if~城下町の転生者~   作:猫舌

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第9話

刹那サイド

 

 

僕は今、危機に直面していた・・・。

 

 

「刹那・・・どう言う事だ?」

 

「うぅ・・・お父さん・・・」

 

「お父さん・・・」

 

 

修兄を筆頭に、家族全員から視線を向けられ、椅子には僕と同じ髪と目をした兄妹が座っている。事の発端は今から数時間前の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数時間前[SMART BRAIN・研究室]~

 

 

「休暇?」

 

「はい。休暇です」

 

 

僕はカティアさんに休暇届けを叩き付けた。それは僕の物ではなく、カティアさんの休暇届だ。

 

 

「別にそんな物いらないわよ」

 

「社長命令です。最近寝たの何時ですか?」

 

「・・・三日位かしら」

 

「三週間ですよ!三・週・間!馬鹿ですかアンタ!?」

 

「違うわ!私は天才よ!」

 

「別にボケてませんから!良いから休んでください!」

 

 

抵抗するカティアさんを引っ張って部屋から放り出す。首に手刀を叩き込み、無理矢理眠らせて寮の部屋に放り込む。すると、直ぐに鼾が聞こえて来た。全く・・・。呆れながら僕は会社の前に止めてある車に乗った。これから王宮で家族揃っての昼食を摂った後に、雑誌用の撮影がある。茜が死にそうな表情を浮かべていたのを思い出す。

 

 

「それじゃあ、お願いします」

 

「畏まりました」

 

「あの、少し寝てても良いですか?」

 

「はい。ごゆるりと」

 

 

運転手に言われ、僕は座席で眠りについた・

 

 

----・・・!・・・!?

 

 

何か聞こえた気がしたが、気にせず眠る事にした・・・。

 

 

 

 

~王宮内[食堂]~

 

 

「さあ、沢山食べなさい」

 

「おかわりもありますからね」

 

『いただきます!』

 

 

テーブルに並べられた数々の料理に、僕達は舌鼓を打っていた。大好物のエビフライを口いっぱいに頬張る。衣のサクサクと中のエビのプリプリが堪らない。タルタルを掛けるのも有りだし、カレーでも良い。ああ、最高!

 

 

「ほれ刹那。俺のエビも食うか?」

 

「良いの?じゃあ、僕のお肉あげる」

 

「お、サンキュ」

 

 

修兄とおかずを交換しながら食べる。今の僕は人間火力発電機だ。あっと言う間におかわりも尽き果て、昼食が終わった。

 

 

「ふ~、お腹いっぱい」

 

「お前、よくあれだけの量食えるな」

 

「普段沢山動くからエネルギーが必要なんだよ」

 

「ピンクの悪魔レベルの摂取量とか家のエンゲル係数ヤバいぞ・・・」

 

「ハハハ・・・気を付けるy「皆様!お逃げください!」・・・何事?」

 

 

突然駆け込んできた警備員に僕はスイッチが入る。

 

 

「侵入者です。数は二人で、相当の手練です。罠がどんどん躱されていきます」

 

「分かった・・・僕が出る」

 

「お、おい刹那!」

 

「大丈夫だよ修兄。直ぐに戻るから」

 

 

警備員に皆を避難させて僕は侵入者がいる方向へと向かう。話を聞くには動きが早すぎて捉えられないらしい。しかも警備員には手を出していない。何が目的だ?そう思っていると、気配を二つ感じた。こっちに走ってくる。・・・アレ?この気配、何処かで・・・。

 

 

「お父さーーーーん!」

 

「み、《ミレイユ》!?何で此処nげぼはっ!?」

 

 

僕の鳩尾に一人の少女が頭から突っ込んできた。少女《ミレイユ》は僕にしがみつくと、ずっと顔を擦りつけてくる。その表情は泣いていた。

 

 

「怖かったよ・・・」

 

「あ~・・・うん。もう大丈夫だから」

 

 

取り敢えず頭を撫でる。すると、もう一つの気配が顔を出した。

 

 

「お、お父さん・・・」

 

「《ヨシュア》まで来てたの・・・?」

 

 

次に来たのはミレイユの兄である《ヨシュア》だ。何でこの子達が此処に・・・。

 

 

「何で此処に来たの?」

 

「あの・・・その・・・」

 

「わ、私がお兄ちゃんとかくれんぼしててね。車のトランクに隠れようとしたらお兄ちゃんに見つかっちゃって・・・」

 

「それで、足音がしたから慌ててトランクに隠れたんです・・・」

 

「そうしたら私達そのまま運ばれちゃって・・・」

 

 

あの時のはその声だったのか・・・。それで王宮内で僕を見つけようとしてこの大惨事・・・と。

 

 

「後でカティアさんから説教だね」

 

「そ、そんな!お慈悲を!」

 

「そ、そうだよ!カティア様の説教だけは!」

 

