白猫と怪盗   作:un

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序章 白猫の涙

 深夜十一時。

 

 この日、✖✖✖国際美術館の中には大勢の警備員の姿があった。

 

 「警部、館内及び周辺には異常はありませんでした」

 

 「そうか」

 

 外国人の警備員から警部と呼ばれた茶色のコートを着込んだ日本人の男性がうなうずく。この男性は、今回とある事件のために世界中を飛び回るICPO(国際警察官)の銭形だ。

 

 「おい、ちょとまて」

 

 「な、なんでしょうか? ...いでててぇぇ!?」 

 

 突然、警備員の顔をまるで力一杯引っ張る銭形。そして引っ張り終えて何か納得したかのように再び頷き、顔を真っ赤にした警備員を返し、再び時計を見る。

 

 「やつの予告まであと十分...」

 

 巨大な展示室の中央には拳大程のサファイヤが防弾ガラスの中に収められていた。この宝石は、とある国の遺跡から発掘された物で。当初名も無きこの宝石は、石が置かれていた白猫を模した台座の右目に置かれていたのと、宝石の形が涙のような形の事から「白猫の涙」と命名された。

 

 「この厳重な警備の中、やつは一体...?」

 

 と、銭形がふと視線を上げると小さな通気口を見て動きを止める。子供でも入れるかどうかぐらいの小さな通気口。だが、彼は何を思ってか急に走り出し部屋から出て行く。

 

 そして、数分後ーー

 

 館内では警報が鳴り響き、警備の男達が走り回る。そして、展示室には通気口から流れるガスが充満し、警備員達は深い眠りにつく中。白猫の涙が姿を消していた。

 

 

 「ぐふふふぅぅ...白猫ちゃんの涙、確かに頂戴しました♪」

 

 美術館の屋根の上で赤い上着を着込んだ猿顔の男が、手に持つ白猫の涙を見て笑を浮かべていた。

 

 「さぁて、とっとと次元と合流するか...ありゃ?」

 

 ガチャン 

 

 どこからか投げられた縄つきの手錠が彼の右手首に嵌り、気づけば銭形が屋根の上に登っていた。

 

 「ルパン、やはりここにいたか!!」

 

 「とっつぁん。相変わらず猫みたいに勘の鋭いこと...」

 

 ルパン。世界的に有名なアルセーヌ・ルパンの孫であり、世界的に暗躍する大泥棒がこの男だ。

 そして、銭形はルパン関連の捜査をあらゆる世界で独自で捜査できる権限を持ち、ルパン捜査の専任者として今回も逮捕しようと、自信の第六感? が働いたのか、警備の者達のように眠らされる前にあらかじめ避難していた。

 

 「とっつぁんも猫みたいに大人しく寝てればいいのに...」

 

 「ぐははは!! 貴様が心配しなくとも、お前を檻の中に入れた後でワシはぐっすりと休むつもりだ」

 

 「ありゃそう...それじゃ。猫みたいに安らかに眠るのは大分後みたいね」

 

 突然、突風が吹き起こり、銭形は落ないように屋根にへばりつきルパンは、足元に用意していたハングライダーをつかみ空を飛ぶ。

 

 「なにぃ!?」

 

 慌てて手錠をたぐり寄せるが、ほんの数秒目を離した隙に外されており。白猫の涙を奪った大泥棒は満月に照らされながら漆黒の空を飛ぶ。

 

 「くそっ!! ルパン!!」

 

  

 その後は、銭形率いる警察官隊とルパンの壮絶な追跡劇が始まる。

 

 ハングライダーを乗り捨て、あらかじめ用意していたバイクに乗り街中を走る。その後ろでは無数のパトカーが追いかけ町中に騒音が響く。ルパンの行く手を防ごうと道路をパトカーを並べ壁を作るも、高度なバイクの操縦で家々の屋根の上を走り逃げ、ヘリの追跡も細く入り組んだ道を走り追跡をかわす。

 

 そして、自身に似せた人形を出しバイクを自動操縦にセットさせ途中で降り追跡者達が囮のバイクを追って彼方遠くへ走りさ去るのを見て、港にある小さな船に乗り込む。

 

 「お宝は手に入れたのか、ルパン?」

 

 「あぁ、もちろん」

 

