if~城下町の転生者~   作:猫舌

13 / 17
刹那「そう云えば遥に似た人が主役のアニメ見つけたよ」

遥「へえ」

刹那「確かコンクリート・r」

遥「それ以上はいけない」


第13話

三人称サイド

 

 

『それでは、決勝戦の開始です!』

 

 

司会の無駄に元気な声でこのくだらない大会の決勝が始まった。まずは遥&百々ペアが仮想空間の水族館を歩く。

 

 

「うわ~♪綺麗」

 

「そうだね・・・本当に綺麗だ」

 

 

水槽を見る百々を横から遥は見つめる。その頬は赤く染まっていた。

 

 

『遥様が熱い視線を送るが百々ちゃん気付かない!』

 

 

このままだと当分進展は無さそうだと思った司会は刹那達へと目線を向ける。

 

 

「おお、凄い!二人共、こっちこっち!」

 

「何一人で盛り上がっとんねん」

 

「はしゃぐ刹那様も素敵・・・」

 

 

刹那がこれまでに無い程目を輝かせ、水槽を見ながら走る。時々転んでもすぐに立ち上がって目を逸らす事は無かった。

 

 

「と言うか何でそんなはしゃいどんねん」

 

「いやぁ、僕水族館来た事無いから」

 

「お父様に頼めば良いじゃないですか」

 

「あまり家族に迷惑とか掛けたく無かったし・・・」

 

『おっとー!?刹那様は水族館に行った事が無いって本当ですか、特別審査員の修様』

 

『あ、そう云えば無いっすね。アイツ何処かに行きたいって言った事すらない気が・・・』

 

 

修の言葉に会場が一気に静まり返る。そんな中、リヴェータだけが冷静に携帯端末でスケジュールと水族館のチケットの予約をしていた事を誰も知らない。そんなギャラリーをお構いなしに刹那達は水槽を見る。

 

 

「アレ何や?」

 

「確かイワシの仲間だよ」

 

「あっちは何でしょうか?」

 

「向こうのは鯖の仲間だね。その隣に居るのはハリセンボン」

 

「何でそんな詳しいねん」

 

「魚を見るのは好きだから図鑑とか動画とかいっぱい見たんだよ」

 

「もう一人で行って来いや」

 

 

厚子の呆れ声に刹那はポリポリと頬を掻いて恥ずかしそうに言った。

 

 

「その・・・最初は誰かと一緒に行きたいな~何て夢持ってたから・・・」

 

「・・・ほれ」

 

「ん?ナニコレ?」

 

「手や手。デートなんやから手ぇ位繋げや」

 

「うん!えへへ・・・」

 

「っ!反則やろ・・・」

 

「?」

 

『何かもう刹那様がヒロインみたいになってんじゃんコレ!?』

 

 

司会が思わずツッコミを入れる。その隣で修は冷静に語り始めた。

 

 

『刹那は昔から何かとヒロイン体質だった。起きない家族を起こしたり弁当作ってくれたり色々世話焼いてくれたり』

 

『それもう幼馴染ポジじゃないですか・・・』

 

『攻略し終えて結婚後の幼馴染だなアイツは』

 

 

もう只の刹那談義となった会場に変化が現れる。遥が動いたのだ。二人は水族館内のフードコートに座っていた。この仮想空間完成率が高い。

 

 

「はい、あーん」

 

「あ、あーん・・・」

 

『遥様ぎこちなくあーんをしている!コレは初々しい!』

 

「美味しい?」

 

「うん。美味しいよ」

 

「じゃあ、私にも頂戴?」

 

「うん、あーん」

 

 

楽しそうにする二人に対し、休憩で同じ場所に居た刹那達も席に座っていた。だが、鞘花だけが地べたに四つん這いになって犬用の餌皿を傍に置いていた。

 

 

「あの・・・座らないの?」

 

「はい、私は此処で十分でございます」

 

「どんなデートだよコレ!初の水族館で何でSMプレイ!?」

 

「騒ぐなや。取り敢えず生!」

 

「アンタも何酒盛りしようとしてんの!?」

 

 

刹那の胃からキリキリと音が鳴る。この彼女達は荷が重いと思いながら溜息を吐く。

 

 

「全く・・・すみません、ラーメン5つ大盛りで」

 

「お前も食い過ぎや」

 

「(´・ω・`)」

 

 

厚子に拳骨され、刹那は落ち込む。どう見ても喧嘩してる様にしか見えないが、会場の全員は不思議と合ってる様に感じていた。その様子を見ていた遥は内心焦っていた。何故あんなデートをする兄に人々の視線が行くのか、と。その後遥達は席を立ち、水族館を回り切る。そして水族館の出口で遥は百々の両肩に手を置いた。

 

 

「も、百々さん!キスしよう・・・」

 

「遥君・・・」

 

「これしか・・・これしか刹那兄に勝つしか」

 

「遥君!」

 

「も、百々さん?」

 

 

ブツブツと呟く遥に喝を入れる様に叫び我に戻らせる。そして悲しそうな瞳で百々は話し始めた。

 

 

「遥君はお兄さんを負かす為にデートをしてたの?」

 

「ち、違うよ。僕は百々さんと一緒に居たくて・・・」

 

「なら何で私じゃなくてあの人ばかり見るの?」

 

「そ、それh「何で・・・何で」百々さん?」

 

「遥君が好きなのは私なのに私なのに私なのに何で何で何で何で何で何で」

 

 

----隠しモードヤンデレ√が解放されました!

