?こりゃあ?
ダメだ。全く思い出せねぇ。」
凌牙
「思ったよりも深刻だな。
まあいい覚えてることだけでいいから、
お前の知ってることを話してもらおうか?」
牛尾
「俺の記憶じゃ、
確か治安維持局のデュエルチェイサーズをやってて、
新しい長官が就任したところまでは覚えてるのだが、
ダメだ。
そこから先は思い出せねぇわ。」
凌牙
「長官?」
牛尾
「ああ。確かジャン・ミシェル・ロジェって言ったか。
妙な噂が流れててな。
別次元から来たとかどうとか。
そんな話に付いてけないから聞き流してたんだけどな。」
凌牙(心の声)
「別次元。恐らくアカデミアか。
あのモンスターの禍々しいオーラと言い、
牛尾の変わり様と言い、
間違いなさそうだ。」
回想
ゴヨウ・エンペラーが禍々しいオーラを放つ
凌牙(心の声)
「だとするとシンクロは融合の手先と言うのは、
現状では半分正解半分不正解と言うことか。
あの状況では、
手先になったと言うより
既に支配下に落ちたと言った方がいいからな。
仲間にはなんて伝えるか。」
牛尾
「さっきから何1人で考え込んでるんだ?
もしかして長官のこと何か知ってるのか?」
凌牙
「恐らくアカデミアの人間だと思う。
まだ確証はないけどな。
実際に会ったわけじゃねぇんだ。」
牛尾
「アカデミア?
何だ?そりゃあ?」
凌牙
「知らないのも無理はない。
アカデミア。
かつて俺の故郷ハートランドを壊滅に追い込んだ奴らだ。
俺たちは現在アカデミアを倒すために戦力を集めている。
だが現状では力不足だ。」
牛尾
「アンタも別次元の人間ってわけね。
難しい話はよくわからないけどな。」
凌牙
「そう言うアンタもここでは別次元の人間ってことになるぜ?
見ろよ。
ここは俺たちでも知らない街だ。
恐らくこの次元はスタンダードだろう。
仲間がそう言ってた気がする。」
牛尾
「で?これからどうするんだ?」
凌牙
「まずはここがどこだか調べるさ。
まだスタンダードだと言う確証もないからな。
お前も付いてこい。」
牛尾
「俺も行くのか?」
凌牙
「お前1人見知らぬ土地に置き去りにするわけにもいかんだろ?」
凌牙と牛尾は街の中をただひたすら歩いて
この街の情報を探した
この街は、舞網市
巨大な建物、「LDS」と呼ばれる大きな建物がシンボルの1つとなっている。
LDS、それはより優秀なデュエリストを作るための育成塾のような物である。
凌牙
「LDSか。確かにここからでもよく見えるな。」
その時、1枚のビラが凌牙の顔に飛んでくる。
そのビラは既にクシャクシャになっているが、
うっすらと
舞網チャンピオンシップ
と、書いてある
凌牙
「舞網チャンピオンシップ?
何かの大会か?」
するとその時1人の男が凌牙に声をかける
男
「おい。」
凌牙
「あ?」
男は黒い学ランを身にまとい、
下駄を履いてイカツイ顔付きをしていた
男の名は、暗黒時ゲン
暗黒時ゲン
「俺は今大会で負けてイライラしてんだ。
誰でもいい!俺とデュエルしろ!」
呆れる凌牙
凌牙
「デュエル?だったら初めからそう言えよ。」
凌牙と暗黒時がデュエルをする
所謂、初期設定で言えば不良同士のデュエルか
当然のごとく凌牙に瞬殺される暗黒時
暗黒時
「ぐあああ!」
暗黒時
LP:0
一目散に逃げていく暗黒時
牛尾
「何だ?アイツは?」
凌牙
「さあな。
こっちが聞きたいぜ。」
2人が足を進めるとLDSの建物にたどり着く
近くのモニターには、舞網チャンピオンシップの中止が知らされていた。
牛尾
「中止?何かあったか?」
更にモニターを見ていくと
LDS
Lance ランス
Defence ディフェンス
soldiers ソルジャーズ
と、書かれている
モニターには、ランサーズのメンバーの中に黒咲隼の姿もあった
凌牙
「黒咲!?」
回想
凌牙の胸ぐらを掴む黒咲
黒咲
「貴様!瑠璃が連れ去られた現場にいたのか!?」
凌牙
「俺が駆け付けた時はすでに連れてかれてたんだ。」
凌牙回想
フードの男、瑠璃を担いでその場を去ろうとする。
凌牙
「待てよ。貴様その女をどうするつもりだ?」
フードの男
「さあね。
ボクはただプロフェッサーの指示に従ってるだけだからね。
プロフェッサーが何故ボクにそれを命じるのか、
それはボクにも分からない。」
凌牙
「プロフェッサーだと?」
フードの男
「プロフェッサーの名前は、赤馬零王(あかば れお)。
あんまりペラペラ喋ると怒られちゃうからね。
ボクの名前はユーリ。
悪いけど君の相手はまた今度ね。」
凌牙
「おい!」
ユーリ
「ヴァイオレット・フラッシュ!発動!」
凌牙
「うっ!」
ユーリ、カードを発動させると紫色の光を放ち姿を消す。
一瞬、眩しさの影響で片手で目を覆う凌牙
そこにユーリの姿はなかった
凌牙
「ちっ!逃げられたか。」
凌牙回想終了
黒咲
「俺は1人でもアカデミアに乗り込み、瑠璃を助け出す!」
次の瞬間、凌牙が黒咲に腹パンを喰らわせる
黒咲
「うっ!
