それでは本編どぞー
私の仕事、里の警護の内容は至って簡単。人里に住む人に危害を及ぼすような妖怪を、里に侵入する前に追い払うこと。夜に里を見回り、子供が外に出ているようなら叱ること。この二つだけである。
後はともかく、前の内容は滅多に起こらない。なので、私はこの見回りの事を『夜の散歩』と勝手に呼ばさせてもらっている。
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いつものことなので、今回も何もないと思っていた私。しかし、今回は違った。
妖怪というのは、大きく分けて二種類いる。1つは人形の妖怪、ルーちゃんや文ちゃん、紫さんもこれに当てはまる。もう1つはそれ以外のもの。狼や蜘蛛みたいな見た目で、大半は言葉も通じない。
そう、今日は二足歩行をする狼妖怪と遭遇した。
お相手さんは完全に殺る気、正直あんまり乗り気でない。まあ、適当にやりますか。そう考えて、私は傘を開いたままの状態で前に突き出す。
「■■■□●※※◎◎◎!!」
「日本語じゃないからわかんないや」
こういう中途半端なやつは、微妙に言葉をしゃべる。でも、形になっていないからなんて言っているのかわかんない。
そんなことを考えていると、お相手さんは突っ込んでくる。腕を振り上げているから、ひっかくだということはバレバレ。なので開いたままの傘で受け、クルリと回して受け流す。そのあと後ろに跳んで、距離をとる。
「※※※※●◎◎◎◎!!!」
何を言ってるのかわからない。それに他の場所を見回らないといけないから、もう終わらさせてもらいます。
もう一回突進してきたので傘を閉じ、刀でいう切っ先を自分の後ろ、下の方になるように構える。
一拍待って、私の間合い。傘を目線のところへと合わせる。
一閃、音も風も全てを置いていく。何をやったか、簡単に言えば単なる突き。ただ速いだけのね。一応手加減はしたから大丈夫だろう。
「名前、どうしようかな?」
私の剣術(武器は傘)は、基本我流である。まあ、教えてくれる人がいなかっただけなんだけどね。とりあえず名前だ、どうしようか。
「
名前なんて意味がない。誰にも見せることはないだろうし、教えることもないだろうしね。
とりあえず、今のところはこれでいいだろう。なので私は傘を開き、きた道をそのまま戻ることにする。
私が傘を閉じたとき、身体能力が異常に上がる。それだけでなく、普段ほとんどない霊力も上昇して、戦闘能力が高くなる。紫から聞いたところ、この傘は私の本気を防いでいるらしい。
【防ぐ程度の能力】
これは私の能力らしい。内容は読んだ通り、防ぐことができるのだ。実際私もよく分からない。でも、この傘の強度とか、濡れるのを防ぐのはこの能力のおかげっぽい。
とりあえず、ここでやることは終わったので、さっさと移動しよう。
「にゃあー!」
「そうそう、どうしようかにゃーなんて。……あれ?猫?」
鳴き声を聞いて振り返ると、そこには一匹の猫が座っていた。
「にゃあー!にゃにゃにゃー!!」
「よいしょっと、かわいい猫だね。誰かが飼ってるのかな?毛並みもしっかりしてるし」
そーっとてを伸ばして頭を撫でようとする。
ガキンッ
闇夜に響く鈍い音、静まり返ったこの場所でいやというほどに響く。音の発生源は私の真上。
私から少し離れたところに蟷螂の妖怪が立っている。生えている鎌を構えて戦闘体制だ。
「なるほど、あなたが私を狙ったということか。でも……残念ね」
今は理解できていないけど、すぐに理解するだろう。
「ちょっと待っててね」
猫にそう言って、傘を閉じ左手に構える。私が戦闘体制になったとき、蟷螂の妖怪は突っ込んでくる。そして───
───そのまま私を切り刻む───
────ような動きを見せた。
実際は何も切れなかったのだ。理由は簡単、
『私の傘に全力で攻撃したから』
さっき説明した通り、私の傘の強度は異常に高い。前に日本刀で試してみた結果、日本刀が真っ二つに折れるということがあった。
そんな強度のものに攻撃すれば、どんなものでもボロボロになるだろう。事実、蟷螂の鎌は使い物にならなくなっていた
自分の圧倒的不利に気づいて、羽を広げて逃げようとする。
「逃がさないよ」
妖怪の横へ移動して、傘で殴り付ける。この間およそ一秒、これが里の警護者としての実力だ。妖怪の姿はもう見えない。
「次からは、私に気づかれないようにね」
という訳で、戦闘が終わったから、急いであの猫のもとへと急ぐことにした。猫は全く動いていなかった。
にしてもかわいい猫だ。お持ち帰りしたいけれど、生憎連れ帰る家がない。でも、ここであったのも何かの縁という事で、お散歩につれていくことにする。
「よしよーし、ふふ、気持ちいい。よいしょっと」
ゆっくりと持ち上げて、服の中にいれようとしたところで、急に暴れ始める。余談であるが、私は基本さらしをつけている。しかし、きつく締めることはないので、隙間は空いている。なのでその中にいれようとしています。
「にゃにゃにゃにゃ!!!」
「どーどーどー、落ち着け落ち着け。頭でも撫でたらいいかな?」
頭を撫でる。毛並みはふわふわ、かなり気持ちいい。これはやめられないね。耳を触ったら瞬間、猫の体がビクッ!と震え、抵抗しなくなった。もしかしたら弱点だったりするのかな?
