白猫と怪盗   作:un

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六話 花の乙女と温泉卿 3

 

 

 巫女服を着た少女が放つ矢を、五右衛門の斬鉄剣が二つに切る。

 

 「カスミ!!」

 

 カスミと呼ばれた少女は、五右衛門をにらむ。一方で、五右衛門は自身に攻撃してきた少女を見て斬鉄剣を納めた。

 

 理由は、後ろにいる目を閉じた少女の声と、弓を向けている少女の二人が「似ていた」

のが大きかった。

 不老不死を求めた悪党との闘いで出会った。不死の血を持つ姉と、血のつながらない妹の二人に。

 

 「待って!! その人は...」

 

 目を閉じた少女。フローリアが、五右衛門は自分を助けてくれた事を説明をし、カスミは

弓矢を降ろし、顔を伏せた。

 

 「そ、そう...悪かったわね...」

 

 五右衛門は、気にするな と短く告げた。

 

 「ごめんなさい、カスミ。私が薬草を取りに行ったから...」

 

 「そ、そんな事はないわよ!! あんたは巫として十分...」

 

 フローリアが申し訳なさそうにして、それを励ますカスミ。二人を見て五右衛門は微笑みその場から立ち去ろうとするが、寒さで大きなくしゃみを出してしまう。

 カスミの提案で、一度町に戻り。呉服屋から出た五右衛門は、厚い着物を着ていた。

 

 「かたじけない」

 

 「いいのよ、フローリアを助けてもらったんだし」

 

 五右衛門の衣類の代金を支払ったカスミに対して五右衛門が礼を伝える。

 一応、アジトから脱出した時いくつか道具や宝石などはあるのだが、ここは好意に甘えようとこれ以上口を出さなかった。

 

 「お似合いですよ、五右衛門さん」

 

 「むぅ、そうか...」

 

 フリーリアからの褒め言葉に顔を赤くする。どうも彼女から、ある姫の雰囲気を感じてしまう。

 そんな中、彼女達は薬草をどうするか話していると

 

 

 「た、大変だ!!」

 

 「魔物が、魔物が!!」

 

 突然、外が騒がしくなり、三人は火の手が上がる家を見たーー

 

 

 

 「うぉぉぉ!! な、なんだ!!」

 

 火の手が上がる家のそばで露天風呂に入っていたゴエモンは叫んだ。

 

 「くぅ、変態を追っていたら。どうして!!」

 

 槍を振るい、金色の龍こと「コマちゃん」にのり、魔物を撃退するセオリ。

 彼女も多様戦闘経験があるが、敵の中には強靭な肉体を持つ鬼がいた。本来、この島には人間以外にも鬼がいて、彼らは大人しいのだが。今、目の前にいる鬼は魔物の部類に入り、コボルト同様人を襲う。

 

 「早く火の手を!!」

 

 「けど、魔物が!!」

 

 あたりでは、火の手と魔物の襲撃で混乱する人々がおり、彼らの方に魔物が行かないようセオリとコマちゃんが攻撃する。が、守りながら戦うことは隙ができやすくなり、彼女の背後から白い小さなドラゴンが爪をたて襲いかかるが

 

 

 「はぁ!!」

 

 気合がこめられた弓矢の一撃が、スノードラゴンの急所を当てる。さらに、矢が数本放たれ、セオリの周りにいた魔物たちを射抜いていった。

 

 「おおぉ!! 大きに!!」

 

 セオリは、遠くにいる弓を構えた二人の情緒。フローリアとカスミに礼を言い、戦いを積図ける。セオリの槍が、二人の矢が確実に数を減らしていく。そして、もう一つ。

 

 「せぁぁぁ!! はぁぁ!!」

 

 三人の少女以上に素早く、風のように動き次々と鬼を切る影が一つ。

 異世界の大泥棒の末永である五右衛門がいた。

 

 「うはぁぁ、助かった...」

 

 四人の戦いをはたから見ていたゴエモンは、今の内にと逃げようとした。

 だが、地響きが起き。気づけば彼の前には巨大な鬼がいた。

 

 「ぎゃぁぁぁ!!」

 

 ゴエモンが叫び、大鬼は手にしている金棒でゴエモンを叩きつぶそうと振りあげる。

 そこに、一つの影が入り一閃。鬼の金棒が二つに分かれ大鬼が倒れる。

 

 「また、つまらぬ物を切ってしまった」

 

 気絶しているゴエモンをよそに、五右衛門は斬鉄剣を鞘にしまいつぶやいたーー

 

 

 魔物を討伐して数時間後。村人たちが復興作業をし。その中にフローリアとカスミは怪我人の手当てをしていた。薬草や包帯を手にした二人に人々が集まる中、五右衛門も復興作業を手伝おうとしたが

 

 「あんさん強いな!! いや~~なかなかの腕だった」

 

 龍に乗ったセオリが五右衛門に話かける。五右衛門はセオリより、彼女を背に乗せている龍の方に気が集中していた。セオリは「この子はいい子だから」と、人を襲うような存在ではないとのこと。

 

 元の世界でも。科学により複製人間や強化人間。果ては、機械と一体化した存在はいたが、人外は初めてだった。

 

 「おじさんすげぇ、かっこよかったな!! どこから来たんだよ?」

 

 と、もう一人。セオリと同じ年に見える少年がいた。前をアキヒコと言い、セオリの幼馴染のようだ。彼も、五右衛門の戦いを見て目を輝かせており質問攻めをしていた。

 

 「すまぬが」

 

 と、五右衛門が一度言葉を切り

 

 「この島は一体どこだ? そして、あの生き物たちはなんだ?」

 

 セオリとアキヒコは目を大きく開いたーー

 

 

 夜。宿に戻り一人。五右衛門は考えていた。

 魔物 ルーン アオイの島 聞いたことのない言葉と、さらに魔法の存在でもはやここが異世界であるのは間違いなかった。

 

 原因は白猫の涙で間違いない。ルパンのやつめ と愚痴り五右衛門は窓の外を見る。

 

 これからどうすべきか? 仲間たちを見つける? 右も左も分からない異世界で? 

どうやって? やるべきことが分かっていても、その方法が分からない。

 

 そして、五右衛門には一つ。やるべき事が増えた。

 

 一宿一飯の恩義。翌日から、復興作業の手伝いや薪割りなど 泥棒とは思えない事を始めやがて日にちが過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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