if~城下町の転生者~   作:猫舌

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第4話

刹那サイド

 

 

~某国[王宮内]~

 

 

僕は今、父さんからの依頼でとある国の王宮に潜入していた。何でもこの国には巫女の姉妹が、監禁されているらしい。そしてその姉妹はA国の人だそうだ。最初は部隊を派遣しようとしたのだが、タイミング悪く他の舞台が出払っていて、僕が出向く事になった。僕は潜入用のコートと手袋、仮面をして王宮内を走る。(イメージはDTBの黒)

 

 

「・・・この下か」

 

 

能力創世で創り出した能力者を探す能力《捜索(ナビゲーション)》で広げた地図にストトッと能力によって作られたピンが現在の位置の下、隠された地下を示した。僕は更に壁や床をすり抜ける能力《潜行者(ディープダイバー)》を発動し、地下へと潜入する。

壁からコッソリ顔を出すと、見張りが二人居て、その後ろに牢屋があった。あの中に例の姉妹が居るのだろう。僕は壁から出て物陰に隠れる。そして自分から100m以内の相手の意識に乗り移る能力《憑依(ポゼッション)》で見張りの一人を乗っ取り、もう一人を殴って気絶させてから自分を思いっきり殴らせると同時に意識を戻す。自分の体に戻って見張り二人を縄で縛って口をテープで塞ぐ。

牢屋は固く閉ざされていたが、能力《解除(トラップマスター)》で扉の鍵を開ける。これを使えば鍵は勿論の事、ありとあらゆるトラップを解除する事が出来る。扉を開けると、踊り子の様な服を来た二人の痣だらけの少女が部屋の隅で震えていた。

 

 

「A国の《サーシャ》さんと《シンシア》さんですね?」

 

「貴方は・・・?」

 

「失礼・・・自分は」

 

 

僕は仮面を外して素顔を晒す。

 

 

「櫻田 刹那と言います。A国の依頼により、貴方方の救出に参りました」

 

「刹那って・・・あの白き麗人の!?」

 

「え、何その二つ名?」

 

 

そんな名前付けられてたの?メッチャ恥ずかしんだけど。取り敢えず言いたいことは沢山あったが飲み込み、二人に近づく。

 

 

「二人共、此処から脱出します。僕に掴まってください」

 

「はい。こうですか?」

 

 

二人が僕に触れた瞬間、創った修兄の能力を使って僕の国の王宮へと転移した。目の前にはA国から来た二人の両親が涙を流して此方へと掛けてきた。

 

 

「ああ、サーシャ!シンシア!」

 

「無事でよかった・・・!」

 

「お父様・・・お母様・・・」

 

 

四人は抱き合うが、妹のシンシアさんの様子がおかしい事に気付いた僕はサーシャさんに聞いた。

 

 

「あの、シンシアさんの声は・・・」

 

「・・・はい。あの国の兵に・・・」

 

 

二人は特別な力を持って生まれ、巫女として育ち、その力を役立てる為に世界を回っていたらしい。だが、あの国で目を付けられ、逃げられない様に監禁された。そして二人はある日、力を使う事をその国の王に拒んだら、兵にリンチされ、シンシアさんは喉をやられてしまった、という事だ。

 

 

「なら、僕が治します。二人共、此方に」

 

「ほ、本当に治せるのですか・・・?」

 

「はい。必ず二人を全快させますよ」

 

 

二人の両親が不安そうに見守る中、僕は能力を発動する。僕の頭上に光の輪が現れ、其処から黒いドレスに身を包んだ女性が出て来た。その女性が二人へ向けて手を翳すと、光がベールの様に現れ、二人を包み込む。すると二人の傷がみるみる内に消えて行き、痣が完全に消え去った。この能力は葵姉発案の昔読んだ本を見て創ったあらゆる怪我や病気を治療する能力《治癒天女(へヴンズアリス)》だ。

 

 

「・・・あ・・・姉・・・様・・・」

 

「シンシアの声が・・・!」

 

 

家族達は再び涙を流し始める。能力を解除し、良かった・・・と気を抜いた瞬間、喉の奥から熱いモノが込み上げてきた。

 

 

「うっ・・・ゲホッ・・・!」

 

「刹那!しっかりしろ!」

 

 

よろける僕を父さんが支える。実は治癒天女は一度使う毎に僕の体に大きな負担が掛かる。僕の創る能力は効果がチートになると、その分代償を必要とする。この能力は下手をすれば蘇生一歩手前だ。僕の体なら数日で治るが、常人ならこの代償で死んでいる。

 

 

「いやあ・・・久々にコレ使ったよ」

 

「待ってろ、今医者を呼ぶ。誰か!」

 