「ごめんごめん、嫌なことしちゃったね」
とはいえ、せっかくの隙なので、服のなかにいれます。少し暖かい。いくら夏といってもまだ始め、夜は少しだけ肌寒い。私も暖かいし、この猫だって暖かいだろう。それに、撫で心地もよい。
さて、散歩を再開しよう。
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「確か朱恋さんの家はこっちだったはず」
記憶を頼りに進んでいく。猫はもちろん撫で続ける。道を覚えないと、警護者としての名が廃る。もちろん自称ではある。
「あれ?慧音、どうしたの?」
「ああ、鈴姉か。すこし朱恋の家によっていただけだ。ぐっすりと眠っていたな」
目の前から慧音がやって来る。やはりこの道で合っていたみたい。
「本当にまた無茶をして………やはり、痛い目を見ないとダメらしいな」
慧音が背負ってる袋、目が少し暗くなっているし言動もこんな感じ。嫌な予感しかしない。頑張って、朱恋さん!
「ところで、その猫は?」
「ん?さっき拾ったから、散歩中だよ?」
「そうか、そういえば鈴姉は動物が好きだったな」
「そうだよ!皆ふわふわしててかわいいからね!」
っと、忘れるところだった。ちょうどいいから慧音に任せよう。私は背負っていた袋から服を取り出す。その服はいろんなところが綺麗な生地で修復してある。
「慧音、これを朱恋さんに渡してくれない?」
「了解だが、この服は?」
「朱恋さんのものだよ。結構ボロボロだったから仕立屋さんに頼んで修復してもらったの」
「そうか…………他の人にまで迷惑をかけるとは、これはもう少しきつくしないといけないな」
「こ、これは私が勝手にやっただけだよ?忘れないで」
「ああ、そうだな。鈴姉はそういう人だったな」
危うく地雷を踏むところだった。大丈夫……なのかな?
「それじゃあ私はこれで「慧音せんせーい」ん?誰だ?」
遠くの方から慧音を呼ぶ声が聞こえる。慧音はわからなかったみたいだけど、私はすぐにわかった。名刀 小孤膝丸、(私の中の)通称小孤さんだ。
また頭が痛くなる。でも、お昼の時よりはかなりまし、普通に話せるぐらいでしか痛くない。
「どうも、慧音先生。それと鈴姉さんもまた会ったッスね」
「また会ったね。改めて自己紹介させてもらうよ、私は宵闇 鈴名、人里の警護者だよ。人里で慧音の次に役に立つ人だと思ってくれれば。これからよろしくね」
「よろしくッス!」
元気な返事だ。見た目通り元気な人だね。私は嫌いじゃないよ。
「それで、本題なんッスけれど、このカメラの持ち主が、俺やチルノちゃん、大ちゃんを盗撮していたんッスよ」
そのカメラを見た瞬間、犯人の名前がすぐにわかった。
「文ちゃん…盗撮はもうやめなよ……」
そして、地面に膝をつく体制になる。本日二回目。
「犯人を知ってるんスか?」
「ああ、うん。犯人の名前は射命丸 文、新聞をよく作っている烏天狗だよ」
そして、盗撮もよくやっている。とは言わないようにする。まあ、後々わかるんだけど。
「とりあえず写真を消してもらうように言いに行こうか。私は特にこれといった用事はないからね」
「その射命丸さんッスよね。気絶させたのでそこまで案内するッス!」
「ああ、また会おう」
「にゃー」
「ん?君も帰る?」
そんな雰囲気を感じたので、服から出して地面にそっとおく。頭を撫でるのも忘れない。
「よし、それじゃあ行こうか」
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「そういえばさ、小孤さんは私のことどう思った?」
ふと思った疑問。私は初対面の時に結構変な対応をしてしまった。もしそれで、不快な感じがあったなら謝りたいからだ。今、頭痛はないに等しいので今のうちの方がいいだろう。
「小孤……俺のことッスか。まあ、シャイな人かなと思ったッス。ほら、傘で顔を隠してたッスよね」
しゃい?よくわからないけれど、恥ずかしがりやさんみたいな意味かな?
