刹那サイド
リヴェータとの出来事から暫く経ち、我が家のリビングに全員が集合していた。中学組から下はテレビやゲームをしていて、高校生組の僕達は葵姉が持ったくじ引きに手を伸ばしていた。櫻田家では、高校生組がくじを引いて、一週間の家事を分担している。因みに中身は掃除、洗濯、料理、買い物、買い物になっている。買い物が二つの理由は、茜の人見知りが原因で、茜一人に行かせると時間が掛かりすぎるというのがあった。そして僕達はくじを引いた。結果は、葵姉が料理。かな姉が洗濯。修兄が掃除。僕と茜g
「買い物おおおおおおお!?」
「うるせえ!」
茜が叫び、修兄に怒られた。まあ、そんな大声出せばね。泣き崩れる茜と苦笑いしか出来ない僕の手には買い物と書かれたくじが握られていた。
「じゃあ、今日の晩御飯の買い物行こうか?」
「いきなり!?少しは妹を慰めてくれないの!?」
「だってそうしたら茜が何時まで経っても行かないから」
「うっ・・・仰る通りです・・・」
諦めて茜が立ち上がったその時、ソファから光が身を乗り出した。
「あたしカレー食べたいっ!」
「出かけたくない・・・宅配ピザじゃダメ?」
「あかねちゃん!そんなにカレーが嫌なの!?」
「私どんだけカレー嫌いなの!?カメラが嫌なの!」
コントが続いていると、茜が僕を見て言った。
「せっちゃんの能力で透明化とかない!?」
「あるけど父さん達の緊急時以外街で使っちゃダメって言われてるから諦めて」
「緊急時って?」
「テロリストの殲滅とか、敵国の主要人物の拘束とか」
僕が淡々と言うと、周りが凍りついた。だってそれくらいしか使い道無いでしょ?
「刹那!何故それを覗きに使わn「せっちゃんに何言ってるのかな?」ま、待て茜!俺の腕はそっちに曲がらn」
コキッと音を立てて修兄が崩れ落ちた。そんな光景を横目に見ながらかな姉が髪を整えていた。
「アンタ達って選挙活動する気ゼロよね」
「あたしはやる気あるもん!」
「光じゃ相手にならないの」
光にかな姉は辛辣に当たる。それを茜がフォローに回った。
「そんな事ないよ。光だって頑張ってるよね」
「いや、頑張ってはないかも」
「フォローした私も為にも頑張って!?」
台無しだった。かな姉も溜息を吐く。
「大丈夫!いざとなったらあたしの能力で票集めなんて楽勝だもん!」
「国民にはアンタが10歳だってバレてるんだから意味無いじゃない」
かな姉の正論攻撃。
「それに変化するのは外見だけだし」
追加攻撃。
「見た目で人を引きつけようだなんてダメよ」
「自分だって外見めちゃめちゃ気にしてるじゃん!」
ずっと鏡と睨めっこしてるかな姉に光がキレる。まあ、そうなるな。すると段々と幼稚な口喧嘩になって来た。
「いいもん、将来はあたしの方が胸大きくなるし!」
「はぁ?胸は形が大事なの」
「大きさだよ!修ちゃん言ってた!」
「言ってねえ!感度d「黙れバカ兄」」
「茜ちゃんはどう思う!?あっ・・・ごめんなさい」
「謝らないで」
「・・・ごめん」
「やめて」
「気にするな茜、俺は感度さえ「「くたばれ!」」ヘブラッ!」
かな姉と茜の蹴りが直撃する。家族にセクハラする馬鹿が何処にいる。そう思っていると、光が僕を向いた。嫌な予感がする。
「せっちゃんはやっぱり大きさ!?」
「それとも感度か!?」
「懲りないのかバカ兄!?」
「修ちゃん?」
「ひっ・・・何でしょうか葵お姉様?」
「ちょっとお話しよっか?」
有無も言わさず修兄を引きずっていく。知らねっと・・・。
「茜もだけど、葵姉さんも選挙に興味が無くて助かるわ」
「でも現状2位だよ。せっちゃんも1位だし」
「姉さんとコイツは王様になる事を頑なに拒んでいるもの。どうにかして支持率を下げるってレースしてるし」
「だって僕は王になる資格は無いし・・・」
そう言う僕を皆が見る。何だよその目は・・・。だって僕は・・・。
「と、兎に角!茜、行くよ!」
「ちょ、ちょっとせっちゃん!?」
この空気から、黒くなっていく自分の感情から逃げ出す為に僕は茜を引っ張って外へと出た。
「・・・で、何で光が此処に?」
「だって王様になる為にアピールしたいもん!」
「そっか、偉いね」
えへん、と胸を張る妹を撫でる。やる気ないとか言っておきながらやる時はやるんだよねこの子。
「あ、カメラだ。ちゃんとアピールしないとっ」
「ちょっと光、何処行くの。こっちだよ」
「えっ、でも」
「カメラの前なんて通らないよ」
「・・・はい」
「茜、やめなさい」
茜の視線に怯える光を慰める。あ〜あ、こんなに震えちゃって・・・。
「だってせっちゃん・・・」
「昔色々あったからって事は分かるけど、そろそろ何とかしないと社会に出た時大変だよ?言っておくけど、僕は引きこもり何て許さないからね」
「じゃ、じゃあ、せっちゃんの会s「ダメだ!」ひっ!?・・・せっちゃん?」
「あ・・・ごめん。ダメだよ、茜に危険な事させられない」
「だ、大丈夫だよ!せっちゃんが近くに居れば・・・」
「僕の会社に居るって事は少なからず戦闘をする事になる。最悪のケースだってね」
僕は今、酷い顔をしてるだろう。でも、茜達をこっちの世界に引きずり込みたくない。これは、僕達の問題だから。だから僕は茜の言葉に止めを刺す。
「茜・・・君は人を殺せるかい?」
「ころ・・・!?」
「・・・動揺する時点で不合格だ。諦めて」
そう言って僕は光の手を握って歩き出した。そう、手を握・・・って?
