if~城下町の転生者~   作:猫舌

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第6話

刹那サイド

 

 

リヴェータが家に来た翌日、僕とリヴェータは輝と栞を連れて近くの公園へと遊びに来ていた。輝と栞を間に挟んで手を繋いで歩く。

 

 

「兄上!着いたらキャッチボールがしたいです!」

 

「栞はリヴェ姉様とお話したい」

 

「良いよ。リヴェータ、栞とお話してあげて」

 

「勿論よ。それじゃあ、色々お話しましょ?」

 

「うん・・・」

 

 

到着した僕達はそれぞれ遊ぶ。リヴェータ達はベンチで話を始め、僕と輝はグローブを嵌めてキャッチボールを始めた。ボールを投げ合いながら輝は僕に聞いてくる。

 

 

「兄上・・・」

 

「ん?」

 

「兄上は怖くないのですか・・・?沢山の人達と戦うのは・・・」

 

 

僕の会社での仕事の事を言っているのだろう。僕はなるべく優しい声音で答えた。

 

 

「それは怖いよ。怪我だってするしね。でもさ・・・」

 

「でも、何ですか?」

 

「それを理由に逃げて、目の前で手を伸ばす人達を守れない方がもっと怖い」

 

 

僕の言葉を聞いて、ボールを受け取った輝の動きが止まる。

 

 

「何故兄上はそんなにもお強いのですか・・・?」

 

「強くなんかないよ。ただ、自分に出来る事をしてるだけさ」

 

「自分に・・・出来る事・・・」

 

「輝にはまだ難しいよ。ゆっくり考えて、答えを見つけていけば良いさ」

 

 

僕の言葉に輝は頭を捻る。そりゃ輝位の子には難しい話題だって・・・。その後は、何てことない世間話をしながらキャッチボールを続けた。暫くしてリヴェータ達に呼ばれ、昼食の時間だった事に気付く。僕達は再び手を繋ぎながら家へと戻った。

 

 

「はい、お昼ご飯はオムライスよ」

 

 

葵姉が作ってくれた昼食を皆で食べる。流石葵姉・・・卵が良い感じにトロトロになって美味しい。満腹になった所で皆でテレビを見ていると、櫻田家のニュースが始まった。

 

 

『本日の櫻田ファミリーニュースは次男である刹那様の特集をお送りします』

 

 

ソファから転げ落ちた。

 

 

『皆さんもご存知の通り、刹那様は櫻田家の次男で美しい白髪が特徴です』

 

 

気が付けば全員がテレビに目線を向けていた。そんなに見たいかなコレ?考えている間にも番組は進行する。

 

 

『刹那様は人当たりがよく、御兄弟とご一緒におられる所を多く見られます』

 

「わ~!何で~!?」

 

 

続いて画面に映し出されたのは僕に引っ付きながら買い物をしている茜の姿だった。茜はその映像を見てパニックになる。

 

 

『刹那様は交友関係も広く、沢山のご友人をお持ちの様です』

 

 

そう言って僕が自校や他校の子達と話したりしているシーンが映し出される。だが、部屋の温度が一気に下がった。

 

 

「ねえ、せっちゃん。何でさっきから女の子と話してる所ばっかりなのかな?」

 

「いや、男子の友達が中々出来なくて・・・」

 

「へえ、作ろうとしないんじゃなくて?」

 

「昔から作ろうとしてた所に割り込んで連れてってたのは何処の誰等かな?」

 

 

僕の言葉に葵姉達が押し黙る。そう、僕に男友達が少ないのはこの姉妹達が原因の部分もある。昔からそうだった。事あるごとに僕を連れて行く所為で真面に男子達と遊べず、女子に混ざってお飯事やアイドルごっこをやらされた。

 

 

「ああ・・・幼少期のトラウマが・・・」

 

「せ、刹那落ち着け!まだ傷は浅いぞ!」

 

 

修兄が声を掛けてくれるが、僕のライフはとっくにゼロなんだよ・・・。無情にも番組は流れる。今度は体育の授業を受けている映像だ。あれ?学校ってカメラ入ってないよね?そう思っていると、画面の端に校長提供と書いてあった。なるほど・・・。

 

 

『刹那様はスポーツは得意な様で、数々の有名チームからスカウトが殺到しています』

 

「そうだったの!?せっちゃん凄い!」

 

「まあ、断ってるけどね」

 

 

あまりプロとかには関わりたくない。転生者の体の僕は肉体が最初からかなり強化された状態だ。そんなの常にドーピングしているのと変わりない。その体でプロになったりした所で嬉しくも何とも無いし、相手に失礼だ。だから僕はなるべくスポーツには関わりたくなかったんだけど・・・。

 

 

『此方は数年前にプロ野球の始球式で、刹那様に投球してもらった時の映像です』

 

 

数年前、一度だけあったなこんなの。これをきっかけにスカウトが増えたんだっけ。アイドルがよくやってる始球式の投球をやらされた映像が映る。ユニフォーム姿の僕は見様見真似の投球ポーズでボールを投げる。そのボールはスピードを出しながらキャッチャーのミットに綺麗に收まった。此処までなら良かった。そう、スピードが180kmを超えなければ・・・。

 

 

「早っ!?今187kmって書いてあったんだけど!?」

 

「刹那、貴方能力とか使ってないでしょうね」

 

「・・・純粋な身体能力です」

 

 

僕の言葉に皆が若干引いた。お願い、そんな目で見ないで!脳筋だって事は自覚してるから!これでも抑えた方だから!数あるトラウマを抉りながらも僕のコーナーは続く。

 