 

 

「ファッ!?」

 

「遥君・・・私だけを見て」

 

「も、百々さん!?ま、待ってyアッーーーー!」

 

 

物陰に連れて行かれた遥は叫び声を上げる。その後、遥が出てくる事は無く、百々の荒い息と血の跡を残して遥の端末に《BAD END》と文字が浮かんでいた。そんな事も露知らず、刹那達も水族館を出た所だった。

 

 

「あ~、楽しかった!」

 

「結局一人で楽しんだだけやないか」

 

「私は放置プレイですか刹那様・・・」

 

「ごめんごめん。でも何だかんだ言って二人共付いて来てくれたよね」

 

「ま、まあお前の彼女やからな。でも鐘の件忘れた訳やないんやからな!」

 

「刹那様の為なら土の中雲の中刹那様のスカートの中!」

 

「スカート履かないから」

 

 

刹那の言葉に厚子は目を逸らしながら答え、鞘花もドM全快だった。その二人を刹那はとびきりの笑顔で言った。

 

 

「二人共、大好きだよ」

 

「「っ!」」

 

 

その瞬間、二人の好感度メーターが一気に跳ね上がった。刹那の端末には好感度カンストの文字が表示されていた。その瞬間、この大会の決着が付いた事を告げる音が鳴った。

 

 

『優勝者は、刹那様だああああああ!』

 

 

司会の声に会場中の人が歓声を上げる。それを見て、終わったと思った刹那にある変化が起きた。目の前の二人が段々薄れて来ているのだ。

 

 

「ど、どうしたのさ」

 

「もう私達の役目は終わったんや・・・」

 

「だからさよならです刹那様」

 

「な、何でさ!またプレイするからさ!」

 

 

この数日感、共に過ごしてきた彼女と転がり込んで来たドMに嫌なイメージが湧いた刹那は震えながら聞く。二人は何も言わずに首を振った。

 

 

「良かったやないか。コレで弟も元通りや」

 

「でも、二人まで消える意味が分からないよ!」

 

「元々こう云うシステムなんやこのゲームは」

 

 

厚子の言葉に刹那は固まる。

 

 

「このゲーム実は容量に問題あってな。進み過ぎるとデータが消えるんや」

 

「容量の多さに耐え切れなくなるんです」

 

「そんな・・・じゃあ僕は君達を・・・」

 

「お前が悩む事やない。遅かれ早かれ決まってた事や」

 

「そんなの・・・そんなのって・・・!」

 

 

言い合っている間にも二人はどんどん消えて行く。涙ぐむ刹那に厚子は笑顔で言った。

 

 

「最後に好きって言ってもらえて嬉しかったで、刹那」

 

 

そう言って厚子は消え、続いて鞘花も消えていった。刹那の端末には《データが消えました》の文字が映し出されていた。その日、一人の少年は一つ取り戻し、二つを失った・・・。

 

 

三人称サイド終了

 

 

刹那サイド

 

 

あれから数日が過ぎた。遥も元に戻り、家族も安心していた。かと言う僕も普通に戻っていたりする。何だかんだ言って結局はゲームだったし、流石にドMは勘弁してもらいたい・・・。支度を済ませ、部屋を出ようとした瞬間、反射的にゲームの画面を開いた。

 

 

「あ・・・」

 

 

あれ以来充電すらせずにいたゲーム機は当然の如く何も映さない。そんな黒一色の画面に僕は不意に語りかけた。

 

 

「・・・行って来ます」

 

 

ゲーム機を置いて僕は登校する。だから僕はその時気づかなかった。何も映る筈の無い画面に二人の女性が微笑んでいた事を・・・。

 

 

『『行ってらっしゃい』』

 

 

刹那サイド終了

 

 

三人称サイド

 

 

~某国[研究施設内]~

 

 

とある国の研究施設。そこは何年も前に放棄された研究所で、誰も居ない筈の場所。そこにある筈の無い人影があった。人影は古びた椅子に座ってくつくつと笑っている。

 

 

「さあ、時は来た。今こそ俺があの国の・・・いや、この世界の王になる!」

 

 

そう言った男の傍らには生命維持装置のポッドが置かれており、その中では特殊な液体に浸かっている女性が眠っていた。その女性は綺麗な”白い髪”をしていた・・・。

 

 

「その前に挨拶と行こうか。なぁ、”転生者”の諸君」

 

 

そう言う男の目の前に一人、また一人と人影が集まり始める。それを見て男は更に笑顔を強めた。その表情には狂気が滲み出ていた。

 

 

「そうだ・・・オリ主はこの俺なんだ」

 

 

フフフ・・・と一人楽しげに笑う男の声が響いていた・・・。

 

 

三人称サイド終了




大会終了後~SMART BRAIN社長室~

PM18:00


リヴェ「刹那、一つ良いかしら?」

刹那「ん?」

リヴェ「私刹那の彼女よね?」

刹那「うん。僕の大切な人だよ」

リヴェ「じゃあ、何故厚子達の時あんな笑顔したのよ」

刹那「いや、無意識って言うか何て言うか・・・」

リヴェ「まあ、貴方がそんな性格なのは分かっていたけれど・・・やっぱり我慢ならないわ」

刹那「な、何で服脱いでるの?って僕を押し倒すな!」

リヴェ「大丈夫よ。天井のシミ数えてれば終わるから」

刹那「ナニが終わるのさ!?ちょっと待っtアッーーーー!」


約12時間後・・・。


刹那「えっと・・・もうダウン?」

リヴェ「しゅ、しゅごひ・・・♡」

刹那「あ、もう朝だ・・・」


この日刹那を目覚めさせてしまった事をリヴェータは後悔する・・・。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。