温泉での騒動から数分後。
「いや、すまんかったな」
「いや、拙者は別に…」
五右衛門は、頭をさげる簪をつけた少女「セオリ」と宿の一部屋にいた。この部屋はセオリから温泉を邪魔したお詫びとして提供された。
五右衛門としては、こんな少女に代金を払わせるなど と遠慮したがセオリが
「せっかくの客人を大切にせなあかん」
と言い、それにセオリはどうやらこの島で裕福な家の生まれらしく、宿の者達は彼女の要望に対して、笑顔で答えていた。それほど、セオリの人望があるんだろうとことで五右衛門は彼女を信頼した。
「しかし、先ほどの男は…」
「あぁ、気にせんといて。アレはうちらで解決するから。それじゃ」
とセオリが部屋を出ていく。
「むぅ…」
愛刀を片手に、外を見る。この島は、いやこの世界が変なのは既に感じていた。
町を歩く、獣のような存在。先ほどの少女が放つ雷など。科学的な物は感じなかった。
「仕方ない」
考えても、何も起きない。いつもばか騒ぎを起こす仲間を探す方が先 と考え宿を出る。
温泉街と言うことで、人々が活気があり着物を着た五右衛門があるいても違和感はなかった。
「ふぇっくしゅん!!」
さすがに、雪が積もる寒さの中。何か上着が欲しいと思いながら、うろつくが慣れない町のせいでいつしか森林まで足を運んだ。
五右衛門は引き返そうとしたが、人影が見え足をとめると。
「…乙女だ」
五右衛門がつぶやき、彼の目線の先には長い髪に白い着物を着て、手にかごを持った目を閉じた少女がいた。
少女の整った容姿とどこか儚い姿は、前に偽札作りをしていた伯爵から助けた少女に雰囲気が似ていた。
「だれか、そこにいるのですか?」
少女は目を閉じたまま、五右衛門の気配を感じたのか声をかけた。五右衛門は、彼女にどう答えればいいのか、悩んでいると彼女の背後から殺気を感じ、風のように早く動き、手にした斬鉄剣で、彼女の背後にあった物を切り裂いた。
「きゃ!!」
「さがっておれ」
五右衛門は、一体のコボルトを手にしていた剣ごと切り裂く。この魔物は別の島でルパンを襲っていたのと同じで、もちろん群れを成して行動していた。
「魔物!?」
少女はかごを足元に置き、傍に置いてある弓矢を取る。が、少女が、矢を備える前に、五右衛門の刃が一体、一体と倒していく。少女は普段から目は開かないが、それでも五右衛門の鍛えられた技と力を感じ、息をのんだ。
「せい!! はぁ!!」
群れを成していたコボルトの数が減り、コボルト達は五右衛門が只者ではないと感じ逃げ出す。
「…またつまらんものを切ってしまった」
いつものセリフを言い、切鉄剣を鞘に納める。そして、少女の状態を確認しようと、振り向くと足元に一本の矢が降ってきた。
「フローリア!!」
どこからか、弓を持った凛とした雰囲気を持つ少女が駆けつけ、弓を五右衛門に向け
「この!! フローリアには手を出させない!!」
彼女の弓から矢が放たれ、五右衛門は再度、斬鉄剣を引き抜いたーー