では、どうぞ。
異変の現況と思われる館に侵入してみたけど、その中は外見と同じように真っ赤だった。
(うわあ、見てるだけで目と頭が痛くなってきちゃう。ここに住んでる人ってみんな目が強いのかな?)
いや、絶対そうだろう。そうじゃなきゃこんな館にはいられないはずだ。異常なほど濃い力を感じる場所では、普通の人は生きられない。その強い力を館のどこかに感じている。
(今回はいつもの妖怪とは違うね。もっと強いやつらしかいないだろうなあ)
もしそうだとしても、私は進むしかない。人里の皆を助けるために、異変を解決するためにここに来たんだから。
一歩踏み出す。重い一歩という訳じゃない、でも軽くもない。進むべくして進んでいる、そんな使命感を感じているからだ。
傘を回しながら進んでいるから、もし能力が使えてなかったらただの散歩している人にしか見えないだろうけど。
と、進んでいる間に一人の影が廊下の奥に見える。服装から察するに、きっと女性だろう。腰回りのあれ……何だっけ?名前は思い出せないけど、あれは女性が着る服らしい。これは紫に教わったことだ。
「……?もう誰か侵入してきたのかしら?」
(へぇ、見えてないのにわかるんだ。こりゃまともに戦ったらまずいかも)
きょろきょろと周りを見渡しながら言う彼女に私は驚く。と言っても、今の私と彼女の距離は、文字通りの目と鼻の先ではあるのだけれども。
と、鼻の話をしたところで、私は彼女から漂ってくる香りに注目する。
柔らかくて優しい匂いだ。多分お風呂とかにでも入った直後なんだろう。端麗な見た目と合わさって、誰もが振り向かされる美人にしか見えない。
「もし誰かが侵入しているのなら……少しナイフの準備でもしてましょうか」
おお、怖い。少し目が鋭くなって、回りの空気が縮こまった気がする。こういう言動がなければ誰からも告白されるだけなんだろうな。しかも『私はお嬢様に忠誠を誓った身なので』とか言って断るのだろう。主に絶対的な忠誠を誓う美人としてさらに人気が出るのだろう。
とまあこの人の観察はさておき、私の方の仕事も進めなくては。さっさと終わらせて、人里の皆を安心させなくちゃ。
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さて、ここまで適当に進んできたわけだけども、ここでようやくひとつの問題に当たる。
「そういえば、どこに行けばいいんだろう?」
そりゃそうだ。適当に進んで上手くいくわけはない。もし上手くいくとしても、よっぽど運のいい人か、もしくはよっぽど勘のいい霊夢の二択しかないだろう。
さてさて、どうしたものか……
「フンフン♪フンフン♪今日は水縞昨日は白♪明日は薄いピンク色~♪」
丁度よく誰かやって来た。箒と雑巾を合わせたようなものを使って床を掃除しているみたい。使いづらくはないのかな?
(あ、そうだ!)
ちょっとした名案を思い付く。暫くは能力を応用した傘を使ってまだ身を隠しながら、相手の後ろにまわる。
後ろに回ってからわかったけど、この子には羽が生えている。まあきっと妖怪が住む館だから、妖怪じゃない人がいてもおかしくはないだろう。
とりあえず、後ろにまわったあとは能力を解除。そして耳元で囁く。壮大に、上に立ち振る舞うように。
「ねえ?わたしの部屋はどこかしら?」
「ヒッ!?い、フラン様の部屋は地下にございます!教えたから食べたりしないで~!!」
あらら、泣いちゃった。ここまで怖い人がこの館の主なのか。むう、これは一筋縄ではいかないかもしれない。とりあえず、この子をどうしようか……
「安心して、私はあなたたちを食べようとは思ってないわ」
「……ほ、本当ですか?よかったぁ、もう人生終わりかと思ったぁ。……さて、仕事に戻らなくちゃ」
上の立場にいる人は大体皆と仲良くしたいって願いがあるって聞いた気がする。なのでちょっとおかしいかもしれないが、私はこう言っておいた。少しでも仲が深まる結果になればいいだろう。まあ本当は私が手を出しちゃいけないんだろうけどね。
とりあえず行く場所は決まった。ずっと一階の廊下しかまわってないが、地下室となれば話は別になる。
こういういった部屋は大体大きな部屋の奥に隠されているものなのだ。この前鈴ちゃんのお店で立ち読みさせてもらったとき、推理小説という部類の本を読ませてもらった。科学とか理屈とか、そういったものは私には難しくてわからなかったんだけど、推理している様子は引き込まれるものがあった。そこによく古い洋館が出てくるのだが、死体の隠し場所は地下室、書斎の奥に入り口があるということが多かった。
書斎というものはよくわからなかったけど、とりあえず本がたくさんある場所らしい。こっちは阿求からの情報、自分の部屋みたいなものだとも言っていたから、今度お邪魔させてもらおう。
と、まあとりあえず本がたくさんある部屋を探すことに。扉の場所は覚えたので、最初は一番近い扉から入らせてもらおう。
最初の部屋は本がたくさんある場所だった。
「あれ?普通に当たった」
思わず言っちゃったよ。こんなに偶然を簡単にひけちゃったらダメでしょうに。
まあでも見つかったならしょうがない。お邪魔しますと小声で言いながら入らせてもらう。
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右見ても本棚、左見ても本棚、上も見ても下を見ても……あ、下は床だった。
とりあえず、そこら中に本が並べられている場所がその扉の奥だった。書斎ってこんなものなのかな?違う気もするけど。
でもせっかく入ったんだし、中を見学させてもらおう。きっと楽しいことは……さすがにないね、うん。
奥に行っても本、右に行っても左に行っても本だらけ。ちらっと誰かがいた気もしたので、あっちへこっちへ。うん、楽しい。ちなみに追いかけてたのは赤い髪の毛の人型蝙蝠でした。どこまで赤いことにこだわる館なんだろう?