貴様、アカデミアと戦うのに怖じ気ついたか。」
凌牙
「誰が怖じ気つくか!
1人で勝てる相手じゃないからこうして仲間を集めてるんだろうが!」
黒咲の前に漓緒も来る
漓緒
「黒咲、辛いのは分かるけどみんな気持ちは同じだよ?
アカデミアを倒す気持ちは凌牙も同じ。
だけど感情的になりすぎて自分を見失ったら元も子もないよ?
少し頭を冷やしてきなよ。」
黒咲
「だとしても俺は行く。
例え誰が何と言おうとな。」
その場を去る黒咲
近くでその話を聞いているユート
漓緒
「黒咲。」
凌牙
「放っておけ。」
漓緒
「ウフフ、凌牙と黒咲ってちょっと似てるわね?」
凌牙
「似てねぇよ!」
回想終了
凌牙
「ランサーズ、どうやら既に次元を越えたってことか。
ん?」
凌牙の足元に1枚のカードが落ちている
それを拾う凌牙
そのカードには、赤いマフラーを着けた忍者が写っていた
凌牙
「ここにもアカデミアが来たと言うことか。
だが見た感じアカデミアは引き上げたようだな。
!?」
その時、何かに気付く凌牙
凌牙が向けた視線の先には、
水色の髪に、髪を上に縛り上げた少年がいた。
少年はキャンディを片手にモニターを見て驚いていた。
少年も、何かを探しにここに来ていたようだ。
凌牙にはわかった。
この少年がアカデミアの1人だということが。
凌牙
「お前もここに何かを探しに来たのか?」
少年
「まあね。僕は、紫雲院素良(しうんいん そら)。
君は?」
凌牙
「俺は、神代凌牙。
アカデミアに滅ぼされたエクシーズの残党とでも言っておこうか。」
素良
「へぇ、僕の正体に気付いてるんだね?
君もエクシーズの中じゃ大物らしいね?
だけど今は争っている暇はない。
僕は急いでいるんだ。」
凌牙
「だろうな。
大方あのモニター絡みなのは検討が付く。」
そう言うとモニターの方を見やる
モニターの映像が変わった時
凌牙と素良は目を疑った
モニターには、髪を2ヶ所に縛ったピンク色の髪の女の子が映し出されていた
思わず2人は叫んだ
凌牙
「瑠璃!」
素良
「柚子!」
モニターに映し出されているのは、
柊柚子(ひいらぎ ゆず)
最も凌牙が一瞬見間違えるのも無理はない。
凌牙たちが助け出そうとしている瑠璃も、
柊柚子と同じ顔をしているのだから
凌牙
「瑠璃と同じ顔、まさかこんなことが。」
驚きを隠せない凌牙
素良
「行き先なら、おおよその検討は着いてる。
僕は柚子の元へ行かなければならない。」
凌牙
「貴様、まだ何か企んでるのか?」
素良
「そうじゃない!僕は!」
そう言いかけたが黙り込んでしまう素良
凌牙、それを見て何かを察する
凌牙
「まあいい。お前の好きにするがいい。
最後に1つ聞こう。
コイツをこんなにしたのはお前か?」
凌牙、そう言うと忍者が写っているカードを見せる
素良、沈黙を破りスッと答えた
素良
「もしそうだと言ったらどうする?」
凌牙
「今度俺の前でこんなことをもう一度してみろ。
その時は容赦しねぇから覚悟しとけ。」
素良
「ふうん。その時は決着を着けてあげるよ。
僕はこれからシンクロ次元に行く。
君も来たかったら来るがいいさ。」
素良、そう言うと姿を消す
牛尾
「おいおい、いいのか?
何かエライ深刻そうだったけど。」
凌牙
「いいんだ。奴に戦闘の意思はない。
それくらい俺にだって分かるさ。」
デュエルに敗れた者は、カードの姿へと変えられる
ハートランドでは何人もの人間が、
アカデミアの手によってカードの姿へと変えられた
それは、ハートランドの人間からしてみれば
耐え難い屈辱である
無論、神代凌牙とて例外ではない
凌牙
「それに、俺が本当に決着を着けなきゃ行けないヤツは別にいる。」
回想
アカデミアの襲撃を受け、崩壊するハートランド
ただその街をひたすらバイクでかける凌牙
ふと、バイクを止める凌牙
険しい視線を上に向ける
その先には、瓦礫のビルの上に1人の男が立っていた
男は、アカデミアの制服とは少し違う
黒い制服を身に纏い
紺色の髪をしており
やや長髪気味の格好をしていた
互いににらみ会う2人
回想終了
凌牙
「ヤツとの決着を着けるために、
俺たちはアカデミアにやられるわけには行かねぇんだ!」