 

そう言って二人は泣き出す。溜息を吐きながら僕は頭を撫でた。全く仕方の無い子達だ・・・。そう思っていると、僕の背後から寒気がした。ギギギと振り向くと其処には・・・。

 

 

「せっちゃん・・・その子達・・・誰?」

 

 

後ろに悪鬼羅刹を纏った次女様が居るではありませんか。あ、僕終わった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~現在に戻る~

 

 

「・・・で、あの子達はお前の何なんだ?」

 

 

最初は戸惑っていたが、ヨシュア達を見て直ぐに真剣な表情になった修兄に僕は縮こまる。ミレイユ達は椅子に座らされ、ジュースとお菓子を出されていたが、ミレイユの方が泣き止まない。かな姉の表情を見てしまったからだろう。うん、アレは仕方ない。

 

 

「・・・質問を変えよう。何であの二人は"お前と同じ髪と目"なんだ?」

 

「ッ!」

 

 

僕は心臓が飛び出すかと思った。そう、ヨシュアとミレイユは僕と容姿がかなり似ている。白い髪に赤い目だ。彼らとは複雑な事情があり、訳あってお父さんとこの歳で呼ばれる様になった。

 

 

「答えない・・・か。なら最後にもう一つ。何故お父さんと呼ばれてるんだ?」

 

「そ、それh」

 

 

言い出す前に僕は葵姉にビンタされた。

 

 

「せっちゃん・・・最低だよ!」

 

「い、いやだかr「言い訳しないで!」」

 

 

もう一発喰らった。理不尽極まりない。他の家族からの視線が冷たい。懐かしいなこの視線・・・。何か良い感じにトラウマが刺激されて来た。

 

 

「何か・・・言ってy「お父さんを虐めないで!」ミレイユちゃん・・・?」

 

 

もう一発叩こうとした葵姉の前にミレイユとヨシュアが立っていた。

 

 

「お父さんは私達を助けてくれた!」

 

「そうです!僕とミレイユをあの暗闇から救ってくれました!」

 

「お父さんは悪くない!」

 

 

叫ぶミレイユとヨシュアからオーラの様な物が流れ出す。

 

 

「ヨシュア!ミレイユ!ストップ!」

 

「あ・・・ごめんなさい」

 

「すみません・・・」

 

 

二人は我に返り、オーラを沈める。危ない危ない。僕は皆を見て、観念して話す事にした。

 

 

「分かった、話すよ。父さん。人払いをお願い」

 

「分かった」

 

 

そう言って父さんは戸締りをした。此処には家族しか居ない。僕は地べたに座ったままの状態で話し始める。

 

 

「今から数年前、僕が中学2年の頃にある研究施設を潰したんだ」

 

「研究施設?」

 

 

修兄の声に僕は続ける。

 

 

「簡単に云えば能力者を創り出す研究だね」

 

「なっ!?」

 

「別に能力を持つ人間は櫻田家だけじゃ無いさ」

 

 

僕の言葉に全員が驚愕していた。

 

 

「能力と言っても様々だよ。僕達みたいなのもあれば、エスパーとかサイキッカー、巫女やシャーマンとかも能力者に入るね」

 

「そ、そうだったのか・・・」

 

「それで、その時に創られていたのが、この二人だよ」

 

 

僕の言葉に皆が二人を見る。二人は僕を守る体制を取ったまま睨み返している。その目には明らかな敵意があった。

 

 

「二人共、大丈夫だから」

 

「でも、この人家族なのにお父さんの事叩いたよ!」

 

「まあ、説明しなかった僕も悪かったし・・・」

 

「それはお父さんが僕達の事を考えてくれていたからです・・・」

 

 

二人を何とか落ち着かせて話を続ける。

 

 

「この二人はさっきの通り能力持ちでね。助けに来た時には警戒心マックスで襲われたよ」

 

 

まあ、拳骨で一発だったけど。・・・ヤバい頬が超痛い。同じ箇所に二発はマズいって・・・。そう思っていると、ヨシュアが前に出た。

 

 

「此処からは僕が説明します。ミレイユ、お父さんを頼む」

 

「うん。お父さん、今治すからね」

 

 

そう言ってミレイユが僕の頬に手を当てると、優しい光が包み込み、痛みが和らいだ。

 

 

「では、説明します。僕達は今ご覧になった通り能力が使えます。僕の能力は《魔龍召喚(ドラゴライズ)》。龍のオーラを発生させられます」

 

「私の能力は《神鳳(フェネクス)》。フェニックスのオーラを発生させられるよ」

 

「で、でもどうやってそんな能力を・・・?」

 

 

震える声で遥が聞く。ヨシュアは覚悟を決めた表情で答えた。

 

 

「それは・・・僕達がお父さんの細胞から作られたデザインベイビーだからです」

 

 

