if~城下町の転生者~   作:猫舌

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第5話

刹那サイド

 

 

僕が病院で目を覚ましてから数日、僕は帰路に着いていた。学校での用事で少し遅くなり、暗くなって来た道を歩く。

 

 

「本当に私がお邪魔しても良いのかしら?」

 

「うん、前から母さんが呼んでくれって言ってたから」

 

 

僕の隣で歩いているリヴェータが不安そうに言って来た。何だかんだで一番付き合いが長い子だから僕も常日頃礼はしたいと思っていた所だ。今日は丁度休日だし、母さんの提案でリヴェータは泊まる事になっていた。

 

 

「まあ、ゆっくりして行ってよ」

 

 

僕達は家の前に着き、ドアを開ける。すると、家族全員が玄関で立っていて、修兄と父さんが《ようこそ櫻田家へ!》と書かれたプラカードを持ってリヴェータに歓迎の言葉を送った。リヴェータは照れくさそうにしながらお辞儀をして、案内されるがままに家へと上がる。僕もそれに続いて家へと入った。

 

 

「あらあら、せっちゃんも罪作りな子ねぇ・・・」

 

「止めてよ母さん。恥ずかしい・・・」

 

「ねえ、リヴェータちゃん。良かったら刹那の成長記録あるけど、見る?」

 

「是非!」

 

「止めろお!」

 

 

皆で食事をしてから、リヴェータのある一言からこの悪夢は始まった。

 

 

『お母様、刹那を私にください!』

 

 

いきなりリヴェータの土下座から母さんへの懇願に、櫻田家の空気が凍った。母さんはそれを気に入った様で、リヴェータに僕の過去を色々教えている。そんな中僕はニコニコしているのに目が笑っていない葵姉とマジ不機嫌2000%のかな姉に睨まれ、茜には頬をつつかれ、岬には無言で抱きしめられ、光は能力で大人になって僕の目の前でひたすらセクシーポーズを取り、栞は僕の膝に乗って正面から引っ付いて離れない。それを見て、他の男の面々はご愁傷様と言った顔で見られている。

 

 

「あの、誰かヘルプ」

 

「「「「無理」」」」

 

「デスヨネ~」

 

 

何だこの状況は・・・。そう思っていると、父さんは母さんに言った。

 

 

「そう云えば母さん、今日編集者の人から電話が・・・」

 

「ひいっ!?」

 

 

母さんは怯えた顔で震える。母さんは売れっ子の漫画家をしているらしい。僕は漫画には結構鈍く、母さんの作品は読んだ事が無い。どうやら締切が近いのに作業が進んでいない様だ。そう思っていると、父さんが言う。

 

 

「これ以上担当さんには迷惑を掛けられないからね。作業場でやると他の漫画を読んで進まないから今日は此処で作業してもらうよ」

 

「いやぁ~!?」

 

 

母さんは泣き喚くが、諦めて作業道具を持って来た。原稿用紙は真っ白で、何も書かれていない。何もして無いじゃないですか・・・。時刻は夜九時。輝と栞、光を寝かせてから母さんの作業が始まった。

 

 

「そう云えば母さんってどんな漫画書いてるの?」

 

「コレよ。私もファンなの」

 

 

そう言ってリヴェータに渡された携帯端末に映し出された漫画の表紙を見る。

 

 

「・・・《籠の中の白い小鳥》・・・?」

 

 

其処に描かれていたのは、父さんと修兄、遥と輝の四人にそっくりの人物とその間に鎖で繋がれた白髪の少女だった。リヴェータが言うには男らしい。コレってまさか・・・。

 

 

「あの・・・この漫画ってもしや」

 

「ええ、櫻田家をモデルにした近親BL漫画よ」

 

「ふざけんな!」

 

 

僕は端末を床に叩き付ける。見ろ!家の男性陣レ○プ目になってるじゃないか!

 

 

「なんだコレは!肖像権の侵害だ!」

 

「まあ黙ってコレを読みなさい」

 

「何で持ってるの?」

 

「淑女の嗜みよ」

 

 

そう言ってリヴェータが取り出したのは母さんの漫画の一巻だった。嫌な予感がしながらもパラパラとページを捲る。内容は、とある大家族の男達が次男を調教し、快楽から抜け出せなくして行くと言う内容で・・・

 

 

総二郎『ほら、此処はどうだ』

 

龍『こっちが良いんだよな?』

 

春太『兄さんの感じる確率が高いのは・・・此処だね』

 

照彦『兄上、可愛いです・・・』

 

刹那『・・・んっ、止めて・・・』

 

 

何てピンクな話で・・・・って!?

