東方遊戯界 ~だから私は傘をさす~   作:白羅

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enemy side 1
【紅き館の住人】


とある洋館

 

どこを見ても赤が目に映るその洋館の一室で、話し合いは行われていた。

 

「皆、用意はいいかしら?」

 

五人の前に立つ幼女、見た目は小さいながらも威厳がある。

 

「例のあれならすぐにでも発生させられるわ。こあに頑張らせたもの」

 

「ええ!もちろんですとも!だから少しお休みさせてください……」

 

紫のネグリジェを着た女性が答え、こあと呼ばれた者も答える。

 

「私はレミリア様に仕える身です。お嬢様のためならこの十六夜咲夜、命も差し出しましょう」

 

銀髪でメイド服の女性は、ひざまづいて答えた。

 

「そりゃまあ雇われている身ですし、なるべく頑張りますよ~」

 

そんなメイドとは対照的に、チャイナ服を着た女性は半分なげやりに答える。

 

「美鈴、あなたはもっと頑張りなさい。昨日も昼寝していたでしょう?」

 

「あー、咲夜さんはやっぱりわかってましたか。やっぱり体を動かさないと眠くなりますからね~、ふわ~」

 

頭を書きながら答える美鈴に咲夜はイラつき、いつのまにか手に持っていたナイフを構える。

 

「ストップ、戦う相手は違うわよ。私たちが起こす『異変』を解決しようとしてきた者だけ。あいつともそういう約束よ。ちゃんと理解しているかしら?」

 

「……失礼しました。レミリア様」

 

「お姉さま!私はどうすればいいの?」

 

咲夜の影から、一人の幼女が飛び出す。見た目はレミリアと似ているが髪の毛の色は金色、羽も奇抜なものになっている。

 

「フランは何もしないでいいわ、図書室の奥の部屋で人形遊びでもしてなさい」

 

「あ……うん、わかった……」

 

レミリアは1つ頷くと、両手を広げて宣言する。

 

「明日はいよいよ作戦決行日になるわ!皆準備を忘れないようにして、明日の戦いに備えて今日は休みなさい!」

 

 

 

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

 

解散して暫く、一人で月を眺めるレミリア。突然隣の空間に亀裂が走る。

 

「綺麗な月ね。こんなのを独り占めするなんて、あなたは何を考えてるの?」

 

「あなたには関係のないことでしょ?八雲紫」

 

「ふふふ、確かにそうね」

 

スキマから出てきた紫は傘をさし、月を眺める。それから暫くは静寂が続いたが、レミリアが口を開く。

 

「ねえ、八雲紫」

 

「どうしたの?ついに紫と呼び捨てにすることにでもしたの?」

 

「それは絶対にやらない、ってそうじゃない。明日の異変に関してなんだけど、解決者は皆弾幕ごっことやらをしてくれるのか?」

 

「多分来ることになる……というか、無理矢理こさせることになってる霊夢に関しては教えておいたわ。一緒に異変解決することになった者にも伝えるように言っておいたし、ここの門番にも伝えるように頼んだわ。恐らく心配することはないと思う…と言っておくわ」

 

曖昧な返答に、レミリアは少し苛立つ。

 

「それはどういうことなの?」

 

「もしかしたら予想外の【何か】が来るかもしれないということよ。過去に私が戦い、勝つことのできなかったやつが何人かいるわ。そのうちの一体の行方はわからず、それに似たのが人里に住んでるの。もしそいつが来た場合、弾幕ごっこ以外では勝つことが不可能…いえ、弾幕ごっこでも危ういかも……」

 

レミリアは動揺し、紫に掴みかかる。しかし、紫は難しい顔のままだ。

 

「そうならないようにするのがお前の役目だろうが!それとも私達を拒むと言うのか!」

 

「落ち着きなさい。私はもしもの話をしているだけ、あいつが介入してくるのなら、私も本気で相手をするしかないわ。別にあなたたちに戦ってもらうつもりもないわ」

 

「……そう、掴みかかって悪かったわね」

 

「私の言い方も悪かったわ、とりあえずこれでお咎めなしということにしましょう」

 

レミリアは素直に手を離し、紫は扇子を開き顔を隠す。それから暫くの無言が続く。

 

 

 

「ねえ、ずっとおとなしくしていたあなたが異変を起こそうと思った理由、教えてくれないかしら?」

 

「え?……まあ、いいわよ。でも笑わないでね!絶対よ!」

 

「笑わないわよ。幻想郷を壊すような理由ならどうなるかわからないけれども」

 

紫は扇子を閉じ、真っ直ぐにレミリアを見る。一方のレミリアは、真っ赤になった顔をナイトキャップを深く被ることで隠し、恥ずかしそうに口を開く。

 

「…ラ……だから……」

 

「えっ?何だからって?」

 

小さな声でブツブツ言っているが、紫には聞こえない。暫くの静寂がまた続いたが、レミリアは顔を隠すのをやめ、月に向かって大声で宣言する。

 

「フランと一緒に出掛けるためだからだ!!」

 

そして静寂、顔を真っ赤にして目を固く瞑り、体を固くするレミリア。

 

「……ふふ、いいお姉さんね。別に異変を起こさなくてもいい方法があったのに」

 

「……ああもういや~~~~!!!」

 

明日には異変だというのに平和な会話。これからの出来事が茶番劇に思えるぐらいの楽しさがそこにはあった。

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼▲▼▲

 

 

 

 

 

「お姉さまのバカ……フランだってお姉さま達の役にたちたいのに……」

 

紅魔館地下室、フランは一人でベットに倒れこんだ。その手の中には熊のぬいぐるみがある。

ぬいぐるみには、何度も継ぎ接ぎした様子がみられる。といっても、耳や腕の先などの場所で、なおかつよく見ないとわからないほどに完璧な修復が施されている。

 

ボーッと熊のぬいぐるみを見つめていたフランだったが、ベットの上にぬいぐるみを座らせ、少し離れた所に移動する。そして右手を突きだし、手を広げる。

 

「きゅっとして……ぽん」

 

その言葉と同時に手を握るが、人形には何も異常はない。

そう、フランは力をコントロールできるようになったのだ。レミリアもそれを知っている。だからこそ、フランは皆の役にたちたいのだ。

 

ぬいぐるみに傷がないのを確認すると、再びベットに倒れこむ。

 

「……どうすれば、お姉さまはフランの事を認めてくれるだろ……。誰かと戦って勝てばいいのかな……。……明日、フランも……」

 

考えが纏まらないうちに、フランの意識は暗闇の中へと落ちていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、彼女が目を覚ましたとき、部屋の中には誰かがいた。これはチャンスかも知れない、そう思ったフランはイタズラに声をかける。

 

 

 

 

 

 

「あなたはだぁれ?」

 

 

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