そうそう、一回本に触れた時に痺れるような感覚があったので、適当に触りまくって感じないようにしてみました。後ろの方で「あれ?魔法が発動してる。でも誰も倒れてない……咲夜から侵入者の報告はないし……」という声が聞こえたけど私は何も知りません。魔法は阿求から教えてもらったけど、妖怪が使うようなものだって聞いたから、もう興味はなくなったんです。
でも何もなかったわけじゃない。部屋の奥の方に扉があるのを発見したのです。鉄でできた頑丈な扉、中には下の方へと続く階段、これは絶対に地下室へと続く扉だろう。
(……よし、じゃあ行こうか)
心の準備は既にできた。あとは進んで、奥にいる親玉を倒して、いつもの日常に戻ったら万事解決だ。
私は本日二回目の最初の一歩を踏み出した。
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部屋の第一印象は、閑散とした部屋。必要なものが少ないのだ。
丸い部屋にあるのはタンスと人形、色々な装飾が施された寝床、これだけしかない。
寂しい場所、まるで牢獄みたいな場所だ。閉じ込めるだけの場所、隔離するだけの場所、まるで自分がいた場所みたいだ。
傘を閉じて部屋を見回す。隠し通路も見つからない。ここじゃあ親玉がいるはずがない。どうやらはずれの部屋みたいだ。
「……ほかの場所いかないとね」
能力を一時的に解除する。少し疲れたから休憩するだけ。少しだけ床に腰を下ろす。
ふと人里の事が気になってきた。おそらく今も霧は出続けているはず。慧音が私の頼んだことをしていれば、人里に霧はかからないはずだし、妖怪が来ても妹紅が対処する、安全ではあるはずだ。でもみんなの不安がなくなるわけではないはず。そう、やっぱり私は急いで解決をしないといけないのだ。
「ふう……よおし!頑張るぞ!」
意気込んで立ち上がる。立ち止っている暇はないのだ。早く先を急がねば。
しかし、また一歩を踏み出そうとした私の足は立ち止る。いや、止めさせられる。
ベットに寝ていた少女が起きたのだ。そして私にこう呼びかける。
「あなたはだぁれ?」
にやりと笑う少女、その口から見える以上に伸びた八重歯、水晶のようなものが生えた翼。誰がどう見ても異形の物と分かる彼女に呼び止められ、私は立ち止るしかなかった。いや、立ち止まらないといけなかった。
異常なほどに膨大な妖力。それに比例して強大だと思われる能力。
(ここで退治しないとまずいかもね……)
「ねぇ、だぁれ?」
腹はもうくくった。さあ、大変な戦いになるだろうなぁ。
「私は藍宵鈴名、あなたは?」
「私はフランドール・スカーレット。ねえ遊びましょ?私とっても退屈なの!」
さあ、本気で戦おうか。
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その時私たちはまだ知らなかった。
これが原因であんな悲劇を引き起こすとは。
あんなことが起きてしまうとは。
そして――
物語の歯車が、静かに回り始めたことに。
「ケハハハ。さて、そろそろ始めちゃおっかな。食事の下準備を……ねぇ!」
やっつけ感がまずいですが、まあ見逃してください。
さて、他の人に頑張ってもらいましょうか。
なんてね。