 あごヒゲを生やし、帽子を被った男が船を動かしルパンに話かける。彼もルパン一味の一人で、ルパンの相棒である次元大介だ。この男の前では銃の早撃ちでは右に出る者はおらず、昔殺し屋や傭兵等の経験もあり裏の世界では名の知れたガンマンであった。

 

 「それにしても、なんだってそんなヘンテコな宝石なんか...さては、また不二子か?」

 

 「ギクッ!! い、いや、そんなまさか~~」

 

 明らかに態度が不自然なのを見て次元は「またか」と言いたげに肩をすくめ船をアジトのある方へ進めるーー

 

 

 

 一方で、ここは空を飛ぶ世にも不思議な飛行島。

 

 夜空に輝く星を眺める少年と少女。そして、一匹の白猫がいた。

 

 「ねぇ、ーーー。知ってる? 流れ星にお願いごとを三回言うと願いが叶うって」

 

 銀髪の神秘的な雰囲気を持つ少女。アイリスが、隣りに座る赤髪の少年に伝える。

 

 「あ、言ってる傍から流れ星が!! カニカマ、カニカマ、カニカマカニカマ...」

 

 と、二人の間にいる白猫が言葉を発し。まるで呪詛のごとく好物のカニカマを過ぎて行く流れ星に願う。

 

 「もう、キャトラたったら...」

 

 アイリスは食い意地の張る相棒? をたしなめつつ、カニカマ好きの白猫の頭を優しくなでる。と、赤髪の少年が流れ星を見つけ慌てて目を閉じ何かを願った。

 

 「? ーーー。何か、お願いごとをしたの?」

 

 と、アイリスが答え。赤髪の少年は一人と一匹に何を願ったのかを告げた。

 

 新たな冒険が来ますように、と。 

 

 

 

 

 「で、その白猫の涙ってのはどれだけの価値があるんだ?」

 

 夜が明け、アジトについたルパンが手に入れた蒼く輝く白猫を機械に入れ鑑定していた。

 

 「さぁね? 何しろこいつには、今の科学では分析できない程謎に包まれてるって話だったからな...俺にもさっっぱりわかんない」

 

 「おいおい、って事は何か? 金にもならない、訳もわからん石を手に入れたって事か?」

 

 「相変わらず、女たらしの男め」

 

 正座をし、愛刀である「斬鉄剣」を手入れをする侍。古来の日本で活躍したと言われる第十三代目。石川五右衛門が呆れたようにルパンを睨みつける。

 彼らにはもう一人。峯不二子と言う紅一点の仲間がいるのだが、彼女は時に裏切る事もあり、そのせいで男三人は毎回ひどい目にあうのだが、ルパンだけは何度騙されようとも、裏切られようとも不二子を許していた。

 

 「女につけこまれるから、その用な無駄な石のために労力を使う事になるのだ」

 

 「うっせいな!! 不二子ちゃんの悪口言うんじゃねぇよ!! それに、その女嫌いなのどうにかしろよ、お前もさぁ!!」

 

 「例えどんな女であろうとも、拙者は警戒は怠らぬ」

 

 まるで鋼鉄のような頑固者の相手飽きたのか、ルパンは機械に入れていた白猫の涙を取り出す。結局、検査しても対した情報が得れずに、本当に未知な宝石でどう使うべきなのか迷う石を見ていると、腕時計から音が鳴り、海岸を見れば十隻程の船が見え、先頭にある船には十手を持つ銭形の姿が見えた。

 

 

 「ありゃりゃ。また、とっつぁんだよ...」

 

 「どうやら今回の銭形は、一味違うようだな...」

 

 斬鉄剣を鞘に収め、五右衛門が立つ。次元とルパンはどこからか大きなバックを持ち、中には武器・弾薬。さらに変装の道具などが入っていた。

 

 「さぁて、どうやって逃げましょうかね...!?」

 

 突然、白猫の涙が蒼い光を放ち出す。まばゆい光に三人が目を閉じると、部屋から三人の姿が消えていた。

 

 「ルパン!! 逮捕だぁ!!」

 

 手錠を構え、家の扉を破壊し突入する銭形達。だが、家の中には人影もなく、天井裏や床下などくまなく探すがルパン達の姿がない。

 

 「くぅ!! 逃げられたかぁ!? しかし、どこへ...?」

 

 その疑問に誰も答える事ができず、そして大泥棒達は謎の宝石と共に異世界へ渡るーー  

 

 

 

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