「あれ?光は?」
「い、いないよ!?」
「ハァ・・・こうなるんだね」
僕は溜息を吐きながら風使いの能力を使う。人差し指を立てると、其処に風が集まり始めた。そして指の上に風の塊が出来て、僕はそれを耳に当てた。すると、大量の人達の声が聞こえる。コレは風の中に音や声を吸収した空気を閉じ込めた物で、人達の話し声を聞くことが出来る。風の噂(物理)って所だ。
「・・・うん、こっちだ。どうやら猫を追いかけてるみたい」
「じゃあ、急がないと!」
そう言って茜はカメラの事など気にせずに走る。流石に家族の事だもんね・・・。やがて僕達は光の目撃が一番多かった所へと辿りついた。道を曲がると、猫を抱いた"大人の"光が猫を抱いていた。
「光!探したんだ・・・間違えました!」
「茜ストップ。光だからこの子」
「な、何だ。光だったのね」
「だってにゃんこが・・・」
そう言って光が猫と木を見て察する。多方木から降りられない猫を助けようとしたのだろう。
「光、木を小さくすれば良かったんじゃないかな?」
「あっ・・・しまった・・・」
「全くもう・・・早く帰ろう?」
「あ、あのね・・・服の丈が・・・」
そう言う光の服はピッチピチで体のラインが浮き出てしまっていた。特にズボンはローライズ何て比では無かった。そして結局・・・
「うん!私ナイスアイディア!」
「なんでじゃ!」
このおバカ、茜じゃなくて僕の体を縮めやがった。しかもミスってくれちゃった所為で僕の体は光の元のサイズより小さいし、女装なぞしなきゃいけないし・・・。何で僕なんだ。昔から皆そうだ。やれスカートだのやれゴスロリだの僕をリカちゃん人形の如く着せ替えして来た。泣きたいよもう・・・。そんな状態で買い物までさせられ、僕は国民からメッチャ写メを撮られた。死にたい・・・。
「ただいまー」
「おう、お帰りって誰だお前ら!」
「なになに、どうしたの?」
修兄の声を聞きつけてかな姉が帰って来た。そして光の手に繋がれてる僕を見る。
「かな姉、ただいm「せっちゃんだーー!」グフォッ!?」
飛び込んできて抱きしめられた。何故か呼び方も昔に戻っている。
「せっちゃんだ~♪やっぱり可愛い~♪」
「お、お願い離して・・・胸が当たって苦しい」
「何?お姉ちゃんの胸が気になるの?エッチだなあせっちゃんは」
「クソッ!刹那、そこ変w「修ちゃんうるさい」へほっ」
首に手刀一発で修兄がダウンする。かな姉は僕をそのまま抱え上げて部屋へと連れて行こうとする。
「ま、待って!光、助けて!」
「かなちゃん、あたしも~」
「オンドゥルルラギッタンディスカ!?」
思わず噛んでしまった。この妹裏切りおった・・・。
「さ、他の服にもお着替えしましょうね~♡」
「い、嫌あああああああ!?」
茜に視線を向けるも逸らされた。もう何も信じない・・・。
刹那サイド終了
茜サイド
せっちゃんを助けたら私の命が無いよ・・・。そう思っていると、階段に掴まってせっちゃんが叫ぶ。
「クソォォォォォォ!持ってかれるかあああああああ!」
某錬金術師の様な声を上げるけど結局連れて行かれた。後でかなちゃんから写真もらおう。私はリビングへ行って買い物袋の中身を出しながらせっちゃんに言われた事を思い出す。
「茜・・・何かあったのか?」
フラフラしながら修ちゃんが聞いてくる。修ちゃんに相談するのもアレだけど・・・。
「あのね・・・せっちゃんがね・・・」
私はせっちゃんに言われた事を修ちゃんに話した。話し終えると、修ちゃんが珍しく真剣な表情をする。
「アイツの言う事は正しいぞ。俺も刹那と同じ意見だ」
「それは・・・そうだけど・・・」
「そもそもアイツをあんな性格にしちまったのは俺等家族だ。昔から刹那に頼りすぎたんだよ」
修ちゃんの言葉に私は何も言えなくなった。能力を沢山持っていたせっちゃんは昔から皆の期待に答えようと必死になっていた。私達はそれに肖ってばかりで・・・何も出来なくて・・・。
「仮にお前が人を殺す覚悟を決めたって足手纏いにしかならんだろ」
「うん・・・分かってる」
「それに刹那は俺等を守る為にあの会社やってるんだ。俺等が向こうに入ったら意味無いしな」
「それも分かってる。でも・・・」
「でも、何だ?」
「せっちゃんの目的ってそれだけじゃない気がするんだ・・・」
時々せっちゃんが会社の人と電話している時にする怒りに塗れた表情。せっちゃん・・・私達に何を隠してるの?そんなに私達は信じられない・・・?私の心の中の声に答えてくれるものは無かった・・・。
茜サイド終了