「実はね、私はときどき酷い頭痛に悩むときがあるんだよ。急に起こる頭痛で、起こる予兆が感じられない。私からすれば一種の持病みたいな感じのがね」
「そうッスか。それで……初めての会ったときに頭痛があったということッスか?」
「うん、どうしてわかったの」
「それは、顔色が酷かったからッスよ。話を聞いたら誰だってわかると思うッス」
どうやら鉢巻だけじゃ限界があったらしい。
「とりあえず、私は『しゃい』じゃなくて、もっと明るい性格だから気軽に話しかけてくれると嬉しいな~、っていうお話だよ」
「了解ッス!これからは鈴姉を頼ることにするッス!」
「その前に慧音に頼んでね」
慧音ならなんでもできるって誰かが言ってた。犯人は私。
そんな会話をして打ち解けているうちに、文ちゃんのところへとついたらしい。辺りを見回している、黒い翼のついた少女が目の前にいる。
「あれ?鈴姉じゃないですか。お久しぶりです!」
「久しぶりだねー文ちゃん」
「どうして俺たちを盗撮してたッスか!」
おおう、小孤さん怒っています。私よりも身長が高いから、威圧感が凄い。
「はいはい、小孤さん落ち着いて。文ちゃん、盗撮はもうしないっていう約束はどこへいったの?」
過去、人里にて討伐依頼がきたときに、私は文ちゃんにお仕置きをした。それからは盗撮をしないという約束だったんだけど……
「えへへ、すみません♪どうしても撮りたいっていう欲望が……」
傘を閉じ、無言で振り上げる。目線はもちろん文ちゃんに向けたまま。
「ごごごごごめんなさい!!も、もうしませんから叩かないでください!!」
「……取材したいなら本人に聞いてからにしなよ。盗撮じたいはあんまり怒らないけれど、せめてかわいい姿を撮ってあげなよ。ね、小孤さん」
「は、はい!そうッスね!」
ん?心なしか少し震えているような……あ、霊力駄々漏れだった。次からは気を付けないと。
「とりあえず、今回は撮った写真を消しなさい。わかった?」
「はい!絶対に消します!」
今さらだけど、人間に怯える妖怪ってどうなのさ。私が怖がらせちゃっているだけなんだけどもね。
「それじゃあまたいつかに、今宵はよい夢を~」
あとは二人でもどうにかなるだろう。私は一足先に人里へ戻ることにした。
その後、夜の散歩はすぐに終わった。適当な民家に背中を預け、少しの睡眠とさせてもらおう。
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────それじゃあまた明日ね、〇〇!
────また明日!●●!
「………夢、か」
なんだろう、とても懐かしい物を見た気がする。でも、何だったのかは思い出せない。でも、とても明るい感じだったのは覚えている。
それから一歩踏み出そうとして、バランスを崩してしまう。地面に当たる少し前に誰かが助けてくれた。
「ひひひ、気を付けろよ。鏡を見て今の自分でも確認してみな」
「うん、そうさせてもらうよ」
親切な人にお礼を言って、人気のない場所に移動する。
スパァン!!
乾いた音が誰もいない空間に広がる。この音は、私が自分の顔を叩いた音、こうでもしないと起きれないのだ。それから思いっきり体を伸ばす。
「うーん!っと、今日も頑張りますか!」
とりあえず、服を着替えるために私は物置へと移動することにした。
その後、額に書かれた落書きに全く気づけず、鈴奈庵に行った時に笑い悶える鈴ちゃんから教えられることになった。
まずは小孤さんですね。
名刀 小孤膝丸、reiraさんの作品の主人公です。
次に朱恋さん
暁 朱恋、不信者さんの作品の主人公です。
それから猫さんですね。
蒼風 蓮、黒鳶さんの作品の主人公です。
最後にイタズラした人。
聖月 聖、Ue3anさんの作品の主人公です。
次回は恐らくあの異変になると思います。
ではではまた次回。