その言葉に全員が驚愕するが、一番反応を示したのが父さんだった。

 

 

「馬鹿な!その研究は十数年も前に弾圧された筈だ!」

 

「終わってなかったんだよ。研究も、アイツ等の野望も・・・」

 

 

痛みの引いた僕は父さんに言う。父さんはまさか、と言った表情をしていた。

 

 

「今も各国で研究が続いてる。僕の会社は秘密裏にそれを潰して、被害者を保護してるんだ。でも、この二人は特殊でね」

 

「僕とミレイユは能力の制御ができないんです」

 

 

そう、この二人は能力を使いきれていない。無理に力を出しすぎると暴走し、使用者が最悪死ぬ。だから保護した後、僕が直接能力の使用法を教えていたら、何時の間にか懐かれたのだ。しかもお父さん何て呼び方付きで。まあ、僕が成人したら正式に養子にしようと思ってはいたけれど・・・。

 

 

「それでお父さんに教えてもらったりして、何時の間にかお父さんって呼んでたの」

 

「だからお父さんは悪くありません!」

 

「・・・悪かった。刹那、立てるか?」

 

「平気だよ」

 

 

修兄の手を取って立ち上がり、椅子に座る。その横にヨシュア達も座った。二人は不安な表情をしていた。不安なのだろう。周りの反応が。

 

 

「大丈夫だよ。ほら、見てごらん。こう云う人達だから」

 

 

そう言って僕は家族を指差した。

 

 

「せっちゃんは悪くなかった・・・なのに私は・・・!」

 

「じゃあアレか?俺は・・・叔父さんなのか?」

 

「あの子達がせっちゃんの息子なら懐かれれば・・・これで勝つる!」

 

「わ、私叔母さんになっちゃったの!?」

 

「僕達中学生で叔父叔母か・・・」

 

「複雑だよ・・・」

 

「これってあの二人と仲良くなればせっちゃんと結婚できるかな?」

 

「姉上、家族同士は無理です」

 

「兄様・・・旦那様」

 

 

家族の反応を見て、二人はポカンとしていた。この家の人達は別にその程度じゃ差別なんてしないし、寧ろ友達になったりしようとさえすレベルだ。

 

 

「言った通りでしょ?」

 

「はい・・・」

 

「うん・・・」

 

 

僕は皆に言った。

 

 

「僕は成人したら正式にこの子達を引き取ろうと思う。良いよね、父さん」

 

「あ、ああ。・・・それにしても何故こんな事が・・・」

 

「・・・《櫻田 澪》。この名前に聞き覚えは?」

 

「な、何でその名を・・・」

 

 

狼狽する父さんに思わず笑いが出る。それは母さんも同じだった。

 

 

「知らない訳無いでしょ。"実の親"の名前なんて」

 

 

僕の言葉に部屋がシンと静まり返った。ヨシュア達も驚愕の表情で僕を見る。そう言う事だ。

 

 

「皆疑問に思わなかった?家にあるアルバムには僕だけ生まれた時の写真が無くて、少し経ってからになってるのに」

 

「でもアレってお袋が体調崩して撮影できなかったんだろ?」

 

「証拠は?」

 

「それは・・・」

 

 

僕の言葉に修兄が止まる。僕は続けた。

 

 

「僕の実の母は父さんの姉で、本来の王位継承者だったんだ」

 

「ま、待ちなさい!そんなの知らないわよ!?」

 

「知るわけないでしょ?国家機密なんだから」

 

 

かな姉が僕の言葉に何も言えなくなる。僕は続けた。

 

 

「その人は結婚して子供を妊娠したんだ。でもそれから数ヵ月後、夫は銃殺され、彼女は失踪した。後は父さんが知ってるよね」

 

「・・・ああ、研究のモルモットにされたんだ」

 

 

父さんの言葉に皆が騒然としている。光から下の子達は分かってないみたいだけど。

 

 

「櫻田 澪は当然の如く能力者だ。その能力は《覚醒(ウェイク・アップ)》。目覚めさせる能力」

 

「・・・どう言う能力だ?」

 

「昏睡状態の人を目覚めさせる事もできれば、"能力を目覚めさせる"事もできる能力だよ」

 

「確かに欲しくなるわよねそんな能力・・・」

 

「そう。しかもその人の中にはもしもの保険も入ってたからね」

 

「保険って・・・まさか!」

 

 

茜が僕をハッと見る。気付いた様だ。

 

 

「その通り。僕は結果、実験台として生まれたんだよ。実験番号S-27。だから刹那さ」

 

「そんな・・・酷いよ」

 

「そうだね。でも、僕は運の良い事に大きな実験をされる前に保護されたからね」

 

 

研究資料を見たが、僕の能力は天然であった物らしい。流石転生特典。でも、この家族関係は要らなかったな・・・。僕の説明はまだ続く・・・。

 

 

刹那サイド終了

 

 

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