 

『刹那様は勉学にも強く、特別事例で特殊な免許なども取得しています』

 

「そう云えばお前医師免許持ってなかったか?」

 

「あとは運転免許とかも持ってる。僕の会社は色々必要なんだよ」

 

 

言ってみるものだね。父さんに相談したら色々手配してくれた。まあ、詰め込みで勉強したのは結構キツかったけど・・・。

 

 

「取ってるのは知ってたけど、車とかバイクは何処にあるの?」

 

「皆会社の専用ガレージにあるよ。基本は自転車か徒歩だからね。使うのは任務中とかだし」

 

 

車やバイクは能力で創れるし、改造も可能だ。会社の子達とアイディアを出し合って専用バイクや車を制作した。この後も、僕の着替え映像などが出てきて、女性陣が鼻血を出して倒れた事によって番組を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~夜[自室・ベランダ]~

 

 

「・・・ふう」

 

「お疲れね」

 

「君達の所為でもあるけどね・・・」

 

 

ベランダで座りながらリヴェータとジュースを飲みながら色々話していた。

 

 

「どうだった、櫻田家は?」

 

「とても良い所だったわ。皆優しくて、とても暖かい気持ちになれる」

 

「それは何よりだよ」

 

「・・・ねえ、刹那」

 

 

僕の名を呼ぶと、リヴェータは唇を近付けて来た。僕はそれを指で制す。

 

 

「ダメ」

 

「やっぱりそう言うのね」

 

「だって僕は君を振ったんだ。君も諦めて新しい恋を探しなさいな」

 

「刹那以上の男は私の中には居ないわ」

 

 

そう言うリヴェータの目はギラついていた。戦場で獲物を捉えた時と同じ目をしていた。

 

 

「どうして貴方は誰かを好きになろうとしないの?」

 

「・・・分からないんだよ。好きになるって感情が」

 

 

前世が前世だった為に僕は恋愛感情と言う物が、そもそも人を信用する事が苦手だ。学校や会社で普通に接するのは何も問題ないのだが、恋愛関係になるとつい警戒してしまう。昔に本で読んだ事があった。何処かの国の王様が、金目的で近づいた恋人に殺されると言う話。父さんにも女には少し警戒しろと言われている。

 

 

「好きってどうなれば分かるのさ?」

 

「そうね・・・その人の事を思うと、心臓がドキドキしたり、他の異性と仲良くしてるとイライラしたりするわね。そして、その人を独り占めしたくなる」

 

「独り占め・・・」

 

 

想像してみる。しらみつぶしに、ルドヴィカ・・・特になし。アネモネ・・・特になし・・・。その他の知り合いの女子・・・無い無い。じゃあ、リヴェータ・・・リヴェータ・・・あれ?

 

 

「・・・あるえ・・・?」

 

「刹那?顔赤いけど大丈夫?」

 

「ふへっ?だ、大丈夫!全っ然大丈夫!あ、眠くなったからもう寝るね!」

 

 

僕はダッシュで布団に潜り込んでから考える。嘘でしょ・・・嘘でしょ!?な無い、無い無い無い!絶対無い!だ、だって考えてもみろ。リヴェータが異性と・・・修兄とか・・・

 

 

「修殺す・・・ハッ!?」

 

 

何で!?お、落ち着け櫻田刹那・・・クールに行こうぜクールに・・・。ようやく精神が落ち着いて来た所で、背中に暖かい感触があった。ま、まさか・・・

 

 

「り、リヴェータ=サン?何故引っ付いておられるので?」

 

「あら?私を振った社長さんは別に気にしなくても良いんじゃないかしら?」

 

「あ、あのですね。年頃の女の子がそういう事易易としちゃいけないって言いますか僕だって性欲とかあるわけで」

 

「ふぅん・・・?」

 

「何で密着してくんのこの子!?馬鹿なの!?」

 

「馬鹿って失礼ね」

 

 

ま、マズい!このままじゃ取り返しのつかない事に・・・!

 

 

「刹那・・・さっき、誰を想像して赤くなったのかしら?」

 

「な、何の事ですかねぇ?」

 

「ルドヴィカ?アネモネ?カティア・・・は無いわね。じゃあ・・・私、とか」

 

「ッ!?」

 

「・・・そう♡」

 

 

甘ったるい声でリヴェータは僕に抱き着く力を強める。そして耳元で囁き始めた。

 

 

「やっぱり信用出来ない?それとも、振った事への罪悪感?」

 

「・・・どっちもだよ。何なのさ言われた通り考えたらリヴェータの事ばっかり浮かんで、ドキドキして・・・」

 

「それが好きって事よ。私がそうだったみたいにね」

 

「そっか・・・これが好きって事なんだ・・・」

 

「刹那・・・泣いてるの?」

 

「ん?・・・あ、泣いてる」

 

 

気が付けば涙が流れていた。何時の間に・・・。前世では到底知り得なかった感情だ。それも感情の中でも大きく欠けていた好きと言う感情。

 

 

「そっか、僕は嬉しいんだ・・・」

 

「認めたわね」

 

「でも・・・僕は君を」

 

「私は諦めないって言った筈よ。そんな中相手の気持ちが分かったなら最高じゃない」

 

「・・・良いの?僕なんかで・・・」

 

「貴方が良いのよ。刹那じゃないとダメなの・・・」

 

 

僕とリヴェータは自然に向き合い、唇を合わせた・・・・。

 

 

刹那サイド終了

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