 

父さんが部下に指示を出す。僕は苦しさに耐えられず意識を落とした。最後に見えたのは、涙を流しながらこっちに駆けてくる巫女姉妹だった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・けほっ・・・」

 

 

ダルさが残る体を無理矢理起こす。どうやら病院の様だ。しかも時刻は夜中の2時。それにしても・・・

 

 

----きゅ~

 

 

「お腹空いた・・・」

 

 

流石に能力の連発はキツイな・・・。目もパッチリしちゃったし、でもこの時間は何も・・・と思っていると、外からラッパの音が聞こえて来た。今の僕にとっては勝利のファンファーレだ。風使いで窓から飛び出して、その場所へと飛行する。着地してから僕は叫んだ。

 

 

「ラーメン大盛り!あと餃子!」

 

 

ラッパの正体、ラーメン屋の屋台で僕は必死にラーメンを啜る。どうやら僕は三日ほど寝ていた様だ。前は一週間だったから新記録だ。相変わらずの丈夫な体に何も言えない。

 

 

「あの・・・刹那様、その服装は・・・」

 

 

ラーメン屋の店主さんが、僕の患者服を見ながら聞いてきた。そしてその瞬間、僕の思考は止まった。今の僕、財布持ってないやんけ・・・。

 

 

「あ、あの!」

 

「は、はい!もしかして美味しくなかったですか!?」

 

「そ、そうじゃなくて!美味しかったです、替え玉で!あの、ちょっと良いですか?すぐ戻りますので!」

 

「わ、分かりました・・・」

 

 

そう言って店主さんが替え玉を茹で始めた所で席から立って辺りを見回す。確か此処は会社の近くだった筈。社員寮にいる子で起きてる子は・・・!あの人しかいない!僕は能力《念話(テレパシー)》を使ってある人に連絡を取った・・・。

 

 

 

 

 

~数分後~

 

 

「全く、入院してる人間の声が行き成り頭に響いたから驚いたわよ」

 

「あはは・・・ごめんなさい」

 

「それにしても要件がお金貸してって馬鹿なのかしらねこの坊やは」

 

「・・・すみません《カティア》さん」

 

 

屋台が行った後、僕は謝りながらベンチに座る目の前の女性、カティアさんこと《カタリナ・T・アディソン》を見る。彼女には申し訳無いが、徹夜で起きてるとしたらこの人しかいなかった。

 

 

「本当に困った坊やね。こりゃリヴェータだけじゃなく会社中の子達が苦労するわ」

 

「そこまで言わなくても・・・」

 

「小学生で、片腕取れた状態で戦争止めたのは誰だったかしらね」

 

「うっ・・・反省してます」

 

「・・・もういいわ。さ、今日は部屋に戻りなさい」

 

「はい。本当に・・・すみませんでした」

 

 

食欲に囚われていた所為で、冷静な判断が出来なかった。やっちまった・・・。そう思いながら俯いていると、頭にポンと手を置かれる。

 

 

「ほら、そんな顔しないの。ね?」

 

「カティアさん・・・!」

 

「今度開発した薬飲んでくれれば良いから!」

 

「台無しだ!?」

 

「おっほおおおおおお!」

 

 

軽くキチが入った叫び声を上げるカティアさんは研究室の室長であり、会社の中でも相当な変人である。偶にシリアス入るけど基本は研究と実験にしか興味が無い。社長である僕すら実験台にされるのだ、かなりヤバい。でも根は真面目な人だという事が皆分かっている所為か強く言えないのだ。

 

 

「え、えっと・・・お手柔らかに・・・」

 

「そんなに気にしないで良いわよ。ルドヴィカに頼まれた栄養剤だから」

 

「ああ、もうやってるんだ・・・」

 

「ええ、原稿を夏までに徹夜で仕上げるそうよ」

 

 

我社の第二部隊隊長は他の人達とサークルを作ってコミケに同人誌を出すと言う趣味を持っている。戦場にまで原稿を持って行く始末だ。何度か手伝った事があるのだが・・・何が悲しくて兄との絡みを描いたBL本のトーン作業をせにゃならなかったのだろうか・・・。あの時の鼻血を流しながら読んでいたリヴェータに狂気を感じた。

 

 

「栄養剤なら良いかな・・・?」

 

「それじゃあ、また今度ね。おやすみ坊や、あんまり家族に心配掛けない様にね」

 

「はい、ありがとうございました!」

 

 

カティアさんと別れた僕は部屋に戻り、就寝した。翌日に家族達が総出で見舞いに来た時は流石に驚いた。皆学校サボってまで来る事無いのに・・・。

 

 

刹那サイド終了

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