 

 

「おいいいいい!名前一人だけ隠して無いんですけど!?一番隠さないとイケナイ奴フルオープンしちゃってるんですけど!?」

 

「大丈夫、苗字は櫻葉だからバレないわ」

 

「いやバレるだろコレ!?一字違いなだけじゃん!」

 

「そもそも俺達そっくりすぎだろ!?」

 

「感じる確率って何!?僕の能力を変な事に使わないでよ!」

 

「父さんこんなの書いてるって知らなかったな・・・」

 

 

僕達の嘆きを他所に、女性陣はコミックスをまじまじと読んでいた。

 

 

「え、何で皆普通に読んでるの!?」

 

「そんなの、全員読んでるからに決まってるでしょ」

 

「「「「ファッ!?」」」」

 

 

リヴェータの言葉に僕達は悲鳴を上げる。嘘だろ・・・。僕はフラフラと皆に近づき、目の前にいた茜に言った。

 

 

「違うよね。茜は純粋な子だよね、僕の可愛い妹だもんね」

 

「えっ・・・えっと・・・私は4巻が好きですっ!」

 

 

そう言い残して茜は部屋へと駆け込んでいった・・・。僕は立ち尽くしながらリヴェータに問うた。

 

 

「リヴェータ、4巻の内容は・・・?」

 

「・・・初めて、刹那が自ら快楽を求める巻ね」

 

「修兄、この母親を今すぐ宇宙空間に放り出そう」

 

「落ち着け刹那!そんな事したってどうにもならない!」

 

「だってこのままじゃ僕達の痴態が!」

 

「もうどうにもならないんだよ!」

 

 

修兄は涙を流していた。修兄だけじゃない、父さんや遥までもが涙していた。皆一緒なんだ。気づかなかった、気付けなかった・・・そんな後悔の念が僕達の中にあった。

 

 

「今此処でお袋を葬ったって既に40巻出てる俺達の痴態は消えないんだ・・・」

 

「40・・・巻・・・畜生・・・畜生・・・!」

 

「既にアニメ化と実写映画化も決まったそうだよ、兄さん達・・・」

 

「そんな・・・嘘だ・・・」

 

「A国もその噂で持ちきりってネットに・・・」

 

「ああ・・・うあああああああああ!」

 

僕達はその場に蹲る。誰か・・・この悪夢を終わらせてくれ・・・頼む・・・!

 

 

「リヴェータちゃん、2巻貸して」

 

「ええ、良いわよ。じゃあ、私は5巻を」

 

「「「「お前らに心は無いのか!?」」」」

 

 

この夜、僕達は泣いた。四人で寄り添い合い、歳など関係なく、只々泣いた。母に写真を取られたり、スケッチされたりしたが、涙は止まらなかった。そして最後に女性陣から飛び出した、

 

 

「ホ○が嫌いな女の子なんていません!」

 

 

この一言で、僕達の中で何かが割れる音がして、意識が暗くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・大きな星が点いたり消えたりしてる。アハハ、大きい・・・彗星かな?いや、違う、違うな。彗星はもっとパーって動くもんな・・・」

 

「刹那・・・落ち着け」

 

「落ち着けるわけ無いでしょ!?修兄達は良いさ、僕は総受け何だよ!?精神崩壊したくもなるわ!」

 

「分かったから風使いで鎌鼬を創るな!?」

 

「で・・・出来たわ!原稿の完成よ!」

 

 

母さんの言葉に男性陣はキュピーンとなった。

 

 

「修兄、アレを何処かに跳ばして!」

 

「おう、任せろ!過ちは、繰り返させない!」

 

「修ちゃん、お小遣い上げるからコレ担当者にお願いね」

 

「はいよ」

 

「「「おいいいいいいいい!?」」」

 

 

このクソ兄金の為に裏切りやがった!?

 

 

「何やってんの!?」

 

「台無しじゃないか!」

 

「いやすまん、中々無い機会だったから」

 

「コイツ切り刻んでやろうか・・・」

 

「ま、待て刹那!俺が悪かったからその手からヒュンヒュン言ってる風を抑えてくれ!」

 

「・・・チッ・・・父さん、命令を」

 

 

僕は父さんを見る。父さんは何時もとは違う、正に王者とも呼べる風格を持って言った。

 

 

「SMART BRAINに告ぐ。今すぐに編集者へ突入し、原稿を回収して処理せよ!これは王の命令だ!」

 

「イエスマイロード!」

 

 

僕は直ぐに連絡を入れる。僕のプライバシーを考えない行為、皆なら分かってくれる筈だ!

 

 

「・・・という訳だ。皆おnえっ、ファンだから却下?女性社員全員?じゃあ男は?逆らった奴は私刑?・・・うん」

 

 

一方的に切られ、僕は泣きながら父さんに言った。

 

 

「既に我社が乗っ取られてた・・・」

 

「「「ドンマイ・・・」」」

 

 

チクショォォォォォォォォ!

 

 

刹那サイド終了

 

 

 

 

 

 




【悲報】:櫻田家女性陣(栞、光以外)腐女子説┌(┌^o^)┐
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